私は、和歌山県立新宮高等学校の卒業ですが、1年生の頃の担任は現代国語担当の舩上先生でした。
先生は、「現代国語が得意な奴は、親に感謝しろ。」と何度か仰っておられました。その理由は、現代国語(現国)が得意な生徒は殆ど、必ずと言っていいほど親がたくさん絵本を読んで聞かせているからだ、ということでした。
私は、比較的現国は得意でしたが、確かに母に良く絵本を読んでもらった記憶があります。「きかんしゃやえもん」、「消防自動車じぷた」、「とらっく、とらっく、とらっく」、「ぐりとぐら」、「どろんこハリー」、「ひとまねこざる」、「ぐるんぱのようちえん」、「ちいさなおうち」など、何度も読んでもらった、好きな絵本だけでもかなりの数になります。
後で母に聞いたのですが、小さいときは絵本を読んで聞かせても子供は絵だけを熱心に見ているそうです。その後だんだん字が読めるようになると、字を視線で追うように読むようになるそうです。
絵本を読み聞かせることにより、活字に対する抵抗がなくなり、活字から想像力を働かせてイメージをふくらませることが出来るようになるのかも知れません。絵本の前のページの絵と、今見ているページの絵との間にどんなことがあったのか、言葉を聞きながら子供なりに想像しているのではないでしょうか。
現代は、テレビ映像やテレビゲームが全盛です。大人が面白い物を作ろうとして工夫するのですから、子供にとっても面白くないはずがありません。また、忙しい大人にとっても、TVを見ていてくれればおとなしいことが多いので、つい頼ってしまいがちです。
しかし、それらは全て、誰かによってイメージがすでに作られ、目の前におかれています。また、絵本と違い、連続して映像イメージが流れますから、自分なりに想像力を働かせる必要がさほどありません。TVを見ていると、ボーっとしてしまうのは、そのせいかもしれません。
スピード化した現代社会では難しいのかもしれませんが、忙しさの余りTVなどに頼るより、少しでも子供達には絵本を読んで上げられるような、そして自らも活字に親しめるような心の余裕を持てれば、と思います。