気をつけよう代理人選任届~

大阪弁護士会の臨時総会が3月8日に開催される。

執行部から臨時総会の議案書が、大阪弁護士会会員に配布されているはずだ。

その議案書に、代理人選任届のハガキが閉じられている。

代理人選任届のハガキの裏には議案に対する賛成・反対・棄権の欄が設けられており、そこに自分の意見を○印で記入して提出するようになっている。

 しかし、注の※1を良く読んで欲しい。

 議決権行使の代理権に制限を付することが出来ず、上記で○印により表明された貴殿の意見は代理人を拘束しません。

 と書かれているのだ。

 つまり、全て反対に○印をつけて提出しても、代理人名を明記せずに提出すると、※3に代理人の氏名の記載がない場合は、代理人の選任を会長に一任されたものとして処理します。

 と書かれているように、会長が選任する代理人が選任されてしまうのだ。

 会長が自ら組織する執行部の意見に反対する代理人を選任するはずがないから、結局、反対に○印をつけて提出しても、その代理人選任届は、結果的には執行部賛成票として投票される結果になる。

 大阪弁護士会の臨時総会で、執行部の意見に反対しようとするなら、なんとかして臨時総会に出席するか、自分と同じ意見で臨時総会に出席する人を探すしか方法がないことになる。

 こんな方法で、会員の意見を反映することが出来るのか、私自身としてはかなり疑問を感じている。

3月11日・日弁連臨時総会の執行部議案について~3~

【続き】

 最近知ったのだが、3月11日の臨時総会執行部提出議案に対して、更に法科大学院擁護の観点から修正動議(第3案)を出そうとする動きがあるとのことだ。その中心人物と思われるF弁護士はもちろん法科大学院に深く関与している方だが、昨年末のブログで司法試験合格者1500人は法曹人口を減らすものだと指摘されたようだ。しかし、それは事実とは異なる。

 簡単な例えだが、電車に始発駅で50人が乗りました。次の駅では100人載って50人降りました。果たして電車の中の乗客は、始発駅より増えたのでしょうか減ったのでしょうか?答えは簡単で、50+100-50=100人だから、始発駅より増えている。

 これまで司法試験合格者は500人時代が長年続いており、そのうち300人くらいが弁護士になっていたから、年間300人~400人くらいが退場すると考えてもそうおかしくはない。そこに、1500人合格させるのだから、そのうち1300人が弁護士になるとしても年間で1300-300=1000人の弁護士が増えるのだ。だから、司法試験合格者を1000人にしたところで、しばらく弁護士人口は増え続けるわけで、1000人説もあくまで激増のペースダウンを目指しているにすぎない。

 こんな簡単な計算も出来ずに、法科大学院で教鞭をとっているわけではないだろうから、F弁護士はわざとミスリードしているのだろう。

 また司法試験合格者を減らせば更に志願者が減少するとの分析も、首肯できない。旧司法試験が合格率数パーセントでも志願者が増え続ける傾向にあったことからしても、F弁護士の主張は正しくないように思う。司法試験受験者が安心して受験できるメリットよりも、司法試験合格者が真面目に仕事をしていれば十分やっていけると示し資格の価値を高めることが出来れば、志願者は増えるはずだ。

 それはさておき、第3案提出に賛同する方は、(内容が法科大学院擁護に極めて偏っているだけに)法科大学院関係者の方が多いと推測されるが、第3案に対する当日の日弁連主流派の動きは、興味深いところだ。

 もし、日弁連執行部をはじめとする主流派が、第3案に賛成して修正動議を可決するのであれば、もともと司法試験合格者をまず1500人にという執行部の姿勢自体が真っ赤な嘘だったことになるし、村越会長と現執行部は、従前の理事会決議を遵守せず独断専行したという汚名を着せられ、日弁連の歴史に自ら汚点を残すことになるだろう。

 おそらく日弁連執行部もそこまでやれば、さすがに会員が怒り出すだろうということくらいは分かっているだろうから、粛々と第3案への修正動議は否決されるはずだ。しかし、近時の日弁連執行部のやり口からすると、強引に修正動議を可決して一気に法科大学院擁護に大きく舵を切るばくちに出る可能性も、極めて低いがゼロではないような気がする。

 ではお前はどうするのかと、問われるかもしれない。

 私は、あくまで現時点での考えだが、先日の常議員会で意見を述べ、また2月4日のブログ記事で示唆したとおり、私自身の票は双方否決に投票するつもりだ。

 ただし、総会には参加するので、会員意見の反映のために、代理人として議決権行使することには協力するつもりでいる。

 最後に戯れ言になるが、私としては、3月11日という大変な日に、このような臨時総会を開催することには、大きな疑問を感じる。せめて、震災で犠牲になられた方のために黙祷くらいすべきではないかとおもうのだが、どうだろうか。

くっだらない日弁連ニュースはもうやめたら?~

今日も日弁連ニュースが届いた。
特別対談:村越会長×若手会員
と題してまあ、予想通り、予定調和的な執行部支持の内容で書かれている。

はっきり言おう。
日弁連ニュースと題されているが、その実態は、来る3月11日の日弁連臨時総会において、日弁連執行部案への賛成を募るビラである。

正直言ってくだらない。

会員の会費を使ってこのようなビラを、しかも何度も送りつけてくることは、決して安くはない日弁連会費を負担している会員としては、賛成できない。ウチの紙とプリンター料金を無駄に使わないで欲しいと言いたくなる。

 要するに、「3月11日の日弁連臨時総会には、日弁連執行部案に賛成してね。負けると恥ずかしいからね。」ということらしい。

 もし、執行部が自らの執行部案に自信があるなら、堂々と臨時総会請求者と討論・対談すればよいのだ。それも公開討論会形式で、ネットで全会員が視聴できるようにすればいい。おそらく、執行部の意図する回答をするであろうと目される若手会員を選抜して行う対談など茶番だ。そんなことでお茶を濁さず、請求者側に賛成する若手会員と対談するという方法もあるだろう。

 執行部は、企業内弁護士がここ10年で10倍に増えたと述べているが、実数で見るとようやく1400人弱だ。裁判所データブックによると平成17年の弁護士数が21205名であり、現在の弁護士数が37704名だから、ここ10年で弁護士数は16500名ほど増えている。残り15000名の弁護士が活躍する分野は見つかっているのだろうか。企業内弁護士が増えれば、これまでの顧問弁護士が削られていくことは明らかで、企業内弁護士の増加は、諸刃の剣と見るべきだが、そんな考察は一切していない。

 とにかくお気楽な内容としか言えない。

 裁判所の新受事件数は、ここ10年で民事行政事件で約171万件あまり減少(▲約55%~半分以下)している。刑事事件も約59万件の減少(▲約37%)、家事事件は20万件増加(△30%)しているものの、少年事件は約15万件以上減少(▲約58%~半分以下)、破産事件も約18万件も減少(▲約67%~半分以下)しているのだがな。

(追記※念のため付言すると、10年間合計で減少した数ではない。つまり10年前に1年間で裁判所が受け付けた事件数と、ここ1年間で裁判所が受け付けた事件数とを1年単位で比較すると合計約250万件近くも減少しているということだ。1年間の比較だけで、10年前より250万件も裁判所の事件が減って、その間に弁護士数が企業内弁護士を除いて約15000名増加しているわけだ。その昔だが、独立した弁護士は少なくとも年間2500万円は売り上げなければと聞いたことがあり、仮にそれが合格ラインだとして単純計算すると、弁護士市場の規模は10年前に比べて2500万円×15000名=3750億円程度の拡大が必要になる。これから毎年1000名の弁護士が誕生すると仮定すれば、更に毎年250億円ずつ市場規模が拡大していく必要があることになる。しかもこれは弁護士の売り上げだから、実際に事件化する場合の訴額(分かりやすく言えば当事者同士で争う額)は、大雑把に見積もってもその10倍以上でないと足りない。国家予算が96兆円の国で、1年間に3兆円以上もの法的な争いが生じ、しかもその争いが毎年2500億円ずつ増えていく国など狂っているとしか思えない。また実際には、1年間の裁判所の事件数が250万件も減少している現状で、どうやれば、これだけの弁護士市場の拡大が見込めるというのだろうか。)

対談している若手会員の方は、 「新しい分野に目を向けることが大事、今までにない働き方で弁護士の力を発揮していけば弁護士の活躍の場を更に開拓できるのではないか」などと日弁連執行部のように気軽に仰るが、弁護士の仕事の中心である裁判所関係の事件がこれだけ減少している上に、弁護士人口が僅か10年で15000名も増えていることを本当に分かって言っているのだろうか。日弁連だって随分前から業務改革だ何だと言って活動してきてこの有様なのに、画期的な弁護士の活躍の場なんてそう簡単に見つかるものなのだろうか。そもそも法曹人口増加も大した根拠もなく適当に決められていたことが、法曹養成制度改革顧問会議でも明らかになっているのだが、そのことを知らないのではないだろうか。

 それに、弁護士が増加しても職業としてなり立つということは、それだけ社会にリーガルコストの負担を強いることになる。国民の皆様は、それだけのリーガルコストを負担する覚悟をお持ちなのだろうか。

 なにより、弁護士が魅力的な仕事であれば、志願者は殺到するはずだが、志願者は減少の一途である。現実は既に、弁護士会執行部、執行部に賛成する若手会員よりも遥かに先を行っている。幾ら彼らが弁護士の仕事が魅力的だと強弁しても、仕事は生計を立てる手段である。仕事がどんどん増えて収入が見込める仕事であるなら、志願者は殺到するはずだ。法科大学院の時間的経済的負担を強いられても、将来的にその負担以上の、より大きなリターンが見込めるなら志願者は減少するはずがない。

 現実を見なさい。理想にとらわれて現実を見ないのでは、社会では相手にされませんよ。

 誰か日弁連執行部に言ってやって下さい。

 あなたは裸の王様である、と。

3月11日・日弁連臨時総会の執行部議案について~2~

(続き)

 ①の質問については、もともと修習手当という費目で予算にあげられているものであり、給費制と同じものを目指していくという回答であり、従前給費制と呼ばれていた制度と全く同じものの獲得を強く目指していくのか、修習手当という名目で幾ばくかの経済的援助で妥協しても良いという姿勢なのか、そこのところはよく分からなかった。

 ②の質問に対しては、私の記憶では、「1500人と言っているのは日弁連だけであり、1500という数字が入ったのは日弁連の活動の成果である。まだ1500人に反対する人達も多い中、1500人の達成も出来ていないのに、1000人という決議をしてしまうと、そっぽを向かれてしまう。国の制度を変えるのだから簡単ではない」との回答だった。

 この会長の回答には疑問があった。
 まず、これまで日弁連はロビー活動をして来た成果だと言うが、本気で取り組んでいるとは思えない。国の制度といっても結局は政治家・財界・マスコミの意見が大きく反映されるのだから、そっち方面にも働きかけてしかるべきだ。

 例えば、政治家もマスコミも弁護士は仕事を掘り起こせというのだから、ⅰ弁護士が余ってきていることもあるので、弁護士会が公開株式を1単位ずつ保有して、不祥事報道が発覚すれば直ちに弁護士でチームを組んで株主代表訴訟を提起する、そのための組織作りを検討する、ⅱマスコミの報道を逐一チェックする組織を弁護士会内に設け、人権侵害があれば直ちに提訴する、そのための組織作りを検討する、と発表するだけでも、財界・マスコミから弁護士増員反対の論調を引き出す可能性はあるはずだ。

 経済同友会なんか集団的消費者被害回復に係る訴訟制度が問題になっただけでも、 「日本は、自助・共助、それに基づく私的自治によって紛争を解決してきたからこそ、先進国中においても画期的に訴訟の少ない社会になっていると考えられる。安倍首相は、自助と共助が日本の伝統であり、今後も重視すべき価値観である旨指摘しており、この面からも安倍政権の目指す方向性と本制度(集団的消費者被害回復に係る訴訟制度)の導入が整合的かどうか検討すべきである。」と意見していたくらいだから、すぐに増員反対の意見を出してくれそうだぞ。

 政治家の不祥事に対する法的追及の組織でもいいかもしれない。最近流行のコンプライアンスにも合致するし、仕事を掘り起こせって言われていることに素直に従っているだけだから、本来なら何ら問題はないはずだ。しかも、従事する弁護士のスキルアップにもなるし、良いこと尽くめじゃないか。内々の話をすれば、株主代表訴訟は株主側が勝つ確率がそう高くはないから、会社側弁護士にとってこそ美味しい事件となるはずだ。
 

そもそも、政治家、財界やマスコミが弁護士は仕事を掘り起こせと言いつのるがそれは、自分に向かって矢が飛んでこない限度での話だ。弁護士が増えれば自らに矢が飛んでくるかもしれないということを分からせてあげないと、論調は変えられないだろう。
 日弁連が本気ならそれくらいしてもおかしくはないだろう。単に頭を下げてまわるだけなんて本気で戦っていない証拠なんじゃないのか。

 ③の質問に対する回答は、私の記憶では、いろいろ業務拡大は、やっている、弁護士としての魅力をアピールし、司法試験合格率を上げれば志願者は戻ってくる。というものだったと思う。

 果たして本当か。費用も時間もかけて取得した資格でも、資格を生かす仕事が来なくて食いっぱぐれるくらいなら、企業に就職した方が良いに決まってる。賢い人ほど費用対効果を計算するだろう。

 また、法科大学院堅持を言うなら司法試験合格者は多い方が良いに決まっている。その反面、司法試験合格者1500人への減員を言うのは、二律背反に近い。どちらかが本気でないとしか思えない。日弁連が法科大学院を放棄するとは思えないから、本気でないのは、司法試験合格者減員だとしか思えない。

 しかも、合格率が上がれば志願者が戻ってくるなんて、どれだけ安易な考えだ。あきれて物も言えん。前にも言ったが宅建資格だけで独立するのは難しいといわれているが、仮に宅建大学院に数百万円かけて3年間通えば95%で宅建資格が得られるという制度を創っても、誰も宅建大学院に行かないだろう。費用対効果が望めないからだ。だからどれだけ合格率を上げたところで、法曹資格に魅力が戻らない限り法曹志願者は増えないと考えるべきだ。
 業務拡大だって、遅々として進んでいないじゃないか。少なくとも増員のペースに見合った業務拡大なんてどこにある。あるなら示してもらいたいものだ。

 ④に関しては、理事会決議にそって必死でやっているとの回答だった。しかし、今回の執行部提出議案は、理事会決議「司法試験合格者をまず1500人にまで減員し、更なる減員については法曹養成制度の成熟度や現実の法的需要、問題点の改善状況とを検証しつつ対処していくべき」とあるが、更なる減員に関する後半が抜け落ちており、理事会決議よりも司法試験合格者の減員に関しては、後退していると言える。それで必死にやっていると胸を張られても、納得は出来ないね。

(続く)

3月11日・日弁連臨時総会の執行部議案について~

 先日の常議員会で、3月11日の臨時総会に対する大阪弁護士会の一票をどう投じるかについて、討議がなされた。

 日弁連執行部案を松葉会長が説明し、招集請求者案を松浦正先生が説明した上で、質疑応答に入った。

 私は、日弁連執行部案について、概ね次の通りの質問をさせて頂いた。

①執行部案が実現を目指す司法修習生の修習手当とは、従来の給費制と同じものを意味しているのか。

②執行部は、いま招集請求者案のように直ちに司法試験合格者1500人、可及的速やかに1000人にするという決議をすると、1500人の実現も困難になるというが、そもそも日弁連に司法試験合格者数決定権がないのに、どうして1500人の実現も不可能になるのか、その根拠はどこにあるのか。

③法曹志願者減少の対策というが、対策は本当に可能なのか。弁護士が過剰で職としての魅力が減少している現状で、増員のペースダウン以外に資格の価値を取り戻す方法はあるのか、そもそも中教審や法科大学院は司法試験合格者を増加させろと主張しているが、そのような法科大学院を制度として堅持するなら、合格者減員は望ましくないはずだが、本当に司法試験合格者減に向けて活動できるのか。

④現執行部は、宇都宮会長の時代に司法試験合格者を1500人にしようとする提言にすら反対してきた人達ばかりとお見受けするが、本気で取り組んでいるのか。

(続く)

へ~、こんな会があるなんて知らなかったよ。~

 「法曹養成制度改革を進めるとともに1500人決議を求める会」という会から、大阪弁護士会会員全員宛に、「3月11日開催の日弁連臨時総会の委任状提出のお願い」と題した、文書が配布されている。

 代表は元大阪弁護士会会長のY先生、事務局長はバリバリの法科大学院維持派のT先生、呼びかけ人には元大阪弁護士会会長、副会長が多く名前を連ねる。

 要するに、日弁連執行部案に賛成しましょうという主張のようだ。
 「大阪弁護士会のエライさんも日弁連執行部案が良いといっているんだ、賛成しよう!悪いようにはせえしません!」  ・・・というのが狙いなのかなぁと読めてしまう。

 いわせてもらうが、「法曹養成制度改革を進めるとともに1500人決議を求める会」があるなんて、全く知らなかったし、その会の活動なんか初めて聞いた。
 いつから活動していたんだろう。

 少なくとも、司法試験合格者1500人決議を求める会のはずだから、本気の活動をしているのなら司法試験合格者3000人の閣議決定のあったときから閣議決定に反対する活動をしていてもおかしくはない。しかし、その頃には全く、1500人に向けた活動はしていなかったぞ。日弁連が宇都宮執行部のときも、司法試験合格者削減方向の決議を行うことについて何にも協力してくれなかったし、名前を連ねている呼びかけ人が大阪弁護士会執行部にいたときも1500人に向けた活動はしてくれなかった。常議員会で質問しても、それは日弁連マターだから、大阪弁護士会として活動する予定はない!等との回答しかくれなかった記憶があるんだがな。

 特に事務局長のT先生なんか、バリバリの法科大学院維持派で、司法試験合格者削減については法科大学院が維持できなくなるから反対し、予備試験も制限すべきと強力に言っていた記憶しかないんだがな~。

 そんな方々が作った会が、どうして降って湧いたように執行部案に賛成の旗を振るのだろうか。間違ってもそんなことはないとは思うが、日弁連執行部におもねる態度を示して、将来の日弁連ポストとか大阪弁護士会から日弁連会長を出すための布石にしたいというのであれば、そんなみみっちい会はやめて欲しい。日弁連への大阪弁護士会の影響力が残ったとしても、その前に弁護士全体が沈没したら意味ないじゃない。

 いろいろぶち上げたあげくに、日弁連会長選挙が済んだらそれっきりで、何にも活動してくれなかった弁護士未来セッション(だったかなぁ)とおんなじように、執行部案を通過させたいために突如結成された会である可能性は高いと思うが、仮にそうでないとしても、誰にも知られず秘かに活動していた会が、昨今の弁護士就職難から、さすがにまずいと思って合格者1500人だと言い始めたのであれば、ようやく目が覚めてくれたのかと善解できなくもない。しかし、それならそれで先見の明がなさ過ぎるだろ。

 当たり前だが、法科大学院を維持するためには、司法試験合格者が多い方がやりやすい。法科大学院に進学すれば高確率で司法試験に合格して法曹への道が開けますよ~、ようこそ法科大学院へ!と言いやすいからだ。つまり法科大学院卒業を司法試験の受験資格としている現行制度の下では、法科大学院維持の主張と、司法試験合格者削減は二律背反に近い関係にある。

 だから、両者を平行して主張する人は、法科大学院制度の維持か司法試験合格者の削減か、どちらかを本気で主張していないと私は考える。日弁連の執行部案も実は、両者を平行して主張している。

 臨時総会では別にどちらかの案に賛成しなければならないわけではない。どちらの意見も日弁連の意見として相応しくないと思えば、両者否決でも良いのだ。
 

 折しも日弁連ニュースでは3度目の執行部案への賛成を求める内容が配布された。なりふり構わない執行部の態度は、さすがに、ちょっとは批判されてもおかしくはないレベルに来ているように思えるぞ。

日弁連ニュースを執行部意見の宣伝に使うな~その1~

 もうご存じと思うが、本年3月11日に日弁連臨時総会が開かれる。
 これは日弁連執行部が開催を決めたものではなく、弁護士300人以上が臨時総会を開くよう請求したため開催されるものだ。

 会員が請求して開催される臨時総会は、不勉強な私の知る限り、初めてではないだろうか。もしそうだとすれば、前代未聞の臨時総会を求めるほど、会員の中には、「執行部は会員の意見を取り入れてくれない!」という不満が高まっているということだ。そもそも、日弁連執行部が会員の意見をくみ上げたり、会員の意見にきちんと向き合っているのなら、ここまでのことにはならないだろう。

 会員が臨時総会を求めるほど不満を募らせているという事実があるのなら、執行部はその意見にきちんと向き合い、請求者案と執行部案のいずれが日弁連の意見として相応しいか会員の意見を聞くべき立場であるべきではないのか、と私は思う。

 ところが、日弁連執行部は1月22日の№15、1月26日の№16の日弁連ニュースにおいて、「執行部提出議案にご指示を!」と題して、執行部案への賛成を呼びかけている。

 №15では、「理事会では圧倒的に執行部案が承認された」と誤解を招く表現があるが、これは「執行部案が臨時総会に提出することを承認された」というにすぎず、決議は臨時総会での会員の投票に任されている。

 また、№16では、村越会長が「執行部案にご支持をお願いします」と大書してあり、会長を担ぎ出して執行部案への投票をおねだりするところまで来ている。もちろん請求者案提案の経緯や提案の趣旨の紹介は一言も見当たらない。

 もともと会員の意見を聞くべき臨時総会で公平な議論を期するなら、臨時総会請求者案と執行部案それぞれを根拠とともに示していくのが筋だろう。また、日弁連速報という以上、日弁連での動きを公平・中立的に伝えるべき媒体ではないのだろうか。日弁連速報を使って、日弁連執行部議案に賛成しろ、会長もそう言っているぞ、と言わんばかりのFAXを送りつけてくるのはフェアではあるまい。

 
 しかも日弁連速報は、会員の会費を使って送付されているはずだ。しかも会員全員にファックスしているだろうから、そこそこの費用がかかっているはずだ。そればかりではない。FAXが送られてくる各事務所のカウンター料金と紙代もかかるから、各会員の事務所にも負担をかけているんだぞ。分かってやってるのか。

 執行部議案を宣伝したけりゃ、執行部のポケットマネーでやって下さい。

(たぶん、続く)

常議員について~

 2016年度も大阪弁護士会の常議員になることになりました。

 確か2009年度から毎年常議員として常議員会に出席してきましたので今年で、8年目になります。

 大体、隔週の火曜日15:00~17:00に常議員会が開催されますので、仕事の面から言えば、実は結構な負担です。しかし、それでもなぜ常議員になっているのかというと、大阪弁護士会や日弁連が何をやっているかをうかがい知ることが出来、それに意見を述べることが出来る、貴重な場だからです。

 ただし、私のように無所属の方はほとんどおられず、常議員は各会派に人数が割り当てられ、各会派から選出されてくる方ばかりです。ですから、基本的には、重要事項に関する執行部の意向は、おそらく会派経由で事前に根回しされているため、意見は飛び交っても結果的に否決されることはまずありません。

 しかし、きちんと議事録が作成されますから、どんな質問でも執行部(理事者側)は真剣に回答してくれます。

 私は、おそらく若い方は、弁護士会に対して、たくさん仰りたいことがあるのではないかと思っています。今年度の選挙は終わってしまいましたが、今後、若手の多くの方に立候補して頂ければ、何かが変わるのではないかと考えています。

 常議員の立候補には2万円の予納金が必要ですが、選挙がなければそのほとんどが返ってきます。また、各会派も常議員選挙で会派推薦の人物が落選するなどというかっこわるい姿を見せたくないはずですから、無所属の立候補者が出ても、会派の割当を調整して無投票にすると思われます。

 執行部や日弁連のやることはおかしいとお考えの方、まずは常議員という手段もあるということを覚えておいて下さい。

 なお、常議員会は、申請すれば傍聴できるはずです。

 どんなものか、1度ご覧頂けると興味が湧くかもしれませんね。

日弁連・村越会長の声明について~2

(続き)

 司法審意見書の予想が大ハズレに終わっている点に関して、松葉会長は、それでも掬いきれていない需要はあるとお答えされたので、私は、会長の仰る需要は、「100円の新聞を、10円なら新聞を読みたいという人がいるから、新聞の需要はたくさんあるというのと同じではないか」と意見させて頂いた。

 会長は、その10円で新聞を読みたい人も需要であり、その需要を顕在化させる手段を考えること(保険などの利用も含めて)が重要だとの見解を示された。そのお言葉に頷いている副会長も複数いたし、もっともな御意見ではあった。理想論を語るなら、という限定つきだが。

 考えて見ると、会長の視点には、何故、新聞社が自社の新聞を一部100円と設定したかについての考察、そして弁護士といえども職業であるという大前提が抜けているように感じた。
 新聞だって同業者がいるから当然、価格競争も行われている。もちろん利益を出さなければ、会社は維持できない。資本主義経済である以上は当然だ。価格競争だけ考えれば、新聞の値段は可能な限り安くしたほうがいい。しかし、新聞を一部10円にできないのは、新聞を作るにもコストがかかっているから、そして一部100円にしなければ採算が取れないからである。
 すなわち、サービスや商品には、それに見合った適正な価格というものが、当然ある。10円の新聞購読希望者を敢えて取り込もうとしない新聞社は、その適正な価格を守っているだけなのだ。裏を返せば、100円を出して新聞を読みたいという希望を持つ人以外は、新聞社から見れば、需要とは言えないことになるはずだ。

 新聞社の取締役会で、「10円で新聞を読みたい人も当社の新聞の潜在的需要と言えるから、それを取り込む努力をするべきだし、それを見越して新工場を建設し、記者も増やそう。その需要を顕在化させることが重要だ。」とか、自動車会社の取締役会で、「10万円であれば新たに新車を買いたいという人は、全人口の9割に上るので、潜在的需要はいくらでもある。だからどんどん新従業員を雇用し、新工場を建設して生産台数を増やそう。その需要を顕在化させることが重要だ。」なんて発言したら、その需要を開拓する具体的な方法を提示しない限り、役員を解任されるんじゃなかろうか。

 確かに、弁護士が公務員であり、社会的インフラとして、提供するサービスに見合わない低価格で、サービスを提供するという制度なら話は分からなくもない。弁護士全ての生活が保障されており、老後の生活も見通しが立つなら、それもありかもしれない。

 しかし、弁護士は公務員ではない。だれも生活を保障してくれない。給与所得者のように会社が健康保険や年金保険料の半分を負担してくれることもないし、退職金制度もなければ、老後は国民年金だ。なにより弁護士だって職業だ。この仕事で稼いだお金で生活し、子供を育てなければならない。提供するサービスに見合わない対価しか得られない需要を潜在的需要があると強弁して、その需要を開拓すべきだと言われても、具体的方策なんかあるのだろうか。随分前から潜在的需要論はあったし、日弁連も各単位会もその開拓に躍起になっていたはずだが、現実に需要が大きく開拓された具体例を知らないぞ。

 例えば、これまで人類が掘り出した金の総量はおよそ17万トンくらいであるらしい。一方、海水には約50億トンと、桁違いの量の金が溶け込んでいるといわれている。しかし、海水から金を取り出そうとする会社はない。現在の技術では、採算が取れないからだ。潜在的需要論は、海水には大量の金が溶け込んでいるから、その方法さえ見つければ大丈夫だ、というのと何ら変わらない。

 困っている方々にもれなく法的サービスを提供する、という目標自体は誤りではないように思う。その意味で、会長のお話は、分からなくもないし、それを目指すべきだという理想論は、あっても良いと思う。
 しかし、それは法的サービスを提供する側が食うに困らない場合に、初めて実現可能となる理想論である。古き良き時代の弁護士先生なら、それでも良いのだろうが、現状はどうか。

 平成元年から10年まで10年間で弁護士数は2764名増加、平成11年から20年まで8736名増加、平成21年から今年まで7年間で9507名増員され増員ペースは収まっていない。しかも、裁判所に係属する事件数は減少だ。この状況下で、仕事を開拓しろ、競争しろと言われる現在の弁護士に、そこまで求めるのは無理なんじゃないだろうか。

 村越日弁連会長、執行部の方々(さらには、法曹養成制度改革顧問会議の顧問の先生方や、アンケートを分析した推進室もそうかな)、餅を絵に描いて見せて頂くことには飽きました。仰っている潜在的需要とやらを、早く顕在化して見せて下さい。

日弁連・村越会長の声明について~1

 昨日の、大阪弁護士会常議員会で、平成27年5月21日に村越日弁連会長が出した、「法曹養成制度改革推進室作成の法曹人口のあり方について(検討結果取りまとめ案)に関する、会長声明」(以下「村越声明」という。)の説明があった。

 その村越声明の中に、「法曹志望者の減少をもたらした要因を解消する実効的な措置を講ずることなく、ことさらに司法試験合格者の数を追い求めるならば、新規法曹の一部に質の低下をもたらす・・・」とのくだりがあった。

 このような声明を出す以上、日弁連としては法曹志望者減少の要因を知っているはずだろうから、大阪弁護士会の松葉会長にお尋ねしてみた。あわせて、村越声明は冒頭から、未だに司法審改革意見書を振りかざしているので、司法審意見書は今後の需要増が見込まれる前提での話であり、その空想が案の定大ハズレに終わり、弁護士会も需要開拓さんざんに努めてきたがほとんどがむなしく空振りに終わっている現状でも、なお需要があることを前提にする司法審意見書に乗るのは、おかしいのではないかと聞いてみた。

 誤解なきよう、先に申しあげておくが、私は、松葉会長を尊敬している。私のような若輩が無茶な意見を申しあげても、逃げたり誤魔化したりせずに、きちんと向き合ってお話ししてくれる。弁護士としても一流だとお聞きしているし、お人柄も私なんかより数段上でいらっしゃる。ただ、大阪弁護士会会長、日弁連副会長としてのお立場もあるだろうから、大人の事情で、公的な場で本音のお話しをして下さるとも限らないことは、ご理解頂きたい。

 私の記憶に依るものなので、不正確な部分も当然あるため、きちんとしたやり取りは、常議員会議事録をお読み頂くことになるが、松葉会長のお答えは、概ね以下のとおりだった。

 法曹志願者減少の要因については、就職難、経済的困窮、法曹になるためのコスト等が理由だと日弁連は考えているそうだ。

 そして、司法審意見書に関しては、まだ掬いきれていない需要はあるとの考えのようだった。

 しかし、法曹資格取得にどれだけコストがかかろうと、それに見合うリターンが見込まれれば、志願者は減少しないと思われる。現在よりも遥かに競争率が高かった旧司法試験時代は合格率が1~2%台の時(平均合格のための時間的コストは相当高かった)でも、受験者は増加の一途だった(丙案導入時の受け控え除く)。このことからも、法曹になるコスト(時間的・経済的コスト)だけが原因でないことは明らかだ。

 だから私は、端的に職業としての法曹の魅力が低下したからではないか、と意見した。
 わずか8年間で所得の平均値も中間値も半分に減少し、家事を除いて一向に裁判案件は増加の傾向を見せない。将来有望かどうかの資格としてみた場合、月刊プレジデントではブラック資格とまで書かれている。潜在的需要論は、いわれているだけで一向に顕在化しない。

 むしろ、法曹界に良い人材を呼び込もうとするなら何らかのリターンを用意しなければならないのではないか。一般社会でも、ヘッドハンティングのように、良い人材を得ようとするなら、報酬や地位などそれなりの見返りを準備することは当然だ。どうしてそれが弁護士というだけで批判・否定されるのか考える必要もあるのではないか。

ということにも触れたように記憶している。

(続く)