今年1年有り難うございました!

 ウィン綜合法律事務所は、本年度の業務を本日、12月26日で終了致します。

 イデア綜合法律事務所からウィン綜合法律事務所になり、そして本日まで、御支援頂いた全ての方々に、心より御礼を申しあげます。

 当事務所にお出で頂いた方の心の重荷を少しでも軽くできるよう、今後も努力を続けて参所存です。

 なお、新年は,1月5日9:30~より通常どおり事務所を開ける予定です。

 新年は、新たな気持ちで、しかし初心を忘れずに精進致しますので、ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申しあげます。

平成26年12月26日

裁判官任官者数

 公式に、最高裁はまだ発表していないかもしれないが、今年の裁判官任官者数は、101名になるようだ。

 そのうち、予備試験合格者は12名いるとの情報がある。

 もし上記の情報が正しいとすれば、裁判官任官者数のうち11.88%が予備試験ルートの司法修習生から任官されているということになろう。

 翻って、今年の任官者は平成25年の司法試験合格者である。平成25年度司法試験合格者数は2049名、そのうち予備試験ルートの合格者は、120名である。予備試験ルート組の比率は5.8%である。

 法科大学院終了者と予備試験合格者が全く同一の資質を持っているのであれば、司法試験合格者中の予備試験ルート組と、裁判官任官者数中の予備試験ルート組の比率は、同一と言わなくてもかなり近い数字でないとおかしいはずだ。

 特に法科大学院が言うように、法曹としての必須の能力を法科大学院のプロセスによる教育で身に付けなければならないのなら、そして法科大学院の言う法曹としての必須の能力が本当に正しいのなら、現実とは逆に法科大学院終了者の比率が高くなっていなければならないはずだ。

 なぜなら、法科大学院の主張によれば、「法曹としての必須の能力を身に付けるプロセスによる教育」を経ていないのが予備試験合格者になるはずだからだ。

しかし現実は全く逆である。

 近時は特に裁判官は優秀な修習生が採用されることが多いという傾向・経験則?からは、予備試験組が法科大学院組より優秀であるし、裁判官という実務家としての適格性も高いということであり、最高裁も同じように考えているということになるだろう。

 これは、法科大学院が常々言っている、「プロセスによる教育を通して身に付けなければならない法曹としての必須の能力」とやらが、最高裁から見れば全く裁判官の実務に関係のない能力であると判断されているのだといっても言い過ぎではないだろう。

 それなのに法科大学院は、予備試験を制限するよう提言している。

 理由はプロセスによる教育が歪められるからだそうだ。しかし、そもそも実務の現場から見て、役に立っていると評価されていないプロセスによる教育(最高裁から評価されているのなら法科大学院卒業者の方が裁判官に高い率で任命されていて不思議ではない)なら、むしろ存在しない方が有益だ。

 時間もお金も税金も掛けて,実務から評価されない教育を施して誰が得をするのか。法科大学院で教鞭をとる人間(間接的には自分の子供に後を継がせたい弁護士)だけではないか。

 確かに法律に詳しい教員であることは間違いないだろうが、そもそも法科大学院の教員には、司法試験に合格したこともない教員、実務を経験していない教員も多い。よく考えなくったって、それ自体がおかしいだろう。

 いくら自動車の構造や交通法規に詳しいからといって、どこの自動車学校に自動車免許を持たず、実際に公道を運転したことがない状況で運転を教える教官が存在するのだろうか。

 そんなとんでもない自動車学校を卒業して免許を取得した人の事故率が高く、免許試験場で一発試験で合格して免許を取得した人の事故率が低い場合に、どちらのルートを優先すべきかは小学生にだって分かろうというものだ。

 有識者と言われる大学教授らで構成される中教審・法科大学院協会は、こんなこともわからず(わかっていても無視して)予備試験制限を主張する。

 これ以上現実から目を背けることは、本当に辞めて頂きたい。私はトップクラスの法科大学院は評価しているが、少なくとも全体的に見ればこの制度は失敗だ。

 法科大学院は、正直に、「私達はきちんと教育できると思っていましたが、できませんでした。今までできると申しあげて、税金を投入して頂いてスミマセン。」と謝るべきなんじゃないだろうか。

検察官任官者に思う。

司法修習を終えた新任検事74人が22日、東京・霞が関の法務省で、上川陽子法相から辞令を受け取った。全体の39%の29人が女性だったそうだ。
 法務省人事課によると、新任検事の年齢は23~33歳、平均26.8歳だったそうだ。出身法科大学院は、慶應12、早稲田9、中央・東大各7、京大6の順らしい。予備試験の合格者は、昨年より2人増の4人だったとのことだ。

 報道が正しいとすれば、新任検事の実数は昨年の82人より8名減少したことになる。
 私が注目するのは、予備試験ルートの合格者が任検者に含まれている点だ。

 そもそも法科大学院側は、法曹としての必須の能力をプロセスによる教育で身に付けさせる必要があると主張してきた。その反面、法科大学院卒業者の司法試験受験制限の理由として、法科大学院のプロセスで身につくものは5年で失われるから5年で3回の受験制限をしても良いと説明してきた。この、ほぼ完全に矛盾する説明を法科大学院擁護派の学者が真面目に主張したこと自体、噴飯ものだが実務はもっと冷ややかだ。

 以前のブログにも書いたが、大手法律事務所はこぞって予備試験合格者を優遇する就職説明会を開いていた。
http://www.idea-law.jp/sakano/blog/archives/2014/01/24.html

 最近は、弁護士会からの圧力か、あまり目立たないようになってはいるが、大きな声では言えないが予備試験組を採用したいというニーズは、今でもあちらこちらで聞かされる。

 そして、法務省も法科大学院を経由しない予備試験ルートで司法試験に合格した司法修習生を法曹適格者として検事に任命しているのだ。裁判官にも予備試験ルートの司法修習生が採用されていたのなら、最高裁も予備試験ルートの司法修習生を法曹適格者として認定していることになるだろう(これは現段階では未確認。)。

 これは即ち、現場サイド(少なくとも大手法律事務所、法務省)から見れば、法曹適格者として必須の資質は、何も法科大学院でプロセスを経た教育を受けなくても身に付けることができるということである。法科大学院のお金と時間のかかる教育を受けなくても法曹適格者としての必須の資質が身につくのであれば、なにも、時間と費用を掛けてしかも税金まで大量に投入して法科大学院を維持する必要などないではないか。

 お金と時間と税金を掛けて、素晴らしい製品を生み出していると、ある企業がいくら必死に主張しても、その製品が実務に受け入れられないばかりか、お金も時間も税金もかからずに同じ製品が生み出せるとするならば、その企業は無用の長物であるどころか、むしろ税金を食いつぶすだけ有害な存在である。

 少なくとも撤退する法科大学院は、投入して頂いた税金を国民の皆様にお返しするくらいの気持ちでいて欲しいものである。撤退しない法科大学院は、せめて予備試験組の司法試験合格率に近い合格率を出せるよう、必死にやって頂きたいものである。

O君おめでとう

 私は、関西学院大学法学部と、大学院法学研究科で非常勤講師をしているが、法学部で演習を受講していたO君が、弁護士になったと挨拶状を送ってくれた。

 おそらく、かなり厳しい就職戦線を頑張って勝ち抜いたのだろう。

 正直言って、昨今の弁護士をとりまく厳しい環境下で、弁護士になったことを手放しで喜んでいいのかどうかはわからない。

 しかし、O君は自分の夢をかなえたのだ。そのことは賞賛に値する。

 O君、これからが本番だ。しっかり勉強し研鑽を積んで、多くの人の助けになってあげような。

花岡幸代さん、コンサート決定

かつて、ブログで、花岡幸代さんのことを書いた。

http://www.idea-law.jp/sakano/blog/archives/2014/07/15.html

http://www.idea-law.jp/sakano/blog/archives/2014/07/18.html

その花岡幸代さんが、ほぼ20年近くの時を経て、復活ライブコンサートを開催することが決定している。

花岡幸代 LIVE 2015 ~あの頃のまま~
< 18年ぶりのステージは、育った街、柏から >
■ 2015年1月10日(土曜日)
■ 千葉/柏 Studio WUU 【http://www.wuu.co.jp/】
● 千葉県柏市柏1-5-20 プールドゥビル 5F
● 電話:04-7164-9651
● JR東日本 常磐線 快速・各駅停車(東京メトロ千代田線直通) /東武アーバンパークライン(野田線)
 「柏駅」下車。中央東口より徒歩3分。
■開場17:00 開演 18:00
■前売り・予約 3,000円 / 当日 3,500円 + Drink
※サポートゲスト:板倉雅一

私も予約した。

日程調整中だが、なんとか、花岡さんの本当に久しぶりのステージを拝見したいと思っている。

理想でご飯を食べる秘術?

 先日の常議員会で、成年後見人・成年後見監督人に対する報酬に負担金を課す議案が討議された。
 提案理由の説明について、無報酬案件などの補助の必要性などが挙げられていたが、私は、二つの理由で賛成しなかった。

 一つ目の理由は、成年後見業務・成年後見監督業務には、採算性がない事件が多いため(もちろん全ての事件が採算性がないとは言わないが採算が取れない事件の方が私の経験上遥かに多い。)、成年後見人・後見監督人の報酬に負担金を課すことは、採算性のない当該事件を担当している弁護士にとって二重の負担となるという点だ。
 採算性のない成年後見業務・成年後見監督業務でも弁護士全体が支えて行うべき業務だと考えるのならば、全会員から特別会費を徴収して行うのが筋である。採算性のない成年後見業務・成年後見監督業務を経済的に見合わなくても弁護士としての使命感から、頑張って業務を行っている弁護士に、さらに負担金を負担させるのは、あまりにも当該弁護士にとっての負担が大きすぎるのではないだろうか。
 採算性のない成年後見業務・成年後見監督業務を仮に弁護士会が維持しなければならないのなら、むしろ、そのような採算性のない案件を等閑視し、儲かる案件ばかりに走る弁護士に負担させるのが筋ではないか。
 大阪弁護士会は、国選弁護事件にも負担金を課しているはずだが、これと同じ問題が生じているように思うのだ。

 二つ目の理由は、弁護士がどうして自腹を切って無報酬案件を受任しなければならないのかわからないという点だ。
 基本的に成年後見人・成年後見監督人の報酬は貢献を受ける人達の負担だ。自分のためについてもらうのだから当たり前である。しかし、市町村からの申し立てられた案件には、経済的に困窮している人達の案件も多い。行政がお金を出してくれればいいが、申立はしてやるがお金は出さないという身勝手な自治体が実は多い。こういう案件は、弁護士が(泣きながら)無報酬やごくわずかの報酬でやっていたりする。私自身も、次は良い案件を回しますからと言われて、(もちろんそんなに期待はしなかったが)極めて低報酬の成年後見監督人を受けたことがあるが、その後でも結局、良い案件は回してもらえなかったぞ(笑)。

 しかし、この状況は明らかにおかしいだろう。

 いくら公益のためとはいえ、無報酬や仕事に見合わない報酬で働くことを余儀なくされるいわれはないはずだ。
 もちろんボランティアなら、それでもいいだろう。余暇の時間を使って、自分の意思で奉仕活動行うからだ。しかし、成年後見業務は余暇の時間にできるとは限らない。通常の業務時間に行わなければならないことが多いのだ。純然たるボランティアと違って、どうしても通常の業務時間内に事務員なども動員して、つまりは無報酬案件であっても時間と経費を負担して業務を行う必要がある。弁護士だって職業だ。弁護士業で生活を支え、家族を養わなければならない。
 どこのタクシー会社が、ワンメーター料金も支払ってくれないお客を、大阪から京都まで載せてくれるというのだ。どこの新聞社が100円で一月分の新聞を購読させてくれるというのだ。いずれもサービスに見合ったお代を頂戴するからこそ事業が成り立っているはずなのだ。医師会だって、医療過疎地域への医師派遣は、経済的な裏付けがあること(要するに食えるかどうかということ)が大前提だとしていたはずだ。何もおかしなことではない。職業とはそういうものであるはずだ。
 
 だから私は、本当は弁護士会は、そのような非採算案件については、きちんと理由を説明して、これ以上受けることができない、と説明するべきではないかと思うのだ。決しておかしなことではないはずだ。
 泣きながら赤字案件をこなすことも一つの美学かもしれないが、その美学は弁護士に余裕があった時代の遺物だ。そして、泣きながらでも赤字案件をこなしていれば、世間や行政は、弁護士にはまだまだ余裕があると見て、さらに赤字案件を押しつけてくるだろう。

 以上の理由から私は反対したが、常議員会では賛成多数で、負担金を課そうとする執行部の案が通過した。

 どんなに理想を語っても理想ではご飯は食べられない。
 理想ばかり語る弁護士会執行部の方は、理想でご飯を食べる秘術を心得ておられるようだが、それは一般の弁護士は持ち合わせていない。

 現実を見て判断する必要がどうしてもあるはずだ。

ウィン綜合法律事務所を開設しました。

 イデア綜合法律事務所を開設してちょうど11年経過した、平成26年12月1日に、イデア綜合法律事務所はパートナーシップを発展的に解消し、私、坂野はウィン綜合法律事務所を開設し、加藤真朗弁護士は、加藤&パートナーズ法律事務所を開設しました。残る3名のパートナーは新事務所設立が間に合わず、来年1月に新事務所を設立する予定であり、それまでは暫定的にイデア綜合法律事務所を名乗ります。

 イデア綜合法律事務所の名付け親であり、かつ設立者でもある私としては残念ですが、長年パートナーシップを組んでくれた加藤真朗弁護士には感謝の言葉しかありません。

 今般、私が設立した「ウィン綜合法律事務所」は、私がかつてアソシエイトとして所属していた「ウイン総合法律事務所」(現在は解散。ウイン(イが大文字)とウィン(ィが小文字)、総合と綜合の違いがあります。)から、パートナーの先生方の了承を得て、名前を継がせて頂きました。

 法律問題などで悩まれている方に、「来てもいない未来を悲観することはありません。未来は行動で変えられるはずです。」という基本コンセプトで、少しでも依頼者の方の気が楽になるように対処させて頂く所存です。

 初心に返って頑張りますので、どうか、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。