「第三の開国!」、「バスに乗り遅れるな!」などと、既にTPP参加を前提に政府は前進しているようだが、未だにTPPの内容がよく分からない。きちんとした内容を報道している新聞も残念ながらまだ見たことがない。
私の調査不足かもしれないが、TPPの日本語訳も公表されていないように思われる。TPPが国民生活に何らの影響を及ぼさないのであればいいのかもしれないが、もし、多大な影響を及ぼすものであれば、その内容を国民に示して、賛否を問うべきだ。
私も新書などで、TPPに関して知識を取り入れている最中だ。TPP反対側と思われる書籍はいくつか出ているようだが、TPP賛成側の書籍が見当たらないのはどうしてだろうか。
まだ、ほんのさわりしか読んでおらず、その範囲で分かったことに過ぎないのだが、かなり大まかに言えば、TPPはFTA(2国間自由貿易協定)の拡大版であるらしい。しかも、TPPの方が縛りが強烈であるらしい。つまり、FTAは、お互いの国情に合わせて譲れない分野を例外とし、残りの分野で関税撤廃などの連携を広げるのに対し、TPPはその例外を一切認めないものらしい。
誤解を恐れずに簡単に例えて言えば、
のび太としずかちゃんが、「おやつ」の交換協定(FTA)を結んだとすると、のび太としては、どら焼きは大親友のドラえもんの大好物なんだから、「おやつがどら焼きのときは交換しない」という例外を認めた約束を結べる。
しかし、のび太としずかちゃんだけではなく、スネ夫とジャイアンも加わっておやつの交換協定(TPP)を結んだ場合は、どんなにのび太やドラえもんにどら焼きが大事でも、ジャイアンが全てのおやつ交換を主張すれば、例外なく、のび太は応じなければならなくなる可能性があるようなのだ。
しかも、TPPの適用範囲は農業だけに限定されず、労働条件・医療・知的財産権関連・司法、等様々な分野に及ぶ可能性があるようであり、その中心(ジャイアン)には、アメリカが控えているようだ。
もう少し、勉強してみないと分からないが、TPPにはかなり危険な匂いがする。韓国は参加しないようだし、中国も参加しない方向らしい。一説によると、日本と中国がFTAを締結すべく話を進めていたところ、尖閣諸島事件が発生し、その対応の拙さから日中間FTAがお流れになり焦った菅内閣がTPPに参加することで成果を上げようと目論んでいるとの話もあるようだ。また、輸出企業・グローバル企業からは賛成の声も上がっているらしい。
もしTPPが本当に危険なものなら、内閣の成績アップのために、一部の企業の利益のために、国民生活を犠牲にされてはたまったものではない。
経済界の(一部?の)声に流されて失敗したのは、司法改革もおんなじだった。あれだけ弁護士が必要だとわめいていた経済界だったのに、いざ増員してみると弁護士を採用した企業はほんのわずか。今後も採用する気はないという。
企業は飽くまで営利団体だから、営利性に応じて立場を変えることはやむを得ない。しかし、だからこそ、その営利性に則った発言をあまりに重視しすぎると、引き返せない船に乗せられてしまう危険性がある。
本当に必要なTPPなら、きちんと情報を開示したうえで、どの範囲の国民生活にどのような影響が及びうるかを示し、そのメリットとデメリットを公正にピックアップした上で、なおメリットの方が多いはずだということを十分な根拠とともに、国民に説明すれば納得してもらえるはずだ。
まず、菅内閣とTPP参加を希望する企業はその情報開示義務と説明義務を国民に果たす必要があるように思う。