令和2年度の司法試験最終合格者が発表された。
合格者は1450名、受験者数3703人に対する合格率は39.16%だったそうだ。
しかし私は、恐ろしくてたまらない。
以前ブログに書いたように、平成30年に法務省は司法試験の短答式試験(マークシート方式)の出題を簡単な基礎的問題に限定すると発表している。
今年の短答式試験は、175点満点、平均点118.1点、合格点93点以上(但し各科目40%以下は不合格)とされているが、平均点を25点下回っても短答式試験に合格するし、短答式試験に合格すれば、ほぼ2人に1人は最終合格してしまう。
短答式試験の得点別人員調を見れば、なお恐ろしい。
そもそも、法務省が発表したように短答式試験は、問題が基礎的で簡単なものしか出題されなくなっているから、相当高得点が取れてもおかしくはない。
したがって、1科目でも40%以下の得点をとってしまうような受験生は、基本条文も知らないだろうし、極論すれば法科大学院を卒業できるはずがないレベル、司法試験受験生を名乗って欲しくないレベルというほかない(マークミスを除く)。
さて、法務省が発表した「令和2年司法試験短答式試験得点別人員調」によれば、1科目でも40%未満をとらなかった受験生は3024名。
そのうち、総合93点以上をとって短答式試験に合格した受験生は2793名、92.36%!なのである。
つまり、もはや短答式試験は、実力がある受験生を選別する試験ではない。受験生ともいえない低い実力しかない受験生を弾く機能しかもっていないといっても良いだろう。
そして、完全なザル試験になっている短答式試験に合格すれば、論文式試験で2人に1人は最終合格してしまうのである。
短答式試験で5~6人に1人に絞られ、さらにその中からさらに論文式試験で7~8人に1人に絞られ、口述試験も課せられた、私の受験時代とはもはや全く違う。
上位合格者の方々はそうではないだろうが、レベルの低くなった合格者が多数輩出されることは間違いない。
本当に資格を与えて良いのだろうか。
一般の依頼者の方が、弁護士の実力を判断することが極めて困難である以上、資格を与えてしまった後では、自由競争で淘汰されることも無理である。
私は、本当に恐ろしい。