谷間世代を責めているわけではないのです・・・

 谷間世代救済名目での会費減額案に反対する意見のブログを掲載していることから、誤解を受けやすいのだが、私は谷間世代を責めているわけでは決してない。むしろ気の毒に思っている。

 ただ、谷間世代のうち、谷間世代は修習で給付金がなかったのだから、谷間世代の弁護士会費を減額して欲しいと主張している方に対しては、筋違いだし、公平を欠くだろう、と申しあげざるを得ないように思う。

 理由その1は、司法修習時代に給付金が出なかったのは、国家の政策の問題であって、その後始末は国家に求めるべきであり、日弁連・弁護士会に対して会費減額を求めることは筋違いだということ。

 かつて研修医が劣悪な環境に置かれていたことがあった。現在ではその方針が改善されつつあるようだが、改善が間に合わず劣悪な研修医生活を送らざるを得なかった医師が、制度不備など理由に国や勤務先に救済を求めるならともかく、医師会に対し医師会会費を減額するよう求めたとすれば、その要求は筋違いだといわれるだけだろう。正しい例えではないと思うが、それに近い状況ではないかと思う。

 理由その2は、谷間世代の弁護士会費減額を行うということは、それ以外の世代の会費減額がなされないことから、谷間世代以外の負担が相対的に大きくなるということを必然的に意味する。つまり、日弁連・弁護士会に対して全会員の会費が高すぎるので減額して欲しいという要望は筋が通るが、谷間世代だけの会費減額を求めることは、「その他の世代に重い負担を負ってもらう」という前提が当然にくっついていることになる。

 平たくいえば、谷間世代だけの会費減額を主張する人は、他の人の犠牲で自分達を救えといっていることと同義だといわれても仕方がないのではないかと考える。

 理由その3は、大阪弁護士会に限ったことだが、既に若手会員には修習終了から2年間は一般会費を半額免除(おそらく8000円×24ヶ月)している。さらに、私は反対したが、谷間世代救済のためというお題目で、最大10年間84万円もの会費免除を決議している。その上、日弁連会費まで免除するのは、3重の会費免除特典で、厳しい状況でも頑張って会費を支払っている一般会員に比べて、余りにも公平を欠くのではないかと考えるのだ。

 むしろ大阪弁護士会などは、司法修習が2年から1年半に期間短縮された際に、新人弁護士は弁護士会の定める研修を受講し終わらないと法律相談を担当させない、として、1年以上若手に法律相談を割り当てることをしなかった。もちろんそれでも、若手に対する会費減額なんてなかった。現在とは状況が違うとはいえ、この待遇の差は、弁護士会内の亀裂を生じさせかねない可能性がある。

 執行部の先生方や、常議員会に出席される弁護士の先生方は、私を除けば、功成り名を遂げられた立派な先生方ばかりで、苦労している弁護士の存在など余り実感できないのではないだろうか。私の10年以上先輩の弁護士でも、すでに事務員さんを雇えない先生とか、仕事がなくて弁護士をやめる、という先生を何人も知っている。そのうちのお一人は、仕事を取れない弁護士は無能だというのが持論だったが、その先生ですら社外取締役以外に、ほとんど新しいお仕事がこないのだと聞いた。それでも会費滞納を続けるとバッジを飛ばされるので、高い会費を支払っておられるはずだ。

 つまり、将来の弁護士会費負担者はさらに困窮する可能性がある、それどころかその可能性は極めて高いと見るべきだろう。弁護士は激増するのに、裁判所に持ち込まれる事件は増えていないのだから。

 このような状況にあって、安易に谷間世代の会費免除を言い出す執行部は、現実を冷静に分析して将来を見据えた判断する能力を失っているように思う。一体なにやってんだろうね~。

 あれ、谷間世代を責めているわけじゃないことを言いたかったのに、責めるべき相手が、何故か出てきてしまいました・・・・(笑)。

 なんでだろうね~。

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