全国地裁破産事件新受件数推移~1(全国の動向)

全国地裁破産事件((フ)号事件)新受件数推移~1(全国の動向)

かつて、サンドイッチ弁護士という言葉があった。
サンドイッチ→はさんで食べる→破産で食べる、というダジャレで、破産事件で生計を立てている弁護士を意味した言葉だった。

 ここまで民事一般事件((ワ)号事件)の減少ぶりをご報告したが、破産事件((フ)号事件)の減少はもっと凄まじい。

 裁判所データブックによると、平成になって最も(フ)号事件の全国の新受件数が多かったのが平成15年の25万1800件である。
 それが平成26年はどうなっているかというと、7万3368件である。
 実に▲70.86%の減少、7割減なのである。
 裁判所データブックによれば、平成15年の弁護士数は1万9522名、平成26年の弁護士数は3万5113名である。
 平成15年の弁護士1人あたりの(フ)号事件数は、12.90件、
 平成26年の弁護士1人あたりの(フ)号事件数は、2.089件
 (少数点以下3桁目で四捨五入)
 なんと、弁護士1人あたりの(フ)号事件数は▲83.81%の減少なのだ。

 では、どの都道府県でどれだけ減少しているのだろうか。
 残念ながら委員会で頂いたデータには、平成16年以降の各地方裁判所の新受件数しか掲載されていなかったので、以下、平成16年以降、最も(フ)号事件が多かった年と、平成26年を比較して、どの都道府県でどれだけ(フ)号事件が減少したのか、平成26年の弁護士1人あたりの(フ)号事件数が何件なのか、について順次お示ししたいと思う。

(続く)

全国地裁ワ号事件新受件数について(仙台・札幌・高松高裁管内)

(前回ブログの続き)
今回は、仙台高裁管内、札幌高裁管内、高松高裁管内で全国地裁ワ号事件新受件数の推移を示す。

☆仙台高裁管内☆

☆仙台地裁管内
 3698件(H21)→2102件(H26)       ▲43.16%
 H26弁護士1人あたりの事件数              5.1件
 
☆福島地裁管内
 3219件(H21)→1124件(H26)       ▲65.08%
 H26弁護士1人あたりの事件数              6.4件

☆山形地裁管内
 1397件(H21)→545件(H26)        ▲60.99%
 H26弁護士1人あたりの事件数              6.1件

☆盛岡地裁管内
 1887件(H21)→565件(H26)        ▲70.06%
 H26弁護士1人あたりの事件数              5.7件

☆秋田地裁管内
 1988件(H21)→445件(H26)        ▲77.62%
 H26弁護士1人あたりの事件数              5.7件

☆青森地裁管内
 2388件(H20)→618件(H26)        ▲74.12%
 H26弁護士1人あたりの事件数              5.2件

☆札幌高裁管内☆

☆札幌地裁管内
 5870件(H21)→3325件(H26)       ▲43.36%
 H26弁護士1人あたりの事件数              4.8件

☆函館地裁管内
 683件(H21)→253件(H26)         ▲62.96%
 H26弁護士1人あたりの事件数              5.3件

☆旭川地裁管内
 1006件(H20)→365件(H26)        ▲63.72%
 H26弁護士1人あたりの事件数              5.3件

☆釧路地裁管内
 1112件(H21)→458件(H26)        ▲58.81%
 H26弁護士1人あたりの事件数              6.5件

☆高松高裁管内☆

☆高松地裁管内
 1262件(H22)→777件(H26)        ▲38.43%
 H26弁護士1人あたりの事件数              4.8件

☆徳島地裁管内
 894件(H22)→551件(H26)         ▲38.37%
 H26弁護士1人あたりの事件数              6.1件

☆高知地裁管内
 1038件(H21)→581件(H26)        ▲44.03%
 H26弁護士1人あたりの事件数              6.7件

☆松山地裁管内
 2234件(H23)→1143件(H26)       ▲48.84%
 H26弁護士1人あたりの事件数              7.2件

全国地裁ワ号事件新受件数について(広島・福岡高裁管内)

(前回ブログの続き)

今回は、広島高裁管内、福岡高裁管内で全国地裁ワ号事件新受件数の推移を示す。

☆広島高裁管内☆

☆広島地裁管内
 4527件(H21)→2367件(H26)       ▲47.71%
 H26弁護士1人あたりの事件数              4.5件

☆山口地裁管内
 2726件(H21)→1137件(H26)       ▲58.29%
 H26弁護士1人あたりの事件数              7.6件

☆岡山地裁管内
 3266件(H22)→1761件(H26)       ▲46.08%
 H26弁護士1人あたりの事件数              5.0件

☆鳥取地裁管内
 1259件(H21)→493件(H26)        ▲60.84%
 H26弁護士1人あたりの事件数              7.3件

☆松江地裁管内
 1140件(H21)→359件(H26)        ▲68.51%
 H26弁護士1人あたりの事件数              5.2件

☆福岡高裁管内☆

☆福岡地裁管内
 10971件(H21)→6392件(H26)      ▲41.74%
 H26弁護士1人あたりの事件数              5.9件

☆佐賀地裁管内
 2170件(H21)→754件(H26)        ▲65.25%
 H26弁護士1人あたりの事件数              7.9件

☆長崎地裁管内
 2789件(H21)→992件(H26)        ▲64.43%
 H26弁護士1人あたりの事件数              6.3件

☆大分地裁管内
 2152件(H21)→938件(H26)        ▲56.41%
 H26弁護士1人あたりの事件数              6.7件

☆熊本地裁管内
 3169件(H21)→1575件(H26)       ▲50.30%
 H26弁護士1人あたりの事件数              6.4件

☆鹿児島地裁管内
 3064件(H21)→1428件(H26)       ▲53.39%
 H26弁護士1人あたりの事件数              7.8件

☆宮崎地裁管内
 2504件(H21)→910件(H26)        ▲63.66%
 H26弁護士1人あたりの事件数              7.4件

☆那覇地裁管内
 3399件(H19)→1740件(H26)       ▲48.81%
 H26弁護士1人あたりの事件数              7.0件

(続く:次回は仙台・札幌・高松高裁管内の予定)

全国地裁ワ号事件新受件数について(大阪・名古屋高裁管内)

全国地裁ワ号事件新受件数について(大阪・名古屋高裁管内)

(前回ブログの続き)
今回は、大阪高裁管内、名古屋高裁管内で全国地裁ワ号事件新受件数の推移を示す。

☆大阪高裁管内☆

☆大阪地裁管内
 25092件(H21)→15103件(H26)    ▲39.81%
 H26弁護士1人あたりの事件数              3.7件

☆京都地裁管内
 5918件(H21)→4355件(H26)      ▲26.41%
 H26弁護士1人あたりの事件数              6.5件

☆神戸地裁管内
 10451件(H21)→6000件(H26)     ▲42.59%
 H26弁護士1人あたりの事件数              7.4件

☆奈良地裁管内
 2071件(H21)→1165件(H26)      ▲43.75%
 H26弁護士1人あたりの事件数              7.4件

☆大津地裁管内
 1877件(H21)→1010件(H26)      ▲46.19%
 H26弁護士1人あたりの事件数              7.2件

☆和歌山地裁管内
 1364件(H21)→818件(H26)            ▲40.03%
 H26弁護士1人あたりの事件数              5.8件

☆名古屋高裁管内☆

☆名古屋地裁管内
 13214件(H22)→7792件(H26)     ▲41.03%
 H26弁護士1人あたりの事件数  4.6件

☆津地裁管内
 2526件(H22)→1470件(H26)      ▲41.81%
 H26弁護士1人あたりの事件数              8.5件

☆岐阜地裁管内
 2675件(H21)→1304件(H26)      ▲51.25%
 H26弁護士1人あたりの事件数              7.2件

☆福井地裁管内
 1189件(H21)→550件(H26)       ▲53.74%
 H26弁護士1人あたりの事件数              5.6件

☆金沢地裁管内
 1288件(H21)→754件(H26)       ▲41.46%
 H26弁護士1人あたりの事件数              4.5件

☆富山地裁管内
 1264件(H21)→626件(H26)       ▲50.47%
 H26弁護士1人あたりの事件数              6.1件

(続く:次回は広島高裁管内・福岡高裁管内の予定)

全国地裁ワ号事件新受件数について(全国・東京高裁管内)

 一般の方には馴染みがないと思うが、裁判所では事件番号を割り振ることになっている。第1審の通常民事事件に付されるのがワである。事件番号としては平成○○年(ワ)第○○○○○号事件などと表記される。そのワ号事件を一年間にどれだけ地方裁判所が受理したかについての推移に関して述べようと思う。ワ号事件は民事通常事件だから、その傾向は弁護士ニーズの指標の一つとしては十分参考になるはずだ。
 

☆全国
 平成に入ってから、ワ号事件を地裁が最も多く受理したのは、平成21年の235508件である。平成26年のワ号事件地裁新受件数は142490件である。
平成21年の新受件数に過払いバブルの影響があったとはいえ、▲39.5%の減少である。

 以下、東京高裁管内の各地裁ワ号事件新受件数について、平成16~26年のうち最も多かった件数と、平成26年度の件数を比較する。併せて、平成26年の弁護士1人あたりの事件数(当該地裁新受件数を当該土地の弁護士会会員数で除した数値)も参考までに付しておく。

☆東京地裁管内
 52114件(H22)→37856件(H26)  ▲27.36%
 H26弁護士1人あたりの事件数             2.3件

☆横浜地裁管内
 10894件(H22)→8098件(H26)   ▲25.67%
 H26弁護士1人あたりの事件数             5.7件

☆さいたま地裁管内
 7885件(H21)→5436件(H26)    ▲31.06%
 H26弁護士1人あたりの事件数             7.5件

☆千葉地裁管内
 7478件(H21)→5255件(H26)    ▲29.73%
 H26弁護士1人あたりの事件数             7.8件

☆水戸地裁管内
 2935件(H21)→2052件(H26)    ▲30.09%
 H26弁護士1人あたりの事件数             8.2件

☆宇都宮地裁管内
 2068件(H21)→1685件(H26)    ▲18.32%
 H26弁護士1人あたりの事件数            8.6件

☆前橋地裁管内
 2591件(H21)→1674件(H26)    ▲35.39%
 H26弁護士1人あたりの事件数             6.3件

☆静岡地裁管内
 5208件(H22)→2679件(H26)     ▲48.56%
 H26弁護士1人あたりの事件数             6.4件

☆甲府地裁管内
 966件(H21)→617件(H26)        ▲36.13%
 H26弁護士1人あたりの事件数             5.3件

☆長野地裁管内
 2374件(H21)→1310件(H26)      ▲44.82%
 H26弁護士1人あたりの事件数               5.7件

☆新潟地裁管内
 2412件(H21)→1183件(H26)      ▲50.95%
 H26弁護士1人あたりの事件数               4.7件

(続く)

弁護士数の増加と増加率

 先日、私の所属している大阪弁護士会の委員会で、ある委員の先生が作成された資料を頂いた。そこには興味深いデータが掲載されていたので、いくつかご紹介したいと思う。

 まず弁護士の増加数である。
 平成16年12月31日時点での弁護士数は21174名。
 平成26年4月1日時点での弁護士数は35109名。
 9年と4ヶ月で13935名(165.8%)増えている。
 裁判所データブックによると、平成2年の弁護士総数が14173名なので、平成2年から弁護士数は、ほぼ2.5倍に増えたと言える。

 次にどこの弁護士が増加したかについてである。
 平成16年からの弁護士増加率を算出したデータによると、ここ9年4ヶ月の増加率上位は次の都道府県となる。
 ① 青森  地裁管内  268.2%
 ② 松江  地裁管内  246.4%
 ③ 大津  地裁管内  245.6%
 ④ 鳥取  地裁管内  242.9%
 ⑤ 水戸  地裁管内  234.9%
 ⑥ 佐賀  地裁管内  215.9%
 ⑦ 福井  地裁管内  215.2%
 ⑧ 長崎  地裁管内  212.2%
 ⑨ 千葉  地裁管内  210.3%
 ⑩ 旭川  地裁管内  209.1%
 ⑪ 津   地裁管内  207.2%
 ⑫ 鹿児島 地裁管内  205.6%
 ⑬ 宮崎  地裁管内  205.0%
 ⑭ さいたま地裁管内  204.2%
 ⑮ 釧路  地裁管内  200.0%

 逆に増加率が,全国平均(165.8%)以下の都道府県は次の通り。
 ① 那覇  地裁管内  134.2%
 ② 大阪  地裁管内  142.6%
 ③ 秋田  地裁管内  150.0%
 ④ 高知  地裁管内  158.2%
 ⑤ 東京  地裁管内  158.6%
 ⑥ 奈良  地裁管内  163.5%
 ⑦ 山形  地裁管内  163.6%
 ⑧ 函館  地裁管内  165.5%

次回から、地裁ワ号事件新受件数の推移についてご報告する予定。

高齢弁護士の会費免除年齢引き下げ問題

 弁護士が納める日弁連会費が余ってきたので、若手の会費減額の延長、会費免除となる年齢を77歳から75歳に引き下げること等を行おうとしているのだが、という問題に関する意見照会が日弁連から来ていた。

 大阪弁護士会執行部案は、若手の会費減額延長は賛成、会費免除となる年齢引き下げについては反対の案だった。

 私は、若手の方も等しく弁護士である以上、本当は若手の会費減額はすべきではないと思っているが、昨今の若手の方の大変さから、現状ではやむを得ないと考えるようになっている。

 一方、会費免除年齢引き下げ反対の案については、執行部としては意外にやるなと思ったのだが、複数の常議員の先生から、高齢の弁護士の生活が大変だから等の理由でおかしいのではないか、との意見が出た。

 私は、若手の生活はもっと大変であることを主張して、反論した。

 確かに、先達により弁護士会・日弁連が一定の地位を得てきた(?)ことは、否定しないし、その功績を評価していないわけではない。むしろ先輩方の努力があって、今の弁護士会があるとも思っている。

 しかし、言い方は悪いが、先達の方々は競争相手が極めて少なく、しかも、肥沃な土地が広がっている時代に収穫が可能だった方々だ。

今の若手の多くは、肥沃な土地はほぼ見当たらず、未開の地を開拓しなければならない。国家制度の問題でもあるが、年金や健康保険の自己負担分についても、若手がわりを食う設計になっているようにも思える。資産についても世代間格差が指摘され、資産の多くは高齢者が保持する傾向が強まっている。

 その状態で、会費免除の年齢を引き下げを主張し高齢会員を優遇するのは、すでに日弁連の多数派になっている若手に対して、ますます日弁連の求心力を失わせるものではないだろうか。

 日弁連・弁護士会の将来を思うなら、会費免除年齢の引き下げは愚策ではないかと思うのだけれど。

弁護士感覚とビジネス感覚

 弁護士感覚とビジネス感覚はときにぶつかり合うものだ。

 言っちゃあ悪いが、やっていることは普通の弁護士とほとんど変わらないにもかかわらず、○○専門、凄い実績!と、専門的な内容を知らない大々的に営業を行って、今までの通常の弁護士費用と比較すると法外と言えるほど高額な弁護士費用をふんだくろうとする法律事務所も実は存在する。

 他の弁護士からも、いろいろ実例は聞くが、私が経験したのは次のような案件だった。

 合意の上で女性と関係を持ったある男性が、その後女性から「合意はなかった、告訴する」と言われ、インターネットで調べた刑事専門を謳う法律事務所に相談に行った。
 ところが、相談を受けた弁護士から「その案件は、あなたでは解決できない。絶対に女性から告訴される。そうなるとあなたは今の職も社会的地位も失う。それが嫌なら、私が解決するから、示談費用とは別に300万円(税別)をもってすぐ来なさい。」と言われたという。
 その男性は、とてもそのような高額な費用を準備できないということで、私のところに相談に来たという案件だった。

 私が男性から話を聞いてみると、○○という事情等(特定防止のために伏せ字)から、告訴の可能性は高くはないとすぐわかる案件だった。しかし、あまりにその男性が心配するので、「今後の社会生活を安心して送るために、ある程度の解決金で解決する方向はどうか」と提案し、交渉の結果、もちろん告訴しない約束を盛り込んだ上で数ヶ月後に若干の解決金で示談することができた。弁護士費用は着手・報酬金合わせて某事務所の着手金の10分の1以下であった。

 仮にその男性が受けたという某事務所の説明が真実だったと仮定した場合、上記法律事務所の担当弁護士の説明は、かなり不当な説明であると言わざるを得ないだろう。相手の女性から告訴すると言われ不安に陥っている人に、弁護士が「絶対告訴される」と言えば、誰だってさらに不安に陥れられ、まともな判断など出来なくなるだろう。その状況に追い込んでおいて、弁護士費用の相場も知らない人に法外な値段をふっかければ、心に余裕を持てない状況にある人は、藁をもつかむ思いでその費用を出そうとするにちがいないからである。

 そして、上記のようなやり方は、弁護士感覚からすれば弱者を窮地に追い込んで食い物にする許されるべきではない手法である。しかし、そのような法律事務所の売り上げがどんどん伸び、利益を上げているのであれば、ビジネス感覚からすれば、その手法は正しいと言えてしまうのだ。
 新自由主義下の規制緩和・自由競争の社会では、手段はどうであれ、結局は儲けた者勝ちであり、儲けられない者は退場せざるをえない。そして、弁護士も自由競争するようにマスコミは叫び続けているし、大量の就職未定者を出しつつも弁護士大増員は未だ止められていない。

 実際にそのような噂を聞く法律事務所の所長弁護士が経済誌に取り上げられたり、弁護士マーケティング本で成功例として取り上げられている可能性すらあるだろう。ビジネス感覚からすれば、現に儲けていることは正義なのだから。

 新自由主義下では、儲けた者だけが勝者であり、正義とされる傾向にある。また、自由競争に伴う弊害が生じたとしても、それは自己責任(そのような弁護士を選んだ者の自己責任)とされてしまうことがほとんどだ。

 でも、本当に自己責任で片付けて良いのだろうか。
 どこかが狂っている。
 そんな気がしてならない。

飛行機好き

インターネットで、とても面白いアプリ?を発見した。

http://www.flightradar24.com

 世界中の現在飛んでいる飛行機が分かり、飛行機のマークにカーソルを合わせクリックすると、その飛行機のデータが出るのだ。

 その昔、パイロットに憧れ、大学時代はグライダーを飛ばしていた飛行少年にとっては、面白くてたまらない。日本・ヨーロッパなどは飛んでいる飛行機のマークで、地図が見えないくらいのところもある。

 飛行機好きの方には、お勧めである。

花岡幸代ライブ~その5

 ライブの最後の曲は、私も大好きな「サイド・バイ・サイド」だった。私が勝手に想像するに、一昨年に永遠に分かれることになってしまった世界で一番大事な人と、花岡さんが一緒に歩けるようになったときの想いを曲にしたものなのかもしれない。
 この曲が作られたときには、一昨年の突然のお別れ、少なくとも花岡さんがブログで書かれていたような形でのお別れは、想像すらしていなかったはずだ。

 大切な人と一緒に歩くことができたものの、その輝いていた時間に突然の終わりが訪れ、その大切な時間にはもう想い出の中でしか戻れない。そして、時という残酷な存在は、人から痛みを引き受けていくのと引き替えに、その想い出をもゆっくりと、しかし確実にセピア色の霧に包み、色褪せさせていくのだ。

そんな今、花岡さんはどのような気持ちでこの曲を歌うのだろう。

 ゲストの板倉雅一さんの、ピアノの優しいイントロだけで、私はもう、ダメになりかかっていたが、花岡さんの歌うサビの部分

「いつまでも忘れないで
 初めて逢ったあの日の二人を
 いつまでもはぐれないで
 つないだ指と指の温もり
 忘れずに」

で、やはり私は、ダメになった。

いつまでも、一緒に同じ夢を見ていたかった。
いつまでも一緒に歩きたかった。
ずっと大事にしてきた音楽をおいてまでも、その人との時間を大切にしたかった。

それなのに、、、、

見事にもう一度、涙ぼろぼろの中年のおっさんの出来上がりである。

ライブが終わり、ようやく鼻水を止めて落ち着いた私は、友人との待ち合わせもあったため早めに帰途についた。

つきなみの言葉しか出ないが、

素晴らしかった。

本当にいいライブだった。

来て、本当に良かった。

心の底からそう思った。

そして、何故だかわからないが、

「その道は、苦しいし大変だけれど、心を汚さないようにして生きていくほうが、つらくてもきっと素晴らしい。」

そういう心の種火を、ぽっと小さく自分の中に、ともしてもらえたような気になった。

ライブハウスの出口で、お知り合いの方々だろう、板倉雅一さん、そして18年ぶりのライブの緊張感から解き放たれた花岡幸代さんらがにこやかに談笑されていた。花岡さんはやはり小柄で、そして笑顔の似合う女性だった。

 どうしても一言お礼が言いたくて、私は、花岡さんに、「素晴らしい音楽を、ありがとうございました。」などとお伝えした。もっと気の利いたことが言えれば良かったのかもしれないが、そのときの私には無理だった。

花岡さんは、私を見て、「あの、ブログの方ですよね」と言ってくださった。
私は、以前ブログに花岡さんのことを書かせていただいたこともあるし、花岡さんのブログにコメントさせていただいたこともある。どちらの意味かまではお聞きするだけの余裕はなかったが、私としては、すばらしい時間を分けていただいたことをお伝えできただけでも良かった。

そんな花岡さんの新曲CD「十六夜」が出されている。
私はライブ会場で購入できたが、まだ、アマゾンでは出ていないようだ。
購入方法がわかればまた、私のブログでお伝えすることができるかもしれない。

もし花岡さんの音楽に興味をお持ちの方は、復刻されたアルバムも今なら入手できるので、是非聞いていただきたい。

そして、できるならライブで花岡さんの生の歌声に、是非直接ふれていただきたいと思っている。

このような音楽を聴くことのできる幸運を逃してしまうのは、あまりにも惜しい。

真剣にそう思うからだ。

(この項終わり)