一枚の写真から~21

マウントクック空港とスキープレーン

マウントクックハイウェイの途中にある小さな空港。

マウントクックや氷河観光用の飛行が主で、私は天気予報を確認してから、ハーミテージホテルで予約した。いきなり空港に出向いて、飛び込みで申し込めるかは不明。

写真のように、スキーを履かせて氷河になる前の雪原(ニーヴェ)に着陸する飛行機があり、これがお勧め。

ヘリコプターの観光飛行もあったと思うが、乗り物酔いしやすいので私はお薦めしない。

一枚の写真から~20

マウントクックハイウェイ(R80)

マウントクックハイウェイは、マウントクック以外にもこのような景色を見せてくれる。

休みが取れる時間の都合でGWの旅行だったが、南半球のNZは季節が日本と逆になるので晩秋の澄んだ空が美しい。

往来する自動車もそう多くはないので、豪快な自然を独り占めしたかのような感覚を味わえることもある。

一枚の写真から~19

Route80(マウントクック・ハイウェイ)から見る、アオラキ/マウントクック

マウントクック近郊は雨の多い地方だと言われているようだが、私は基本、晴れ男なので、美しい景色に恵まれることが多いように思う。

道路と比較すると山の大きさがよくわかる。

単なる山というより、ドラクエ等のボスキャラの居城という雰囲気すら漂う威容である。

損保会社の調査はこわい~8(裁判例では損保の勝訴ばかり?)2020/04/03当事務所HP掲載記事を転載

 現代では、コンピューターの発達により、判例検索がパソコンで可能になっています。おそらく多くの弁護士さんの事務所に導入されているはずなので、火災保険金を請求したが○○という理由で拒否されたという相談があった場合には、弁護士さんが判例検索ソフトで似たような事例を検索して、勝訴可能性があるかどうかについて、説明してくれる場合が多いと思います。

 ところが、判例検索ソフトによって表示される裁判例は、圧倒的に損保側勝訴の事例が多いのです。

 もちろん、訴訟になれば、お金に糸目をつけずに弁護士や専門家を多く投入し、ガチで戦ってくる損保の方が人員面でも証拠収集でも有利な面があることは否定できません。しかし、本当はもっと保険金請求者側が実質的に勝っている例があると私は考えています。

 それならなぜ、判例ソフトには損保証書ばかりの裁判例が出ていて、保険金請求者側勝訴の判決がわずかしか出てこないのだ?というご指摘があるかもしれません。

 理由は簡単です。

 損保としては、この案件は負けそうだと判断すれば、いくらか支払って和解してしまうという手段があるからです。そうなれば裁判例として残りませんから、「○○損保が裁判で負けて保険金の払い渋りをしていたことが明らかになった」、などと報道されたり、ネットで騒がれる風評リスクもありません。

 裁判官としても、和解であれば面倒な判決を書く必要がなくなるうえ、事件を一つ処理したことになります。判決になればどちらかが勝ち、どちらかが負けるので、負けたほうからさらに控訴されるなどして紛争がさらに継続する可能性もあります。控訴審で自分の書いた判決がひっくり返されることも裁判官としては嫌でしょうが、和解なら、争いがそこで終わるので、そのようなことも避けられます。裁判官としても和解で終わるなら大歓迎なのです。

 保険金請求者としては、和解を勧める裁判官から、判決になれば1円も認められないかもしれませんよ、と説得を受ければ、「それでも判決を下さい!」と勇気を持って言える人はそう多くありません。

 現実に判決を書く人から、判決になれば1円認められないかもしれないといわれることは、とてつもない恐怖です。不満だけども0円になるリスクは冒せない人が多いのです。なぜなら、保険金請求者は火災に遭って家を焼け出され、弁護士費用もようやく工面しているなど、経済的にとても追い込まれた状況にあることが多いからです。

 和解した事例は、判決が出たわけではありませんから、裁判所の判断もなされておらず、当然裁判例としては残りません。

 以上から、判決まで至ってしまうのは、損保が「まず勝てる」と考えていた事案ばかりだといってもいいのではないか、と思います。

 ですから、裁判例を調査してみたところ、損保の勝訴事例ばかりだということであっても、その損保勝訴裁判例の多さは、必ずしも実態を表しているとは限らないと考えることができる、ということになります。

 一度、弁護士さんに相談してみることが大事だと思います。

一枚の写真から~18

マウントクック(プカキ湖畔から望遠で)

 ツィゼルの町から、プカキ湖に沿ってマウントクックハイウェイを北上すれば、小さなマウントクック空港(観光用)を経由して、ハーミテージホテルなどがある、マウントクックの麓の街(アオラキ/マウントクック村)まで行ける。

 ハーミテージホテルなど結構なお値段だったので、私はテカポかワナカ辺りに宿(B&B)を取ってレンタカーで観光に出かけた。

 そこそこ雨が多い地域らしく、天気に左右されるだろうが、ハーミテージホテルからマウントクックはすぐ近くに見えるので、そこに宿泊すれば、夕焼けや朝焼け時のマウントクックが見られるかもしれない。

損保会社の調査はこわい~7(私の経験から その3-3)2020/04/01当事務所HP掲載記事を転載

 次に、損保側で報告書を書く専門家が、専門家とは思えない杜撰な論理展開で鑑定書を作成してくる場合もあります。

 損保が自作自演の放火であると主張してきた事例の中に、助燃剤として散布されたガソリン量を推定計算したという、A4で19ページにも及ぶ(株)○○○○鑑定センターの鑑定書が提出されたことがありました。

 その鑑定人は科捜研に専門研究員として勤務経験のある人でしたが、警察を定年退職した後に、火災・爆発事故などに関する調査を行う会社を設立し、経営してきた人でした。大学理系学部卒業の学歴も有し、平成18年以降だけでも、民事事件に鑑定人として関与し、勝訴した裁判例が50件以上あるとして事件番号もすべて自信たっぷりに開示してきた鑑定人でもありました。

 しかし、その鑑定人の採った、発火前のガソリン散布量の推定計算方法とは、あまりにも杜撰なものでした。

 単に、ガソリンの燃焼範囲(1.4~7.6vol%)からガソリンの蒸気量を推定計算し、ガソリンの蒸気が充満していたとの前提で、部屋の広さを掛け合わせただけで、ガソリン散布量を推定計算していたのです。

 このような計算方法を採用すれば、燃焼形態は一切無視され、部屋の広さの大小だけで散布したガソリン量が計算できることになります。
 つまり、少量のガソリンを撒いて火をつけ燃え広がった場合であろうが、床いっぱいにガソリンを撒いて火をつけた場合であろうが、部屋の大きさが同じであれば、同じ量のガソリンが存在していたという数値が算出されることになるのです。

 しかも、鑑定人の算出した計算値はものすごいものでした。わずか13m×9mの床面積の空間に約16ℓから約86ℓのガソリンが散布されていた、という途方もない計算をしてきたのです。

 これはもう、完全に裁判官を馬鹿にしているとしか思えない鑑定結果というほかありません。

 最低でも16リットル、最大で86リットルのガソリンに火をつけたらどうなるか、この鑑定人が知らないはずはないでしょう。

 だとすれば、考えられることはただ一つ、どうせ裁判所・裁判官・弁護士なんかは、細かいことはわかりゃしないんだから、損保が勝てる内容にしておけばいいんだ、という公正を旨とするはずの鑑定人の矜持すらなくした、損保(上得意)様への阿り(おもねり)です。

 このような、ずさんな鑑定を行う鑑定人であっても、平成18年以降、鑑定人として関与した事件のうち50件以上で勝訴しているということは、ある意味恐怖です。

 この鑑定人が、全ての事件で私たちの事件で出してきたような杜撰な鑑定書を出しているとは言いません。しかし、この鑑定人が行う鑑定は、少なくも鑑定人としての矜持を捨て去った鑑定人による鑑定なのです。上得意様におもねった可能性が高い鑑定書なのです。

 その鑑定人の鑑定書によって、本来救われるべき火災の被害者が、無念の涙をのまされ、本来支払われるべき保険金を支払ってもらえなかった事例が、きっとたくさんあるはずだ、と考えるほうが素直でしょう。

 私の経験から言えば、このような杜撰な鑑定書であっても、専門家が鑑定している以上、「計算が杜撰だ、おかしい」、と主張するだけでは、裁判官を説得しきることは、なかなか難しいのです。

 保険金を請求する側でも専門家に依頼して、専門家の鑑定に基づいて主張をしないと、なかなか裁判官は納得してくれません。しかし、火災に遭って焼け出された人に、それだけの余裕を持つ人がどれだけいるでしょうか。

本来火災保険で救われるはずの人が救われない。そんな理不尽があっていいのでしょうか。

 極論すれば、保険というものは、賭け事のようなものです。保険を掛ける人は、自分の家が火災に遭うかもしれないという側にbetし、損保は保険を掛ける人の家が火災に遭わないという側にbetします。

 また掛金(保険料)の率は、損保が損をしない比率で設定することができます。いわば、損保が負けようのない賭け事です。それにも関わらず、賭けに負けた途端、牙をむき、相手を放火魔扱いして支払いを拒むなど許されるものではないと思います。

 その許されない行為に加担する、専門家を自認する鑑定人や調査会社も、厳しく糾弾される必要があるように私は思っています。

損保会社の調査はこわい~6(私の経験から その3-2)2020/03/30当事務所HP掲載記事を転載

さらに、損保側の証人が、平気で虚偽の返答を法廷で行うこともあります。

 ある証人は、保険金請求者が気道熱傷を負っているが、その程度は大して重いものではない、だから保険金請求者が気道熱傷で集中治療室に数日入院したような場合であっても、本人は火災直後からしゃべれたのだから軽症であり、十分放火は考えられるという主張を行いました。

 その証人は、弁護士からの主尋問に対し、気道熱傷を受けた人の事件の調査をいくつも担当したことがあると断言したうえで、気道熱傷の場合、挿管されたうえで患者は3日から~7日の間は気道洗浄を行うこと、その後に抗生剤を投与するという治療を行うものであり、重傷であれば通常は2~3週間は入院するものであって、その間はしゃべることはできないものだ、と自信たっぷりに証言しました。

 ところが、反対尋問では、私たちは、日本熱傷学会の気道熱傷に対する治療ガイドラインを準備しており、そのガイドラインには、気道熱傷の重症度の診断基準はいまだ確立されていないということ、気道洗浄を継続的に行うという治療手法はガイドラインに記載されていないこと、等をすでに確認していました。

 証人に対して、その点を突っ込み、医学的な根拠に基づいて話しているのか、それとも素人考えなのか、と迫ったところ、最後に証人は「素人考えなんですかね。そうおっしゃるんでしたら・・・」と白旗を上げました。

 ただし、これは、たまたま主尋問が行われた日と反対尋問が行われた日との間に少し間があったため、その間を利用して調査・準備ができたという幸運に恵まれたためにすぎません。気道熱傷に関する知見については、準備書面では争点になっておらず、もし主尋問に引き続いて、反対尋問をしなければならなかったとしたら、後に弾劾証拠としてガイドラインを出すことはできても、ここまで劇的に証人の信用性を崩すことはできなかったでしょう。

 逆に言えば、裁判官が日本熱傷学会のガイドラインを知っているとは思えないので、こちらが弾劾証拠を出せなかった場合には、裁判官が、事実と異なる気道熱傷に関する証人の証言を正しいものとして受け入れてしまっていたかもしれないというリスクがあるのです。

 仮にこの証人が記載した経歴欄の通り、多くの裁判で証人として証言し、損保会社が勝訴してきたのであれば、裁判所はこの証人を専門家として扱い、その証言を専門家の証言として安易に証拠採用してしまってきたという可能性が否定できないように思うのです。

 尋問期日終了後に、その証人が相手方の弁護士さんに「すみませんでした」と法廷の外の廊下で謝っている声を聴いたときに、私たちの反対尋問は効果を挙げたことは間違いないと改めて確信することができました。

一枚の写真から~17

テカポ湖畔にあるバウンダリー犬の銅像

善き羊飼いの教会からすぐ近くの道路脇の岩の上に、バウンダリー犬の銅像がある。

バウンダリー犬とは、開拓時代に境界を守っていた牧羊犬だと聞いた記憶がある。

彼が見つめる、テカポ湖畔の秋の夕空は、ただ、ひたすらに澄み渡っていた。

一枚の写真から~16

善き羊飼いの教会その5(近景)

善き羊飼いの教会を逆光で狙った近景。

窓からの光は夕陽が向こう側からすけて見えているもの。

人影は何となく祈りのポーズにも見えるが、現実にはデジカメをチェックしている人影だったりする(笑)。

損保会社の調査はこわい~5(私の経験から その3-1) 2020/03/27当事務所HP掲載記事を転載

 損保会社の調査報告書が怖いのは、調査会社の調査だけではありません。専門家でも調査会社に平気でおもねった内容の報告を行ったりもするのです。

 そもそも、損保会社が報告書を書かせている「専門家」が、実際にはそうではなかったという例もあります。


 調査会社を経営していて、科捜研などに勤務経験のある方に指導してもらい、様々な裁判で意見を述べたり証人として証言しているという人を、損保が裁判の証人として出してきたことがありました。

 証人の経歴書には、様々な経歴や多くの裁判での輝かしい証言歴が書かれていましたが、私はその証人の経歴のうちある部分に注目しました。
 

それはその証人の経歴には、「学歴に関する記載がない」ということでした。

 火災に関する専門的知見を認定する国家資格もありませんし、普通の大学にも火災学部などという分野はありません。

 したがって、自分が火災に関する専門的知見を有することを示すには、どのような大学で何を学んだのか、その後どのような会社等に勤務して何を学んだのかが大事なのです。


 何度も、放火事件に関する証人尋問をやっていれば、専門家を自認する人は経歴において学歴はほぼ必須といっていいほど記載されてくる事項であることはわかるのです。

 話は少しずれますが、経歴は注意して読まなくてはなりません。

 例えば、お医者さんのHPの経歴欄を見ても、医学部卒業後、京大病院●●医局にて●●担当などと書かれている場合、うっかり読み流すと、この先生は京大医学部卒業なのか~と勘違いしてしまいます。しかし、よく読んでみると、このお医者さんが京大医学部を卒業したとはどこにも書いていないのです。

 どこの大学か分からないけれど、とにかく医学部を卒業して医師になり、そのあとで勉強のため等で京大病院に勤務した経験があるという記載だけなのですね。

 話を戻しますが、損保の出してきた証人について、学歴に関する記載が経歴書に記載されていなかったことから、私はおそらく専門知識を勉強したといえるだけの学歴を証人は持ち合わせていないのだろうと推測しました。

 尋問の際に直接その点に切り込んでみると、案の定、証人は大学の工学部などの卒業ではなく、高校の商業科の卒業であることが分かりました。また、ガソリンをペットボトルなどに入れて保管したのではないかなどと、常識的におかしいと思われることなども証言しており、証人の信用性を大きくぐらつかせることができました。

 ただ、実際にこの証人に反対尋問して感じたのは、この証人は尋問に慣れているなということでした。

 例えば、自分のわからないところを分かっているかのように主張したり、不確かなことを確かであると誇張して証言したりはせず、分からないことはわからないと述べるなど、自分の防衛ラインをきちんと守ったうえでの証言に徹する点は、さすがに豊富な経験を物語るものでした。

 通常、証人という立場からは、反対尋問を受ける際には、つい防衛ラインを引き上げてしまいたいところなのです。例えて言えば、①大阪在住の人が「USJで暴行現場を見たことがない」というために、「USJには行ったこともない」と大げさに言ってしまうような場合、②妻に浮気を疑われ、「その女性の同僚とは確かに食事を一緒にしたことはあるが、不倫はしていない」と弁解すればいいところを、つい「その女性の同僚とは会社の外で食事したこともない」と言ってしまうような場合が、この防衛ラインの引き上げに当たります。
 それをやってしまえば、引き揚げた防衛ラインは嘘で固めたラインなので追及する側からはもっとも突破しやすいラインとなったりもします。
 先の①USJの例でいうと、小学校・中学校の遠足先、両親とのお出かけ先などを聞いていくと、大阪の他の名所は全て行ったことがあるが、USJだけは、なぜか行ったことがないという奇妙な主張が浮かび上がったりします(大阪弁護士会でいわれている「田原坂ルール」)。②についても、防衛ラインを引き上げた結果、妻からお二人様の食事のレシートを突き付けられた場合には、もうアウトです。

 今回の証人は、自分の守備範囲をきちんとわきまえて、防衛ライン内で戦ってきたので、その意味では場慣れした手ごわい相手であったと思います。

 しかし、証人の証言は、調査会社の調査報告書に沿った内容としなければならないため、本件座布団の存在などについては、具体的な説明ができず私と永井君の反対尋問を躱しきれなかったのです。