兵庫県弁護士会が、近畿弁護士連合会(近弁連)大会に、司法試験合格者を1,000人にするべきとの決議案を上程しようとしていました。
近弁連大会で議題にするには、近弁連理事会で承認されなければなりません。
ところが、本日、近弁連理事会決議で、兵庫県弁護士会の案は、賛成6、反対29で否決されました。
近弁連大会で議題にすることすらできなかったのです。
伝聞ですが、各単位会会長の理事会での意見が流されてきました。
大阪の中本会長の御意見は次のようなものだったそうです。
・ 法曹養成フォーラムで法曹養成問題と法曹人口 問題がこれから議論される。
・ 大阪でも法曹人口の人数については議論されていない。
・ 1000人という数字については、全く話しをしていない。
・ 会として意見を言える段階ではない。
・ むやみやたらと数を出すべきではない。
・ 戦略論もあり、もっと考えた上で出すべき。
(もし間違っていたなら、ご指摘下さい。その旨、訂正致します。)
(追記 9月20日の大阪弁護士会常議員会で、中本会長が本件について言及され、ご発言の趣旨について解説されました。但し、坂野がきちんとメモを取れなかった部分もあるため、後日、中本会長とお会いする機会がありましたら再度お聞きして、ご発言の趣旨を踏まえて訂正しようと思います。ご指摘有り難うございました。)
今後法曹養成フォーラムで、司法試験合格者も含めた議論がなされることは事実です。しかし、法曹養成フォーラムは、有識者委員の顔ぶれから見ても分かるとおり、法科大学院擁護の基本路線が前提にあり、現実を見据えた議論ができていません。給費制でも結局法科大学院擁護派有識者の声の大きさに押された面も少なからず見えたように思います。
そのようなフォーラムに期待できるとお考えなのでしょうか。まずそこが疑問です。
次に、大阪でも法曹人口の人数については、議論されていない。とのことですが、議論できないようにされているのです。 私は常議員として大阪の常議員会で、畑会長・金子会長・中本会長のいずれに対しても、法曹人口を検討すべきPTを設置して欲しいと言い続けてきました。しかし、歴代会長は、法曹人口問題は日弁連マターであるとして、一向に法曹人口問題に関するPTを設置してくれませんでした。議論の場を設定しないという状況にしておきながら、大阪で議論されていないから、とはちょっと理解できません。
1,000人の数字については、全く話しをしていない。ということですが、近弁連=大阪ではないのですから、近弁連大会で議論をすればよい問題だったのではないでしょうか。近弁連大会で議論する機会すら設定しないとは、これも理解できません。
会として意見を言える段階ではない。ということですが、そういう段階に至っていないのは、要望を出していたのに前述のPT設置すらしてこなかった、ここ数年の執行部の責任ではないでしょうか。また、近弁連の意見をまとめるための近弁連大会ではないのでしょうか。
むやみやたらと数を出すべきではない。ということですが、逆に日弁連が相当数の減員という主張をして国会などに陳情に赴いた際、では具体的にどれくらいを想定していますかと聞かれた際に、どう答えるつもりなのでしょうか。相当数減員という玉虫色の主張の方が、むしろ問題が大きいのではないでしょうか。
戦略論もあり、もっと考えた上で出すべき。とのことですが、現在どのような戦略を会員のために立てているのでしょうか。具体的な戦略など、残念ながらお聞きしたことがありません。戦略をお考えなら、当然大阪弁護士会なり日弁連なりでその戦略に沿った動きをする必要があるはずですが、そのようなお話は、少なくとも私はお聞きしたことがありません。現実には、どの程度の戦略を練っておられるのかも分かりません。逆にいえばいつどのようにして出すおつもりなのでしょうか。それも示さずに、戦略があるからといわれても、納得できるはずがありません。
ただ、近弁連大会にどうしても、議案を上程したくなかった理事者の本音はおそらくこうでしょう。
近弁連大会の議題に提出された場合、その議決は、出席者の多数決で決まります。今までのように、委任状をかき集め会派の動員をかけて、多数決で押し切ることが困難なのです。それを恐れたのでしょう。
いずれにしても、各単位会内で議論していないというのは理由になりません。だってそのために近弁連大会という、近弁連の意見を決めるために議論する場が設定されているのですから。
納得のいく説明を聞かせて欲しいものです。
※なお当ブログの記載は、当職の個人的意見であり、当事務所の他のいかなる弁護士にも関係はございません。