映画 ザ・ムーン

 原題は、IN THE SHADOW OF THE MOON 。

 これまで秘蔵されていた膨大なフィルムの中から、素晴らしい映像を選び抜き、その映像とアポロ計画の宇宙飛行士に対するインタビューを中心に進められていくドキュメンタリー映画です。

 宇宙から地球を眺めた宇宙飛行士達の言葉がとても印象的です。

「月は驚くほど美しい砂漠が支配する世界だった。手つかずの汚れなき世界。その脈動を感じる。月と漆黒の宇宙の鮮明なコントラストに思わず神秘と驚異を感じずにはいられなかった。」

「圧倒されるような経験だった。そして気付いた。己の肉体の分子も、宇宙船の分子も、クルー仲間の肉体の分子も、その原型ははるか昔に宇宙で作られたものだと。全てはつながっていて一体なのだと。他と私ではなく、万物は一つなのだ。」

「我々はなんと小さな存在だろう。だがなんと幸せだろう。この肉体を持って生まれてきてこの美しい地球で人生を謳歌することができて。」

「地球は生き生きとして雄大で、その存在は偶然の産物にしてはあまりに美しすぎる。」

アポロ計画によって、本当に人類が月面に着陸が出来たのか疑問視する見解もあるようですが、彼らの言葉から考えると、少なくとも、宇宙飛行士達は、例外なく魂を揺さぶられるような経験をしたことは間違いないようです。

 私も一度で良いから、宇宙から地球を眺めてみたいと思っています。荘厳な景色としては、宇宙から見る地球に勝るものはないようにも思います。

 公開されている映画館は少ないかもしれませんが、是非ともご覧頂きたい映画です。

選挙公報を見て・・・

 大阪弁護士会の選挙公報が届きました。今回は、会長以下日弁連代議員に至るまで、選挙無しで決まりましたので、選挙公報といっても、会長と副会長の抱負に近いものになっています。

 会長候補者の畑守人先生の、選挙公報を見ました。いろいろ書かれていましたが、目についた主張はこれです。

 法曹人口は質を維持しつつ増員する(畑先生の御主張です)。

  裁判官・検察官の増員が書かれていませんので、おそらく弁護士の増員を意図されているのでしょうが、どういう現状認識をされているのか、私には理解できません。新61期の修習生のうち2回試験合格後1ヶ月を経過しても66名が弁護士に登録できていないほど弁護士需要がない状況(本日付の日弁連ニュース)で、更に弁護士数を増やす提言をするなど、私の理解の範囲を超えています。是非その真意をご教示願いたいと思っています。

 弁護士会会長は、副会長が全員反対しても押し切ることが出来る地位だそうです。そのような地位に就かれる以上、会派上層部の意見だけでなく、個々の会員の多くの声を出来るだけ反映する義務があるはずです。

 畑先生がその義務を果たされるよう切に願っております。

弁護士武本夕香子先生の政策冊子

 兵庫県弁護士会会長選挙に、出馬された弁護士武本夕香子先生から、政策を訴える冊子(「兵庫県弁護士会の課題とこれからの司法」)を頂きました。

 その冊子は、56ページにも渡る大部のもので、今の弁護士会の直面している問題について、非常に綿密に検討された上で、多岐にわたり、簡明・直裁に指摘がなされており、これからの兵庫県弁護士会が進むべきビジョンが明確に描かれています。そればかりではなく、弁護士全体にも敷衍できる内容が多く含まれていますので、宮崎日弁連会長にも是非読んで頂いて、単位会弁護士会~弁護士全体について、今一度お考え頂きたいくらいの内容だと、私個人としては思っております。

 兵庫県弁護士会の先生方には、武本先生を支持されるか否かを別にしてでも、とにかく武本先生の政策冊子をご覧頂ければと、切に願います。真に解決すべき問題は何なのか、弁護士はどう進んでいくべきなのか等について、極めて示唆に富む内容が記載されています。決して読むために費やされた時間が無駄になるものではないと思います。

 私は、武本先生とは弁護士会も違うのですが、僭越ながら、武本先生への推薦文を書かせて頂くことが出来ました。ワード書式で添付しておきますので、興味のある方はご覧頂ければ幸いです。

ファイルをダウンロード

オバマ新大統領就任演説から

 本日未明、オバマ新大統領が就任式を行っていました。ライブ中継で午前3時くらいまでは見ていましたが、さすがにその後は覚えていません。

 私は英語は、とんと駄目なので、誤解があるかもしれませんが、英文を見ていると、いくつかの印象的なフレーズがありました。

But our time of standing pat, of protecting narrow interests and putting off unpleasant decisions – that time has surely passed.

To those who cling to power through corruption and deceit and the silencing of dissent, know that you are on the wrong side of history, but that we will extend a hand if you are willing to unclench your fist.

We honor them not only because they are the guardians of our liberty, but because they embody the spirit of service: a willingness to find meaning in something greater than themselves. And yet, at this moment – a moment that will define a generation – it is precisely this spirit that must inhabit us all.

Our challenges may be new. The instruments with which we meet them may be new. But those values upon which our success depends – honesty and hard work, courage and fair play, tolerance and curiosity, loyalty and patriotism – these things are old. These things are true. They have been the quiet force of progress throughout our history.

 アメリカという巨大な国は、問題点も多いけれども、その問題点を克服する力もまだ内に秘めた懐の深い国かもしれない、と思わせる演説でした。

来年度常議員になりました。

 来年度の大阪弁護士会の会長選挙に関して、私が出るという噂が流れ、某会派関係者の方から探りを入れられたりもしましたが、諸般の事情と会長・副会長経験者の先生方複数とお話しさせて頂いた結果、取りやめることになりました(マニュフェスト粗案は既に公表したとおりです)。

 ただ、大阪弁護士会常議員に無所属で立候補し、当選させて頂くことが出来ましたのでご報告させて頂きます(1月20日に、当選承諾書を提出致しました)。来年度は常議員として、微力ながら執行部の方々のお考えや常議員会の実態について、可能な限り皆様にお伝えしていこうと思っております。

 そもそも、私達は大阪弁護士会の弁護士は、大阪弁護士会の執行部が何をやっているのか、常議員会でいかなる議論がなされてきたのか、あまりに無関心すぎたのかもしれません。そして、若手もあまりにも声を上げなさすぎたこともあるようにも思います。

 弁護士の業界が安泰である時代はそれでも良かったのでしょう。誰が執行部に就任し、どんな政策を行おうと、個々の弁護士は少なくとも大して影響を受けない時代だったからです。今の弁護士激増策は、経営基盤を築き、すでに十分稼がれたお偉方にはそう影響しません。しかし、若手・今後弁護士になろうとする人達には非常に大きな影響を与えます。本来育てていくべき若手に対して、負担ばかり押しつける政策が本当に正しいのでしょうか。若手の将来に負担を強いるのであれば、若手の意見を聞くのが本筋ではないかと私には思えます。

 日弁連も司法修習を終了し、2回試験にも合格しながら、弁護士登録をしなかった人が相当数いることは把握しているはずです。どうして、その数を公表して、弁護士不足をいいつのる学者やマスコミに対して、弁護士過剰時代の現実を広く訴えないのでしょうか。

 執行部が選挙のときしか若手の意見を聞こうとする姿勢を見せないのであれば、私達若手がその手段を作らなければならないときに来ているのかもしれません。もはや会派の談合で進めて良い時代ではないように思います。

 会派横断的に若手の意見を集約し、執行部に申し入れる、継続的な組織が必要なように考えています。

終章~エピローグ  チャゲ&飛鳥

 先日、人気グループの、CHAGE&ASKAが今月をもって解散するとの発表がありました。

 私は、チャゲ&飛鳥の大ファンというわけではなかったのですが、その昔FMラジオで聞いた頃から、チャゲが作った、この「終章~エピローグ」という曲が大好きです。

 今朝の京都は本当に底冷えのする寒い朝でした。通り過ぎる自動車にも屋根に雪を載せたものが何台か見られ、鴨川に架かる橋もうっすらと雪が残り、凍結していました。

 しかし、鴨川の橋の上から北を見ると、雪化粧した山々が白く輝き、空はとても高く感じられました。風が吹いているわけでもないのに、高い空を背景に微かな風花が数片、朝日を纏って落ちてきました。不思議なほどゆっくりと、そして当たり前のように音もなく。

 ほんのわずかな時間でしたが、足下を気にしながら通勤通学の人たちが行きかう橋の上で、数片の朝日に光る風花が地面に触れ、そして触れると同時にその色を失って消えてしまうまで、私は、眺めていました。

 そのとき、本当に理由もなく、この曲を思い浮かべてしまいました。自分でもなぜだか、全く分かりません。ただ、時々そのようなことが、私にはあるようなのです。

 ずっと以前にM君のことをブログに書きましたが、この曲は、大学時代のグライダー部の同期生で、不慮の死を遂げたM君が好きだった曲でもあります。彼がカラオケボックスでこの曲を歌い、少し照れくさそうに「これは名曲やで」といっていた情景も一瞬よぎったような気がしました。

  もし機会があれば聞いて頂ければ、と思います。

週刊法律新聞の「論壇」

 昨年の、法曹人口問題に関する大阪弁護士会臨時総会の顛末について、週刊法律新聞の「論壇」に掲載されたことは、すでに、お伝えしたとおりです(2008.9.17の私のブログ参照)。

 ごく希にですが、その記事を読みたかったと仰る方もおられるので、法律新聞社の許可を頂いて、2008.9.12日付週刊法律新聞から、私の書いた「論壇」について、PDFファイルで掲載させて頂きます。

 下記のリンクから、お読みください。

 恥ずかしながら、司法試験合格直後の私の顔写真もボンヤリとですが写っています(コンタクトで、ヒゲもない頃のものです)。

ファイルをダウンロード

Posted by sakano at 17:19  | パーマリンク |
2009年01月09日
マニュフェスト(粗案)

 私が仮に、大阪弁護士会の会長に立候補するのであれば、第1次粗案として、次のような選挙公報用論稿を考えていました(今後の戦略もありますので、たたき台として作成したものだけを公表します)。

 選挙公報は、字数制限も厳しく、また以下は、第1次粗案であるため、私が訴えたいことのごく一部しか記載できておりませんし、内容も練れているものではありませんので、その点はご容赦ください。

 大阪弁護士会の会員の一意見として、もしも、ご参考にして頂けるのであれば幸いです。

ご挨拶

 私は、この度、○○○○の推薦を受け、平成○○年度大阪弁護士会会長に立候補致しました。私の所信の一部を申し述べ、会員の皆様のご理解と御支援を賜りたいと存じます。

1 弁護士人口問題

 弁護士激増による弁護士過剰が現実のものとなり、2回試験に合格していながら法律事務所に就職できない人の数が相当数生じる時代が到来しました。

 司法統計をみても訴訟事件は減少、破産事件も横ばい状態であり、弁護士の仕事が、弁護士数の爆発的増加に見合うだけ増加している現実もありません。

 潜在的需要があると言われ続けて、一体何年、経過してきたことでしょう。現在の訴訟の3割を占めるといわれる過払バブルが去った後、独立間もない若手の生活は成り立つのでしょうか。私の知っている若手弁護士には、現在訴訟事件がゼロであるという人もいます。仕事が無くコンビニでのバイトを考えている、と大学時代の恩師に相談した弁護士もいると伝え聞いております。もういい加減に現実を見るべき時期です。弁護士の需要は、世間で言われる程は無いのです。あれほど需要があるといった経済界が弁護士をどれだけ雇用しているのでしょうか。需要が本当にあるのであれば、弁護士の就職難が発生するはずがありません。

 法曹人口の爆発的増加は直ちに是正されなければならない問題です。増員のペースダウンだけでは、現在のペースで事態が悪化し続けるだけです。このままでは、弁護士という職業が、努力しても食えない仕事となる可能性があります。そうなれば、優秀な人材が法曹界を目指さなくなり、その結果、法曹界全体のレベルがダウンしたり、アメリカのようにアンビュランス・チェイサーや一発狙いの高額訴訟も頻発するかもしれません。その場合に、最も被害を被るのは他でもない国民の皆様です。一部マスコミや現実を知らない規制改革会議の学者は、そのような危険を全く考慮しない発言を繰り返しています。

 このような時に、現実を国民の皆様にきちんと説明できるのは弁護士会しかありません。私は、国民の皆様にきちんと事実を説明し、近弁連、日弁連とも協働して法曹人口の増加を直ちに適正規模に戻すべく活動すべきだと考えます。具体的には定例の意見公表・記者会見の制度を設けること、マスコミ報道・政治家の発言等に誤解があれば直ちに意見表明すること、併せて法科大学院の三振制度の撤廃の提言等が考えられます。

2 業務基盤の拡大・確保

 弁護士数は激増しているにも関わらず弁護士の法律事務独占は次々と後退を迫られています。そして、他士業・サービサー・信託銀行などが従来弁護士の仕事であった分野にも続々と進出してきています。

 本来、弁護士数が増加すれば、弁護士の法律事務独占はより強固になって良いはずです。オールマィティに法律を扱える弁護士が増加するのですから、他士業等を参入させる必要は減少するはずだからです。

 ところが、現実は正反対です。このような事態を招いた原因の一つは、私には、弁護士業界の広告・宣伝の軽視と他士業の弁護士法違反を摘発する姿勢の曖昧さだったのではないかと思われます。

 インターネットでは、離婚専門や相続専門を名乗る行政書士がサイトを沢山開設しています。地裁で、形式的には、本人訴訟を行わせ、送達場所は自分の事務所と指定し、傍聴席から指示を送る司法書士も何人もいます。

 どの士業がどこまでのことができるのか、本当に頼れる法律の専門家は一体誰なのか、弁護士法に違反した場合どうなるのか等について、国民の皆様に知って頂く必要がどうしてもあると思います。同時に、悪質なネット広告を行う士業と戦う必要があるでしょう。

 そのためには、広告費増大の他、地方公共団体に他士業との違いを含めた分かりやすいパンフレットを配布する等、広報に力を入れると同時に、他士業との関係に留意しつつ、弁護士法違反行為には毅然と対処する必要があります。

3 国選弁護・国選付添人の負担金

 国選弁護、国選付添人の制度は、非常に低廉な報酬しか出ませんが、弁護士(会)全体で維持すべき制度であることは当然だと思います。国選制度の報酬を増額するよう求めていくことは、弁護士会として当然継続してやるべきです。

 ところが、国選弁護・国選付添人のわずかな報酬に対して、大阪弁護士会は5%の負担金を課しています。これは、犠牲的精神で国選制度を維持されている方にとって、2重の負担だと思います。

 私は、少なくともこの国選制度に関する大阪弁護士会負担金は、国選制度に登録されていない弁護士の方々で負担する方が公平だと考え、その制度の実現に向けて努力したいと思っています。

4 会内民主制の健全化

 現在の会長・副会長職は無給であり、殆ど専従しなければならない程の激務であるそうです。これでは、会長・副会長として執行部に所属しようとする方は、極めて余裕のある方でないと現実的には無理となります。しかし、そのように経営基盤を固めるには相当の時間がかかります。若手が自らの意見を執行部に所属して実現しようと考えても事実上不可能という現状になっています。また、私の経験上、選挙になっても、会派からの動員命令で若手の負担が大きくなるばかりではなく、政策論争というより情実選挙の様相を呈しているようにすら見えます。このような時代遅れの執行部選びをしていたのでは、時代の変化について行けません。また、会派による会派内意見統制も真に会員の意見を汲み取るためにはプラスではない場合もあると思われます。

 会内民主制の健全化を図るために、若手会員の会長・副会長就任時の援助制度や、選挙期間中の事務所訪問や電話による投票依頼の制限等も考慮すべきと私は考えます。また、総会議案の秘密投票を容易にする手段も考える必要がありますし、若手会員の意見を継続的に汲み取り反映するためのPTの設置行うべきです。

5 最後に

 今の大阪弁護士会は、法曹人口問題を大きな原因として、難破しかけている船に近い状態と私には見えます。今から急いで救命具を探しても、若手の数には足りません。また運良く救命具を身につけても船が沈めば、その渦に巻き込まれ、多数が生き残れない可能性もあります。旧来のやり方で難破しかかったのですから、早急に新しい視点の船長で船を救う努力をすべきであると、私は考えます。
 

Posted by sakano at 08:00  | パーマリンク |
2009年01月14日
法曹一元について~東京弁護士会の意見書関連

 法曹人口の大幅増加を容認した、平成12年11月1日の日弁連臨時総会で、法曹人口の大幅増加を容認する最も大きな理由の一つとして、法曹一元制の実現を期した、ということがあります(日弁連臨時総会議事録参照)。

 そもそも法曹一元という言葉を、多くの方は聞かれたことはないと思いますが、今日では、「(最高裁・簡裁判事を除く)裁判官の任用方法として、法曹資格を有する法律家のうち、裁判官以外の者、とりわけ弁護士から裁判官を採用しようとするもの」を意味するとされています。

 どうして法曹一元という考えが出てきたかというと、簡単にいえば、①日頃から一般の方と最も接点が多いと考えられる弁護士が裁判官になると、社会の実情を踏まえた広い視野からの判断が出来るのではないかという期待があること、②裁判官にも実際には転勤や昇給・昇格などによる官僚的人事管理が行われているのではないかとの疑問があったこと、③英米では法曹一元的裁判官採用制度を採ってきたこと、等の理由によるそうです。そして法曹一元制は弁護士会の悲願とされてきたようです。

 法曹一元制は、一見なるほどと思わせる主張です。

 確かに裁判官よりは弁護士の方が一般人である依頼者に触れる機会は多いでしょう。また裁判官が万一出世を気にしたり、次の転勤で僻地に飛ばされる危険を考えるとすれば、思い切った判決が書けないかもしれません。
 しかし、弁護士の方とて裁判官よりも広い視野を持っているという保証はありません。また一時自分の事務所を他人にまかせ、定年後にその事務所に戻ろうとする一種の腰掛け的意識が出ることはないのかという疑問もあります。
 なにより、国民の皆様が本当に弁護士が裁判官になる方が良いとお考えなのか、という根本的な問題が解決されていません。

 現実に弁護士の仕事をやっている実感からすると、法曹一元の実現は極めて困難というしかありません。なぜなら、裁判官に任命されるには、相当優秀な弁護士でなければなりません。それも相当優秀な弁護士が争って裁判官になりたがるようなシステムでなければ、優秀な裁判官を集めることが出来ません。しかし、優秀な弁護士が今まで時間と努力を注いで築いてきた経営基盤を全て捨てて、裁判官になるとはあまり思えません。収入が減る可能性が高いばかりでなく、転勤による子供の教育の問題もあるでしょうし、裁判官をやめた後、再び経営基盤をゼロから作り直すのは相当な時間と費用がかかるはずだからです。現に、弁護士を裁判官に任官させる制度はありますが、希望者が殺到しているとは到底言えない、お寂しい状況のようです。

 本当に、現段階で法曹一元制を実現し、優秀な弁護士を裁判官にして、より国民の皆様のためになる裁判所を目指すのであれば、①一度裁判官に任官すればそれだけで老後も大丈夫な程の高額な報酬を国家が保証するか、②弁護士が普通に仕事していては到底食えない程まで増員して、食えない弁護士よりも裁判官の方がマシと多数の弁護士に思わせるしかないように思われます。

 しかし、①は予算上困難(不可能)でしょうし、②は大多数の弁護士を食えなくさせ、しかも、国民の皆様に訴訟社会の到来というい犠牲を強いる方法なので、弁護士会として目指すべき法曹一元の実現手段というべきではないでしょう。

 このような、お話をなぜしてきたかというと、日本最大の弁護士会である東京弁護士会が1月13日に法曹人口問題に関する意見書を日弁連に提出したことと関係します。東京弁護士会の、法曹人口の激増スピードを緩めるべきであるという主張は、まだ良いのですが、法曹一元を目指すならば5万人の弁護士人口が必要であると、いまだに東京弁護士会は主張しているのです。

 東京弁護士会は、本当に今のままで法曹一元を実現できると思っているのでしょうか。①の実現手段が不可能な現状で、②の状況で法曹一元が実現しても、私は意味がないように思うのです。

 意見書を作成されるために多大な時間と労力を費やされたはずですから、関係された方々には本当にお疲れ様と申しあげたいところです。

 しかし、法曹一元を導入しないのであれば、5万人の法曹人口が必要という、最大の論拠はなくなるのです。現状では実現不可能というべき法曹一元の夢ばかり見るのはもうやめて、何が一番大事かという観点から、現実の需要を見据えた法曹人口問題を論じてもらいたかったという点で、少し残念な思いが残ります。

人の悩み

 こういう仕事をしているので、依頼者の方の悩みをよく聞かせて頂くことがあります。完全な人間なんていないのですから、悩みがあっても当たり前です。

 ただ、私自身も悩みがちであるということから、悩むことの辛さも少しはわかる場合もあるので、若干ヒントを出させて頂くことはあります。

 そのヒントとは、「悩みの99.9%は、悩んでいても、なんら解決につながらない」ということです。悩んで良い方向に転ぶ、若しくは悪くなることが止められるというのであれば、真剣に悩むべきですが、実は(私の経験上)、悩んでも現実には全く影響しないことがほとんどです。ですから、実は、悩んでいる時間は苦しいだけでなく、無駄な時間を過ごしてしまっている場合が多いということです。

 真面目な方ほど悩みます。悩み始めてしまうことは、それは性格ですから止めようがありません。しかし、悩んで苦しくなってきた時に、一度立ち止まって見て下さい。そして、「私は今とても悩んでいるけど、この問題を悩むことで、問題は解決されるのか。悩むことで問題は良い方向に転ぶのか。」と考えてみて下さい。

 ほぼ99.9%は、悩んでも解決につながらないことに気付かれるはずです。つまり、その悩んでいる時間はあなたの人生にとっては無駄になっている可能性が高い時間です。無駄な時間であると気付けば、別のことをしてみても罰は当たらないでしょう。ちょっと気分を変えて散歩するだけでずいぶん楽になる場合もあります。

 そうはいっても、すぐまた悩んでしまうこともあるでしょう。真面目な方ほどその傾向が強いようです。それでも、もう一度立ち止まって、悩むことで解決につながるのか考えてみて下さい。このように立ち止まる癖をつけると少し楽になってきます。

 もう一つのヒントは、悩みを他人に相談することですが、これについては、また追ってお話しする機会があるかと思います。

新年あけましておめでとうございます

 新年、あけましておめでとうございます。

 2009年が皆様にとって良き年になりますよう祈念しております。

 またイデア綜合法律事務所が皆様の幸せに少しでも寄与できるよう、更に努力していきたいと考えております。

 さて、2009年を迎えて、当事務所に新たな戦力が加わりました。

 池田聡弁護士・中嶋俊明弁護士・藤原誠弁護士(50音順)の3名です。

 本来ですと、昨年加入した太井徹弁護士と共に、当事務所のHPに載せなければならないのですが、HPの変更等についてどのようにするのか若干検討中ですので、先にブログの方でご報告させて頂きます。

 これで、当事務所の所属弁護士数は、パートナー5名、客員1名、アソシエイト4名の合計10名となりました。皆様には、これまで以上に充実したリーガルサービスをお届けできますよう、弁護士・事務局一同、更に精進する所存ですので、今後とも、イデア綜合法律事務所をよろしくお願いいたします。