日弁連会長談話の矛盾

本年3月28日に、日弁連の荒会長は、

若手会員への支援の充実・法曹志望者増に向けての会長談話~「法曹人口政策に関する当面の対処方針」取りまとめを踏まえて~

を公表した。

「法曹人口政策に関する当面の対処方針」については、これまで指摘したように、まず結論ありきで作成されていたとしか考えられない。

法科大学院としては、司法試験合格者が減少すれば制度自体を維持できなくなるから、司法試験合格者数は何としても維持して欲しいのだ。

日弁連の描きたい結論は、司法試験合格者を減らす必要などないという意見だ。

この意見は、日弁連執行部が法科大学院とべったり結託しているから、端的に言えば法科大学院の利益を代弁したものである。

しかし、このブログで何度も指摘しているように、法科大学院制度は導入から20年近く経ってもいまだに、その制度の改変を続け、ついには法科大学院での教育半ばで司法試験を受験させるという、「プロセスによる教育という大看板」すら放棄するような内容の制度を導入するに至っている。

また、法科大学院の教育内容の充実が制度導入からずっと叫ばれ続けている。

一般の会社で考えれば、こんな感じだろう。

ある取締役(法科大学院制度導入論者)が、こういう機械(法科大学院制度)を導入して製造(教育)すれば、これまで以上に優秀な製品(法曹)をたくさん生産できると豪語したので、費用(税金)を投入して導入した機械が、その取締役の豪語するような性能も発揮できず機能不全を起こし、機械の半数以上が壊れた(潰れた法科大学院は半数以上)状態になっている。しかもその取締役、20年近く経ってこれだけの惨状が明らかになっているにも関わらず、機械が上手く動けば上手く行くはずだと言って、機械をあれこれいじるだけで何ら結果を出せていない。

まあ、普通の会社なら、その取締役がクビになるのは当然だわな。更にすすんで取締役の業務に関する任務懈怠責任を、会社(国民)から問われても仕方がないだろう。

 ところが、日弁連執行部は法科大学院推進に同調して協力したため、今さら間違っていたとはいえないのだろう。だから、無理をしてでも、会内の相当数の反対を押し切ってでも、法科大学院をアシストすべく、司法試験合格者を減らす必要はないとの意見書を出したのだ。

 要するに、私から見れば、日弁連執行部は、なんの具体的根拠もなく適当な根拠を並べ立てて弁護士の法的需要はあると断言しているのだ。

 (裁判所に持ち込まれる全事件の数は年々減り続けているのに)仮に日弁連がいうとおり、世間には法的需要が有り余っており、弁護士の仕事もたくさんあるのなら、その仕事で食っていけるはずだから、わざわざ会費を支出して若手の支援をする必要などないはずなのだ。

 法的な需要があると言いながら、若手支援に注力するという態度は、完全に矛盾していると私は思う。

 会費を払わず(払えず?)退会命令を受ける会員もいる昨今である。

 会費の無駄使いは会員全員に対する裏切り行為だろう。

 現に私が弁護士になった20年以上前では、若手の支援など誰も言っていなかった。むしろ正月やGWなどに若手が多く当番弁護士を割り当てられたりしていた記憶があるくらいだ。

 もういい加減、日弁連執行部は現実を見ないとダメだ。

 「弁護士であれば、かすみを食ってでも生活できる(んじゃないかな??)」という幻想は今すぐ捨ててもらいたい。

 

一枚の写真から~59

NZ南島で

NZは、あまり鉄道網が整備されていないが、鉄道も、あるにはある。

踏切も、たいてい、遮断機や警報器がない場合が多かった記憶がある。

道路の先にONE LANEと書いてあるのは、その先の橋が一車線しかないという表示。

もちろん信号もないことが普通なので、対向車の有無を確認してから渡ることになる。

一枚の写真から~57

あるホテルにて~部屋の鍵と(バラが生けられていた)一輪挿し。

現在はカードキーになっているが、かつてこのホテルでは、写真のように金属製の鍵がキーホルダーに付けられて宿泊客に手渡されていた。

不便で時代遅れかもしれないが、形ある普通の鍵の方が、様々な人々の人生を反映している、そんな気がする。

日弁連会長候補者と法テラス案件

 日弁連会長選挙公聴会(九州地域)で、候補者に対して、いくつかの質問と一緒に法テラス案件を何件やっていますかという質問がなされていた。

 ご存じのとおり、法テラス案件は報酬が極めて低く設定されており、経営者弁護士にとっては、手を抜かない限りほぼ確実に赤字案件である。

 これに対して医師の健康保険治療はそれで十分生活できるだけの収入が認められているようであり、むしろ医師の世界では保険適用の治療ができなくなると死活問題であるとも聞く。

 ところが、弁護士の場合はそうではない。私の経験から言って、法テラスからの弁護士報酬だけで事務所を経営することは、ほぼ不可能である。

 しかし、今回のコロナ渦のなか、日弁連は、現在経済的弱者に限定されている法テラス利用を、経済的弱者以外にも拡大すべきという提案をしたかとかしなかったとかで、問題視されていた。

 要するに、その提案は、普通に弁護士費用を支払える人に対しても、法テラス基準の安い弁護士費用でサービス提供せよと日弁連が強いるに等しいものである。

簡単に言えば、
日弁連「コロナ渦なので、経済的に困っていなくても半額以下で弁護士を使えるようにしたいと思います~!」
一般人「お~、有り難い。さすがは、日弁連、やるね~。」
日弁連「もちろんです。日弁連は皆様の味方です!」

弁護士「で、誰がその差額を負担するの?」
日弁連「お前らの自腹にきまっとるやろ!!」

という感じだ。

 歯に衣着せずに言わせてもらえば、これまでの日弁連執行部主流派というものは、弁護士過疎解消!弱者救済!等という、かっこいい掛け声は大好きだが、たいてい若手や現場の弁護士等の犠牲の下に、その政策を実現させようとすることが多いように感じる。

 話がだいぶ飛んでしまったが、日弁連会長候補に話を戻す。

 法テラス案件を何件やっているかとの質問だった。

 法テラス案件をやった経験がないのであれば、法テラス案件の酷さが分かるはずがないので、私としては、法テラス案件でひどい目に遭わされた、現実を知る方に会長になって頂き、法テラスとしっかり戦って欲しいと思っている。

 それゆえ、この質問の回答には興味があった。

 及川候補はここ5年で100件くらいと明確に答えた。
 ~及川候補は確か単独事務所だから、選挙活動もしながら5年で100件もの法テラス案件をこなすとは、凄いとしか言いようがない。法テラスの酷さも十分お分かりなのだろう。

 小林候補は法テラススタッフ弁護士育成をやっていたので、共同受任で60件程と答えた。
 ~共同受任を60件と言われても、養成のためであり、自ら積極的に法テラスを利用したわけではないのだろう。自ら単独で何件も法テラス利用をしていれば、そちらの方がアピールしやすいから、当然その件数も答えたと思われるからだ。おそらく質問者は、候補者単独でどれだけ法テラス案件を処理したかを聞いているはずだから、「自分で処理した法テラス案件はゼロですが、育成のために共同で60件ほど関与しました」、というのが質問者の問に対する正確な答えであるべきだ。

 高中候補は、時間の関係で割愛しますと述べて質問に直接答えなかった
 ~おそらく高中候補は、法テラス案件をご自身で処理した経験がない可能性が高い。なぜなら、「○○件です」と答えた方が「時間の関係で割愛します」と答えるようりも短く答えられるからだ。とはいえ、正直な方なので嘘の経験もいえず逃げた答えになったのだろう。高中候補の顧客層は、法テラスなど必要のない方ばかりなのかもしれない。

 その人と同じ経験をしなければ本当の痛みは分からない。
 本当の痛みが分からないのであれば、その痛みに対する対処方法も真剣になれないことが多いだろう。

 そろそろ、法テラスに対しても、しっかりものを言ってくれる人が日弁連会長になってもいいような気もするね。

日弁連会長選挙公聴会をちょっと覗いて見た

 新型コロナウイルスが猛威をふるっている昨今であるが、日弁連会長選挙は進行中である。
 通常であれば、各地(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国四国・九州)で公聴会が開かれ、候補者の声をじかに聞けるものなのだが、今回はコロナウイルスの影響もあってか、インターネット経由のリモートで開催されているようだ。

 上記の日弁連会長選挙公聴会は、弁護士なら日弁連の会員専用サイトで視聴することができ、現在(2022.01.28)、東北・北海道・中部・近畿・九州を対象とする公聴会について公開されている。

 近畿公聴会の質問の中で、私がブログで何度も、その内容が欺瞞と過ちに満ちていると指摘している日弁連法曹人口検証本部取りまとめ案に賛成するかとの質問があった。

 及川候補は、弁護士の需要は拡大していないこと、単位会の相当数の反対があること、検証本部の人選の偏り、架空の需要可能性を前提に結論を出している等から、取りまとめ案に反対する意向を明確にした。

 小林候補・高中候補は、取りまとめ案に賛成している内容の回答だった。
 まあ、日弁連主流派の流れを汲む両候補からすれば、反対などと言ったりしたら、たちまちのうちに主流派内での支持を失って、「はい、消えた!」となってしまうだろうから、口が裂けても反対できないのだろう。しかし、この取りまとめ案に賛成するということは、私が指摘したように判断根拠等に虚偽の内容が満ちている偏向した内容の取りまとめ案について、取りまとめ案に相当数の単位会が反対している事実を無視してゴリ押しすることに繋がるから、まあどちらが会長になっても今までの日弁連とおんなじやり方を踏襲するだろうということだ。
 高い会費を取っておきながら、日弁連は弁護士のための組織ではないのか、日弁連に会員の意見が反映されていないではないかという、弁護士に広がっていると思われる潜在的不満に対して、何ら意を払わない可能性があるだろう。

 さらに、法曹志願者の激減について、弁護士の経済的基盤が崩壊しているからではないのかという質問に対して、

 及川候補からは、弁護士業だって仕事であり、弁護士業で生計を立てていく必要があること、日弁連は20年以上前から業務拡大に取り組んできたが、成果が上がっていないこと等の問題点を指摘し、司法試験合格者を減員すべきだと主張している(誤解なきよう申し上げるが、司法試験合格者を現状の1500人前後から1000人前後に減少しても弁護士数は増加し続ける)。

 小林候補は、弁護士にも経済的基盤は大事であることは認めているが、魅力をアピールして志願者を増やせばいいとの回答だった。

 高中候補は、法曹の魅力(得に女性、中高生)を幅広く発信すればいいし、経済的基盤については活動領域の拡大をすれば良いとの回答だった。

 この点については、及川候補だけが正しい現状認識を踏まえた返答をしていると感じている。
 おそらく小林候補も高中候補も、本心では弁護士全体として見た場合、業務の拡大を大幅に上回る弁護士数増加の影響で、多くの弁護士の業務基盤が傷んでいることは理解しているはずだと思う。税務統計等からも弁護士業の収入の凋落ぶりは、相当程度明らかになっているのだから、仮に本当に、多くの弁護士が潤っていると考えているのなら、現状把握能力が全くない、「頭の中がタンポポ畑のお人」と考えざるを得ないからだ。
 しかし、両候補とも、その事実を認めるとこれまで日弁連を牛耳ってきた主流派方針が誤りだったということに繋がるため、やはり、認めるとはいえないのだ

 及川候補の言うとおり、日弁連は私が弁護士になった頃には既に、業務拡大の必要があるから、その努力をしていると言い続けてきたし、そこそこの会費を投入してきたはずである。しかし実際には、業務拡大どころか、司法書士の簡易裁判所代理権が認められてしまうなど、他士業からの浸食を抑制できていない。そればかりか、消費者系弁護士が勝ち取った過払金判決によって過払金バブルが生じたことから、問題を先送りしてしまい、結果的に弁護士数の増大に見合った弁護士業務の拡大ができていないと評価せざるを得ない。

 小林候補も、高中候補も弁護士業の魅力のアピールで法曹志願者が回復すると主張するが、既に日弁連は法科大学院と組んで弁護士業のアピールを相当の会費を突っ込んで何度も実施してきている。
 その上で、なお、司法試験受験者は減少し続けている傾向にあるのだ。

 いくらやりがいがあっても、仕事は生活の糧を稼ぐ手段でもある。食べられないのなら、その仕事を継続することはできない。

 中高生だってその事実は知っているし、だからこそ、現時点で唯一資格で食っていける可能性が高い医師、つまり医学部がどんどん難化しているにもかかわらず、人気がより高まりつつあるのだ。

 大学生は自分の進路についてシビアに考える。本当に魅力があって、生活ができる仕事なら、どれだけ難関であっても、志願者は集まる。かつて法曹資格がプラチナ資格と言われていた旧司法試験時代は、合格率数%であっても、志願者は増え続けていたのである。

 かつては合格率数%であった司法試験の昨年の合格率は40%を超えた
 しかも、受験生平均点よりも約40点も低い点数で合格できる試験になっているのだ。

 これだけ合格しやすくなっても志願者が増加しないのは、端的に言えば、資格に魅力がないからである。そして、弁護士業が仕事として大きく変貌したわけでもないのに、その魅力が減少した根源の問題は、及川候補が主張し、小林候補も少しだけ触れているが経済的基盤が崩壊している点にあると分析するのが、最も合理的だ。

 

 そろそろ、建前ではなく、本音で弁護士のことを考えてくれる日弁連会長が生まれてくれると嬉しいのだが。

投資詐欺の相談

 これまで何件か、投資詐欺に引っかかってしまった方の相談に応じたことがある。

 最初に申し上げておくが、投資詐欺であることが発覚した後、投資金額を回収できることは希であると思った方が良い。投資詐欺であることが早めに発覚した場合には、まだ回収可能性がある方だ(私も回収できた経験はある)が、通常は相当困難である。

 まず相手の居場所が分からないことが多いし、仮に分かって民事裁判を提起して、勝訴判決を得ても、相手がすっからかんであれば、強制執行しても結局回収できない。投資詐欺が判明する頃には、詐欺犯も資金繰りに行き詰まっていることが多いから、なおさら回収は困難を極めるのである。

 したがって、投資詐欺に引っかからないことがまず大事なのだ。

 元本保証、年間投資金額の10%以上のリターンが確実にある等との美味しい話を言葉巧みに告げられ、大丈夫と思って投資したつもりが、詐欺だったりするのだ。投資先は不動産だったり、聞いたこともないような名前の暗号資産が公開前だから安く手に入る、公開されれば数十倍になるとの話だったりする。

 さらには、友人から毎月の配当金が支払われるからと強く誘われて、少額を投資したところ、確かに1~2度配当金が支払われたので、信用できると思ってさらに高額の投資を行い、大損してしまった例もある。もちろん友人との仲もそれで終わったそうだ。

 冷静になって考えて頂ければお分かりのとおり、元本保証で年間10%以上のリターンのある投資案件がもしあるのなら、投資の募集をしている会社や人が、金融機関から安い金利でお金を借りて投資すれば良いだけの話しなのである。

 現時点での日本政策金融公庫中小企業への貸付金利は、貸付期間5年以内で1.06%~0.30%なのだから、本当に元本保証で投資金額の10%以上のリターンがあるのなら、日本政策金融公庫から借りて投資しても、元本が保証された上で、約9%以上のリターンが安全に手に入ることになる。

 敢えて、てまひまかけて他人から投資を募る必要などないのである。

 だから、まず元本保証で高利率の投資話(10%以上の高配当は嘘くさいので、3~5%の場合もある)があったら、99.99%は詐欺だと思った方が良い。

 しかし、友人が、自分も儲けたので、あなたにだけ秘密に教えるからなどと言われた際には、心が大きく動くこともあるだろう。
 そして、心が動いているときに、難しい内容の契約書を見せられて説明されると、なんだか良く分からないけど難しそうな内容だから大丈夫なんじゃないかと自分を鼓舞して契約してしまった人もいたりする。

 
 そのような契約を求められた場合、契約書を受け取っても、「これは大事なことだから良く考えてから契約するかを決めます」などと言って、まず即断しないこと、これが一番である。

 次に、契約書を弁護士に見てもらう事である。

 私がこれまで見てきた投資詐欺の案件では、7割以上の案件において、契約書に不備な点や妙な記載があったりした。おそらくインターネットなどで流れている契約書のひな形を流用しながら作成されたものだと思われるが、詐欺犯にも法律知識に乏しい者もいて、そのような変な記載内容になっていたものと思われる。

 契約書の記載を、この記載はこういう意味ですからと説明し、おかしな点を指摘すると、「そういう意味だったんですか!確かにおかしいですね!」と納得される方もそこそこいた。

 さらに言えば、不特定多数の者に対して、元本保証を謳って出資を募っているのであれば出資法違反の可能性もあり、違反者には懲役までありうるのだ。

 仮に契約書に妙な点がなくても、ものの道理の分かった弁護士なら、そのような投資話がほぼ100%詐欺であるからやめるよう忠告してくれるはずだ。

 弁護士への法律相談では大体30分5000円くらい(税別)かかるが、その後で、何百万~何千万も損してしまう危険を避けることを思えば、安い費用である。

 仮に、投資詐欺にかかったかもしれないと思ったら、とにかく早く弁護士に相談することだ。
 前述したとおり、主犯者の資金繰りが悪くなってから投資詐欺が発覚する場合が多く、その場合は被害者も多数生じている上、詐欺犯の手持ち資金も尽きかけているから、相談が遅れれば遅れるだけ、投資金の回収可能性は減っていくと考えた方が良いからだ。

弁護士業務実態報告書2020から~6

非経営者弁護士の給与体系
(経営者でない弁護士はどんな形式で、ボスから報酬をもらっているのか?)

☆全体の傾向


・毎月一定額の給与・報酬を受け取っている   83.5%
・毎月一定額の給与・報酬を受け取っていない   16.2%
・無回答                    0.2%

※毎月一定額の報酬を得ている経営者でない弁護士の割合は、2010年調査時の78.9%から微増している。


→経営者でない弁護士の2割が定期的な報酬を得られていない。

 おそらく自己事件を受任して処理することで収入を得ているか、事務所から処理を指示される事件を処理してその報酬の何割かを自らの収入にしているものと考えられるが、いずれも安定した収入とは言い難いであろう。

 経営者でない弁護士の自己事件の受任が可能なのかについては、おってアンケート結果を報告する予定である。

☆地域別の傾向

※概ね全体と同様の傾向にあるが、高裁不所在地では、毎月一定額の報酬を得ている経営者で内弁腰の割合は88.4%である。

→田舎の方が、毎月一定額の報酬を払う傾向が強い。

☆期別の傾向

※経営に携わらない66期以降の弁護士のうち、9割以上は、毎月一定額の報酬を受領している。これに対し、65期以前の弁護士は弁護士経験が長くなるにしたがって、一定額の報酬を受けている割合が減少する。
→これは期を重ねることにより自己事件が増加し、また事務所としても事務所を利用して自己事件を行う以上、さらに給与を支払う必要性を感じないためではないかと思われる(私見)。

☆性別による傾向

特に男女差によって、有意な差は見られないとのアンケート結果が出ている。

令和2年司法試験の採点実感~公法系第2問から

 公法系第1問(憲法)でも相当恐ろしい答案が続出していたようだが、公法系第2問(行政法)は、なお恐ろしい答案が続出していたようであるのでいくつか引用する。

・法律や判例等に関する知識以前の基本的な用語について理解していない答案,不作為の違法確認訴訟の本案審理の内容が何かを理解していない答案,政省令を裁量基準(法的拘束力を有しない裁量基準)と誤解している答案,運用指針が法令であると誤解している答案などが多く見られた。これらは,司法試験を受験する上で最低限理解しておくべき行政法の常識的な知識ともいうべきものである。

・例年のことではあるが,問題文中に書かれている指示に従って一つ一つ議論を積み重ねることのできた答案は極めて少なかった。このことは,型どおりの解答はできるが,それ以上に問題に即した事案を分析することを苦手とし,問われたことに柔軟に対応する力が欠けている受験生が多いことを示しているのではないかと考えられた。

・問題文や会議録には解答のヒントや誘導が盛り込まれており,これらを丁寧に読むことは,解答の必要条件である。それにもかかわらず,問題文の事実や指示を読んでいないか,あるいは事案等を正確に理解せず,問題文が何を要求しているかについての論理的な理解が甘いまま解答しているのではないかと思われる答案が多く見られた。問題文をきちんと読んで,何を論じ,解答すべきかを把握した上で答案を作成することは,試験対策ということを超えて法律家としての必須の素質でもあることを認識してほしい。

・自己が採る結論をなぜ導けるのかということを説得的に記載することが最も大切であるのに,問題文中の事実を指摘しただけで,さしたる根拠も論理もなく突如として結論が現れる答案が多く見られた。

・本年度は,解答が終了していないいわゆる途中答案がかなり見られ,特に,設問2については,ほとんど解答がされていないものや,全く解答がないものが少なくなかった。

・処分性の判定に当たり,公権力性の有無に一切言及しない,また,公権力性の有無について係争行為を行った主体が「国又は公共団体」であるか否かで判断するなど,基本概念の理解ないし用法が十分ではない答案が多かった。

・少なくとも主要な判例について,その内容を正確に理解することは行政法の学習においては重要であり,基本的な学習が不十分ではないかと考えられる。

・成熟性についてはそもそも論点として検討すること自体していない答案が多く,問題文を読んでいるのか疑問があった。

・条文を引用し,問題文の事案を丁寧に拾って要件への当てはめをするという形式的なことができていない答案が多かった。

・会議録にある「本件農地についての別の処分を申請して,その拒否処分に対して取消訴訟を提起する」という会話文中の「別の処分」が何なのかを考えずにそのまま書き写しているだけの答案や,同じく(中略)会話文を書き写し,法令のどの要件との関係が問題になるかを示すことなく,「したがって考慮不尽に当たる」といった結論めいたことを書いている答案など,会話文が持つ法的含意を余り考えない安易な答案も数多くあった。

・多くの答案が裁量権濫用の問題として捉えており,このために判断のポイントを十分に押さえきれていない論述となっていた。条文をよく読んだ上で論理的に考えれば,裁量権濫用の問題でないことは分かるはずであり,問題の論理的構造を把握する能力が不足していると言わざるを得ない。

さらに採点実感は次のような内容を法科大学院教育に要望している(一部抜粋)。

・ 単に判例の知識を詰め込むような知識偏重の教育は必要ないであろうが,主要な判例については,当該判例の内容や射程についての理解を正確に身に付けることは重要と思われる。


・ 実体的な違法性の検討においては,多くの答案は裁量論に(のみ)重点を置いており,多くの受験生にとっては,個別法に沿った解釈論を組み立てる能力の涵養について,手薄となっているように思われる。(中略)法科大学院においては,このような分野についてもトレーニングが行われる必要があると考えられる。

・ 法科大学院には,基礎知識をおろそかにしない教育,事実を規範に丁寧に当てはめ,それを的確に表現する能力を養う教育を期待したい。

・ これまでも繰り返し言われていることだろうが,行政法の基本的な概念・仕組みと重要な最高裁判例の内容・射程を確実に理解した上で,それらの知識を前提にして,事例問題の演習を行うことが求められるように思われる。事例問題の演習においては,条文をきちんと読み,問題文の中から関係する事実を拾い出して,それを条文に当てはめたり法的に評価したりする作業を丁寧に行うことなどを意識すべきだろう。

・ 法曹実務家は現実の紛争解決に有効な法理論を身に付けることが求められる。(中略)そのためには基本的な法理論を土台ないし根本から深く理解することが重要であり,「応用力」というのはその発現形態にすぎない。すなわち法理の基本に立ち返って深く掘り下げることができるような思考力を涵養することが,真の応用力を身に付ける早道と思うので,そのような観点からの教育を期待したい。

・ 今回の答案の全体的な傾向は,法律家としての思考が表現されている答案が少なかったことにあるように思う。生の事実をただ拾うのではなく,それが法的にどのような意味を持つのか,どの法令のどの文言との関係で問題となるのかなどについて,考え,表現する癖を付ける教育が望まれる。

・ 設問への解答において行政裁量を論じる必要があるか否かをよく考えずに裁量の有無,裁量の逸脱・濫用を検討する答案が目立った。本案における行政処分の適法性の検討においては事案のいかんを問わずとにかく行政裁量を論じれば良いと考えているのではないかと疑われる答案が,全体としては優秀な答案の中にも少なからず見られ,事案を具体的に検討することなく,裁量の有無,裁量の逸脱・濫用に関する一般論の展開に終始する答案も少なくないなど,行政裁量の問題が飽くまでも法律解釈の問題の一部であるという基本的な事柄が理解されていないと実感した。行政裁量に関する基本的な学習に問題があることが,このような設問によって逆に明らかになったように思われるが,これまでの行政法総論の学習,教育の在り方全体を見直す必要があるのではないかという気がした。

水を飲む犬と猫

 注意してご覧になった方はお気づきだと思うが、犬と猫では水の飲み方が全く違う。私の印象だが、犬は、ジャブジャブ音を立て、水しぶきを飛ばしながら水を飲むが、猫は、水面をチロチロとなめるように飲む。

 アメリカの大学の研究者が、猫の水の飲み方を超高速カメラで撮影し、その秘密を明らかにしたそうだ。

 報道によると、猫は丸めた舌先の裏側を飲み物の表面に軽く触れさせた後、素早く引き上げる。すると舌の裏側に張り付いた水が持ち上げられ、小さな水柱となる。猫は、この瞬間に口を閉じて飲んでいたのだそうだ。

 
 一方、犬は舌を飲み物の中に突き刺し、コップのように丸めて直接すくい上げるようにして飲んでいるとのことである。

 一度ナショナル・ジオグラフィックTVで犬の水飲みを高速度撮影した映像を見たことがあるが、そのときの私の記憶では、犬は、水に舌を突き刺し、舌を裏側に丸めるように水をすくい、口に運んでいた。私は、犬の舌は表側に丸まって水をすくって口に運ぶと勝手に思い込んでいたので、犬の舌が裏側に丸まって水をすくっているとは思いもよらなかった。

 いずれも、舌の裏側を上手に利用した飲み方であるが、こんな身近なことが、明らかになっていなかったことも、また驚きである。