大阪弁護士会のLAC負担金に関して~ご報告

 台風直撃の影響で、常議員会が延期され、今日の常議員会は、2回分の決議・審議をしなければならない非常にタイトなものだった。案の定、予定終了時間である5時を大幅に超過しても終わらなかった。

 だが、8月8日のブログで書いたように、LAC案件の負担金に対する私の質問に対して、回答をすると執行部から約束してもらっていたので、来客との待ち合わせ時間を少し過ぎるまで頑張って、審議事項の最後までは出席していた。

 弁護士費用保険(LAC)に関して、①弁護士会が保険会社から依頼を受けて弁護士を紹介する紹介案件と、②弁護士が直接クライアントから依頼を受けて保険を利用する選任済案件、という2種類があることは前のブログでも記載したとおりだ。

 ①は弁護士会が弁護士に紹介する手間をかけているので負担金という発想も、ギリギリ理解できなくはないが、②に関しては全く弁護士会に手間をかけていないのでどうして自分の依頼者が弁護士費用保険を利用するというだけで7%もの負担金を弁護士会に納めなくてはならないのか、理解が難しいところである。

 前回の常議員会で、選任済案件に負担金を課している弁護士会はどれだけあるのか質問していたが、今日の常議員会でその回答が得られた。

 選任済案件に負担金を課している単位会は、全国で唯一、大阪弁護士会だけだということだった。担当副会長は神奈川、新潟の弁護士会にも確認してくれたそうだが、やはり今は負担金は課していないとの回答だったそうだ(かつて負担金を課していたかことがあるかは不明)。

 紹介案件について負担金を課している弁護士会は、担当副会長の調査のご記憶では13会だということだから、全国52単位会(弁護士会)のうち、紹介案件について負担金を課しているのはわずか25%の弁護士会にすぎないということだ。

 ということは、大阪弁護士会は、LAC紹介案件に負担金を課している少数派であるだけでなく、選任済案件にも負担金を課している全国唯一の弁護士会ということだ。

 おそらく総会決議を経てそのような負担になっているはずだし、執行部提案に漫然と賛成しているうちにこうなってしまったのかもしれないが、果たして、大阪弁護士会会員の多くは、選任済案件にも負担金を課されることを、ホントに納得しているのだろうか。

 選任済案件にも負担金を課す日本唯一の弁護士会という状況から考えれば、大阪弁護士会執行部のエライ先生方は、LAC案件などやらなくてもやっていけるので、あんまり深く考えてくれていないのではないか、との疑念を拭いきれない。

 また、他の多くの弁護士会ではたとえ紹介案件でも負担金を課さずにやって行けてるのに、どうして大阪ではそれができないのかという疑問も湧いてしまう。

 谷間世代に対する会費減額の大盤振る舞いをする前に、もっと他に、やることがあるんと違うのかな~、大阪弁護士会は。

なんだかなぁ~・・・・某弁護士会のエライさん

 私は、7月19日のブログで、いわゆる谷間世代に対する弁護士会費・日弁連会費の減額は、筋違いであるとして反対する記事を書いた。

 そしてその記事の中で、

「日弁連執行部主流派は、良いだろう。自分達が主導して谷間世代救済を行ったと胸を張れるからだ。また谷間世代は会長選挙の際には相当大きな票田になりうることも、おそらくその背景にはあるのだろう。

 しかし、その実態は、他人の金(谷間世代以外の会員の会費)を使い、さも自分が救済したかのような顔をすることになるだけの話だ。」

と記載した。

 今でもその考えは変わらないが、弁護士会単位で谷間世代に対する弁護士会費を減額することを決議した某弁護士会所属の方から、やっぱりなぁ~(もしくは、なんだかなぁ~)と思われる話を耳にした。

 大阪ではない、西日本の某弁護士会でのお話である。

 その某弁護士会では、会長をはじめとする執行部が音頭をとって、谷間世代の弁護士会費減額を提案し、総会で可決した。
 当時の会長は、総会のあとに谷間世代の弁護士複数から、(弁護士なら誰だって、弁護士会費が減額になれば助かるのだが)「先生のおかげで助かります!」などと言われ、「若手のためにできることはやる!」等と、胸を張ってカッチョイイお答えをされていたようだ。
 まあ、そのような受け答えからすれば、その会長さんは、若手のために可能な限りの尽力をするというお立場のようなので、もちろん、私的な部分でも若手のために可能な限りの尽力をなさっていると、普通思うだろう。
 そのお話を聞いたとき、私もそう思った。

 しかし実態は違った。

 少し話が飛ぶようだが、ご存じのとおり、司法修習のうち弁護修習は弁護士事務所に割り当てられて、そこで弁護士業務に関する修習を行う。弁護士としては、机やスペースを用意するだけでなく、まだまだとても戦力にならない修習生に起案させたり添削したり、法廷に連れて行ったり、相談に同席させたり等、手間ばかりが相当かかる。
 司法修習生を弁護修習のために事務所に受け入れることは、内容的にはほとんどボランティアに近い、はっきり言えば事務所にとっては、経営上迷惑な制度でもあるのだ。
 特に、弁護士が激増していながら裁判所に係属する事件数が減少中の昨今は、弁護修習先の事務所を見つけること自体が、大変になりつつある。

 話を戻すが、某弁護士会の会長さんは、これまで司法修習生を事務所に受け入れることに消極的であったそうだ。それ自体、若手支援の立場に矛盾しかねないように思うが、ただ、会長時に、谷間世代の救済、若い世代への尽力を公言し、他の世代にツケを回す形で谷間世代の会費減額を推進したので、周囲はさすがに、今回は司法修習生を事務所に受け入れるのではないかと思ったそうだ。

 
 そりゃそうだ。
 あたしだって、そう思う。

 谷間世代の会費減額をするということは、その減額分をそれ以外の世代で負担するということである。他の世代を犠牲にしてまで、若手のためにと銘打って谷間世代の会費減額を提案・推進する以上、ご自身が先頭に立って、若手のために行動しているか、少なくとも行動する堅い決意があるとみて、普通は間違いないところだからだ。しかも弁護修習の受け入れ先を探すのに、弁護士会は相当苦慮している状況下にあり、その事情も会長経験者なら、当然よ~~~く分かっていらっしゃるはずだからだ。

 まず隗より始めよとは古今の名言。
 知らないとは言わせない。

 しかし、その会長(経験者?)さんは、司法修習生の受け入れを明確に拒否したそうだ。

 おそらく、その方のお考えはこうではないか。

 「他人の金(弁護士会の金)を使うのであれば、谷間世代を救済しても良いけど、自分の懐が痛むのなら若手のために尽力することはできない。」

 もっと分かりやすく言えばこうなるか?

 「会長としては、谷間世代を救済したいが、個人としては若手支援はできない。」

 
 私の邪推が当たっているとすれば、な~んだ、結局、谷間世代の救済実現!と大戦果でも上げたような顔しながら、「その実態は、他人の金(谷間世代以外の会員の会費)を使い、さも自分が救済したかのような顔をすることになるだけの話」ってことじゃない。

 まあ、私から見れば態度が一貫していないように見えちゃうね。

子供じゃないんだから・・・

 大阪弁護士会では、研修の受講が義務づけられており、確か、年間10単位を取得しないと注意を受けるなど面倒なことになる。

 研修を受講する際には、図書室利用カードをカードリーダーに読ませて入室し、退出時にも同様にカードリーダーで読ませることにより、受講の確認をする。

 ご丁寧なことに、15分以上の遅刻や、終了時刻前の早退は、受講したことにならないと規則で明記されている。

 ちなみに私は税理士登録もしているので税理士会の研修も受講することがあるが、そちらは入室時にカードリーダーで読ませるだけで、退室時のチェックはない。まあ会場に来た以上は、受講しているだろうと、信頼されているのだ。

 要するに、税理士会と比較すれば、弁護士さんは、ちゃんと研修を受講するかについて、大阪弁護士会からは信用されていないのだ。

 ただでさえ、なんだかな~と思っていたところに、先日の常議員会で遅刻を許容する時間を15分から10分に短縮し、なおかつ、途中離席も10分までにするという規則を追加したい、という改正案が提出された。

 説明によると、ある弁護士さんが研修の際に、長時間離席していたことをたまたま事務局に現認されたが、そのセンセイは「依頼者からの至急の電話に対応しており、履修が認められるべきだ」と弁明したのだそうだ。確かに規則には長時間の離席は単位を認めないという定めがないから、明文上は、そのような不届き者を未修にする根拠がないということらしい。

 私から言わせれば、研修よりも依頼者対応を優先して長時間離席し研修の大部分を受講していないのだから、実質的に履修はしておらず、当然履修など認められるはずもないのであり、おそらくそのセンセイが、中抜けをしていたところを発見された後ろめたさから発言したガキの屁理屈としか思えない。

 私が事務局だったら、「研修は受講を前提に単位を認めるのはご存じのはず。どんな理由があっても、大部分の時間を実際に受講していないのだから単位が認められるわけないでしょ。アホなこと言わんと素直に中抜けしてたズルを認めなさいよ」、くらい言ってしまったかもしれない。

 しかし、だからといって、子供のような幼稚な屁理屈を振り回す、ごく僅かな不届き者のために、こんな恥ずかしい規定を設ける必要があるのだろうか。

 私はこのような規定の新設には反対した。だって、余りに幼稚じゃないですか。そんな規定があること自体、恥ずかしいですから。

 まあ、結果的には賛成多数で通っちゃったけど。

 不正をやろうとすれば、中抜けが規制されても可能だ。事務員さんや第三者にカードを持たせて替え玉に使い、最初から最後まで受講させることもできるからだ。大阪弁護士会の会員数は多いため、自分の知り合い以外の出席者のうち誰がホントの弁護士なのか、研修の場所では、実際にはわかりゃしないのである。もちろん、研修中に最初から最後までスマホをいじっている人もいるし、パソコンでメールをせっせと書いている人もいる。

 だから規制しても、はっきり言って意味がないと私は思う。

 最も責められるべきは、自分の中抜けを棚に上げてガキの屁理屈をこねたセンセイだが、それへの弁護士会の対応が、恥ずかしい規定の追加ということでは、実効性もないし、大げさすぎるように思うのだが・・・・。

 それにしても、弁護士があんな屁理屈を言うようでは・・・・、弁護士法2条もさぞかし無念だろうなぁ・・・。

谷間世代を責めているわけではないのです・・・

 谷間世代救済名目での会費減額案に反対する意見のブログを掲載していることから、誤解を受けやすいのだが、私は谷間世代を責めているわけでは決してない。むしろ気の毒に思っている。

 ただ、谷間世代のうち、谷間世代は修習で給付金がなかったのだから、谷間世代の弁護士会費を減額して欲しいと主張している方に対しては、筋違いだし、公平を欠くだろう、と申しあげざるを得ないように思う。

 理由その1は、司法修習時代に給付金が出なかったのは、国家の政策の問題であって、その後始末は国家に求めるべきであり、日弁連・弁護士会に対して会費減額を求めることは筋違いだということ。

 かつて研修医が劣悪な環境に置かれていたことがあった。現在ではその方針が改善されつつあるようだが、改善が間に合わず劣悪な研修医生活を送らざるを得なかった医師が、制度不備など理由に国や勤務先に救済を求めるならともかく、医師会に対し医師会会費を減額するよう求めたとすれば、その要求は筋違いだといわれるだけだろう。正しい例えではないと思うが、それに近い状況ではないかと思う。

 理由その2は、谷間世代の弁護士会費減額を行うということは、それ以外の世代の会費減額がなされないことから、谷間世代以外の負担が相対的に大きくなるということを必然的に意味する。つまり、日弁連・弁護士会に対して全会員の会費が高すぎるので減額して欲しいという要望は筋が通るが、谷間世代だけの会費減額を求めることは、「その他の世代に重い負担を負ってもらう」という前提が当然にくっついていることになる。

 平たくいえば、谷間世代だけの会費減額を主張する人は、他の人の犠牲で自分達を救えといっていることと同義だといわれても仕方がないのではないかと考える。

 理由その3は、大阪弁護士会に限ったことだが、既に若手会員には修習終了から2年間は一般会費を半額免除(おそらく8000円×24ヶ月)している。さらに、私は反対したが、谷間世代救済のためというお題目で、最大10年間84万円もの会費免除を決議している。その上、日弁連会費まで免除するのは、3重の会費免除特典で、厳しい状況でも頑張って会費を支払っている一般会員に比べて、余りにも公平を欠くのではないかと考えるのだ。

 むしろ大阪弁護士会などは、司法修習が2年から1年半に期間短縮された際に、新人弁護士は弁護士会の定める研修を受講し終わらないと法律相談を担当させない、として、1年以上若手に法律相談を割り当てることをしなかった。もちろんそれでも、若手に対する会費減額なんてなかった。現在とは状況が違うとはいえ、この待遇の差は、弁護士会内の亀裂を生じさせかねない可能性がある。

 執行部の先生方や、常議員会に出席される弁護士の先生方は、私を除けば、功成り名を遂げられた立派な先生方ばかりで、苦労している弁護士の存在など余り実感できないのではないだろうか。私の10年以上先輩の弁護士でも、すでに事務員さんを雇えない先生とか、仕事がなくて弁護士をやめる、という先生を何人も知っている。そのうちのお一人は、仕事を取れない弁護士は無能だというのが持論だったが、その先生ですら社外取締役以外に、ほとんど新しいお仕事がこないのだと聞いた。それでも会費滞納を続けるとバッジを飛ばされるので、高い会費を支払っておられるはずだ。

 つまり、将来の弁護士会費負担者はさらに困窮する可能性がある、それどころかその可能性は極めて高いと見るべきだろう。弁護士は激増するのに、裁判所に持ち込まれる事件は増えていないのだから。

 このような状況にあって、安易に谷間世代の会費免除を言い出す執行部は、現実を冷静に分析して将来を見据えた判断する能力を失っているように思う。一体なにやってんだろうね~。

 あれ、谷間世代を責めているわけじゃないことを言いたかったのに、責めるべき相手が、何故か出てきてしまいました・・・・(笑)。

 なんでだろうね~。

大阪弁護士会のLAC負担金に関して

 先日の常議員会で、弁護士費用保険(権利保護保険)に関しての規則改正が審議された。

 現在、大阪弁護士会では、保険会社から弁護士会宛に弁護士の紹介を求めてきた案件(紹介案件)だけでなく、弁護士費用保険が使えると聞いて知り合いの弁護士さんに依頼したような案件(選任済案件)についても、着手金・報酬金・手数料・日当の7%が負担金として課せられている。

 そもそもどうして、自分が働いて得たお金に負担金を課せられてピンハネされなきゃならんのか、理由が分かりにくいのだが、紹介案件については、まあ、ぎりぎり分からないでもない。つまり、弁護士会に依頼が来て弁護士会が紹介するという手間がかかっているから、その手間賃と見れば、理解できないわけじゃない。

 しかし、弁護士選任に全く弁護士会が関わらない選任済案件にも負担金が課せられるのは、理屈に合わないような気がどうもするのだ(同様の問題は管財事件の負担金にも該当するかもしれない)。

 選任済案件で選任されている弁護士さんは人的関係や、その仕事を評価されて依頼されるわけだから、どうして弁護士会に7%もピンハネされなきゃならないのか、その理屈が分からない。

 確かにLAC導入に弁護士会の働きかけが大きかったなどという点があるなら分かるが、それなら、それで、公平に、日本全てのLAC案件に負担金が課せられていなくてはおかしい。

 そう思って、説明委員の先生に聞いてみた。

 坂野:「選任済LAC案件に負担金を課している単位会はどれだけあるのですか?」

 驚くなかれ説明委員の回答は次のようなものだった。

 「かつては他の単位会でも負担金を課しているところもあったとも聞いたことはありますが、日弁連事務局に聞いたところ、現在は、大阪だけのようです。」

 坂野は心の中で驚く

 えっ!なんじゃそりゃ!

 大阪だけが、7%もぼったくられとんのかい!

 日弁連でLAC担当をしている竹岡大阪弁護士会会長が、慌てて補足説明として、「私の記憶では、大阪の他、神奈川・新潟他もう一つあったように思いますが・・・」とフォローにまわったが選任済案件の負担金なのか、紹介案件の負担金なのかは、はっきり区別して説明してくれなかった。

 くわしい説明は次回にすると約束してくれたので、次回の常議員会で、LAC案件に負担金を課している(ぼったくり?)弁護士会はどこなのかが、はっきりするだろう。

 仮に竹岡会長のお話が仮に正しくとも、少なくともLAC選任済案件に負担金を課しているのは、全国52の単位会の中で、極めて少数派であることは明らかになってしまった。

 ぼったくってまんな~、大阪弁護士会さんは・・・・。ほとんどの弁護士会では、LAC弁護士報酬はそのまま弁護士の手にわたるのに、大阪弁護士会さんは、7%もピンハネできるんですな~。

 ほんで、谷間世代に10年間で84万円も会費免除しはるんでっしゃろ。

 問題はそっちよりぼったくりやめて谷間世代を含めた全会員の会費(名目会費ではなく実質負担させる会費)を下げることやおまへんか?

 そうなりゃ公平やし、みんなも納得するし、谷間世代も実質の会費が下がって一息つけるから、(他の世代の犠牲を前提とした)谷間世代だけの会費減額をしてくれとも言わなくなるんと違う?(そのように仰らない谷間世代の方の存在は否定しませんが、日弁連が谷間世代の会費減額のための意見照会要求資料に付してきた若手カンファレンスの発言抜粋には、そのような内容の発言が散見されました。)

 谷間世代救済のための会費減額~!と筋違いの救済策を実行して、執行部がええカッコばっかりしてたら、その他の会員さんから、そっぽむかれるんとちがいまっか・・・・。

 ほんま、しんぱいやわ~。

津波がきたらどうすんだ

 本日の大阪弁護士会の常議員会で、先日の大阪北部地震の対応について検討があった。

 その中で、もっと大きな地震が発生して、津波がきた場合、大阪弁護士会館の電源設備は地下にあるため、津波による浸水によってシステムがダメージを受け、仮に電力が復旧しても機能を果たせないとの説明が、執行部からあった。

 会員の安否確認等、震災発生時に弁護士会員の中心となるべき大阪弁護士会の会館機能が麻痺したら、さすがにまずいだろ。

 確かに大阪弁護士会館は外見は洒落た建物ではあるが、おそらく、南海トラフ地震による津波を全く想定せずに、デザイン優先で電源設備を漫然と地下に設置し、その設計にゴーサインを出したツケが、東北の大震災の津波被害で顕在化してきたというところだろう。

 将来の大阪弁護士会の会員のことを考えるなら、今後ほぼ確実に生ずる南海トラフ地震に備えて、大阪弁護士会の電源設備を浸水の心配がない上部に移設することを考えるべきなのだろう。しかし、執行部の説明によると、歴代執行部でも、何度もその心配は話題にはなるものの、設備移転の費用等を考えると先送りになってきたのが現実だ、ということだった。

 だったら、弁護士会の余剰資金を使ってさっさと改修工事を考えるか、改修工事のためにさらに資金を留保しておく必要があるんじゃないのか。

 ビクビクしながらも取り敢えず先送りしておいて、「将来津波がきたときの会員さん、ばば引いちゃいましたね~、残念でした。設計は悪いの知ってたんだけど、あんたたちで復旧しておいてね。」、でいいわけないだろ。

 国の政策迷走によって生じたのだから、本来国が責任をとるべきで、弁護士会が負担するいわれは全くないはずの、貸与制谷間世代の救済のため会費減額をしまーすなどと、ええカッコしている場合なのだろうか。

 今の余剰資金でも実現が困難な状況にある「本当にやるべきこと」を放置して、男女共同参画のために働いて稼いでいる弁護士にも育児を理由に会費減額します、谷間世代についても可哀相だから会費減額をします、どちらも余剰資金があるので大丈夫でーす、などと津波のリスクから目をそらして、会費減額の大盤振る舞いをしている場合ではないんじゃないの。その影では、一般会員は減額のない会費を支払い続けているというのに。

 会費未払は懲戒事由で、未払を続ければいずれ弁護士バッジを飛ばされる。

 だから苦しくても真面目に会費を払っている人は、間違いなくいるはずだ。

 その人たちがこの先困らないように、将来を見据えて会費を使うのが正しい使い方じゃないかと、私は、思うんだけどな~。

日弁連定期総会(5.25 高松)7号議案に関して

 現在、大阪弁護士会の常議員会では、5月25日に高松で開催される日弁連定期総会において、大阪弁護士会にも投票権があるので、その投票権をどのように行使するかについての議案が出されている(現在討議中であり決議は来週の常議員会)。

 さて、4月19日のブログにも書いたが、執行部は定期総会の議案の内容も明確にしないうちから、委任状勧誘のFAXを会費を使って全会員に送付した。

 その4月19日に届いたFAXによれば、6号議案は「宣言・決議の件」とだけ書かれており、どのような内容の宣言・決議を行うのか全く分からない。そのような状況でありながら、執行部としては、弁護士に、執行部宛の委任状を出して欲しい、という内容だった。

 簡単に言えば、「あんさん(一般会員)は、中身なんぞ知らんでもかましまへん、執行部があんじょうしたるさかいに、執行部宛に委任状だしとき」

 という扱いだ。まあ、完全に会員をなめきっていると言っても過言ではないだろう。

 執行部が何を考えてこんな変てこな委任状集めをしたのかについて、常議員会で日弁連副会長でもある大阪弁護士会の会長に質問しておいたので、ひょっとしたら次の常議員会で説明してもらえるかもしれない。

 それはさておき、大阪弁護士会の常議員会では、もちろん上記のような内容不明の議案では、賛否の議論することは不可能なので、総会議案書が取扱注意で配布されている。取扱注意なので、もちろん公開することは現段階ではできない。

 だが、大まかに言えば議案書の内容によれば、6号議案は二つに分かれ、

6号議案(1)は憲法9条改正に関するもの、

6号議案(2)は、「安心して修習に専念するための環境整備を更に進め、いわゆる谷間世代に対する施策を早期に実現することに力を尽くす決議(案)」

 とされている。

 ざっと見たところ、6号議案(2)は、7号議案を緩やかにして、谷間世代救済については日弁連の努力義務にしておこう、というような内容に読めた。

 私の見る限り日弁連執行部とべったりな大阪弁護士会執行部(大阪弁護士会の会長は日弁連副会長を兼任するのが慣例)の意見は、もちろん6号議案に賛成し、7号議案に反対というものであり、おそらく次の常議員会では賛成多数で、日弁連執行部と同じ立場での議決権行使と決議されるものと思われる。

 私個人の感想だが、6号議案(2)を提出するやり方は、法曹人口問題の時と同じく、日弁連執行部が会員を丸め込むために行う伝統的な常套手段だ。

 つまり、執行部から見て過激と思われる提案が会員からなされた場合、実質的には実効性をそぎ落としているものの、方向的にはよく似た提案をぶつけて、委任状を集め、会員提案をつぶすのだ。

 そして、努力規定化されてある執行部案は、その後はほとんど実行されず、実際にはかけ声だけに終わる。後に会員から批判を受けても努力規定だからとか、努力はしたとか、言い逃れができる。

 伝統的に行われているということは、変わりばえはしないが、日弁連総会の対策としては、極めて有効であるということでもある。

 ちなみに、先の常議員会で、執行部は谷間世代救済について考えているようだが、裁判官、検察官について、どのような動きがあるのか把握しているかと質問したところ、大阪弁護士会執行部の返答は、「そのような話は聞こえてきていない。」というものだった。

 いや、谷間世代の問題が法曹全体の問題であり、その対応について真剣に考え、6号議案(2)のように、力を尽くすというのなら、聞こえてくるかどうかの問題ではなく、積極的に聞きに行くはずだろう。まあ、上記の返答からしても、おそらく日弁連執行部は、いくら「力を尽くす」と本気っぽい書き方をしていても、本気ではない可能性が高いと私には思われるのである。

 私は、残念ながら、裁判期日が入っており総会には参加出来ないが、実りのある議論が総会でなされることを期待している。

風雲急を告げる、日弁連定期総会(5.25 高松)

 5月25日に高松市で行われる、日弁連定期総会が、荒れるかもしれない。

 司法修習時代に貸与制となり、無給で司法修習を送らざるを得なかった、いわゆる谷間世代(新65期~70期)に対して、最高裁は今年1月から最初に貸与を受けた新65期に対して返還請求手続きを開始した。

 これに対して、弁護士802人が発議して、日弁連総会で最高裁に対して返還請求を撤回するよう、日弁連として宣言することを求める議案(第7号議案)を出したのだ。7号議案を提出した団体から、(おそらく全会員向けに)4月17日付けで賛成を求める委任状勧誘のファクシミリが届いている。

 もちろん、会員に向かって、給費制復活、谷間世代救済を旗印に掲げてきた日弁連なら、本来賛成してもおかしくはないはずだ。
 しかし、日弁連執行部は、決して7号議案に賛成しないだろう。

 かつて私は、2月22日のブログで、谷間世代に対する救済として会費減額は筋違いであると主張して次の通り記載した。

(引用開始)
 結局、谷間世代救済のポーズをとって弁護士会費を減額させることにより、給費制復活・谷間世代救済を目指して頑張っている委員会・本部が行っている国に対する活動に対し、結果的に水を差す(沈静化させる)こと、が隠れた本当の目的なのだということが一番得心がいくように思う。

 少ない司法予算の制約もあってだと思うが、修習生に対する給付金制度導入と引き替えに、日弁連は谷間世代の救済を切り捨てることに合意した。そして、自ら一度は切り捨てに合意した以上、谷間世代の救済を、再度(本気で)国に求めるような「ちゃぶ台返し」は、さすがの日弁連執行部としても、おそらくはできなかったのだろう。

 かといって、日弁連執行部としては、日弁連会員の一万人(20%以上)ほどを占める谷間世代に対して、正直に、「将来の修習生のために、苦渋の選択で君たちの救済を切り捨てました」とも言えなかったのではないか。

 だからこそ、小原会長の常議員会での説明にも「法曹三者の信頼を維持するため」という、一見不可思議な理由が出てきたのだろうと推測する。

 しかし、もしそうだとすれば、給費制復活、谷間世代救済について日弁連は形式的には支援するように見せかけながら、一方で単位会を使ってその実質的な弱体化を積極的に進めることになるのだから、真剣に給費制復活・谷間世代救済に向けて活動されてきた方々に対して、極めて欺瞞的な行為だと言えないだろうか。
(引用終わり)

 日弁連執行部の、7号議案に対する態度で、日弁連執行部の意図が、かなりはっきりと見えることになるだろう。
 総会で、日弁連執行部が、「将来の修習給付金の獲得のために谷間世代を切り捨てた。でも谷間世代救済を求める君たちに話す勇気がなかった。日弁連として対外的に一度は君たちの救済について切り捨てに同意した以上、君たちを救済しろと対外的に本気では言えないのだ。本当に申し訳ない。」、等と謝罪・土下座でもすればともかく、そうでなければ、「法律でそう決まっている以上、仕方がない」等、執行部は苦しい言い訳を強いられる可能性があるように思う。

 仮に「法律でそう決まっている以上、仕方がない」という理屈がとおるのであれば、死刑廃止論だって、「法律に死刑の規定がある以上、仕方がない」といわれれば、それで執行部は「はい、そうですね」といわないと、一貫しない。
 

 と書いていたら、早速日弁連から、定期総会に関する委任状勧誘のFAXが本日届いた。

 私の記憶では、通常なら、日弁連総会の議案と提案理由を記載した小冊子と一緒に委任状が閉じられて配布されていたように思うのだが、今回の執行部からは、議案や提案理由が記載された小冊子も届かないうちから、委任状勧誘だ。しかも、FAXの宛名は会員各位になっているから、全会員に対して会費を使って行っているものだ。

 7号議案提案団体に対する、明らかな対抗意識がすけて見えるといえば、執行部は反論するかもしれない。

 それでも、会員に議案の内容を周知させていないうちから、執行部宛の委任状を勧誘するのは、「議案内容は知らなくても良いからともかく執行部に委任してくれ」、「悪いようにはしないから盲目的に執行部を信頼してくれ」、ということであり、なりふり構わずに、会員発議の7号議案をつぶそうという意図があるように、私には、見えてしまう。

 こんな執行部の自己防衛・ごり押しを会費を使って行われたら、やってられないと思う会員も多いはずだ。

 悪いようにしないとは、ホントは悪いようにするときにこそ、使う言葉だ。

 弁護士の皆さんは、よくよく考えて委任状を提出して頂くようお願いします。

臨時総会の代理人選任届の罠 ?

 昨日のブログで、私はいわゆる谷間世代の会費減額措置を大阪弁護士会臨時総会で決議することに関して反対する意向を示しているが、仮に私が反対意見を記載した臨時総会の代理人選任届を提出しても、私の届けは臨時総会では反対票としてカウントされないおそれがあるようだ。

 現在配布されている臨時総会(平成30年3月5日)議案書には、表紙をめくったところに、大阪弁護士会宛の代理人選任届としての郵便ハガキが綴じ込まれている。この代理人選任届には、各議案に対して賛成・反対・棄権の意見表明欄が設けられているため、一見その反対欄に○印を記入して提出すれば、反対票として扱われそうに見える。

 だがしかし、大阪弁護士会の総会では、総会に出席できない場合には、そう簡単に執行部の議案に対する反対票は投じることができないのだ。

 なぜなら、意見表明欄の下に「ご注意」との記載があり、
 ※1として「会則第39条第4項により、議決権行使の代理権に制限を付することはできず、上記○印により表明された貴殿の意見は代理人を拘束しません」と書かれている。つまり反対意見を表明して代理人選任届を提出しても、仮にその代理権を行使する会員が賛成として行動すれば、反対意見の代理人選任届も賛成票としてカウントされてしまうことになるのだ。
 さらにご丁寧なことに、
 ※3として、「代理人の氏名の記載がない場合は、代理人の選任を会長に一任されたものとして処理します。」との記載がある。ちょっと最新の会則を見ていないので、そのように処理する明文の根拠があるのかどうかは疑問だが、現実の運用はそうなっているらしい。

 つまり、臨時総会に出席できない人が、執行部の議案に反対票を投じようと思っても、臨時総会に出席して反対意見を投じてくれる代理人を自分で見つけて、その人の名前を特定して代理人選任届を出さないと、反対票を投じることができない仕組みになっている。

 もちろん、開催通知には、「議案に反対又は棄権の意見を表明されている場合、会長が把握している限りにおいて、総会出席予定で反対又は棄権の意見を表明している会員を代理人として選任するよう努めますが、かかる代理人が見つからない場合には、賛成票として行使されるおそれが高いため、代理人を選任しません。」と書かれている。

 これは「反対の意思を表明した代理人選任届が賛成票に使われないような運用をする」との注意書きで、この措置は反対意見を賛成意見票として使わないことには役立つが、実際には反対意見は(行使する代理人を選んでもらえず)結局死票となるから、議案反対の意思を総会決議に反映させることには無力だということだ。つまり、「(反対する総会出席代理人が見つからない場合には)反対票を賛成票にすり替えるような露骨にひどい扱いまではしませんが、反対票には死んでもらいます」ってことだ。

 また、会長が把握している限りっていったって、会長個人の人脈だって全会員に及んでいるはずがないし、会長に向かって「あんたの執行部の議案には反対だ」、と総会が開催されていない時点から、前もって伝達する奇特な方はそうはおるまい。

 となれば、反対票を投じる意見を持つ代理人が会長に見つかる可能性は極めて低いだろうから、代理人選任届において反対意見を表明してもそれが総会において、反対票として反映されることは事実上、極めて困難な状況が設定されていることになる。

 そんなややこしい話をせずとも、書面投票制度か電子投票制度を導入すれば一発で解決するはずだ。導入している会社もあるのだから、大阪弁護士会だけができないはずがないではないか。

 また、そうでなくても1人の代理人が10個まで代理行使できるとして、統一して行使しなくてはならないという規則はなさそうだから(未確認です。すみません~仮にそのような規則があっても改正すればどうでしょうか)、1人の代理人に賛成票7、反対票3を割り付けて、きちんと行使してもらえば済む話だと思うし、その方が、確実に会員の意見を反映した臨時総会になると思う。

 もっと簡単にするなら、代理人は委任者の意見に拘束されないという会則39条4項を撤廃すればよいのではないか。ちなみに日弁連の会則にはそのような代理人は委任者の意見に拘束されないという、会則39条4項のような規程は、多分なかったように記憶する。

 もしそうだとすれば、大阪弁護士会の約10倍の規模を有する日弁連で不統一行使が出来るのだから、大阪弁護士会では事務処理の都合上、不統一行使は出来ないのです・・・という言い訳は、通らないだろう。

 敢えて嫌みな言い方をすれば、大阪弁護士会の総会決議において執行部の提出議案が否決されることが(ほぼ)ないような仕組みが整えられている、といっても言い過ぎではないだろう。

 こんな罠のような総会代理人選任届の仕組みを、大阪弁護士会はいつまで放置しておくのだろうか。

 どこかで大掃除が必要な気もするね。

いわゆる谷間世代は、弁護士会費の減額を求めているのか?

 私は反対したにもかかわらず、大阪弁護士会の常議員会では、圧倒的多数の賛成で、いわゆる谷間世代(司法修習中に国からの給費がなされなかった世代)に対して、大阪弁護士会の会費を概ね10年間で84万円分減額する、議案を臨時総会に提出することが可決された。

 そして現在、配布されている大阪弁護士会臨時総会(3月5日13:00~開催)の第11号・12号議案として提出されている。

 私は、かねてから谷間世代が国から修習中の給付を受けられなかったことは国の政策により引き起こされた問題であり、国に対してその救済を求めるのであれば筋が通るが、弁護士会が救済に乗り出すのは筋違いだと主張してきた。

 ところが、執行部は、常議員会で谷間世代が可哀相ではないかという情に訴える内容を交えて説明を行い、常議員の多くは、「確かに可哀相だし会費が余っているのなら良いのではないか」という判断で賛成されたようだ(執行部による会派への根回しがないと仮定した場合の話だが)。

 この度、中部弁護士連合会(以下「中弁連」)の日弁連執行部との意見交換会の議事録を見せて頂き、やはり谷間世代の若手の多くの方は、弁護士会に対して救済として会費減額を求めるような筋違いの主張をしてはいないのだということが確信できた。

 中弁連の議事録の中で、若手カンファレンスに出席しその様子を日弁連執行部に伝えている富山の65期の先生は、このように発言されている。

 「また、返還の減免にかえて弁護士会費の免除という案があるそうですけれども、これにつきましては、(若手カンファレンスでは)独立した弁護士ならともかく、勤務弁護士や組織内弁護士の救済にならず、雇い主を潤すだけだという消極的な意見が大勢を占めました。」

 この若手カンファレンスの報告のように、弁護士会費の減額措置を求めているわけではなく、むしろ弁護士会費を減額しても大した救済にならないし、そのような施策には消極的だ(平たく言えば「反対だ」)と主張する声も、当事者である谷間世代からは、相当強くあるのだ。

 以前のブログにも記載したが、谷間世代からの要望もない、谷間世代の要望の有無について調査もしていない、立法事実も存在しない、統一的連続的な法曹養成の基盤という説明ともそぐわない、谷間世代以外の会員に負担をさせて救済するという不公平を新しく作りだす、何より給費制復活・谷間世代救済を目指して頑張っている委員会・本部の活動に水を差すに違いない、このような救済策を、何故執行部が詭弁や屁理屈までこねて意固地に通そうとするのかと、私は疑問を呈してきた。

 若手カンファレンスの意見を取り入れるなら、上記の反対意見に加えて、「実際に谷間世代の救済にもつながらずボス弁が漁夫の利を得ることになる」、という理由もあげられることにもなろう。

 このように谷間世代の弁護士が、弁護士会費の減額を求めていないのに、敢えて屁理屈をこねてまで、大阪弁護士会執行部がその措置をとろうとするのであれば、考えられる理由は限られてくる。

 一つは、大阪弁護士会執行部が状況の把握もできないお馬鹿さんの集まりだったという可能性、

もう一つは、大阪弁護士会執行部が「自分達が谷間世代の心情を忖度してやったのだから、当事者の意見なんぞ聞かなくとも、会費減額が正しいはずだ」、と極めて独善的な思考をする人達の集まりだったという可能性である。

 しかし、私から見る限り執行部の先生方は、弁護士としては極めて優秀な方々であることは認めざるを得ないし、また優秀な弁護士である以上、訴訟でも証拠に基づかない独善的な主張をされないのと同様、会務においても独善的なお考えはおそらくされないと思われるので、これらの説は採りがたい。

 そうだとすると、結局、谷間世代救済のポーズをとって弁護士会費を減額させることにより、給費制復活・谷間世代救済を目指して頑張っている委員会・本部が行っている国に対する活動に対し、結果的に水を差す(沈静化させる)こと、が隠れた本当の目的なのだということが一番得心がいくように思う。

 少ない司法予算の制約もあってだと思うが、修習生に対する給付金制度導入と引き替えに、日弁連は谷間世代の救済を切り捨てることに合意した。そして、自ら一度は切り捨てに合意した以上、谷間世代の救済を、再度(本気で)国に求めるような「ちゃぶ台返し」は、さすがの日弁連執行部としても、おそらくはできなかったのだろう。

 かといって、日弁連執行部としては、日弁連会員の一万人(20%以上)ほどを占める谷間世代に対して、正直に、「将来の修習生のために、苦渋の選択で君たちの救済を切り捨てました」とも言えなかったのではないか。

 だからこそ、小原会長の常議員会での説明にも「法曹三者の信頼を維持するため」という、一見不可思議な理由が出てきたのだろうと推測する。

 しかし、もしそうだとすれば、給費制復活、谷間世代救済について日弁連は形式的には支援するように見せかけながら、一方で単位会を使ってその実質的な弱体化を積極的に進めることになるのだから、真剣に給費制復活・谷間世代救済に向けて活動されてきた方々に対して、極めて欺瞞的な行為だと言えないだろうか。

 もし日弁連執行部が自らのメンツや、主流派支配の維持にこだわらずに、きちんと事実を説明する勇気があれば、状況は変わったかもしれないと私は思うのである。

 いずれにせよ、私は、谷間世代に対する正当な救済につながるか疑問の多い、筋違いな弁護士会費減額案には反対である。

 なお、先日の常議員会では、日弁連が谷間世代の救済について検討に入ったとの情報も出されていた。

ますます混迷を深めていくように思えてならない。