2015年のGWのこと。
夕方以降は、ほとんど車もすれ違うことのない、NZ南島の国道。
大きな月が、湖面に光の路を拓いたのを見かけた。
気付いたことなど不定期にアップしていきます。
2015年のGWのこと。
夕方以降は、ほとんど車もすれ違うことのない、NZ南島の国道。
大きな月が、湖面に光の路を拓いたのを見かけた。
昨年「分限裁判」で、最高裁から戒告処分を受けた岡口判事が、自らの分限裁判に関して書いた本である。
この本の中で岡口判事はこう語る。
「だが、バッシングを畏れて世間に迎合する判決を下すようになったら司法は終わりである。」
かっこいい!
建前でこう言える人は多いだろうが、本音で本心からこう言える人はそうはいない。
分限裁判を担当した最高裁判事で、岡口判事のように身命を賭して断言できる裁判官は何人いるだろうか。
平易な文章で書かれているため、法曹関係者以外でも十分読める。
法曹関係者だけでなく、多くの方に是非読んでもらいたい。
本日午後2時頃の、京都川端通り(今出川通りより北を望む)のソメイヨシノの並木。
おそらく、明日か明後日には満開だろう。
暖かいので、週末までもつのか少し不安だが、お天気が良ければ凄い人出になりそうだ。
ちなみに、昨年満開になったのは3月30日頃。
今年は急に冷えたため少し遅れ気味。
その茶碗を見たのは、確か3年近く前のETV特集だったと思う。
何の気なしに食事をとりながらTVを見ていた私は、ある場面で思わず「うわ~」とため息を漏らし、箸が止まってしまった。そして食事を中断し、慌てて録画機能のある2階のTVのところまで階段を一段飛ばしで走っていくはめになったのだ。
そこには、黒塗りの茶碗の内側に、星がきらめき、青白く燃え上がりつつもその輝きを自在に変化させる光彩が映し出されていた。おそらく大自然の営みでしか描き出せないと思わせるような、奇跡的な美しさが画面一杯に広がっていた。人知を越えた存在にしか作り出せないような美しさを、人工物である茶碗の中に捕まえて固定したように見え、大げさに言えば宇宙を流れゆく時間、そして宇宙の中できらめく一瞬の命の光までをも封じたかのような感覚に、私は囚われていた。
焼き物など全く興味のなかった私だが、この美しさには、すっかり、やられてしまったのだ。
TVの解説では、この茶碗は「曜変(耀変)天目茶碗」というものであり、中国で宋代に作られた物であるが、現存する3椀は全て日本に存在しており(静嘉堂文庫蔵、藤田美術館蔵、大徳寺龍光院蔵)、またその3椀とも国宝指定されているとのことだった。
遠藤憲一さんのナレーションで、TVの中では、中国で4つ目の曜変天目が破損した形で発見され、科学的分析を試みようとしたことや、その再現に挑み続ける日本の陶工の苦闘を描いていたように記憶する。
後に、お宝鑑定のTV番組で、鑑定士が「本物の曜変天目茶碗」であると鑑定したものが偽物かどうかで話題になったので、記憶されている方も多いと思う。
その国宝である曜変天目茶碗が、今年(2019年)3椀とも公開される。
龍光院蔵のものが、MIHOミュージアムで
藤田美術館蔵のものが、奈良国立博物館で
静嘉堂文庫蔵のものが、静嘉堂文庫美術館で
それぞれ公開される。
私は、最初に公開時期が到来した、龍光院蔵の曜変天目をMIHOミュージアムで見てきた。
公開初日、しかも開場20分ほど前にMIHOミュージアム入り口に着いたが、既に30人くらいは並んでいた。開場と同時に、他の展示はさておき、まずは曜変天目茶碗の展示に急ぐ。途中小走りに何人かを抜き、たどり着くと、意外にあっけなくその国宝は姿を現した。暗い部屋に周囲をアクリル板で丸く円柱状に囲われて、照明を浴びつつ少し控えめにその茶碗は佇んでいた。
なんとか最前列までたどり着き、人混みに押されて顔をアクリル板に押さえつけられたりしながら、おおよそ半周ほどは眺めることができた。さすがに、人垣の後ろで待っている人も多くいる中で、それ以上長時間眺めることは気が引けてしまったのだ。
映像や写真で見たことのある他の曜変天目茶碗に比べると、派手さに欠けるが、それはそれで味があった。
普段は参拝客らに公開されていない静かな大徳寺の塔頭で、長い年月の間、様々な事象に遭いながらも大事に保管されてきた状況が、茶碗の雰囲気としてまとわりついているかのようだった。
素直に、見に来て良かったと思った。
なお、MIHOミュージアムには重要文化財の耀変天目茶碗も存在する。
これは加賀の前田家伝来の茶碗であったものが、作家の大佛次郎の手を経てMIHOミュージアムに来たものだそうだ。この茶碗を曜変天目として分類するかについては異論もあるようだが、端正な面持ちの茶碗だった。
ほとんどの人が国宝の龍光院蔵の曜変天目だけに注目していたようで、MIHOミュージアム蔵の耀変天目の展示ブースには、私の他に人影はなかった。