平山正剛前日弁連会長の秘策?

 大阪弁護士会の就職説明会が近々行われるそうです。

 情報によると、就職希望者数と募集人員数を比べると、圧倒的に就職希望者数が多く、修習生にとって相当悲惨な状況が予想されています。

 私が昨年の11月9日のブログに書いたとおり、平山正剛前日弁連会長は、昨年10月29日の日経新聞で、「就職は2010年まで大丈夫」と、大見得を切っていました。

 平山前日弁連会長は、何を根拠に就職は2010年まで大丈夫などと明らかに事実と異なる発言をしていたのでしょうか。嘘つきだったのでしょうか。それとも、退任後わずか数ヶ月後のことも予測できない人だったのでしょうか。はたまた、秘策があったのでしょうか。

 私としては、弁護士全体のことを考えて日弁連会長になられたはずの平山前会長が、嘘つきだったとか、数ヶ月後のことも予測できない人であった、などとは思いたくないので、おそらく、平山前日弁連会長は、就職難を解決する秘策をお持ちなのだと考えるしかありません。

 就職が大変な方達は、平山前日弁連会長に、2010年まで就職は大丈夫だという、就職難解決ための魔法の秘策を問い合わせてみても良いのかもしれませんね。

法律相談のこと

 法律相談に来られた方で、色々事情をお聞きした上で、特に法律的に問題がなく、このまま放っておいても大丈夫である場合、「この内容の郵便でしたら放っておいて大丈夫ですよ。」と、正直にアドバイスすることもあります。

 そのような場合、法律相談料を請求させて頂くと、意外な顔をされる方が結構いらっしゃいます。確かに、法律相談に来られた方は、「もともと放っておいても良かったものなのだから、弁護士に相談しても特に事情が変わったわけではない。それなのに、どうして相談料を支払わなければならないのだろうか」とお考えのようです。

 ところが、事情が全く変わっていないわけではありません。相談された方は、「こんな、お金を請求してくる郵便をどうしたらいいのだろうか」と不安に思っておられたはずです。そうでなければ、相談に来られるはずがないからです。少なくとも法律的になんら問題がないことを教えてもらうだけで、その不安からは解放されたのです。

 確かに弁護士が生まれながらに法的知識を持っており、その法的知識を生活の糧にしていないのであれば、無料で相談に応じるべきかもしれません。しかし、生まれながらに法的知識を持っている人などいません。弁護士も相当程度の費用と時間をかけて法的知識を身につけていますし、高価な専門書を購入して、法律に関して研究していたりします。その努力や費用は全て自分が負担しているものです。

 ですから、法律相談を受けて、なんら結論が変わらないときでも弁護士が時間と費用をかけて身につけた、法的知識を利用していることに代わりはないのです。

 さらに分かりやすくするために、お医者さんに例えて見ます。何となく身体の調子が悪いので、お医者さんに診てもらったら、「特にどこも悪いところがなくて少し過労気味なだけですから、このままで大丈夫ですよ。」と診断されたとします。

 その際にお医者さんに診察料を請求されて、「何も身体の調子が変わっていないのだから、診察料は支払いたくない」という、言い分が通るでしょうか。

 法律相談もそれと同じに考えて頂ければ、ご理解頂けるかもしれませんね。

思い出すことなど

  私の田舎である和歌山県太地町には、珍しい鯨の博物館があります。鯨の骨格標本や、太地町で行われていた古式捕鯨の様子などを模型や、絵などで展示をしているものです。私は、よく、母方の祖父に、博物館に連れて行ってもらいました。

 祖父が乗っていたのは、ダイハツの軽自動車で、最初は白い四角いタイプの車、買い換えてからは黄土色の少し丸いタイプの車で、制限速度きっかりで走っていたため、わずか4キロくらいの道のりでしたが、後ろを振り向くと何台かの自動車が連なっていたこともありました。

 祖父は町会議長を長く務め、博物館創設の頃にも尽力したようでした。祖父本人は全くそのようなことを私に話してくれることはありませんでしたが、後に他の人から、博物館に展示してある銛の柄は、祖父が山から切ってきたものもあると聞かされました。
 祖父に連れられて博物館に行くと受付の奥から館長さんらしき人が出てきて、挨拶してくれたことを覚えています。たしか、館長さんは、「入場料などとんでもない」とおっしゃっていたようですが、祖父は頑固にいつも支払っていたようです。

 鯨の博物館に行っても、当時の私は小さかったので、古式捕鯨や銛の展示など面白くもなく、いつもイルカ・アシカのショーと食堂が楽しみでした。私は食堂では、判で押したようにクリームソーダを頼んでいました。アイスクリームとソーダとが一緒になっているので、得したような気分になれたからなのでしょう。

 クリームソーダの飲み方にも、個性があり、私は上に乗っているアイスクリームを食べてしまってから、ソーダを飲むのがふつうでしたが、姉や妹は、アイスクリームをソーダに混ぜ込んで溶かしてから飲むことが多かったように思います。当然、姉や妹の方が飲み終えるのが遅いため、先に飲んでしまった私は、まだ飲み終えていない二人のソーダを見ると、なんだか、最初から二人の方が私より量が多くて、おいしいソーダが出されているように思え、うらやましく見ていた記憶があります。

 私は、祖父の近所に住んでいましたが、そんなにいつも顔を合わせていたわけではありません。しかし、この年になってみると、具体的には思い浮かぶわけではないのですが、いろいろ祖父に教えてもらいたかったことがあるような気がするのが不思議です。

ヴェネチア

 昨日のブログでは、地球温暖化でシロクマが危機に陥っていることに触れました。

 水の都ヴェネチアでも、地球温暖化の影響かアクア・アルタ(高潮)の回数が、近年急増しているそうです。地盤沈下も原因であるとの指摘もありますが、地球温暖化による海面上昇が一因であることはどうやら間違いなさそうです。そしていずれ、ヴェネチアは海に沈んでしまうのではないかという人もいます。

 アクア・アルタがやってくると、ヴェネチアの人たちは、慣れた手つきで板を渡した通路を作り、その上を歩いて通ります。あまり広い通路ではないので、すれ違うだけでも大変ですが、観光客が非常に多いため、なおさら渋滞してしまいます。

 私は、まだ比較的軽いアクア・アルタを一度だけしか体験したことはありませんが、結構面倒なものです。ヴェネチアに着いた直後で、スーツケースなんか引っ張っていたら相当大変だろうと思います。

 水位がかなり上がるアクア・アルタが、ヴェネチアを襲ったら、おそらく、街が生きたまま海に取り込まれていくような印象、街が街として機能しながら滅び行く印象を受けるのではないかと思われます。そして、ヴェネチアは、観光都市としての性格の裏に、そのような印象を常に隠し持っているような微妙な雰囲気を感じさせる街なのです。

 夜遅く、観光客もまばらになった頃に、チャプチャプと運河に寄せる波の音を聞きながら散歩すると、そのような雰囲気をより強く感じることができます。

 その雰囲気に、また浸りたいような、浸りたくないような、不思議な魅力のある街です。

アイスランドのシロクマ

 日経新聞の「窓」の欄に、小さな写真入りの記事が載っていました。

 ホッキョクグマ(シロクマ)が、アイスランド北部の町で確認されたという記事でした。

 もともとアイスランドには、シロクマはいませんから、北極から泳いでやって来たのだろうということでした。

 シロクマは北極海が氷に閉ざされると、主に氷の穴で呼吸をするアザラシを待ち伏せして捕らえ、食べて生活するといわれています。ところが、地球温暖化により北極海の氷が完全に凍らずに、アザラシを捕らえることが次第に難しくなってきているそうなのです。 

 北極からアイスランドまでは数百キロはあるはずです。食べ物を求めて気の遠くなる距離を泳いで、ようやくアイスランドまでたどり着いたのでしょう。アイスランド警察はシロクマを保護しようとしたのですが、失敗し、クマが走り始め市街地に接近する危険が出たため、やむなく射殺したと記事には書かれていました。

 シロクマにとって見れば、孤独と疲労に耐えながら、何日もかけて数百キロを泳ぎ、やっと見つけたアイスランドの大地だったはずです。そのときのシロクマの気持ちを考えると、やるせないような、切ないような気持ちになってしまいます。

法曹人口問題PTその7

 本日の法曹人口問題PT(プロジェクトチーム)の会議で、予定されていたPTの会議は、一応終了ということになりました。

 この後、PTの報告書を大阪弁護士会の常議員会に提出し、何をどうするかを常議員会に委ねることになるようです。前代未聞の高回答率であった、法曹人口問題に関するアンケート結果をどう反映していくのか、常議員会の判断が注目されます。

 ただ、司法制度改革推進本部の方からも、意見書が常議員会に提出されるようで、その内容はおそらく司法試験合格者3000人推進の内容ではないかと思われます。

 真っ向から対立すると思われる、法曹人口問題PTの報告書と司法制度改革推進本部の意見書が、どのように常議員会で扱われることになるのか、目が離せません。

 私としても皆さんにご報告できるよう、常議員会を傍聴してみようと思っています。

ガリレオの思考実験

 ずいぶん昔の話になりますが、多分NHK特集で、ガリレオの思考実験のことを取り上げていた記憶があります。

 当時、重いものは軽いものより早く落ちると思われていたところ、ガリレオが落体の法則を思考実験で発見し、ピサの斜塔から実際の実験を行ったという話だったように思います(記憶違いならすみません)。

 その思考実験とは、確か次のようなものでした。

 重いものと軽いものが落ちる速度については、①重いものが早く落ちる、②軽いものが早く落ちる、③落ちる速度は変わらない、の3通りしかない。

 そのうえで、重いものAが軽いものBより早く落ちるとすると、AとBを長さのあるヒモで結んだ場合、Aは早く落ちようとするけれども、Aより遅く落ちようとするBに引っ張られて、A単体で落とすよりも遅く落ちるはずである。そのヒモをどんどん短くしていっても、その状態は変わらない。そうであれば、AとBをヒモで結んで密着させた場合でも、Aは結びつけられたBがAより遅く落ちようとする以上、A単体で落とすよりも遅く落ちるはずである。

 ところが、よく見てみると、AとBが密着した状態というのは、A+Bの重さの物体と同じである。そうだとすると、AとBがヒモで密着させられた物体は、A単体より重いのだからA単体で落とすよりも早く落ちなければならないはずである。

 明らかに矛盾が生じる。

逆に軽いものが早く落ちると考えても、同じような実験で矛盾が生じる。

 この矛盾が生じる理由は、重いもの乃至軽いものが早く落ちるという前提が誤っているからである。だから重いものも軽いものも落ちる速度は同じである。

 以上のようなものでした。

 非常に明快ですっきりとしており、感動した覚えがあります。法律の世界では、ここまで明快に割り切れることは少なく、事実の争いや法律の解釈などで泥沼にはまることもあります。ときおり、ガリレオの思考実験のように明快で反論の余地のない主張をしてみたいものだと思いますが、そう簡単にはいかないようです。

ザ・マジックアワー

 6月7日に公開された、三谷幸喜監督最新作の映画です。とりあえずご覧になって下さい。

 もともと私は、主演の佐藤浩市さんのファンですが、そんなことを抜きにしても十二分に面白い映画に仕上がっています。笑えます。少し幸せと元気をもらえます。そんな映画です。

 映画は皆さんに見て頂くとして、先日の土曜日の深夜、撮影の終わったザ・マジックアワーの映画セットを案内するという番組をやっていました。案内役は、三谷監督御自身です。最初は、公開してからも宣伝活動とは、監督って大変なんだ、とちょっと冷めた目で見てましたが、それは間違いでした。

 三谷監督は、 ときには階段を駆け上がり、ときには道路に寝そべりながら、セットを案内していきます。その監督の様子がとても良いのです。本当に心の底から、自分の作り上げた映画がいとおしくてたまらない様子です。そして彼にとっては、おそらく、その映画を産み出す舞台となった、大がかりなセットも完成した映画と同じくらい、いとおしく思えたのでしょう。できれば、映画の中だけの街ではなく、ずっとそのままにしておきたかった街のはずです。

 しかし、映画のスタジオとは、次の映画を産み出すために、今あるセットは壊され、次のセットが作られなければならない場所でもあります。セットを使って作られた映画は残り、人々を感動させ続けますが、セットは残り続けることはできません。

 監督自身も、残念だったのでしょう。冗談めかして、このまま置いておきたいといったけど、ここのスタジオの人には早くどけてもらいたいと言われた、という内容の発言をされていました。

 セットの細かな部分まで、一生懸命に説明する三谷監督の姿から想像するに、三谷監督自身、何らかの形でセットとお別れをする儀式をしなければ踏ん切りがつけられないくらいのお気持ちだったのではないでしょうか。そのお別れの儀式を、セットを解説するという番組に仮託して、三谷監督は行っていたのではないかと私には思えます。

司法試験受験生の方へ

 新司法試験は終わってしまいましたが、旧司法試験受験生の方は、論文試験まで後一月あまり、ラストスパートに入っておられることでしょう。私の知人で受験している人はいなくなったので、もう、敢えて書く必要はないのかもしれませんが、何かの参考になればという思いで少しだけ、お伝えさせてください。

 昨年もブログで書きましたが、旧司法試験で問われているのは「正確な基礎知識と論理力」に尽きます。何度も申しあげますが、単なる基礎知識ではなく「正確な」基礎知識です。もう一度基礎知識を確認して正確に身に付いているかチェックすることです。

 そして、最良の問題集は過去問です。短答式試験でも過去問が最良の勉強ツールであったことを思い出してください。短答と同じで、過去問をきちんと解ける受験生を司法試験委員が落とすはずがありません。直前答案練習会では、最新判例や最新の論点が出題されてあせるかもしれませんが、それに過度にこだわる必要はないと思います。知っていれば少しだけマシかもしれないという程度です。

 それよりも、正確な基礎的知識をもとに論理的に明快な文章を書けるよう、気をつけてください。直前期に一気に伸びる人はたくさんいます。

 あと少しです。体調に気をつけて勉強してくださいね。

体内時計

 何かの本で、人間の体内時計はおおよそ25時間周期であるというようなことを読んだ記憶があります。なんでも、全く時間が解らないようにして生活するという実験をすると、人間は次第に25時間を一日として生活するようになってしまうのだそうです。

 ところで、地球の自転周期は、ものの本によると、約23時間56分4.06秒くらいです。そうすると、25時間を1日と考えてしまう人間の体内時計とは、1時間と4分もずれてしまいます。その体内時計のズレを毎朝調整して生きているのが人間なのだといわれています。

 太古の昔から地球上で進化を続け、毎日毎日をほぼ24時間として生活してきたはずの人間の体内時計にしては、ちょっとズレが大きいような気がしませんか。

 この点、地球のお隣の惑星である火星の自転周期は、約24時間39分35.244秒なのだそうです。そうすると、人間の体内時計が1日と感じる25時間とは、わずかに20分ほどしか違いません。つまり人間の体内時計は、地球の一日とされる時間よりも、火星の一日とされる時間を、より一日に近いと感じるようなのです。

 そうすると、体内時計を基準に考える限り、なんだか人間の祖先が火星から来たのかもしれないと考えても、おかしくないような気もしますね。