一枚の写真から~28

NZの国道を走っていた際に見かけて看板。

私は京都大学では、体育会のグライダー部に所属していた。

子供の頃はパイロットになりたかったのだが、近視が強くなってしまい叶わぬ夢となった。

歩道橋を歩くときもできるだけ真ん中を歩きたいくらいに、高所恐怖症なのだが、旅客機や、グライダーは何故か平気だった。

大学でしか出来ない体験ができたし、良い仲間にも出会えた。

今でも京大グライダー部に所属したことは正解だったと思っている。

日弁連法曹人口検証本部の取りまとめ案について~2

 日弁連の構成員は弁護士である。そして、弁護士という仕事も職業である以上、弁護士は弁護士業で自らや家族の生活を維持しなくてはならない。そうだとすれば、日弁連は会員である弁護士の生活をより維持しやすい方向で政策提言していく必要があるのではないか。

 医師会だって、医療過疎問題についても、まずは医師の収入が確保できるかが大前提だという姿勢を崩していない。司法書士会は、弁護士の仕事を司法書士にも開放しろと司法書士の今後の生活にプラスになる提言を続けている。税理士会だって同様に会員である税理士の生活を守る方向の提言を行っている。

 ところが、今回の検証本部の取りまとめ案は、結局は現状の弁護士激増を容認するものだから、日弁連会員である弁護士の生活が今後さらに危うくなっても構わないという方向の取りまとめ案なのである。

 要するに日弁連は、税理士会や司法書士会よりも多額の日弁連会費を納めさせておきながら、会員である弁護士の生活を危うくする方向の提言を打ち出そうとしているのである。


 おそらくその裏には、日弁連執行部が法科大学院制度を推進する方針を選択し、法科大学院制度を維持するためには司法試験合格者1500人を維持しなければならないという事情があると思われる。
 しかし、法科大学院制度導入により法曹志願者は激減し、優秀な人材が法曹界を避けるようになったとも言われている。司法試験合格率もかつては2%程度だったものが現在では、志願者が少なく合格者を多く維持しているため、合格率はほぼ50%近くというザル試験になっている。実際に法科大学院の半数以上は廃校になるなど、法科大学院制度は大失敗、税金の無駄使いだったとしかいいようのない制度であることが分かってきている。

 しかし、法科大学院制度を守ったところで、優秀な法曹を輩出できず法曹業界が焼け野原になり、司法に対する国民の信頼を失ったら全く意味がないではないか。

 そもそも法科大学院制度は優秀な法曹を多く産み出すという目的のための手段にすぎず、法科大学院制度の存続が目的なのではない。だから優秀な法曹を他の手段で生み出せるのなら法科大学院制度は不要なのである。

 そして、大手法律事務所が法科大学院卒業生よりも予備試験ルートの司法試験合格者を優先して採用していることからも分かるように、実務界では予備試験ルートの司法試験合格者の方が使えると見られているのである。

 法科大学院制度を推進したことが間違いだったのであれば、その間違いを認められずに法科大学院制度と心中するのではなく、方針の誤りを素直に認め、次善の策を採ることこそが日弁連執行部の取るべき途ではないのか。
 

 前にも書いたように思うが、対戦車の戦いを想定して軍備を整えていたところ、実際には航空機で攻撃された場合に、対空戦闘に切り替え、そのための武器を本部に要請するのが指揮官として当然の行動だろう。

 今の日弁連執行部は、航空機による爆撃を受けているにもかかわらず、対戦車の軍備方針は正しかったはずなのだから、さらに戦車の増援を本部に求めているような状況であり、ある意味完全に兵士に無駄死にを強要する超無能な指揮官にすら見えてくる。

 検証本部の各委員の先生方のご努力には敬服するし、各委員の先生方が無能であるなど全く思っていないのだが、検証本部の指揮官(≒日弁連執行部)がこれ程無能では、検証本部としては、結局ロクな方針が打ち出されそうにない。

 さらに言えば、日弁連執行部は司法過疎解消を叫び続けている。今回の提言案にも司法過疎問題も影響しているかのような記載もある。

 しかし、日弁連執行部を務めた弁護士が司法過疎解消のために自ら過疎地に赴いた話は、少なくとも私は聞いたことがない。

 結局、日弁連執行部は、「しんどいことでもやりますよ~」と、対外的にええカッコしておきながら、その実行は若手や新入会員などにやらせる傾向にあるのだ。

 私に言わせれば、司法過疎なんて簡単に解消できる。日弁連執行部を務めた弁護士が5~10年、司法過疎地で勤務するように義務づけすれば良いだけだ。だって日弁連執行部が司法過疎解消したいと述べているんだから、その方針に賛同した執行部にいた人達は、司法過疎解消に積極的なはずだから、やりたきゃ自分でやりゃあ良いのである。

 高い会費を取っておきながら、弁護士の生活を顧みない方向の提言をするなど、なに考えてんだ。

 そろそろ、会員が安心して暮らせる方向の提言を出してみたらどうなんだ。


 

日弁連法曹人口検証本部の取りまとめ案について~1

 

 日弁連の法曹人口検証本部が出そうとしている、法曹人口政策に対する対処方針案を見る機会があった。

 日弁連法曹人口検証本部の議論状況については、複数のところから聞き及んでいる。その内容からすれば、委員の方々が様々な意見を述べても、検証本部の本部長などは適当に聞き流しているような印象がある

 さて、法曹人口政策に対する対処方針案を読むと、「現時点において司法試験合格者の更なる減員を提言しなければならない状況にない。」という内容でのとりまとめを行おうとしているようだ。

 はっきり言って、検証本部の本部長は、日弁連主流派の意向に逆らわないから、日弁連主流派・日弁連執行部の意向が、「現時点において司法試験合格者の更なる減員を提言しない」というものであるということだ。

 私は、日弁連執行部は阿呆か、と言いたい。

 そもそも、司法制度改革審議会意見書(2001年)に基づいて、司法試験制度や法科大学院制度、法曹養成制度の改革も行われてきた。その改革の出発点はどこにあるかと言えば、司法制度改革審議会意見書作成時点で、今後は法的紛争が複雑化し、更に増加すると見込まれていたからだ。

 そのような法的紛争の増加が見込まれたからこそ、国民の皆様からの需要が増大するだろうし、その国民の法的需要を満たすために法曹人口も増大する必要があるから増員すべきという意見だったはずだ。

 ところが、実際には一時期過払いバブルによる事件増加はあったものの、裁判所に新たに持ち込まれる事件数(全裁判所の新受全事件数)で比較すると、
司法制度改革審議会意見書が出された平成13年は5,632,117件あったものが、平成30年には3,622,502件まで減少している(2019裁判所データブックによる)。

 裁判所に持ち込まれる事件数が35%以上の減少だ。司法制度改革審議会意見書の論旨からすれば、法曹人口増員の必要などなかったことになるはずなのだ。

 なお、この間に弁護士の数は倍以上(平成13年で18000人前後→平成30年で40098人)になっている。
 つまり、単純計算すると、平成13年には100のパイを10人で分けていた(1人あたり10個)のが、平成30年には65のパイを20人で分ける状況(1人あたり3.25個)になったのだ。

 この状況で、現状の司法試験合格者が1500人を割り込んできているにもかかわらず、更なる減員をすべきではないと提言することは、日弁連は司法試験合格者1500人維持を主張していると対外的に受け取られるだろう。

 それは、実際には、減少していくパイをさらに多くの人間で分け合う(奪い合う?)傾向をより強めようとすることに等しい。

 要するに、さらに弁護士資格の経済的価値が減少することを促進しても構わない、ということだ。

ところが、日弁連法曹人口検証本部は、裁判所の統計は確かにそうだが、裁判所に持ち込まれる事件以外の事件が増えている印象があるから、弁護士人口の急増を維持し続けても良いのだ、と主張するようだ。

 客観的である裁判所の統計資料から読み取れる状況よりも、感覚的な印象を優先することは、裁判で明確な証拠を突きつけられながら、私の印象は違いますと言っているようなもので、法律家として極めて低レベルの議論としか良いようない。

(続く)

一枚の写真から~27

私は基本的には晴れ男だが、この日の天候は、パイロットのおじさんにとっても、年に数回あるかどうかの素晴らしいものだったそうだ。

操縦しながら、何度もビューティフルデイ・・・といっていた。

ニーヴェの上は、ほぼ無風。ほぼ静寂に包まれた美しい世界が広がる。

そしてこの雪原が年月を重ねて氷河になっていくのだ。

私は幸運だった。

一枚の写真から~26

ニーヴェのうえに着陸したあと、散策時間がある。

壮大な景色が一望できる。

上記の写真を見ると、大したことがない雪山のように思えるだろうが、そうではない。

次の写真を御覧頂きたい。

ヘリコプターの大きさと比較すれば分かるのだが、実は、こんなに巨大な雪の塊だったのだ。

自然の圧倒的な力を体感できる貴重な体験だ。

一枚の写真から~25

遊覧機から見た、氷河上流部(NZ)

 氷河は、降り積もった雪が自らの重みで圧縮されて氷になって出来るそうだ。

 氷河になる前の雪原をニーヴェ(ネヴェ)と呼ぶと聞いた。

 写真は氷河の上流に当たる箇所のもので、おそらくここに降り積もった雪が長い年月を掛けていつの日か氷河になるのだろう。

一枚の写真から~24

遊覧機から見た氷河(NZ)

上空から見ると氷河という言葉の意味が良く分かる。

飛行機もない時代に、この自然現象を「氷河」と名付けた人のセンスに脱帽する。

令和2年司法試験の採点実感~公法系第2問から

 公法系第1問(憲法)でも相当恐ろしい答案が続出していたようだが、公法系第2問(行政法)は、なお恐ろしい答案が続出していたようであるのでいくつか引用する。

・法律や判例等に関する知識以前の基本的な用語について理解していない答案,不作為の違法確認訴訟の本案審理の内容が何かを理解していない答案,政省令を裁量基準(法的拘束力を有しない裁量基準)と誤解している答案,運用指針が法令であると誤解している答案などが多く見られた。これらは,司法試験を受験する上で最低限理解しておくべき行政法の常識的な知識ともいうべきものである。

・例年のことではあるが,問題文中に書かれている指示に従って一つ一つ議論を積み重ねることのできた答案は極めて少なかった。このことは,型どおりの解答はできるが,それ以上に問題に即した事案を分析することを苦手とし,問われたことに柔軟に対応する力が欠けている受験生が多いことを示しているのではないかと考えられた。

・問題文や会議録には解答のヒントや誘導が盛り込まれており,これらを丁寧に読むことは,解答の必要条件である。それにもかかわらず,問題文の事実や指示を読んでいないか,あるいは事案等を正確に理解せず,問題文が何を要求しているかについての論理的な理解が甘いまま解答しているのではないかと思われる答案が多く見られた。問題文をきちんと読んで,何を論じ,解答すべきかを把握した上で答案を作成することは,試験対策ということを超えて法律家としての必須の素質でもあることを認識してほしい。

・自己が採る結論をなぜ導けるのかということを説得的に記載することが最も大切であるのに,問題文中の事実を指摘しただけで,さしたる根拠も論理もなく突如として結論が現れる答案が多く見られた。

・本年度は,解答が終了していないいわゆる途中答案がかなり見られ,特に,設問2については,ほとんど解答がされていないものや,全く解答がないものが少なくなかった。

・処分性の判定に当たり,公権力性の有無に一切言及しない,また,公権力性の有無について係争行為を行った主体が「国又は公共団体」であるか否かで判断するなど,基本概念の理解ないし用法が十分ではない答案が多かった。

・少なくとも主要な判例について,その内容を正確に理解することは行政法の学習においては重要であり,基本的な学習が不十分ではないかと考えられる。

・成熟性についてはそもそも論点として検討すること自体していない答案が多く,問題文を読んでいるのか疑問があった。

・条文を引用し,問題文の事案を丁寧に拾って要件への当てはめをするという形式的なことができていない答案が多かった。

・会議録にある「本件農地についての別の処分を申請して,その拒否処分に対して取消訴訟を提起する」という会話文中の「別の処分」が何なのかを考えずにそのまま書き写しているだけの答案や,同じく(中略)会話文を書き写し,法令のどの要件との関係が問題になるかを示すことなく,「したがって考慮不尽に当たる」といった結論めいたことを書いている答案など,会話文が持つ法的含意を余り考えない安易な答案も数多くあった。

・多くの答案が裁量権濫用の問題として捉えており,このために判断のポイントを十分に押さえきれていない論述となっていた。条文をよく読んだ上で論理的に考えれば,裁量権濫用の問題でないことは分かるはずであり,問題の論理的構造を把握する能力が不足していると言わざるを得ない。

さらに採点実感は次のような内容を法科大学院教育に要望している(一部抜粋)。

・ 単に判例の知識を詰め込むような知識偏重の教育は必要ないであろうが,主要な判例については,当該判例の内容や射程についての理解を正確に身に付けることは重要と思われる。


・ 実体的な違法性の検討においては,多くの答案は裁量論に(のみ)重点を置いており,多くの受験生にとっては,個別法に沿った解釈論を組み立てる能力の涵養について,手薄となっているように思われる。(中略)法科大学院においては,このような分野についてもトレーニングが行われる必要があると考えられる。

・ 法科大学院には,基礎知識をおろそかにしない教育,事実を規範に丁寧に当てはめ,それを的確に表現する能力を養う教育を期待したい。

・ これまでも繰り返し言われていることだろうが,行政法の基本的な概念・仕組みと重要な最高裁判例の内容・射程を確実に理解した上で,それらの知識を前提にして,事例問題の演習を行うことが求められるように思われる。事例問題の演習においては,条文をきちんと読み,問題文の中から関係する事実を拾い出して,それを条文に当てはめたり法的に評価したりする作業を丁寧に行うことなどを意識すべきだろう。

・ 法曹実務家は現実の紛争解決に有効な法理論を身に付けることが求められる。(中略)そのためには基本的な法理論を土台ないし根本から深く理解することが重要であり,「応用力」というのはその発現形態にすぎない。すなわち法理の基本に立ち返って深く掘り下げることができるような思考力を涵養することが,真の応用力を身に付ける早道と思うので,そのような観点からの教育を期待したい。

・ 今回の答案の全体的な傾向は,法律家としての思考が表現されている答案が少なかったことにあるように思う。生の事実をただ拾うのではなく,それが法的にどのような意味を持つのか,どの法令のどの文言との関係で問題となるのかなどについて,考え,表現する癖を付ける教育が望まれる。

・ 設問への解答において行政裁量を論じる必要があるか否かをよく考えずに裁量の有無,裁量の逸脱・濫用を検討する答案が目立った。本案における行政処分の適法性の検討においては事案のいかんを問わずとにかく行政裁量を論じれば良いと考えているのではないかと疑われる答案が,全体としては優秀な答案の中にも少なからず見られ,事案を具体的に検討することなく,裁量の有無,裁量の逸脱・濫用に関する一般論の展開に終始する答案も少なくないなど,行政裁量の問題が飽くまでも法律解釈の問題の一部であるという基本的な事柄が理解されていないと実感した。行政裁量に関する基本的な学習に問題があることが,このような設問によって逆に明らかになったように思われるが,これまでの行政法総論の学習,教育の在り方全体を見直す必要があるのではないかという気がした。

一枚の写真から~23

 クイーンズタウンからの遊覧飛行機から見下ろした、湖上のボート。

 NZの湖のうちいくつかは、ターコイズブルーと呼ばれる青色をしている。

 この不思議な青色は、氷河が動く際に岩石から削り出す「ロックフラワー」という微細な粒子が水に溶けているからだといわれている。

 こちらが空を飛んでいるにもかかわらず、まるでボートの方が、空を飛行しているかのように見えた。

一枚の写真から~22

遊覧飛行機からの眺め~1

 小さな空港から飛び立った飛行機だが、その機上の光景は圧倒的な美しさを示していたりする。

 高所恐怖症のくせに飛行機からの眺めが好きな私にはたまらない。

 クイーンズタウンからマウントクック方面の遊覧飛行もあるが、氷河に着陸するスキープレーンはマウントクック空港だけではないかと思われる。