先日、ある人から「予備試験合格者・募集」で検索すると面白いですよとの示唆を受けたので、早速ヤフーで検索してみた。
なるほど、確かに面白い。大手が競って予備試験合格者の囲い込みをしようとしているようだ。
少なくともヤフーでの検索上位10位までに、次のような法律事務所が予備試験合格者に特別扱いを提供している様子が出ている。
弁護士法人大江橋法律事務所 :予備試験合格者に特別な説明会開催
森・濱田松本法律事務所 :予備試験合格者に特別な説明会開催
長島・大野・常松法律事務所 :予備試験合格者に特別な1Day研修
渥美坂井法律事務所・外国法共同事業:予備試験合格者に特別な説明会開催
法科大学院が主張するように、プロセスによる教育とやらが法曹に必須のものであるならば、大手法律事務所がどうしてプロセスによる教育を経て厳格な卒業認定を受けたはずの法科大学院卒業者(プロセスによる教育を受けたお墨付きがある者)ではなく、予備試験合格者(まだ司法試験に合格もしていない者)を特別扱いしてまで囲い込もうとするのだろうか。
どの事務所だって優秀な若い法曹を求めているはずだから、そのための特別扱いなのだろう。そこから考えれば考え方は、少なくとも2つあるように思う。
一つは、法科大学院が大事だと主張し続けているプロセスによる教育は法曹にとって必要だが、法科大学院がプロセスによる教育をきちんと実施できていないため、仕方なく、少しでも地頭の良いと思われる予備試験合格者を採用したいという考え。
もう一つは、そもそも法科大学院が大事だと主張し続けているプロセスによる教育など、法曹としての優秀さに関しては全くもって無用・無関係であり、それよりも地頭の良さが法曹としての優秀さにつながるという考え。
他にもあるかもしれないが、ここで気付くことがある。
どちらの考えをとっても、これらの大手法律事務所の採用態度から推測すれば、法曹養成において法科大学院が必要・不可欠であるという答えにならない、ということだ。
上記の法律事務所が、日本の中心的な法律事務所として評価されていることはご存じの通りである。つまり、日本の大手法律事務所は、法科大学院教育に大した価値を見出していないように見える。
政府の援助を受けた製造元が、いくら素晴らしい製品だと言い張っても、市場で評価されないのであれば、その製造元は社会に役立たない存在と言われても仕方がない。そのような製造元に税金が投入され続けているとすれば、その製造元は税金泥棒といわれても仕方がないだろう。
法科大学院は、このような大手事務所の動向をどう見ているのだろうか。