「広げよう!司法の輪 日弁連の会」はどこへいった?

 昨年10月16日のブログで、私は、「広げよう!司法の輪 日弁連の会」について私は、同会が日弁連会長選挙に向けたダミー団体ではないことを願って、最後にこう書いた。

http://win-law.jp/blog/sakano/2017/10/post-204.html

 私としては、「広げよう!司法の輪 日弁連の会」と菊地裕太郎弁護士が、今までのような団体と違って日弁連会長選挙終了後でも(勝敗に関係なく)、私的な団体とその代表者として、正しい問題意識の下で、永続的に積極的な活動を行ってくれることを強く希望するものである。

 結局、菊地裕太郎弁護士の勝利で日弁連会長選挙も終わり、新年度へと変わろうとする季節になって、私は、上記日弁連の会が、どのような活動を今後してくれるのかと思って、HPを閲覧しようとした。

 しかし、すでに同会のHPが見当たらないのだ。

 たしかHPのアドレスは、次の通りだったと思うのだが

https://www.shihonowa.com

 をクリックしても、既にページが存在しない。

 私のミスかと思って、「広げよう!司法の輪 日弁連の会」で検索しても、残念ながら同会のHPにヒットしなかった。

 もちろん私の記憶違いで、実は、別のところにちゃんとHPがあるのかもしれない。

 しかし、あれだけ豪華なパンフレットを全会員に配布するくらいに、問題意識を持って日弁連のために行動する気があるように見せていた(見せかけていた?)会だったはずなのに・・・・。

 もし、本当にHPが削除されているのなら、

 正直、「広げよう!司法の輪 日弁連の会」と、その代表者には、がっかりだなぁ・・・・・。

臨時総会の代理人選任届の罠 ?

 昨日のブログで、私はいわゆる谷間世代の会費減額措置を大阪弁護士会臨時総会で決議することに関して反対する意向を示しているが、仮に私が反対意見を記載した臨時総会の代理人選任届を提出しても、私の届けは臨時総会では反対票としてカウントされないおそれがあるようだ。

 現在配布されている臨時総会(平成30年3月5日)議案書には、表紙をめくったところに、大阪弁護士会宛の代理人選任届としての郵便ハガキが綴じ込まれている。この代理人選任届には、各議案に対して賛成・反対・棄権の意見表明欄が設けられているため、一見その反対欄に○印を記入して提出すれば、反対票として扱われそうに見える。

 だがしかし、大阪弁護士会の総会では、総会に出席できない場合には、そう簡単に執行部の議案に対する反対票は投じることができないのだ。

 なぜなら、意見表明欄の下に「ご注意」との記載があり、
 ※1として「会則第39条第4項により、議決権行使の代理権に制限を付することはできず、上記○印により表明された貴殿の意見は代理人を拘束しません」と書かれている。つまり反対意見を表明して代理人選任届を提出しても、仮にその代理権を行使する会員が賛成として行動すれば、反対意見の代理人選任届も賛成票としてカウントされてしまうことになるのだ。
 さらにご丁寧なことに、
 ※3として、「代理人の氏名の記載がない場合は、代理人の選任を会長に一任されたものとして処理します。」との記載がある。ちょっと最新の会則を見ていないので、そのように処理する明文の根拠があるのかどうかは疑問だが、現実の運用はそうなっているらしい。

 つまり、臨時総会に出席できない人が、執行部の議案に反対票を投じようと思っても、臨時総会に出席して反対意見を投じてくれる代理人を自分で見つけて、その人の名前を特定して代理人選任届を出さないと、反対票を投じることができない仕組みになっている。

 もちろん、開催通知には、「議案に反対又は棄権の意見を表明されている場合、会長が把握している限りにおいて、総会出席予定で反対又は棄権の意見を表明している会員を代理人として選任するよう努めますが、かかる代理人が見つからない場合には、賛成票として行使されるおそれが高いため、代理人を選任しません。」と書かれている。

 これは「反対の意思を表明した代理人選任届が賛成票に使われないような運用をする」との注意書きで、この措置は反対意見を賛成意見票として使わないことには役立つが、実際には反対意見は(行使する代理人を選んでもらえず)結局死票となるから、議案反対の意思を総会決議に反映させることには無力だということだ。つまり、「(反対する総会出席代理人が見つからない場合には)反対票を賛成票にすり替えるような露骨にひどい扱いまではしませんが、反対票には死んでもらいます」ってことだ。

 また、会長が把握している限りっていったって、会長個人の人脈だって全会員に及んでいるはずがないし、会長に向かって「あんたの執行部の議案には反対だ」、と総会が開催されていない時点から、前もって伝達する奇特な方はそうはおるまい。

 となれば、反対票を投じる意見を持つ代理人が会長に見つかる可能性は極めて低いだろうから、代理人選任届において反対意見を表明してもそれが総会において、反対票として反映されることは事実上、極めて困難な状況が設定されていることになる。

 そんなややこしい話をせずとも、書面投票制度か電子投票制度を導入すれば一発で解決するはずだ。導入している会社もあるのだから、大阪弁護士会だけができないはずがないではないか。

 また、そうでなくても1人の代理人が10個まで代理行使できるとして、統一して行使しなくてはならないという規則はなさそうだから(未確認です。すみません~仮にそのような規則があっても改正すればどうでしょうか)、1人の代理人に賛成票7、反対票3を割り付けて、きちんと行使してもらえば済む話だと思うし、その方が、確実に会員の意見を反映した臨時総会になると思う。

 もっと簡単にするなら、代理人は委任者の意見に拘束されないという会則39条4項を撤廃すればよいのではないか。ちなみに日弁連の会則にはそのような代理人は委任者の意見に拘束されないという、会則39条4項のような規程は、多分なかったように記憶する。

 もしそうだとすれば、大阪弁護士会の約10倍の規模を有する日弁連で不統一行使が出来るのだから、大阪弁護士会では事務処理の都合上、不統一行使は出来ないのです・・・という言い訳は、通らないだろう。

 敢えて嫌みな言い方をすれば、大阪弁護士会の総会決議において執行部の提出議案が否決されることが(ほぼ)ないような仕組みが整えられている、といっても言い過ぎではないだろう。

 こんな罠のような総会代理人選任届の仕組みを、大阪弁護士会はいつまで放置しておくのだろうか。

 どこかで大掃除が必要な気もするね。

河本一郎先生

 大阪弁護士会では各会派が、機関誌を発行している。

 その機関誌には、昨年4月に、河本一郎先生がお亡くなりになられたということが書かれていた。正確には、亡くなられた際に訃報がFAXで届くので、そのときに私は亡くなられたことを知ってはいたように思うが、改めて記事を読むと、やはり見覚えのあるお顔だった。

 河本一郎先生は、手形法を勉強したことのある人なら、一度は聞いたことがあるだろう、「河本フォーミュラ」の提唱者である。

 河本フォーミュラの内容は、手形法17条但書きの「債務者ヲ害スルコトヲ知リテ」という要件について、「手形を取得するにあたり、手形の満期において、手形債務者が所持人の直接の前者に対し、抗弁を主張して手形の支払いを拒むことは確実であるという認識を持っていた」場合であるとするものだ。

 ただ、どうしてこの呼び名になったのかは、はっきりとは知らない。ある人から聞いた話では、河本先生が提唱した際に、フォーミュラという言葉を使っていたからだとのことだが、私は確認していないので定かではない。

 法律の世界では、他にこんなかっこいい名前で呼ばれるものは私の知る限りでは存在せず、手形法の教科書の中に、突如かっこいい呼び名で登場する「河本フォーミュラ」を知ったときは、妙に新鮮だった。

 そのせいか、友人と「河本フォーミュラだとこうなる・・・」とか話すことが何となくイケテル気がしたものだった。だって、手形法は2018年の模範六法を見ても、未だにカタカナの法律だったりするのである。

 私は河本先生から教えを受けたわけはない。もちろん河本先生は私のことをご存じないだろう。

 ただ、河本先生は、大阪弁護士会に所属しておられたこともあり、1度だけ弁護団事件の訴訟で相手方として対決したこともある。

 訴訟の内容はもう忘れてしまったが、白髪で大きめの声で話す方だったように記憶している。

 弁論準備期日で、裁判官に対して法律はこうなっているのに裁判所がおかしいと熱弁をふるわれ、裁判官が、「先生、仰ることは分かりますが、まあ、まあ、、、、」と、河本先生をなだめるような場面もあり、なかなかエキサイティングな弁論準備手続きだった。

 あくまでも訴訟相手として間近で拝見した、私の勝手な第一印象だが、学求のサムライのような雰囲気をお持ちであり、下手に近寄れば切られるんじゃないか、と思えるような怖さも秘めているように感じた。

 会派の機関誌の記事を読みながら、弁論準備手続室で熱弁をふるっておられた先生の印象が、私にはとても懐かしく感じられた。不思議なことに、手続室では、お顔を拝見していたはずなのに、思い出されるのはお顔よりも、そのときの先生の存在、それ自体の全体的な印象なのである。

 おそまきながら、ご冥福をお祈り致します。

法科大学院等特別委員会の議事録まだ?

 昨年11月のブログにも掲載したが、法科大学院等特別委員会の議事録は、文科省のHP上では未だ公開されていないようである。

 「最新の議事要旨・議事録・配付資料」のページはもとより、「これまでの議事要旨・議事録・配付資料の一覧はこちら」のリンクをたどっても、昨年3月からの会議における配付資料だけが閲覧可能になっているだけで、議事録は一切掲載されていないようだ。

 この特別委員会の前身である「法科大学院特別委員会」の議事録も見てみたが、H28.9.26開催の第76回会議までしか作成されていない。

 他の委員会を見てみても、将来構想部会や大学院部会などは、昨年10月、11月頃に開催された会議の議事録も公表している。

 要するに、法科大学院等特別委員会の議事録の公開が、突出して圧倒的に遅れているようなのだ。

 大体1回2時間くらいの会議で、議事録を文章に起こすだけでどうして1年以上もかかるのかとても不思議なので、おそらく、何らかの意図があって議事録公開を控えているのではないかと、疑念を頂かざるを得ない。

 ただし、議事や議論の大まかな内容は、「これまでの法科大学院等特別委員会における委員の主な御意見」という配付資料を見れば想像はつく。

 しかしこれまた、以前のブログで指摘したとおり、そこでの議論は、法科大学院等特別委員会の目的は、ずばり、法科大学院制度の維持で、それ以外にない。そして国民の皆様の為の法曹養成よりも、法科大学院制度維持が自己目的となり、予備試験制限を主張する場合等以外には当初の理念もどこかへすっとんでいるようだ。

 議事録がないので仕方なくその主な御意見を見て見たのだが、御意見にも3ランクがあるようで、①赤丸赤字の御意見、②黒丸黒字で太字の御意見、③黒丸黒字の御意見と、記載されている意見の表示が異なっている。もちろん①>②>③の順で重要度が設定されているのであろう。

 その中に、次のような赤丸赤字の御意見があった。

【法学部教育の在り方】
○ 良好な就職状況や就活スケジュールの前倒しの影響か、学部生が熱心に法律科目の授業を受けていないと感じる。早期から法曹志望が明確な学生だけでなく、身近な経験等をきっかけに法律の勉強に興味を持った学生も法科大学院志願者として取り込むためにも、学部段階で若手法曹による講義・講演を設けて法曹が魅力的な職業であることを伝えるなど、広報活動が必要。

 この御意見を赤丸赤字で重要表示している点だけで、もう、法科大学院等特別委員会は現実を見る力を持っておらず、委員会として終わっていると感じざるを得ない。

 職業は、確かに自分を社会の中で実現していく行動である。しかしそれは同時に生計を維持する手段であり、職業によって得たお金で自分や家族の生活を支えて行かなくてはならない。

 だからどんなにやりがいのある魅力的な仕事があっても、その職業のために必要な資格取得が費用対効果に見合わなければ、親の地盤を継げて将来の経営安定が保証されている人間か、生活できなくてもやりがいを重視する奇特な人間以外は、その職業を目指すことはないと考えるのが素直だろう。

 やりがい・(経済面を無視した)魅力だけをエサにして、有能な人材が確保できるのか、ヘッドハンティングができるのか、考えて見ればすぐ分かるはずだ。

 また、昨今、優秀な志願者が激増して、どんどん難易度が高くなっている医学部に関して、志願者を増やすために、文科省や厚労省は、医師の仕事が魅力的であるとか、医師のやりがいを大々的に広報などしただろうか?

 そのようなことをしなくても、医学部人気は高まっているのだ。

 2016年6月13日付け週刊ダイヤモンドが、医学部人気の過熱の原因に関して、記事の中で次のように分析している。

(以下、週刊ダイヤモンドのHPより引用)
 なぜ、医学部受験はここまで過熱し、難易度が高まっているのか。
 まず、理由として挙がるのが、医師になれば、食いっぱぐれがないことだ。その気になれば、70歳になっても働くことができるし、医師は激務とはいえ社会的地位も高く、勤務医であっても平均年収は1000万円を超えてくる。
 それに加えて、08年以降、有名私立大の医学部が、相次いで数百万円単位で学費を値下げし、受験しやすくなったことだ。
 次に、これまでとは異なる受験者層が、医学部に流れてきていることが挙げられる。
 同じ理系でも理工学部などを卒業し、製造業などに就職してもシャープや東芝のように今の時代、いつ何時会社が傾くか分かったものではない。それは文系もしかりで、医師と並ぶ最難関資格の弁護士資格を取得しても、食べていけない弁護士が続出する時代だ。
 消極的な理由だが、世の中に医師ほど安定して収入が得られる資格がなくなり、優秀な層の流れ着く先が医学部ということが、過熱している要因の一つといえる。
(引用ここまで)

 極めて素直な分析で、説得力がある。法科大学院等特別委員会のエライ先生方でも、反論・論破することは容易ではあるまい。

 私なりに一言でまとめれば、医学部人気が高い理由、医学部志願者が激増している理由は、結局は、医師の資格の価値が高いからだ。

 決して、仕事が魅力的だとかやりがいがある、というだけの話しではない。

 となれば、法曹志願者を増やすことは極めて簡単である。

 医学部志願者が増えたのと同じ方向性をとればよいのだ。

 法曹資格の価値を高め、医師並みに安定した生活が可能な資格にすれば、どんなに試験が難しくても、放っておくだけで志願者は増え、優秀な学生が目指すようになる。合格率が3%程度しかなかったにもかかわらず、旧司法試験時代の受験者が、(丙案導入時の受け控えを除いて)増加の一途であったことからも、この事実は明らかだ。

 そして優秀な法曹志願者が増加することは、国民の皆様が権利を守る最後の砦としての司法に優秀な人材を導くことになるから、国民の皆様の利益に適う。

 このように至極簡単な方法がありながら、法科大学院等特別委員会がその方法を敢えて提言しないのは、資格の価値を高めるために司法試験を厳格にして合格者を減らしてしまえば、法科大学院が経営難に陥ると考えているからだろう。

 法科大学院の経営難と、国民の皆様の利益と比較して、どちらが大事か、小学生でも解る問題だ。
 その点で、あっさり道を誤り、法科大学院制度維持に固執する学者のセンセイ方を、私は信用しない。