原発関連

 知人の方から教えて頂きました。

2011.07.27国の原発対応に満身の怒り-児玉龍彦

2011年7月27日(水)衆議院厚生労働委員会
「放射線の健康への影響」参考人説明より
児玉龍彦(参考人 東京大学先端科学技術研究センター教授 東京大学アイソトープ総合センター長)

 学者の方にも、誠実な方がいらっしゃるんだ。

 マスコミが、児玉先生の証言をきちんと報道しないのは、やはり何らかの情報操作が行われているのだろう。

 何より政府が、原発事故の影響を隠蔽しまくってどうするんだ。

 中国の列車事故対応を批判をしている場合じゃないんじゃないの?

少年事件の審判書

 少年事件では、審判が行われてその場で審判の結果が出る。つまり、裁判官主導で、裁判官がいろいろ少年や少年の保護者に尋ね、その場で、結論が出る。

 結論として、少年院送致の決定であれば家に帰れないし、保護観察や試験観察の決定なら家に帰れる。もちろん、その決定に対して不服があれば、抗告できる。

 ところが、少年事件を抗告しようとしたときに、一番厄介なのが、抗告申立書に具体的な理由を明示しなければならないということだ。大人の刑事事件のように、不服だから控訴します、とだけ書いた控訴状を提出して、おって控訴趣意書をじっくり考えて(といっても期限はある)出せばいいわけではない。決定を受けてから14日以内に具体的な抗告の趣意を明示して抗告申立をしないと、不適法棄却を受けてしまうのだ。それだけでもかなりタイトなのだが、この厄介な抗告をさらに難儀なものにしてしまう事情がある。

 それは、少年審判の審判書が直ちに作成されていないことが多いということだ。特に抗告審から受任した際には、裁判官がどこに注目して、どのように審判を行い、どういう理由で決定を下したのか、ほとんど分からないため、審判書がないと抗告申立を構成することは至難となる。

 そこは、経験上、審判書は調査官意見や鑑別技官の意見の引用をまとめたものが多いことから、想像して書くことになるのだが、もし、審判書が全く違う内容を理由に判断していた場合は困る。少なくとも、少年事件に於いて審判後、2日以内には審判書を出して欲しいと付添人としては思う。

 ただ、実際には、今依頼されている事件のように、審判後10日以上経過しても審判書が出来ていない場合もあり(あと4日しかないんだけど!!)、そのような場合は極めて難渋する。お忙しいのは分かるが、裁判官も「不服があれば抗告の申立てできます」というだけではなく、きちんと審判書を作成して頂きたいものだ。

法曹養成フォーラムでの日弁連委員の発言に思う~その2

(続き)

6の新たな法曹養成制度の現状で、川上委員は、法曹志望者、非法学部出身者・社会人割合の大幅減少の原因は、次の3点だと指摘する。

ア 司法試験の合格率が伸び悩んでいること(高リスク)

イ 法曹養成課程に経済的負担が伴うこと(高コスト)

ウ 法曹需要の現状(低リターン)~就職難

 一見確かに、もっともらしい理由に見えるかもしれない。しかし、旧司法試験は合格率2~3%であったが、志願者は増加の一途であった(若手優遇策を採用した際の受け控え時期を除く)。

 つまり、旧司法試験の志願者増加の傾向を考えると、合格率に関するリスクは実は大きな理由にならない。5年内に3回の受験で合格しなければ受験資格を失うリスクの方が大きいはずだ。これも法科大学院とセットで導入されたものである。法科大学院制度を導入せずに、何回でも挑戦できる制度にしておけば、仕事を辞めてまで法科大学院に通わずに済むし、仕事をしながらでも実力を貯えて合格することも可能だった。リスクは大幅に軽減できたともいえる。

 次に高コスト問題だが、どんなに優秀な学生であっても大学卒業後法科大学院で学費・生活費が必要になるのであればコストはかかることになるので、無駄な回り道をさせている法科大学院は優秀な法曹志願者にむりやり高コストを強いていることになる。

 また、法律の勉強に限って教わらなければ絶対に身につかないというものではないから、自習して実力をつけるタイプの人間にも高コストを強いていることになる。もちろん一般の法曹志願者に対しても、新司法試験は法科大学院を卒業しなければ受験すらさせてもらえないから、無理にコストを掛けるよう法科大学院制度が作られているといえる。

 したがって、高コスト問題は、理由になる。川上委員は法科大学院と司法修習のコストを指摘するが、これまでは司法修習生の給与制があったため、高コスト問題といっても、実際は法科大学院に必要とされるコストの問題だったのだ。

 最後にローリターンが最も大きな問題だと私は考える。どこの世界でもそうだろうが、優秀な人材を集めるためには、費用をかけるか、権力を与えるか、名誉を与えるかなど、とにかく何らかのリターンが必要であり、これは異論がないところだと思われる(優秀な人材をヘッドハンティングする場合、当然高額な報酬や高いポストが準備される)。これは法曹志願者だからといって例外ではないだろう。法曹志願者だけが霞を食って生きていけるのならともかく、法曹志願者だって人間だ。生活がある。生活を維持する売上が上げられる見込みが薄いのなら志願者は減って当然なのだ。

 普通99%ダメとは、ほぼ不可能を意味するところ、旧司法試験が98%落ちる試験でありながら、志願者を増やし続けていたのは、法曹資格に相当なリターンが見込まれた~法曹という仕事に経済的意味においても魅力があった、ということと無関係ではないはずだ。

 ところが、存在しない法的ニーズを存在すると断言して、弁護士人口を激増させた結果、新人弁護士の就職難が生じ、一括登録時に於いて10%以上が就職出来ない事態が生じ、今年はさらに就職状況は悪化すると見込まれている。

 優秀な人材ほど、視野が広く将来のことをきちんと考える割合が高いはずだから、リターンが見込めない業界(すなわち未来が見込めない業界)に、わざわざ飛び込もうとする人材は少なくなるはずだ。お医者さんのように健康保険制度が整備され、保険診療だけでも十分生活が可能なリターンが得られるならともかく、そのような制度が一切ない弁護士に、ボランティア的な国選弁護や民事法律扶助事件を押しつけて解決しろと迫るのは、力一杯筋違いだ。ボランティアを強いるなら、生活出来るだけの収入を確保させてからやらせるべきものだ。どんなボランティア対しても、自分や家族が飢えているのに、他人のために食物を差し出すよう求めることは出来ないはずだからだ。

 弁護士の報酬はお布施だといった中坊公平さんも、大阪弁護士会内でのお話では、まず自宅を建て、恒産を3億円貯め、生活の不安を払拭してから社会のために働け、と仰っていたと聞いたことがある。

 知らない間に、中坊さんの言葉から、「自宅を建て、恒産を3億円貯め、」という部分が抜け落ち、弁護士は社会のために働け、という部分だけが一人歩きしていったのだ。そりゃぁ、中坊さんは、京都の旅館の持ち主だったはずだから、それで良いのかもしれないが、普通の弁護士には、3億円なんて貯められないぞ。

 自由競争させれば自然と優秀な弁護士が残るはずだという意見もあるが、そういう意見を言う人にはこう言いたい。

 貴方は依頼した弁護士の方針の善し悪し、書面の善し悪し、証拠選別の善し悪し、主張の組み立て方、訴訟の進行させ具合の善し悪し等が、全て分かるのですか。 仮に貴方は分かっても、一般の方も同じように弁護士の善し悪しが分かりますか。

 何度も言うが、自由競争させるためには、競争の対象の善し悪しが判断でき、よりよきものを選び直せる状況がないと競争自体が成立しない。弁護士の仕事は一般の国民の方には仕事の内容の善し悪しは極めて分かりにくいし、一度依頼して解決してもらったものを再度別の弁護士に依頼してもう一度解決してもらうことも出来ない。つまり、自由競争が成立しない分野に該当するのだ。確かに、大企業やお金持ちは困らない。情報も費用も潤沢にあるから、良い弁護士に頼めるだろう。しかし困るのは、一般の国民の方だ。大企業に人権を侵害されて一生に一度の訴訟をする際に、依頼した弁護士がハズレであっても(ハズレの可能性が相当あっても)いいのだろうか。答えは当然ノーのはずだと私は思う。

 そうだとすれば、その分野に関わる専門家の質を国家が厳重に管理し、相当程度の品質を維持する必要がある。国民の人権に関わる分野であればなおさらだ。自由競争すればいいなどと無責任なことを言わないでもらいたい。お医者さんで考えればすぐ分かるだろう。医学部を出た人間全てに医師免許を与え、自由競争で良いお医者が残るから、それで良いといえるのだろうか。医師を無限定に増加させ、生活のためにお金を稼ぐことばかり考える医師が増えたら、本当に国民の健康は守れるのだろうか。

だいぶお話が脱線したが、川上委員の発言は、ピントがずれているように思われてならない。

(続く・・・かも)

※記載内容については、全て執筆者の個人的な見解に基づくものであって、当事務所の統一した見解・意見ではありません。

法曹養成フォーラムでの日弁連委員の発言要旨に思う~1

  法曹養成に関するフォーラムで、日弁連の法曹養成検討会議委員として川上明彦氏の発言要旨が、公開されている。

 日弁連法曹養成検討会議は、日弁連法曹人口政策会議が各地の委員を集結し散々議論してまとめた緊急提言(「法曹人口政策に関する緊急提言」)を出した際に、同じ日(2011.3.27)に、法科大学院制度を堅持する内容の「法曹養成制度の改善に関する緊急提言」を出させた委員会である。いわば、日弁連内で法科大学院制度維持を堅持し続けている勢力の砦であると表現しても良いかもしれない。

 そればかりか、法曹養成検討会議は、法曹人口政策会議の委員が、参加や傍聴を希望し、一度は宇都宮会長が傍聴を了解しながら、結局その約束は反故にされ傍聴すらさせないことになった会議であり、一般会員にはその会議の中での議論内容すら明らかにされないほぼ完全なブラックボックスとなっている。

 その法曹養成検討会議が、法曹養成フォーラムの日弁連をバックアップするチームになっているだけでもかなり偏向しているような気はするが、上記の法曹養成フォーラムにおける発言要旨も、法科大学院寄りの姿勢が明らかである。

 「4 貸与制導入の背景」においては、「閣議決定による2010年年間3000名の合格者の大量増加に対応し・・・」と要旨で述べておられるようだが、閣議決定は何度もこのブログで言ってきたように、年間3000人合格を決定などしていない。

閣議決定を引用すると、

「今後の法的需要の増大をも考え併せると、法曹人口の大幅な増加が急務となっているということを踏まえ、司法試験の合格者の増加に直ちに着手することとし、後記の法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、平成22年ころには司法試験の合格者数を年間3,000人程度とすることを目指す。」

 このように、閣議決定は「目指す」という努力目標を設定しただけであり、しかも、「法科大学院を含む法曹養成制度の整備状況等を見定めながら」とあるのだから、法科大学院が機能不全に陥っているのなら、それだけの増員目標すら前提を欠くのだ。

 そこでの法科大学院は、「司法を担う法曹に必要な資質として、豊かな人間性や感受性、幅広い教養と専門的な法律知識、柔軟な思考力、説得・交渉の能力等に加えて、社会や人間関係に対する洞察力、人権感覚、先端的法分野や外国法の知見、国際的視野と語学力、職業倫理等が広く求められることを踏まえ、法曹養成に特化した教育を行う法科大学院を中核とし、・・・・・」とされているが、その法科大学院で立派な教育を受け、厳格な修了認定を受けたはずの新司法試験受験生が、かなり悲惨な状況に陥っていることは既に、当職の今年7月1日にブログでダウンロードできるファイルをご一読して頂ければ明白だ。

 つまり、現行の法曹養成制度は、客観的に見れば機能不全に陥っているといわれても仕方がない状況だ。法科大学院は高い学費を取るだけとって、税金を投入させるだけ投入させておいて、理想とは、ほど遠い教育しかできていないという状況なのだ。それにも関わらず現状を把握できない(もしくは、把握したくない)一部学者先生の、法科大学院有用論を、修習生の給費制を上回る税金投入をしつつ維持する必要がどこにあるのだろうか。

 例えは悪いが、田んぼで稲作をする際に、①きちんと苗代で生長した苗(司法試験合格者)を、小さな田に田植えして肥料を与え大事に育てる(2年間の司法修習)方法と、②とにかく種籾を広大な田んぼ一面にバラマキ(乱立する法科大学院)、芽を出した苗全て~広大な田んぼ全体~に、肥料をバラマキ(多額の税金投入)、そのうち良く育った2~3割の稲のみ収穫してあとは廃棄する方法(新司法試験と修習)と、いずれが費用対効果で勝っているか、子供だって分かるはずだ。今まで農家は①の方法でやって来たところ、もっと増産する必要があるからという理由で②の方法が農協から提案され、②の方法が採用された。

 ところが、増産する必要は実はなく、現実には米余り状態となっている。こんな状況にもかかわらず、新たに種籾や肥料を販売する側の農協(法科大学院)が②の方が効率が良い、良い米が出来ると言い張っているのだから、それは、②の方法を広めた農協が利権を失いたくないための言い訳としか考えられない。

 法科大学院に支出されている税金は、壮大な無駄金になっている可能性が高いと私は思っている。

 (続く)

※記載内容については、全て執筆者の個人的な見解に基づくものであって、当事務所の統一した見解・意見ではありません。

祇園祭

 京都の三大祭りと言えば、葵祭、祇園祭、時代祭だ。

 京都大学で学生生活を送っていた私も、当然のごとくアルバイトで、3大祭りに出ている。幸いにも各2回ずつ参加することが出来た。弁当付きで5000円前後(だったと思う)のアルバイト料は、夕食を京大生協のカレー150円で済ませることも多かった私にとっては、相当魅力的だった。

 経験したからこそ言えるのだが、この三大祭りの中で最もしんどいアルバイトだったのが、真夏に山鉾巡行が行われる、祇園祭だった。

 私は船鉾の引き手を2度勤めたが、2度とも物凄い炎天下で、へろへろになった記憶がある。

 山鉾は、四条通を通って、河原町通りを北上し、御池通を通って、新町通(だったと思う)を南下してもとに戻るコースをとる。

 山場は、四条河原町の辻回しだ。他の山鉾は、割った青竹をしいて水を打ち、その上を滑らせて辻回しを行っていたが、当時の船鉾は青竹ではなく木を使っていた。見るからに滑りが悪そうなので、割った青竹の方が合理的だとは思ったが、それぞれの鉾にはそれぞれのやり方があったのだろう。「エンヤラヤー」のかけ声に合わせて、一気に引き綱を引き、10トンを超える鉾がきしみながら方向転換するのは、やっていても、なにがしかの感動を覚えるものだった。

 ただし、辻回しがすんでも曳き手の仕事は、それからが本番だ。そこから河原町通りを北上するのが曳き手にとっては相当辛いのだ。実は、河原町通りは北に向かって上り坂になっている。歩いていると全く分からないのだが、人をたくさん乗せた鉾を引いていると、上り坂であることはよく分かる。四条通よりも河原町通りを曳くときの方が明らかに重いのだ。

 しかも、河原町通りには、日光を遮るものがなにもない。灼熱の夏の日に焦がされながら、鉾を曳くことになる。このあたりまで来ると、最初の鉾が動き出したときの感動や、辻回しの達成感など薄れ、早く帰ってシャワーでも浴びたいという気持ちが湧いてきた記憶がある。しかも、曳いている鉾は次第に重くなっていくようにも感じられるのだ。

 ちなみに、鉾には方向を決めるハンドルがない。また車輪の大きさがずれているせいかどうか分からないが、必ずしも真っ直ぐには進まない。そのときは、すすみすぎた側の車輪の下に、木で出来た道具(名前は知らない)を噛ませて乗り上げさせて調整する。鉾が重く感じられるときはその道具を乗り越えさせるのも一苦労となるときもあったように思う。

 今思うと、京都で学生時代を送ったからこそできた、貴重な体験だった。

 暑い夏が来ると、いつもすこしだけ祇園祭のことを、そして闘病中に祇園祭宵山の想い出を語ってくれた故・信國乾一郎くんのこと思い出す。 

ポスティング広告、雑感

 ポスティングとは、ウィキペディアによると、「広告・宣伝を目的に、ビラやチラシを、各個宅の郵便受けへ直接投入する行為。 主な業種は、飲食店、通信販売、貸金業、不動産会社など巾が広い。」とされている。

 先日、私が住んでいる京都市内の賃貸住宅に、東京の某法律事務所のリーフレットが、ポスティングされていた。【暮らしの中の法律「お金の(得)話」】と表題にあるが、中身は、結局過払いの話が大半であり、過払い金事件を集めるための広告のようだった。しかも、そこには、専門家が面談するとは書いてあるが弁護士が面談するとは書いていない。

 確か、日弁連の債務整理事件処理規程では、特段の事情がない限り、弁護士の直接の面談が必要だ。大阪の弁護士が京阪神地域にポスティングをするならまだ分かるが、多重債務に苦しむ京都の人がどうやって東京まで面談に行くのだろうか。

 遠隔地で広告しておきながら遠隔地であることを理由に、特段の事情があるので面談しない、という理屈をつけるのであれば、結構、危ないやり方ではないのかと思った。

 しかし、いくら理想を掲げても、現実には勝てない。経営に困れば、そういう危ないやり方でもとにかく稼がなくては、生きてはいけない。その場合、弁護士との意思疎通がきちんと図れない場合等、被害を被るのは結局、依頼者になりかねない。

 この間、法律相談で、時間が余ったときに相談者が雑談で、「そういえば、最近では、サラ金のTVCM以上に過払い金のCMを見るような気がする。」といっていた。注意して見て頂くと分かるが、TVCMを出しているのは、弁護士ばかりではなく、司法書士も相当多い(非常に紛らわしいので、よく誤解されるが、弁護士の事務所は「法律事務所」であり、「法務事務所」ではない。)。

 TVCMは当然無料ではない。聞くところによると相当高額な費用がかかる。そしてその費用を、広告主が自腹を切るはずがない。かけた広告費は、当然依頼者からの手数料で回収される。高額な広告費がかかっても、それ以上に儲けるために、広告をしているからだ。つまり、多額の費用を掛けてTVCMをすることは、その広告費を必然的に顧客から取り返すことの裏返しでもある。

 特に、司法書士が法律上扱えるのは、140万円を超えない事件だから、弁護士会の基準だと1件あたりの手数料(費用)は、さほど高額にならないのが普通だ。だから冷静に考えると、よほど大量に事件を受任するか、1件あたり高額な手数料を徴収しないと、高額なTVCMをあれだけ頻繁に流すことは出来ないことになる。

 債務整理に限らず、一番良いのは、お金のかかっている広告を信じて依頼するよりも、本当に信頼できる弁護士に依頼することであるのは、変わりがないと思う。

春学期の大学での講義終了

 本日、今年度春学期の関西学院大学における「司法特別演習A」(全14コマ)が終了した。

 今年の春学期は、授業に関する学生の評価調査が行われた。調査はマークシートと自由記述とからなっており、法学部事務室から非常勤講師の私に対しては、学生が授業に関して自由記述で書いた調査表を渡された。

 匿名回答なので、誰が何を書いたのか分からないが、質問項目は、①この科目で良かったこと、②この科目で改善を要すること、の2点について自由記述で回答を求めるものだった。

 私の講義・演習に関しての学生諸君の評価は,概ね次の通り。

①(良かった点)について

・ペットの扱いが法律上どうなるか、契約上の問題を学習できたこと。

・先生の話が面白かった。課題をしてきて、授業で解説というスタイルがためになり、良かった。友達が増えた。

・普段余りなじみのないペット問題についていろいろ学習できたこと。まだ知識が曖昧だった民法について、さらに理解を深めることが出来たこと。

・とても実践的かつ、面白い授業だったので良かった。身近に起こりうる問題を授業でしたのでよかった。

・先生の話が面白く、授業も各自の意見を述べるなど双方向的なもので良かった。基本的な知識の復習にも役立ち、応用的な内容もあった。

・ペットというなじみがある事柄を通じて、民法や動愛法について学べ、興味が持てる授業だった。先生が丁寧にいつも説明して下さるのでとても分かりやすい。すんなり理解できた。授業外でも交流が図れ、想像以上の充実している授業だった。

・ゼミのような授業で、取り上げるテーマも動物についてで関心が持ちやすく面白かった。自分で事案について考えるというのがとても充実したと思う。

・課題の内容が様々な事例を検討するもので良かったです。

・毎回課題が出ることにより、家で勉強する機会が増え、知識が増えました。また先生の説明が分かりやすくて良かったです。

②(改善を要する点)について

・3・4限という2限連続というのが正直きついです。

・課題の量をもう少し減らして、一日の授業で解説や発表が終わるようにして欲しかった。

・特になし。凄く満足しています。有り難うございました。

・板書すこし見にくい。

・課題の量がすこし多かったのでもう少し減らしても良かったのではと思います(後半だいぶ遅れをとっていたので)。

・自分のレベルが低かったため、他の人に迷惑を掛けた気がする(もっとレベルの高い討論をしたかった人がいたかもしれない)。

 ちなみに、解説の遅れについては、最終講義でなんとか追いつきましたので、問題だけ出して回答無しということは、なんとか避けることができました。板書の字の汚さは、なかなか直せないとは思いますので、我慢して頂くしかないように思います。隔週、3・4限連続という講義パターンは、確かに昼食後の時間ということもあり私としても相当きついものがありました(笑)。ただし、時間割については、私の本業との兼ね合いから特に大学側にわがままを聞いて頂いているので、これも改めることは難しいかもしれませんね。

 私の予定では、獣医さんの医療過誤などについても、触れていきたいと思っていたのですが、そこまで進めなかったのは、ちょっと残念です。

これからレポートを読んで採点・単位認定する作業が残っていますが、学生諸君のお褒めの言葉に緩むことなく、きっちり採点しようと考えています。

 出席されていた学生の皆様、お疲れ様。今後も身体に気をつけて頑張っていって下さいね。

「無理筋」

 愛知県弁護士会が、総務省の法曹養成制度等に関するヒアリングに対して提出した資料を見せて頂いた。愛知県では、総務省のヒアリングに対して、一般会員(弁護士)も自由に参加して意見が言えたそうだ。

 大阪弁護士会でも、同じく総務省からヒアリングがあったが、常議員会でオブザーバー参加でもいいから参加させて欲しいという、私の申入れは、あっさり却下された。いい加減、「エライ俺たちがあんじょうしたるさかい、しもじもは黙っとけ。」というやり方は、やめて欲しいものだ。

 それはさておき、愛知県弁護士会のヒアリングのための資料には、重大なことが書かれている。

 いわゆる「無理筋」の事件が増加しているという傾向が見られるというのだ。

 弁護士が言うところの、いわゆる「無理筋」とは、簡単に言えば、およそ法律的に見てもこれまでの裁判例から見ても、まず主張が通らない事件を意味する。相手に資力がなく、勝訴しても実際には回収不可能な場合も含まれることもあるだろう。そのような事件が増加している傾向にあるというのだ。

 これは国民の皆様にとって、憂慮すべき事態かもしれない。

 例えば、私は、明らかに無理筋の事件であれば、法律的問題点、これまでの裁判例などを示して、まず勝訴の見込みが立たず、弁護士費用だけかかって費用倒れになる可能性が高いから、やめておいた方が得策ではないかと、相談者にサジェスチョンする。

 その上でもなお、感情的にどうしても許せないので、負けても良い、弁護士費用倒れになっても良いからやって頂きたいという要望があれば、お引き受けする方針をとっている。

 もちろんお引き受けした以上は、全力を尽くす。それが弁護士だと思っている。

 しかし、そのような事件は、希である。

 私は10年以上弁護士をしてきているが、そのような事件は10件もない。

 そのような無理筋の事件が増加傾向にあるという愛知県弁護士会の指摘が正しいとするなら、原因はおそらく、①弁護士が無理筋の事件かどうか判断できない、②無理筋と分かっていてもその無理筋かどうかの説明をせずに事件化して受任する、のいずれかしかないように思う。

 どちらも、国民の皆様にとっては不幸なことだ。①だと藪医者にかかったの同じで能力不足の弁護士に依頼してしまったことになるし、②だとほぼ確実に弁護士費用倒れだ。

 しかし、客観的には妥当ではないかもしれないが、受任する弁護士からすれば、いずれも違法な行為とまではなかなかいえないと考えられる。

 ①だと、相談を受けた弁護士が一応専門家・資格を有する者として無理筋ではないと判断したわけだし、②の場合でも勝訴可能性が絶対に0%という事件はまずないからだ。その場合、「勝つ可能性があるから、やってみましょう」と弁護士が依頼者に話しても、それは嘘でもなんでもなく、むしろ事件(需要)を掘り起こしている行為にすぎないのだ。

 私は②のような事態が好ましいものとは考えていない。しかし、マスコミや法科大学院は、弁護士はもっと競争しろ、需要を開拓しろと主張し続けている。

 つまり、そのマスコミや法科大学院の主張は、一見、もっともらしいが、弁護士に対して、無理筋の事件でも、どんどん事件化していけという意味をもその中に含んでいるのだ。

 愛知県弁護士会の資料によるとその傾向が既に現れ始めているようなのだ。

 これが目指すべき司法改革だったのだろうか。

関根弘江 日本ツアー JAZZ LIVE

 関根さんご夫妻にお会いしたのは、既に北極圏にかなり入り込んだ、ノルウェーのトロムソ郊外にある、犬ぞりとオーロラ観測の施設だった。

 私は、お目当ての夜間犬ぞりツアーに参加し、関根さんご夫妻は、施設に留まりオーロラ観測を選択されていた。残念ながら、オーロラ観測は出来なかったようだが、トロムソ市街に戻るバスの中で、いろいろお話を聞くことが出来た。

 関根さんのご主人はアメリカで会社経営をされている。奥さんは、ピアニストであると聞いていた。

 ご主人がMr.SEKAI(ミスター・世界)と異名をとるほどの方で、世界各国・各地域を数多く訪問するのがご趣味とのこと。今回の旅行は、トロムソまで沿岸急行船でやってこられて、トロムソで飛行機に乗り換え、最終目的地はスバールバルド諸島と仰っていた。(スバールバルド諸島はノルウェー領だがノルウェーの国と異なり、1地域とみなされるのだそうだ。)

 その関根夫妻の奥さんでいらっしゃる、関根弘江さんは、既にアメリカで昨年秋にジャズピアニストとしてCDデビューされている。昨年、一度ご夫妻で京都に来られた際に、一緒に食事をし、発売されたばかりのCDを頂いた。普段は全くジャズを聴かない私だが、愛車のHDに取り込んで、食事のあと、弘江さんをホテルまでお送りしながら聞かせて頂いた。

 ちなみに、食事時には、ご主人はパーティジョークを連発して場を盛り上げ、弘江さんは明るい性格と楽しい話術で参加者を飽きさせない方だった。自然に優しい気配りが出来、それを、相手に意識させることなく、さりげなく表現できる素敵な方だった。

 もちろん、ご本人だけではなく、CDに収録されている曲も、弘江さんの素晴らしい人柄に裏打ちされた素敵な作品となっていた。

 その関根弘江さんが、7/13~7/16に日本(柏・六本木・横浜・池袋)でライブ・ツアーを開催する。

(詳細は下記のHPをご参照ください。)

 http://www.sekaimusic.com/news/

 私としては、ちょっと仕事の関係で、弘江さんの生演奏が聴けないのは残念だが、アメリカのジャズレビューでも評論家に絶賛されたそうで、ご主人の正和さんによるとかなりの盛況が予想されているらしい。

 ご予約は是非お早めにということだ。

 お近くにお住まいの方は是非、弘江さんの素晴らしい音楽に浸ってみてはいかがだろうか。

法曹養成に関するフォーラムでの、誤導合戦??

 法曹養成に関するフォーラムの第2回議事録が公開されている。

 非常に面白い。

 法曹人口現象に前向きな発言や、法曹の社会的ニーズがあるのか疑問であるという意見が出ると、法科大学院擁護派の委員は、瞬時に反応して、反対の方向へ導こうと意見を出しているように読める。特に鎌田委員・井上委員は、ほぼ確実に反応してくる。

 井上委員は他の委員の発言について、根拠があるかどうか分からない話だと言いつつも、その直後に自らも伝聞の根拠が明確かどうか分からない話を堂々と述べておられる点も興味深い。

 フォーラムの委員の先生方には、法科大学院擁護派の学者先生の肩書きや論説に臆することなく、本当の問題点をしっかり議論して頂きたいと思っている。

 なんてったって、法科大学院特別顧問の奥島氏の、朝日新聞での発言自体が根拠レスのおそれすらあるくらいなんだから。

 まあいずれにしても、現状の司法試験合格者のレベルが(上位の方はともかく、全体として)下がってしまっていることは、採点雑感からして明らかだ。

 採点雑感から抜粋したものを、フォーラムの有識者の先生方(但し送付先が判明した方)に送付させて頂いた。間違いなく、鎌田・井上両委員は完全無視の態度をとるか、噛みついてくるかのどちらかで、現実を受け入れることはしないだろう、というのが私の推測だ。

 しかし、ちょっと法律知識のある方が、お読み頂ければ必ず分かって頂けるが、現在の新司法試験のレベルダウンは相当危機的状況にある。

 井上・鎌田両委員は、その責任を取れるのだろうか。困るのは国民なのだ。

(送付させて頂いたファイルは下記からダウンロードできます。)

ファイルをダウンロード