雀のお宿

 

 確か、日本昔話の舌切り雀に、おじいさんが雀(スズメ)のお宿を探す話があったと記憶している。まあ雀のお宿なんて、お話だけだろうと私も思っていた。

 ところが、実は近所に、雀がねぐらにしている木があり、日暮れ近くになるとスズメが群がって騒いでいるのをよく目にする。雀がねぐらにしているのだから、これが本当の雀のお宿と言って良いような気がする。

 近所のコンビニのすぐ近くにある道路沿いの銀杏の並木のうちの一本が、私の知っているスズメのお宿である。銀杏並木なので、すぐ近くにも別の銀杏の木があるのだが、どういうわけか雀たちは、その1本だけに執着しているようなのだ。

 夕方近くになると、それぞれの雀が、銀杏の木の中で、より良い寝場所を奪い合っていると思われ、チュンチュンと鳴きあう声と羽ばたきで、かなり騒々しい。寝るのには明るすぎるコンビニの近くではあるが、近所の糺の森(下鴨神社)にはフクロウなどがいるので、夜間に襲われたりしないように、敢えて人間の居住領域の近くに集まるのだろう。
 夜になると流石に静かになるが、それでも雨が降っている際などには、時折雨に直撃されて驚いたのか、チュ、チュンと小さく鳴く雀もときどきいる。

 子供の頃であれば、雀たちの寝静まった頃を見計らって銀杏の木に蹴りを入れて、雀を脅かしてやろうと、ちょっと悪い悪戯も考えたかもしれないが、さすがに今はそのようなことはない。
 小さな白い雀の糞が、銀杏の木周辺にかなりの頻度で散らばっているのが少し不衛生な気がしてしまうのだが、逆に言えば、頻繁に宿替えをしてあちこちの銀杏の木の下を糞だらけにするよりは、良いのかもしれない。

 ただ京都市では、銀杏の並木が落葉を散らす前に、枝を切ることが多かったように記憶しており、銀杏の伐採により丸裸になった銀杏の木では、夜間に外敵から身を守るという雀のお宿の役目は果たせなくなる。

 今年はどうだろうか。

サン・ミケーレ島(ブログ記事とは関係ありません。)

一枚の写真から~80

夏の夜の倉敷

倉敷の美観地区は、夏の夜でも人通りが多い。

しかし一歩脇道に入れば、素敵な街並みと満月を独り占めできることもあるようだ。

こんな光景に出会ったとき、未来に対してボンヤリとした不安をいつも抱えていた高校時代の自分に、大人になった自分から、ひとこと言葉をかけてやりたかったなと、ふと感じるときが、なぜかあったりするのである。

一枚の写真から~79

以前、乗っていたスカイラインクーペ。

流れるようなスタイルが美しく、6速MTで13年で16万キロほど走った。

ゴルフ場の駐車場で当て逃げされて傷んでしまい、やむを得ず買い換えたが、とても良い車だった。

この写真でも拡大すれば分かるが、駐車場では、野良三毛猫の休憩所になっていたようだ。

一枚の写真から~77

京都の夏空

暑すぎて、空を見上げるのも辛いくらいだが、誰も見ていなくても、美しい空が現れているときがある。