どこまでお人好しなんだ大阪弁護士会は!

 本日の常議員会で、執行部から、自主法律援助事業として成年後見申立法律援助事業の新設が提案された。

 成年後見開始の申立てについて、資力の少ない人が自分で弁護士に頼んで家庭裁判所に成年後見の申し立てをしようとしても、法テラスは弁護士費用について立替の援助をしてくれない。
 民法第7条によれば、本人による成年後見開始の申立ては認められているにも関わらず、法テラスは資力の少ない人に対する立替援助を拒んでいるのだ。

 そもそも資力の低い人が法的サービスを受けられるための目的で法テラスは設立されたはずだ。

 法テラスHPの理事長挨拶にも、次のような記載がある。
「・・・法テラスは、国民の皆様が、あまねく全国において、法的なトラブルの解決に必要な情報やサービスの提供を受けられる社会の実現を目指して、平成18年に設立され、本年4月で20周年を迎えます。・・・人々が直面する法的なトラブルが多様化するなか、法的な支援にたどりつくことが難しい方、経済的困難を抱え、法的解決のための費用負担が困難な方が多数いらっしゃいます。法テラスは、このような方々の権利擁護のため、基幹業務を着実に実施するとともに、チャットボットによる情報提供、多言語情報提供サービスなどの利便性向上に取り組んできました。また、自治体や福祉機関そのほかの関係機関との連携を強化し、アウトリーチによる支援やワンストップ相談会などの総合的解決を積極的に進めようともしています。」

 それにも関わらず、法テラスは、法律で認められている本人による成年後見開始申立てについて、資力の少ない人に対して、弁護士費用立替援助を拒んでいるのだ。法テラスの目的からすれば、当然立替援助して然るべき事案だと思われるにもかかわらず法テラスは支援しない。

 大阪弁護士会の全員が金のなる木を持っていて、大阪弁護士会もお金が余ってしょうがないという状態なら人権保障にも役立つから、ボランティアとして自腹を切る手段も考慮に値するかもしれない。
 しかし、訴訟件数は増加せず、弁護士の激増も止まっていない。

 さらに弁護士会館の耐用年数を過ぎたエアコンを、分割してでないと交換できないほど余裕のない財政の中で自腹を切るのは、いくら人権保障に役立つからといっても、理想だけを追い求めて自分の足下を見失っているアホではないか。

 ボランティアは通常、自らの生活が安泰であるうえで、余裕の範囲で行う行為だ。他人を救おうとええカッコして、自分が倒れたら意味はない。

 無理を承知で強引にお医者さんに例えて言うなら、残念ながら私は遺伝の影響でハゲてきているが、その治療をしたくても健康保険は使えない。このように、健康保険制度で国は援助しないとしている症状について、その症状を治療した方がその人のためになるはずだといって、医師や医師会、医師の団体が自腹を切って治療費を負担してくれようとするだろうか?

 そんな事例、見たことも聞いたこともないぞ。

 再度言うが、お人好しにも程がある。

 いまの弁護士業界に、そこまでの、有り余る余裕はないと思うぞ。

ある日の帰り道で(出町柳駅周辺)

「弁護士会の大先輩を優遇しなさい!」といわれても・・

 先輩を優遇しろ!というと、どこの体育会系のクラブやねん!、場合によったらハラスメントちゃうか?、と思われるかもしれないが、実は、大阪弁護士会、日弁連においては現在、大先輩優遇措置がある。

 大阪弁護士会には次のような規則が定められている。

(規則引用ここから)
大阪弁護士会顕彰規則(規則第十五号)

    昭和三九・ 四・ 一 施行
改正  昭和五二・ 四  平成一〇・ 三
    平成一三・一〇  平成一四・ 三
    平成二一・ 二  令和 四・ 三

(引用ここまで)

 
 第1条は、法曹(裁判官・弁護士・検察官)経験40年以上かつ大阪弁護士会で20年以上会員であった方を表彰する。
 第2条は、法曹であった期間が通算して50年以上または年齢77歳以上かつ大阪弁護士会で20年以上会員であった方を優遇する。
 第3条は、表彰については記念品を出す。優遇については弁護士会費を免除する。
というものである。

 要するに、大先輩を表彰する、大先輩を弁護士会費免除で優遇する、という定めなのだ。

 昔は弁護士会費も馬鹿高かったから高齢では支払いが大変だろうという配慮や、弁護士であれば食っていけた牧歌的な時代だったので、まあいいか、とスルーされて約60年以上前から現在まで生き残ってきた規則なのだろう。(どうやら本規則制定前にも、似たような先輩優遇規定があったようである。)

 しかし、真偽の程は確認していないが、この間、小耳にはさんだ話によると、大阪弁護士会も高齢化が進んでおり、この大先輩優遇規程により、年間約8000万円もの弁護士会費が徴収できなくなっているとのことだった。
 


 もう仕事はできないが、弁護士として死にたいという方も多いし、私も司法試験合格には相当苦労したので、そのお気持ちは痛いほど分かるつもりである。

 

 しかし、弁護士自治の下で弁護士として仕事をする以上は、弁護士会を維持しなくてはならないし、弁護士会の維持のためには何よりもお金が必要である。弁護士会費は、滞納が続くと退会命令でバッジが飛ばされる危険性も極めて高く、収益がなくとも死に物狂いで支払わねばならないという、弁護士に課された重いくびきである。

 仮に、私の聞いた情報が事実ならば、本来弁護士会の維持発展に使えるべきお金が毎年約8000万円も、大先輩達を優遇するために、失われている(徴収できないでいる)ことになる。(もし正確な情報をお持ちの方がいらっしゃれば、ご教示下さい。)

 今は、裁判件数の大幅減少、弁護士激増もあり、弁護士であればそれなりの生活ができたような時代ではない。弁護士の平均所得減少傾向も止まっていないようだ。

 国政レベルでも現行世代の負担を将来世代に残すべきではないとの主張がなされている。それに加えて、弁護士界は前述のように受難の時代なのである。
 大先輩達も、弁護士会維持・後輩達のために、現在享受されているサービスの対価を、そろそろ負担してくれても良いのではなかろうか。

なお、日弁連にも以下のように大先輩優遇規程は存在する。

日弁連における、大先輩優遇会則に基づく、会費未徴収額もかなりの額に上るはずである。

これらの規程が、改訂できていないのは、執行部に年配者が多いこと、執行部(特に会長選挙等)に対して年輩の先生方が相当な影響力を保持されているであろうこと、執行部が弁護士会の現状の把握を怠り現状に応じた対応をしていないこと、等に起因する可能性は高そうである。

 そろそろ、真剣に現役世代の状況に応じた施策をとらないと、日弁連や大阪弁護士会が会員から見放される危険性も、絵空事ではなくなってくるようにも感じている昨今である。

京都本満寺の枝垂れ桜(2018年3月)

吉田神社節分祭~2026

 毎年のように、吉田神社の節分祭では、ご祈祷頂いた際の感想を記載しているが、今年も鈴鹿さんにご祈祷して頂ける幸運に恵まれた。

 吉田神社は、私の母校である京都大学のすぐ近くにあり、40年ほど前に授業をサボって友人の悩みを聞きながら散策したことも、今では良い思い出である。

 社務所のある吉田神社の本宮から、更に右手の道を上れば、大元宮に至る。
 普段は、中門からしか参拝できない大元宮なのだが、節分祭には特別に大元宮の本殿に上がらせて頂いて、ご祈祷して頂くことが出来る。

 吉田神社のHPの説明によれば、
 大元宮の御祭神は、天神地祇八百萬神 
     東神明社 天照皇大神
     西神明社 豊宇氣比売神
     東西諸神社 式内神3132座
であり、
 御神徳は、吉田神道の教義により宇宙軸を現す大元宮は、始まりの神(虚無大元尊神)を中心に祀り、そこから生まれ来る八百万の神々を祀る事で、全国の神々を祀る社として、様々な御神徳をお授け下さいます。
 とのことである。

 大元宮の中門鳥居をくぐって、左側の受付でご祈祷の申込を行う。
 申込が済めば、ストーブを置いた、ご祈祷の待合テントがあるのでそこでご祈祷が始まるのを待つのである。

 私は、受付で申込をしたあと、大元宮本殿を時計回りにまわって、待合テントへと歩いた。
 すると大元宮のちょうど真後ろあたりで、ご祈祷の声が聞こえてきた。いつも素晴らしいご祈祷をされる鈴鹿さんのお声だった。
 他所の方のためのご祈祷ながら、素晴らしいお声に、つい立ち止まって聞き入ってしまっていた。
 ふと横を見ると、大元宮に向かって両手を合わせ、目を閉じ、一心に祈りを捧げる女性の姿があった。朗々と響くご祈祷の声に心を動かされ、ご祈祷のお声と一緒に祈りを捧げてしまったのだろう。

 そのようなお力が、鈴鹿さんのご祈祷にはある。

 
 しばらくして、私のご祈祷の番がやってきた。幸運にも他のお客様はおらず、私の申込に対してだけにご祈祷して頂けることになった。

 鈴鹿さんのご指示に従い、いつも通りの素晴らしいご祈祷を受けていると、自分自身が次第に無になっていき、有り難いという思いがあふれてくるように感じられた。

 本来私の、後厄除け、災難除けのお願いでのご祈祷なのだから、私自身が「後厄を除けて下さい、今後1年間、災難からお守り下さい」と、鈴鹿さんのご祈祷と一緒に強く念じていくのが普通だろう。
 しかし、鈴鹿さんのご祈祷を聞いている間、私の俗念は、ご祈祷目的のお願いも含めて、すっかり消えてしまっているように感じたのである。

 上手く言えなくて申し訳ないのだが、私の願い全てをすっぽりと鈴鹿さんがすくい取って神に届けてくれている、私の俗念や願いは、鈴鹿さんが神に届けるようすくい取って下さったので、今の私自身の中から消えている、そのような状態であるかのように感じられた。

 そして、無とはいっても、私の心が空虚になっていくということではない。ご祈祷から、私の俗念が消えていき、有り難いという感謝のような暖かな想いに、心が染まっていくような感覚なのである。

 今年の吉田神社の節分祭は今日で終わりだが、来年も鈴鹿さんにご祈祷して頂けるよう、しっかり過ごさなくては、という気持ちで、私は大元宮を後にすることができた。

コロナ渦の頃の節分祭(2021年)

新年、明けましておめでとうございます。

 新年、明けましておめでとうございます。

 ウィン綜合法律事務所は、1月5日より通常の営業を開始致します。

 新しい年であるからといって、私個人が急に何か特別なことを行うわけではありませんが、従前通り誠実に業務を行っていくことを、改めて自分に言い聞かせるには、良い機会ではないかと考えております。

 これまでどおり、皆様方から御指導、ご鞭撻頂けると幸甚に存じます。

 今年一年が、皆様方にとって、幸多き一年になりますよう、祈念しております。

早朝の立山~室堂平

今年も1年間有り難うございました。

 ウィン総合法律事務所は、本日、12月26日で年内の業務を終了し、来年1月4日まで冬季休業をいただきます。

 振り返ってみれば、様々な事がございましたが、過ぎてしまえばあっという間の1年でもありました。

 今年、そしてこれまで、当事務所をご利用頂いた方々、御支援頂いた方々、全ての方々に厚く御礼申し上げます。

 頂いたご縁を大切に、事務所一同、今後も誠実に業務を行って行く所存です。

 最後になりましたが、皆様が穏やかで健やかな新年をお迎えされるよう、心より祈念しております。

 

NZテカポ湖と善き羊飼いの教会

女性弁護士ゼロワン地区がそんなに問題か?

 11月17日に、

 【全国の地方裁判所の支部管内に事務所を置く女性弁護士が0人か1人の地域(ゼロワン地域)が、今年4~8月時点で、全203支部のうち少なくとも38道府県の102支部あることが16日、共同通信の調査で分かった。】

との報道が、新聞・インターネットで一斉に報道された。

 上記報道について、雑駁な感想を述べる。

 上記の事実を報道するだけでなく、女性弁護士がいないと性被害やDV問題等の相談が出来ないかのような記事を書いている報道機関もあるようだが、私は必ずしもそうではないと思っている。
 確かに相談のしやすさについては、女性同士の方がしやすい面もあるかもしれないが、女性でないと話せない、分かってもらえない、というのであれば、女性が関係する事件については捜査機関・検察官・裁判官全て女性が担当しないとダメだということにもなりかねない。
 離婚事件についても、当事者の一方が女性であれば家庭裁判所の調停委員や裁判官にも女性を必ず入れなければならないことになりかねない。

 逆に、男性側から、男性でないと話せない、分かってもらえないという主張がされたら、それを全て実現しなくてはならないのか。


 いずれも現実的には不可能だし、男性を扱う場合は男性関係者のみ、女性を扱う場合は女性関係者のみというのであれば、逆に性差別を助長しかねない場面が増えると思われる。


 そもそも、弁護士46969人のうち女性は 9678人(20.6%)しかいない。
 司法試験は性差で差別することは一切していないから、弁護士5人に1人しか女性がいないということは、弁護士業が多くの女性に向いていない職業であるか、女性にあまり好まれる職業ではない可能性も高いのだ。

 そもそも、身体の患部を直接見せて診察されたり、検査・触診される医療現場においては、法律相談などの場面よりも女医・女性検査技師等の必要性が極めて高いであろうと想像される。
 しかし、私の知る限り、女医・女性医療検査技師のゼロ問題など聞いたこともない(実際に、「女医 ゼロ問題」 で検索したが、ヒットしなかった)。

 それにも関わらず、今回女性弁護士ゼロワン問題が多くの報道機関で一斉に報道されたということは、誰かの意向が働いているとみるのが一番素直である。

 

日弁連には男女共同参画推進本部があり、第4次基本計画には
 ④ 女性弁護士偏在の解消
 という項目が明記されている。

 弁護士以外の仕事をしている人が、敢えて女性弁護士偏在について物申すとは思えないので、今回の記事は日弁連男女共同参画推進本部の意向であった可能性も相当程度考えられる。

 ちなみに、上記基本計画には、
 ⑦ 性差別的な言動や取扱いの防止
という項目もあげられている。

 弁護士会が公表している社外役員候補者名簿には、男女混合名簿の外に敢えて女性候補者だけの名簿を作成し公表している単位会もある(大阪弁護士会もそうである)。これは、私から見れば性差別的取り扱いだと思われるが、日弁連の男女共同参画のページには女性弁護士候補者名簿へのリンクが堂々と張られていることからすれば、女性に有利な性差別は構わないということなのだろう。

 なお、今回の記事によると地裁の支部管内での女性弁護士ゼロワン地区を調査しているようであり、地裁の支部は県庁所在地から遠く離れた地域が殆どである。
 地裁支部管轄地域は、地域が広い割には人口が少ないなどの理由で弁護士業が成り立たない地域も多い。
 もし、本気で女性弁護士ゼロワン地区解消を目指すのであれば、そのような開業困難地域で女性弁護士に開業を強いることにもなりかねない。

 仮に今回の記事が、私の邪推どおりに日弁連の男女共同参画本部の意向だったとすれば、女性のために男女共同参画を目指す活動が、かえって開業困難地域において女性弁護士開業を強いることにつながりかねないという、皮肉な結果を招く可能性がありそうである。

吹雪の河童橋(写真は記事とは関係ありません。)

 森本会長、考え直して頂けませんか?! ~その2

 私が噛みついた、もう一つの執行部提案(正確には報告議案)は、次のような内容だった。

【人権擁護活動奨励賞】
 人権擁護活動を行う大阪弁護士会会員、大阪弁護士会会員が参加する団体に対して、大阪弁護士会が表章し支援することにより、当該人権擁護活動を社会に知らしめ、広範な人権活動を高揚させるとともに社会正義を実現することを目的とする。
 財源として事業戦略費(予算200万円)を用いるとのことだ。

 これまで、大阪弁護士会会員以外の人権活動について、大阪弁護士会は「大阪弁護士会人権賞」を制定して、表章と金一封・記念品の贈呈を行っている。

 それと同様の制度を作って、弁護士も表彰の対象にしようという制度だ。

 私としても「大阪弁護士会人権賞」の意義は分かるが、そもそも、20年以上実施しているものの世間にはあまり(殆ど)知られていないことから、目的である人権活動の高揚と社会正義の実現についての効果は明確ではないと感じており、費用対効果の観点からも、人権賞に関する会費支出についても、基本的には賛成ではない。

 さらに、弁護士に対してもそのような賞を設けて表彰しようというのが今回の森本会長の意向なのだが、私は真っ向から反対意見を述べた。

 理由は、既に人権保障活動をされている方は、人権保障の信念に基づいてその活動をされているのであり、そのような賞が創設されて弁護士会から表彰されようがされまいが、その活動に揺るぎはないと思われる。弁護士会が表彰してくれないなら人権保障活動を止めちまうぞ、というような功利的な人なら、そもそも人権保証活動に従事していないだろう。


 また、これまで人権保障活動をしてこなかった方が、このような賞が設けられたからといって、その賞を目当てに人権保障活動を突然やり出すという状況も考えにくい。何時表彰されるか(選んでもらえるか)分からない賞(しかも世間的に評価されるかさえも不明確な賞)を目当てに、基本的にはペイしない人権保障活動に注力するとは考えられないからである。

 だとすれば、こんな賞を設けても、多分現状は何ら変わらないのである。

 人権保障活動に従事しようという弁護士が増えるとも思えないし、社会正義の実現につながるとも思えないのである。

 法律でいうところの立法事実が見出せないのである。

 そればかりではない。
 事業戦略費を用いるというのも、引っかかるところである。

 事業戦略費は、その名前からすれば、大阪弁護士会が戦略的に事業を行う為の費用だと考えられる。事業戦略費を使うのであれば、非弁活動の取り締まり強化など、大阪弁護士会や会員に直接プラスになる見込みが高い事項に使うべきなのではないか。会長のやりたいことをやるために自由に使って良いお金なのか。

 また、他会でも似たような制度を実施しているというような資料も添付されていたように記憶しているが、他会を参考にするのなら、他会で徴収されていない国選・管財人・LACなどの負担金制度を止めるのが先じゃないのか。

 確かにこれまで、陽の光が当たりにくかった、人権保障活動に対して、努力されている方々の活動に光を当てたい、という森本会長の意図も分からなくはない。
 また、人権保障活動に尽力されてこられた方としては、表彰されれば評価されたということもあり嬉しいだろうということも否定はしない。

 ただ、そもそも大阪弁護士会は、人権保障活動に熱心に取り組んでいる委員会も多く、どの会員(団体)を選択するのかという点についても問題が生じかねない点を指摘する常議員の先生もいた。俺たちはA団体より絶対人権保障に関して頑張っているのに、どうしてA団体が表彰されて金一封もらい、俺たちには何もないのか、という思いを生じさせかねないということである。

 一応、自薦・他薦で応募する制度にはなっているが、選考委員会としても選考委員が良く知っている団体や会員を高く評価しがちになるだろうということは避けられないと思われる。

 私は、この制度を森本会長がどうしてもやりたいのなら、個人のポケットマネーでやるべきだと考えた。

 そうすれば、どの弁護士・団体が表彰されようと、会長の個人的な評価ということで済むので選考の問題もクリアできるし、会長のポケットマネーから金一封(事業戦略費200万円を、全額使いたいような説明だった)が支払われるのであれば、大阪弁護士会の会費の無駄遣いも避けられる。大阪弁護士会からの表彰であろうが、大阪弁護士会会長個人からの表彰であろうが、表彰された方が嬉しいのは、特に変わらないと思われる。そして、その表彰の結果、仮に人権保障活動の新たな展開がなくても、会長のポケットマネーなら弁護士会の財政にも影響しないので誰も文句は言わないだろう。

 

 実際、森本会長は、「確かに御指摘のとおり、選考の問題はあるが、私はやりたいと考えています。」という趣旨のお話しをしていたので、そんなに森本会長がやりたいなら、個人の負担ででやれば良いだけではないかと考え、反対意見に付け加えて、私は「そんなにやりたいのなら、会長のポケットマネーでやればいいじゃないですか。」と申し上げた。

 
 仮に会長のポケットマネーで始めて、この奨励賞の設置により人権保障活動が活発になることが分かったのなら、会費を使う正当性も出てくるだろう。

 私の意見に対して、別の常議員の先生から、「そういう問題じゃない」との反論もあったが、私はそういう問題だと思っている。

 弁護士会費は、支払わねば弁護士会から懲戒処分を受け、最後には退会させられるという弁護士にとって極めて重いくびきである。
 そうやって無慈悲に集めた会費を、使うのであれば、費用対効果も考えて会員にとってプラスになる可能性が高い使い方をするのが、会員の信任を受けた執行部の役目なのではないか。

 

 結局この案件は、報告案件として常議員会に上程されただけなので、私がどれだけ反対しようが、あくまでそれは意見ということで、森本会長の意向で実現されてしまう可能性が高い。

 さらに危険だと思うのは、森本会長が、この制度を次年度以降も恒常的に行うことを目指すと実施要領に記載していることである。
 次年度以降も事業戦略費から200万円(最大)が効果も分からない制度に、毎年毎年支出されるというのは、私から見れば納得できない。


 弁護士が全員それなりの余裕のある生活が出来ているのなら、構わないが、そのような状況にはないはずである。

 日弁連や弁護士会の執行部に入られる方々、特に会長職に就かれる方は、弁護士業でも成功しており(森本会長も大阪の超有名大手事務所のトップの方である。)、ご自身ないしご自身の事務所にいる弁護士を基準に、弁護士の状況を考えている可能性が高い。

 前々回(だったかな?)の日弁連会長選挙で、法テラスの弁護士報酬増額を目指すと候補者全てが述べていたが、実際に法テラス案件を自ら処理したことがあるのは及川先生(千葉)、お一人だけで、他3人は法テラス案件を自ら処理した経験がない人たちだった。


 経営がうまくいっている事務所の上層部だった日弁連会長候補者達は、人権保障・社会正義などといいながら、法テラス案件などやっていなかったのである。

 実際に法テラスの弁護士報酬の理不尽な低さを経験していない人たち、市井の弁護士の辛さを何ら理解していない人たちに、その改善に関して真剣に取り組めるとは思えない。

 森本会長、あなたの事務所の弁護士さんだけでなく、もう一度、市井の弁護士の実情をよく見て下さい。

 君子は豹変す、といいます。間違っていたなら正すことが出来るのが君子です。

 一度決めた制度であっても、本当に会費を出すだけの効果が見込めるのかをよく考えて頂き、勇気を持って考え直すべきではないかと、私は考えます。

(この項終わり)

ラトビアで見かけた柴犬(記事とは関係ありません)

森本会長、考え直して頂けませんか?!~その1

 先だって、8月5日の大阪弁護士会常議員会で、生活保護者破産管財事件予納金に関して、法テラスが出してくれない部分を、弁護士会が自腹を切って負担する制度が提案され、私は猛反対したが、採決の結果、賛成多数で可決された(若手の常議員の方は何名か反対して下さった)。

 この件に関して、X(元ツイッター)で呟いたところ、約19万回も表示され、コメントのほとんどが「信じられない」「全国に広まったら迷惑」などであり、賛成するコメントはなかったように思う。

 ちなみに、大阪弁護士会会館のエアコン交換に関連してだと思うが、常議員会資料では令和7年度予算において、会館積立金を17億円以上取り崩す予定になっている。その結果、今年の会館積立金(約4900万円)が入金されても、会館積立預金残高はわずか1950万円しか残らないことが予想されている。
 しかも、常議員会での執行部の報告によると、大林組の施工費見積もりが、大阪弁護士会の当初の見積もり予測よりも、はるかに高額になっているらしい。 
 そのため、17億円支出しても交換必要な状態にある会館エアコンの全てが交換できるかは微妙であり、場合によれば、エアコン交換用の特別会費を会員から徴収しないとエアコンが交換できない危険すら生じかねない状態だと私は考えている。

 このような状況では、どんなに額が低い支出でも、弁護士会費の無駄使いはするべきではない。

 大阪弁護士会館が機能しなくなれば、大阪弁護士会事務局ひいては大阪弁護士会自体も機能しないので、いくら生活保護者の人権保障に必要だといっても、大阪弁護士会の十全たる活動と比較すれば、どちらを優先すべきかは明白である。

 更に言えば、生活保護者の人権に役立つとしても、本来法テラス(国)が負担すべき費用を、法テラス(国)が出さないからといって、どうして弁護士会が自腹を切る形で負担しなければならないのか、全く理解が出来ない。

 確かに、弁護士の生活が国から完全に保障されていて、どんなにボランティアをしようが生活に苦しむおそれがないのであれば別かもしれない。しかし、弁護士は基本的には個人事業主であり、人間である。

 人間である以上、ボランティア活動の前に生活を立てなければならないし、家族も守らなくてはならない。

 しかも、司法改革の際にマスコミや法科大学院推進派の学者は、弁護士も資格に甘えず競争しろといっていたではないか。国民の皆様も特に反対せず、弁護士の激増が決められてしまったではないか。

 市場で競争しろということは、儲けられなければ市場から撤退しろということである。生き残るためには稼げということである。
 そのような社会に放り込まれた状況で、更に日弁連・大阪弁護士会も弁護士の激増に歯止めをかけようともしていない状況下で、いまさら、生活保護者の人権のために自腹を切れと言われても納得が出来るはずがないではないか。

 前回のブログにも書いたが、20年前に比べて、裁判件数は4割減、弁護士数は2.25倍に激増している。弁護士一人あたりの裁判件数は、20年前の約27%しかないのである(裁判所データブックからの計算)。弁護士の所得水準もずいぶん落ちている。
 実際の数値から、なぜ判断できないのか。

 確かに森本会長は、弁護士としては素晴らしい能力をお持ちだと伺っているし、弁護士としては尊敬している。


 しかし、弁護士の支払う弁護士会費で成り立っている弁護士会なのだから、弁護士会や弁護士会会長は、まず会員である弁護士を大事にする施策を考えるべきではないのか。

 一度決まったとしても、勇気を持って考え直すべきだと私は思う。

 

実は、この常議員会で、私は、もう一つの執行部提案にも噛みつくことになる。

(続く)

上高地の星空(山腹の灯りは、登山者のテントの灯り)

大阪弁護士会の大ピンチ?!

 大阪弁護士会の刑事当番弁護士制度が登録者が激減し、ピンチだとのことだ(PDFファイル参照)。メールでの通知の他に、レターケースにもお願いチラシが投函されている。

 当番弁護士制度は、各地の弁護士会が運営主体となり、毎日担当の当番を決め、被疑者等からの依頼により、被疑者の留置・勾留されている場所に弁護士が出向き、無料で、接見の上、相談に応じる制度です。
 同制度は、1990年、被疑者段階の国選弁護制度がない中で、被疑者国選弁護の充実化と被疑者国選弁護制度創設の足がかりとして、弁護士会が独自に始めました。初回の接見費用や外国人被疑者のための初回通訳費用などは、被疑者に負担を求めることなく、弁護士会が費用を負担して制度を運営しています。(日弁連HPより)

 まあ、要するに、逮捕されたら1回に限り無料で弁護士に来てもらって、今後どうなるか、どう対応すべきか、などについて教えてもらえる制度ということだ。

 逮捕された人で、法律知識の十分な人はほとんどいないから、確かに、人権保障には大いに役立つし、無料なので気兼ねなく依頼できる。

 国が、逮捕された人に、今後の対応や権利を説明するところまで人権保障しなくても良いと判断して手当てをしていない部分について、人権保障の観点から手当てするべきだと考えて、弁護士会が、自腹でやり始めた制度なのである。

 例えは悪いが、まあ、人権保障の使命感に駈られたタコが、自分の足を食べながら逮捕された人の人権を守ろうとしているような感じだ。

 もちろん、弁護士会としても、自分の足を食べているような状況だから、当番弁護を担当する弁護士に十分は報酬は与えられない

 当番弁護士を依頼する多くの人は、医療保険のように国が相当な(労力に見合った)お金を出していると勘違いしているが、当番弁護制度に国がお金を出してくれているわけではない。
 各弁護士会が、所属する弁護士から無慈悲に取り立てる弁護士会費と、労力に見合わないわずかな見返りでも人権保障に役立つのならやむを得ないと考える、担当弁護士のボランティア精神で成り立っている制度なのである。

 さて、大阪弁護士会は、ここ10年で878人も弁護士が増加した。
 それにも関わらず、当番弁護制度登録者が激減(3年間で500名減少)しているのだという。

 私の見たところだが、当番弁護制度登録者の激減は、大阪弁護士会会員のボランティア精神がどんどん減退したわけではないと考えている。
 ボランティア活動を行うだけの経済的、精神的余裕が失われている状況なのだろうと考えている。

 弁護士激増にもかかわらず日本の裁判件数は増加していない。全裁判所が新たに受理した事件数は、約20年前には610万件以上あったが、令和5年では357万件と4割減なのである。その間に弁護士数は約20,000人から約45,000人まで2.25倍に増加している。


 4割減って60%しかないパイを2.25倍の人数で奪い合えば、弁護士一人あたりの裁判件数は20年前に比べれば、3割未満しかないことになる。弁護士費用が3~4倍に値上げ出来るのならともかく、弁護士費用は私が弁護士になった四半世紀前からほとんど上がっていない。
 そりゃあ経済的に苦しくなるはずだろう。

 弁護士だって人間だ。人間である以上、自らの(家族の)生活が安定して維持できるかが最も重要な関心事であっておかしくない。他人の人権に配慮できるのは、その後だ。

 経済界やマスコミが、弁護士も競争しろと無責任に言い続け、弁護士の激増を招いてきた結果、弁護士の経済的土台を不安定にし、弁護士のボランティア精神に依存してきた人権活動に支障が出始めているということなのだろう。

 30年ほど前の、弁護士が普通に仕事をしていれば自分の生活にまだ余裕が持てた時代であればともかく、現在のような弁護士界の状況からすれば、いくら森本会長のお願いであっても、お願いレベルで今の窮状が直ちに回復するとは考えにくい。

 経済的に苦境に立つ弁護士が増えている中で、頑張ってボランティアをして下さいとお願いしても、ほとんど効果はないと思われるからだ。

今は参政党を叩くときではない

 参政党がTVや新聞等で専門家などから、選挙公約のことなどを突っ込まれ、批判されているようだ。この点について雑駁な感想を述べる。

 確かに参政党の選挙公約には詰め切れていない点もあるだろう。


 しかし、通常、選挙公約は細部まで詰め切った公約であるとは限らないし、その党や候補者の、当選後の活動方針の大綱と見るべきだろう。選挙公約作成時には、どれだけの候補者が当選するかも分からず、選挙後の政界の勢力分布も分からない状態だから、今後の目指すべき政治活動の方向性を打ち出すしかないからだ。

 そして、参政党に限らず、政党や政治家と有権者との関係で言えば、政党や政治家は公約に従った政治活動を行うことを約束して選挙に出て有権者に支持をお願いするのだから、選挙後において選挙時の公約に沿った政治活動を、その勢力に応じて、実際に、どこまで、どのように行ったかが、政党や政治家の評価基準となるべきだ。

 このように、今回の選挙公約を、今後の政治活動の中でどれだけ誠実に果たそうと努力するかという点を、政党や政治家に対する評価・判断基準とすべきであり、選挙直後の今は、参政党・参政党議員の国会での活動がどうなるか分からない段階なのだから、安易に参政党を叩くときではない。

 したがって、参政党の今回の選挙公約などが現時点で詰め切れていないものであるという点を参政党の欠点として批判すること、「極右政党」・「外国人嫌悪」とレッテル張りすること、このいずれもが、旧勢力からの参政党バッシングにすぎないと私は考えている

 参政党への評価は、今後の参政党の政治活動を見てから行うべきであり、選挙直後の今は、参政党を叩くときではない。

 ただ、選挙公約を明らかに守ろうとしない政党を叩くことは、なんらおかしなことではない。


 特に政権を保持する与党政党については、政権を保持しながら選挙公約を守らないというのであれば、当然批判に値するだろう。

 ちなみに2024年衆議院選挙での自民党の政権公約は、次のとおりだった。

(ここから)
何よりもまず、自民党への信頼を取り戻す。
そして、いま日本が置かれた現実にしっかりと向き合い、
確かな道を、確かな政策と実行力で歩んでいく。

納得と共感のもとで、安全と安心を支え抜く。
私たちが目指すのは、謙虚で誠実で温かい政治です。

透明性を高める徹底的な政治改革を。
経済成長を力に、物価の上昇を上回る所得向上を。
激動の世界を見据えた外交・安全保障、万全の災害対策を。
加速する人口減少へ抜本的な対策を。
地方の振興を加速させ、農林水産業を更なる成長産業へ。
そして、国民の皆様とともに憲法改正を。

日本を守る。成長を力に。
自民党は必ず変わります。
そして、総力で日本を守り抜き、新しい時代を創ります。

あなたの一票を、ぜひ自民党へお願いいたします。

自由民主党総裁 石破 茂
(ここまで)

 さて、上記の選挙公約をした自民党は、大敗したが、公明党との連立与党内閣で、この1年でどれだけ公約を守る努力をしてきたのか。

 企業献金・裏金の問題を含め、政治と金の問題は未だくすぶっており、透明性を高める政治改革は何ら実現されていない。
 物価高は進行し実質賃金は下がり、実質的所得向上は何ら実現出来ていない。
 外交・安全保障については、国際会議で、外国の元首が握手に来ても座ったまま対応するなど首相のマナーの悪さなどが目立つが、特筆すべき成果は見出せない。
 万全の災害対策もしかりだ。
 こども家庭庁に予算を出すものの、出生率が更に下がっており人口減少への抜本的対策が見えない。
 地方の振興と言われるが、東京一極集中は更に進行しているように感じられるし、農林水産業が発展した様子も、私には伺えない。

 ここまで公約を果たせないのなら、そりゃぁ大敗(頽廃・・笑)しちゃうでしょ。小説ではない現実世界で、綺麗事だけ言われても、実行できない絵空事なら、聞くだけ意味がない。

 やっぱり自民党は世代交代でもして生まれ変わらないと、ダメなんじゃないだろうか・・・。


 

夏空