二つの時間

 私が中学生の頃だったと思うのですが、「ノストラダムスの大予言」という本が流行していました。

 ノストラダムスという占星術師・予言者が、「1999年の7の月に恐怖の大王が空からやってきて、人類が滅びる」と予言したという事だったようです。しかも、ノストラダムスの予言は99%当るという話まで出ていて、「1999年が来たらどうするんだ」などという話で結構友達と盛り上がったものです。

 当時の私は思春期であり、人生のことなど何にもわかっていない生意気小僧でしたから、浅はかにも次のように思っていました。

 「1999年には自分は30歳を超えているから、もう十分生きたといえるんじゃあないか、だったら、人類が滅びてもそんなに後悔しないのではないだろうか。お年寄りが、自分はまだまだ若いというけど、それは間違いじゃないだろうか。」

 ところが、不惑の年を少し越えた今、十分生きたと感じられるのか、と振り返ってみると、ちっともそのような実感がないのです。

 実際の時間は私が生まれてから、40年以上経過しているのは間違いありません。私の甥だって高校生になるくらい成長しているのですから、やはり時間は間違いなく経過しています。

 しかし、こと私の内面の時間となると、まだ物心付いてから16~7年くらいしか経過していないような気がするのです。小さい頃は、実際の時間と私の内面の時間は一致していたのでしょうが、次第に私の内面の時間はその歩みを止めがちになり、一方、実際の時間は忙しさのためか、年々足早になっていくように思います。

 私の内面の時間が、急に実際の時間と同じように流れ出すとか、実際の時間に追いつくとは思えないので、おそらくこのような状況が私が生きている限り続くのでしょう。

 そうだとすると、悔いが残るかどうかは別として、多分、私も十分生きたという実感を持てずにこの世から去る日を迎えるように思います。

 同じ一つの時間しかないはずなのに、実際の時間の他に、人には内面の時間があるようです。しかも、人は、自分自身を振り返ったときに(良いか悪いかは別にして)内面時間を実際の時間として感じてしまうような気がします。

大荒れ!法曹人口問題に関する決議案~その3

結論から言うと次の修正案が臨時総会決議案として常議員会で採択されました。

(修正案)
1 当会は、司法試験合格者数が、2010(平成22)年頃に3000人程度とする数値目標に基づき、毎年大幅に増員されている結果、法曹としての質についての懸念などが生じていることに鑑み、上記数値目標について速やかに見直しを行うよう求める。
2 当会は、今年度の司法試験合格者の判定にあたっては、法曹としての質の確保に十分配慮するとともに、上記数値目標及び毎年の概数にとらわれることなく、少なくとも前年度の合格者数より増やすことのないように求める。

 アンケート結果から推測される大阪弁護士会の意思を素直に表現した原案(7月9日のブログをご参照下さい)と異なり、かなりトーンが落ちています。

 おそらく政治的な判断が働いたのでしょうが、その代わりあまり意味がない決議案になってしまったとも思われます。

 総会決議はその後の大阪弁護士会執行部をも拘束するものであり、一度なされた総会決議に反する決議・行動を執行部が行うためには、再度総会決議が必要になると聞きました。

 その観点からみると、修正案1項は、3000人目標の速やかな見直しを求めるだけであり、「直ちに」ではない上、「減少を求める」と明記していないこと、第2項は「今年度司法試験合格者の判定」に限定しており、来年度以降の司法試験合格者になんら言及していないことからして、来年度以降の執行部を殆ど拘束できない総会決議案になっています。

 つまり、この修正決議案が臨時総会で可決されても、法曹人口問題に関して、来年度以降の執行部が、ほぼ自由に行動できてしまうというところがミソだと思います。

 たとえば、来年度の新執行部が選出されたとして、早く3000人目標を減らすようにと多くの会員から指摘されても、「(直ちにではなく)速やかに見直すことを求めるという決議ですから、今、速やかにやるよう考慮中です」といって、新執行部は問題を先送りにすることが出来てしまいます。また、減員を求めると明記していませんから、「見直すという決議ですから、見直した結果、やっぱり3000人目標を維持することに決めました。これが見直しです。」と新しい執行部が言いだしても決議案に反するとまでは言えないのです。

 さらに、修正案2項はあくまで今年度の司法試験合格者数を前年度よりも増加させないように求めるだけですから、来年度の新しい執行部が来年度の司法試験合格者を増加させるよう行動することも、許容可能な内容なのです。

 私はPTの臨時会議で、1項につき、減員の趣旨だと言い張る副会長に対して、「そうであれば減員の趣旨をより明確にして何が悪い。減少と入れるべきだ。」と主張したのですが、結局入れてもらえませんでした。
 2項についても、「何故今年度に限定するのか」と質問したと思いますが、結局、常議員会を通すためという理由の他、まともな回答はなかったと記憶しています。

 つまり、上野執行部は(実際の公約とは異なると思いますが)、ともかく総会決議を取ることで公約をぎりぎり果たした形を取れるし、他の会派は後に自らが執行部になったときに、法曹人口問題に関して自由に行動できるように原案を骨抜きにしたということでポイントを上げたということでしょう。日弁連の動きに合わせたという点も当然あるでしょう。

 ただ、相当多くの会員の意見を踏みにじった上での、妥協だとは思いますが。

竹島問題

 本日の日経新聞朝刊第2面に、『竹島問題、何が対立点』という記事と、『「竹島」福田外交に影』という記事が載せられています。

 要するに、日本が新学習指導要領の解説書に、初めて竹島に触れたことをきっかけにして、韓国側が態度を硬化させていることに関する記事です。

 竹島問題については、http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/をお読みください。日本政府は公式見解として竹島は日本の領土だと主張しています。私も日本政府の主張に分があると思います。

 日本政府の公式見解が、竹島が日本の領土であるのなら、新学習指導要領の解説書に記載することは当然のことです。それを何故批判されなければならないのでしょうか。正しいことを述べているのですから、堂々と主張して頂きたいところです。

 韓国側に異論があるのであれば、国際司法裁判所で堂々とその主張をお互い述べ合って判断してもらうべきでしょう。日本は何度か、国際司法裁判所への提訴を提案しましたが、韓国側はこれに応じていません。本当に韓国側が国際的に通用する領有根拠があるのであれば、なんら国際司法裁判所に提訴することに異論はないはずなのですが、何故応じないのでしょうか。(国際司法裁判所は、紛争の両当事者が同裁判所において解決を求めるという合意があって初めて動き出すという仕組みになっています。したがって、仮に日本が一方的に提訴を行ったとしても、韓国側がこれに応ずる義務はなく、韓国が自主的に応じない限り国際司法裁判所の管轄権は設定されないこととなります。)

 なお、韓国は、1954年から竹島に警備隊を常駐させ実効支配に入っています。このまま韓国の実効支配が長期化し既成事実化してしまえば、国際司法裁判所に提訴しても、現実の韓国側の実効支配の長さが判断に影響を与えてしまう危険が出てくるでしょう。

 韓国側も、竹島問題を、「竹島問題に触れると、外交に悪影響を及ぼすぞ。それが嫌なら引っ込めろ。」といわんばかりの対応を取るべきではなく、国際司法裁判所に提訴するなど、平和裡に建設的な解決を目指すべきではないのでしょうか。

大阪弁護士会常議員会傍聴報告~その3

 本日、午後3時より、大阪弁護士会常議員会が開催されました。法曹人口問題に関する大阪弁護士会の決議案をどうするのか審議する常議員会でしたので、私も傍聴してきました。

 結論から言えば、常議員会は前回の執行部の決議案(以下「原案」と言います。)から、相当後退の修正を施した決議案(以下「修正案」と言います。)を、常議員会で可決し臨時総会に上程することに決定しました。

 修正案の詳細は、臨時総会招集通知の中で明らかにされるのでしょうが、(数値目標や合格者の)減少という文言が削られていること、今年度司法試験合格者を増加させないようにと、極めて限定した表現になっていることなどから、一見して日弁連に対して思いっきり配慮した内容になっていると、個人的には思います。

 常議員会では、アンケート結果などから会員の多数意見に近いと思われる原案を臨時総会に提出すべきだという動議も出たのですが、私の記憶では、その動議は賛成3、反対41、保留4で否決されました。
ちなみに修正案は、賛成45、反対2、留保1で可決されました。

 責任の所在を明確にするために議事録に、賛成・反対の名前を残すべきだという案も出ましたが、名前を出すことに賛成16、反対30で否決されました。自分自身が熟慮した結果、最も正しい信じる意見に投票する際に、なぜ、自分の名前を出すことに反対されるのでしょうか。名前を出すことに反対された方々は、自分が正しいと信じていない意見に投票したのでしょうか。

 自分達が行う決議に関して、堂々と名前を出すことさえ出来ない(少なくとも30名の)常議員が、会員の多数意見を反故にしているような気がして、見ている私の方が、非常に情けない思いをしました。名前を出すことに反対されるような情けない方達が、常議員としてこのような重要な決議案を決めていることを、全会員に示すべきでしょう。

 アンケート結果と大幅に食い違う修正案が、常議員会では(反対わずか3名)という圧倒的多数で支持されたこと、修正案が各会派で事前に検討されていたことなどから考えて、今回の常議員の決議には、会派による投票の統制がかけられていることは間違いないと私には思えました。

 各会派上層部の投票統制をかけた方々は、減少との文言を削った修正案に賛成し、司法試験合格者を前年より増加させない程度で十分とお考えなのですから、弁護士はまだ不足とお考えなのでしょう。 そうでないとしても、日弁連との連携が必要であり、そのためには弁護士の増員ペースをとりあえずダウンさせなくても良いとお考えなのでしょう。

 それなら、今すぐに就職できていない修習生を雇用してあげたらどうですか?弁護士不足とお考えの方は当然ですが、そうでない方であっても増員ペースダウンよりも日弁連との連携を重視しているのですから、その弊害を引き受ける覚悟があるはずです。

 「俺たちと日弁連との連携は残したい。それによる弊害はお前らで負担しろ」では、ずるいといわれてもしょうがないでしょう。

韓国法曹人口増大事情

 お隣の韓国では、司法改革の名の下、弁護士人口を急増させています。

 法曹人口問題PTで配布された、第1東京弁護士会の韓国調査の資料によると、いろいろな問題点が既に明らかになってきています。

 まず、韓国の人口は日本の約3分の1である4612万人強です。 そして、韓国の司法試験は現在ほぼ1000人の合格者を出していますから、日本でいうと司法試験合格者3000人を先取りして実現したとして考えることも出来ます。2008年現在の韓国の弁護士数は8142人であり、2008年の日本の弁護士数は25026人、弁護士法人295ですから、ほぼ、全人口に対する弁護士数の比率は同じと考えても良いでしょう。

 調査団は様々な質問を韓国の弁護士会などに行っているのですが、その回答のうち、印象に残ったものをあげてみます。

 ・社内弁護士や、公共機関への(弁護士の)進出が確立しているとはいえない。(中略)公共機関について、弁護士の進出を定着させるには認識の変化に時間がかかると考えられる。

 ・生活に見合った収入が得られない弁護士は、韓国でも増加している。

 ・ 韓国では新規弁護士がプロボノ活動(公共の利益のための無償・極めて低廉な報酬での奉仕など)をすることが難しい状況にある。

 ・新しい現象として、弁護士が弁護士の仕事以外に事業(不動産コンサルティングなど)を立ち上げて、問題が生じている。

 ・先輩弁護士から適切な指導を受けられなくなっている。

 ・弁護士の業務をせずに、(詐欺に近い)ブローカー(あっせん業)のような商売をするものも現れている。またブローカーから仕事をもらっていることもある。

 ・過去にこのような現象はなかったが、「チップサ」と呼ばれる受刑者の執事のような仕事をしている者もいる。

 ・弁護士の質の低下は法曹界の懸念するところである。

 ・司法改革のスタートは、数の少ない法曹に司法独占をさせないとのものであった。(中略)質の高くて安いサービスの提供を志向しているが、難しいと考えている。

 ・(司法改革は)国民の当初の期待には応えられないと考えている。

 以上のことから考えると、弁護士人口を激増させる韓国の司法改革は国民の期待に応えられない失敗策であったということになると思います。

 更に怖いことに、韓国の弁護士会は、「弁護士の質の低下は法曹界の懸念するところである。」と述べた後、次のように付け加えています。

 韓国でも、弁護士数は急増しているが、日本の方が増加のスピードが速い。そこで韓国において、日本での検証結果を採用できればと考えている。

 この調査結果を、マスコミの方はご存じないのでしょうが、何の根拠もなくフランス並みの法曹人口と叫び続けるくらいなら、少しはお勉強して下さいね。本当にフランス並の法曹人口にしてしまって、弁護士による被害が国民の間に続出した際に、マスコミの方が全て責任を取って下さるのであれば別ですが。

大荒れ!~法曹人口問題に関する決議案~その2

 (昨日の続きになります)

 臨時の法曹人口問題会議の議題は、執行部が一度提出した決議案の維持をあきらめ、急遽決議案を修正・差し替えするということでした。

 まだ、執行部が決議案の修正・差し替えを常議員会に提出した段階に過ぎず、傍聴可能な常議員会の審査にもかかっていない状態なので、新しい執行部の決議案は、公表できませんが、相当程度後退した決議案になる模様です。

 執行部の説明によると、常議員会には、この問題に関し既に多くの質問が事前に書面で寄せられていることや、諸般の事情(?)を考慮して変更したと説明されていました。私は、担当副会長のお一人に、具体的に、どこからどのような圧力がかけられたのか教えて下さいと申し入れましたが、結局、抵抗勢力の具体的なお話しは頂けませんでした。

 ただ、常議員会に寄せられた事前質問に関して、資料を頂き拝見したところ、やはり、日弁連との連携をどう考えるのか、決議案は日弁連を擁護するものか、日弁連と対決するものかといった、日弁連との関係を危惧する質問が多くありました。

 私個人としては、大阪弁護士会の意見表明に関する決議なのに、どうして日弁連の顔色をうかがわなければならないのか不思議でしょうがありません。日弁連と大阪弁護士会は制度的には独立しているはずではないのでしょうか。いつから大阪弁護士会は日弁連の下部組織になりさがったのでしょうか?日弁連として全単位会が一致して事に当たるべきだとお考えなのであれば、他の単位会の反対決議の動きに対して、「大阪弁護士会もそうするから、日弁連として一致して行動しよう。」という説得を、なぜ行おうとしなかったのでしょうか。

 個人的な意見ですが、大阪弁護士会執行部におられる先生方、常議員会に出ておられるベテランの先生方に関していえば、弁護士としては極めて優秀な方々ばかりであり、私は同業の弁護士として、そのような方々を弁護士としては非常に尊敬しております。

 しかし、こと弁護士会の政治的局面に関していわせて頂ければ、経済的基盤を確立されているベテランの先生方は、結局、苦しい若手の現状・司法全体の危機よりも日弁連執行部と大阪弁護士会執行部との関係を大事にしようとしているように思えてなりません。

 現在大阪から日弁連会長を出している関係上、大阪弁護士会の決議が日弁連決議と異なる場合、現在の日弁連会長の足を引っ張るのではないか、そうなると日弁連に対する大阪弁護士会の影響力がなくなるのではないか、との声もあるようです。しかし、現在でも、全弁護士の1割以上が所属する大阪弁護士会の影響力がなくなることは考えられません。また、日弁連と大阪弁護士会との連携が残っても、次代を担う若手が死屍累々、司法自体が信頼を失ってしまう、といった状況では、弁護士会全体の危機となるはずです。それなのに、日弁連執行部との関係を大事に、大事に、大阪弁護士会会員の意見よりも大事にしている、としか考えられないお偉方がいるのは何故なのでしょうか。

 これは私の邪推ですが、大阪弁護士会のお偉方のうち幾人かの方は、いつか自分が日弁連会長になりたい、日弁連執行部に入りたい、という野望をもっており、そのために「日弁連執行部にヘイコラごまをすっておこう。」とお考えなのではないでしょうか。もし万一そうであれば、順序が逆です。日弁連会長になりたいから立候補する、日弁連執行部に入りたいから入る、というのではなく、弁護士みんなのために働きたいと心の底からお考えの方が、その手段として就任されるべきはずの地位だと思います。

 かつて、出世を気にして、思い切った判決をかけない裁判官を、(上のことばかり気にしているので)ヒラメ判事と揶揄したことがあったそうです。

 私の邪推が邪推に終わり、大阪弁護士会にヒラメがいないことを祈るばかりです・・・・・。

大荒れ!~法曹人口に関する決議案~その1

 以前のブログで、法曹人口問題PTから常議員会に対して、「司法試験合格者数の適正化を求める」総会決議案が提出されたことは述べました。その具体的案文は次の通りです。

① 我々は、司法試験合格者数を2010(平成22)年頃に、3000人程度とする数値目標を直ちに見直し、法曹の質を確保し、社会の現実の需要に見合った数に減少するよう求める。

② 当面の司法試験合格者数については、上記数値目標やこれに基づく概数決定などにこだわらず、法曹の質に十分配慮し、前年度より大幅に減少させるべきである。

 これに対し、日弁連を過度に意識している司法改革推進本部の意見書は、要約すると、「2010年頃に合格者3000人程度にするとの目標のペースダウンを内容とする提言にすべきであり、今、ただちに3000名の目標自体の見直しを表明すべきではない」というもので、あくまで3000人の目標は維持するというものです。

 この双方の案に対して、常議員会で審議されていますが、様々な情報が飛び交っており、大荒れになっている状況と言えると思います。

 本日午前の段階での、同期の方からの情報ですが、「7月14日の常議員会で執行部案に賛成するのが確実なのは、上野会長の所属している法曹公正会所属の議員だけのようです。友新会は当初から反対、一水会、春秋会は、先日会派内で幹部の集会を開催して、会派として反対することに決めて、党議拘束をかけたようです。他の会派も似たり寄ったりの状況のようです。」というものでした。この情報が正しいと仮定して、以下の文章を書きます(万一誤っていた場合は申し訳ありません)。

 さて、今年の大阪弁護士会会長選挙では、候補者の方は次のように主張されました。

☆友新会の阪井候補

 3000人への増員は過剰だと考えます。閣議決定されている3000人の合格者を前提とした考え方を見直し、具体的な検証を行って、国民の権利保護のため、適正な水準の法曹人口及び司法試験の合格者を見出し、年間合格者を適正数に止めるための施策に取り組みます。(阪井候補選挙特集3、大苦戦!最後のお願い~)

☆五月会の岩城候補

 今回敢えて立候補の道を選択したのは、一昨年来五月会の諸先生方と鋭意取り組んできた弁護士人口問題について「2010年3000人」の見直しはもとより、当面は今の合格者数程度とした上で質と量の検証をし、出来れば減員への道筋を模索したいと強く考えたからです。(岩城候補選挙特集3、今踏み出そう~)

☆法曹公正会の上野候補

 会員の総意をとりまとめ、総会において、2010年3000人という計画の見直しを求める決議を行い、これを日弁連へ、全国単位会へ、さらには対外的に、大阪弁護士会の意見として発信したいと考えています。(上野候補選挙特集3、大苦戦~)

 少なくとも、「年間3000人の合格者という目標」を見直すべきだという、点においては、全ての候補は一致しています。問題は、その上でどうするかということです。阪井・岩城候補は、検証をして合格者を減員ないし適正数に抑えるべきと主張されます。

 そこで現状を見てみますと、①司法統計による明らかな訴訟数の減少、②日弁連アンケートにより弁護士需要がないことが明確化されたこと、③司法試験委員会のヒアリングや、新司法試験考査委員へのヒアリングから分かる全体的な質の低下、④新人弁護士の就職が極めて困難となっており、合格者数を当面現状に押さえたとしても更に就職難が悪化することは明白である、という現状等からすれば、具体的検証を改めて行う必要がないほど、弁護士の爆発的な増員の弊害は明確です。

 従って、いずれの候補者の立場であっても、現状を冷静に分析・検証すれば、適正水準の法曹人口を提言するということになると、司法試験合格者を減員しなければならない結論になるはずです。

 会長候補はその会派の推薦で立候補されたはずですから、常議員会で、上記の3つの会派の常議員が、執行部案に反対したとすれば、会長選挙の公約において当該会派と候補者が人気取りのために嘘をついていたか、(既に弊害が深刻化している)現状を全く把握できないお馬鹿さんであったか、選挙で負けた腹いせか、のいずれかとしか考えられません。

 さらに、法曹人口問題PTが行った、大阪弁護士会におけるアンケート結果でも、合格者3000人即時見直しに賛成する方、ただちに大阪弁護士会として意見表明をすべきであるという方はほぼ90%近くに昇ります。また、適正な司法試験合格者数に関してのアンケートでは現状の2000人程度よりも少ない、年間1500名以下とすべきと考える方(つまり減員が必要と考える方)が約88%です。

 会員の多数の意見は明白です。

 それなのに、なぜ、会派上層部は会員の多数意見を説得力のある理由も示さず、葬り去ろうとしているのでしょうか?

 あんたら何様?

・・・・・そう思っていたら、突然、法曹人口問題PTから臨時会議を行うとの連絡が入りました。今日の午後4時前の連絡で、明日のお昼に会議を行うということです。

・・・・・実はこれが大問題に発展する可能性があるようなのです。

(続く)

大浴場で・・・

 以前、あるリゾート地の宿で、大浴場に入っていたときのことです。たまたま、他にお客さんがいなくて、私が一人で鼻歌交じりでお湯につかっていると、浴場の扉が開く音がしました。

 小さな子供と、私と同年代くらいの父親が 一緒に入ってきたようです。湯煙もあるし、何より私はド近眼なので、二人のはっきりした年齢は分かりません。

 子供は、はしゃいでなにやらわめいていましたが、まあ、せっかくのリゾート地だし、仕方がないかと思っていました。すると、その二人は、入り口からまっすぐ浴槽に向かってやって来て、そのまま浴槽につかるではありませんか。

 ちょっと、待った!浴槽に入る前には身体を洗うか、せめて掛かり湯をしてからにしろ!

 と心の中で思ったのですが、二人はあっという間に浴槽につかってしまいました。これが大人だけであれば、「おっちゃん、掛かり湯してから入ってーな」と言えるのですが、子供の前で親に注意するのもなんだと思ったので、つい言いそびれてしまいました。 一度注意し損ねると、もう言いにくいもので、その親子が身体を洗ったタオルを浴槽に平然とつけていることや、子供が浴槽で泳ぎだしたことまで注意できなくなってしまいました。

 おそらく、家庭のお風呂しか入ったことがない方で、共同の浴槽の使い方(マナー)を知らない方だったのでしょう。私は、大学浪人時代に銭湯で、「銭湯のヌシ」のようなじいさん達に叱られて、教わったのですが、そのような経験のない方には分からなかったかもしれません。

 ただ、身体についたホコリや汗も落とさずに、みんながつかる浴槽に入って良いかどうかくらいは、社会人としての経験があれば、分かっても良いのではないか、とも思います。

 ほんの少しの手間で、お互いが気持ちよく過ごせるのに、その少しの手間すら嫌がる人、その手間をかければみんなが気持ちよく過ごせることにすら気づけない人、が増えてきているような気がします。

 私自身も十分気をつけなければ、と思いました。

法曹人口問題おとぎ話?

 法曹人口問題に関する提言について、誤解を恐れずに簡単なたとえ話にしてみれば、次のようになるかと思われます。

 ある日、1階の台所で宮崎さん一家(仮名)が、のんびり夕食をしていました。すると、家の2階から、火が出たらしく、煙が階段を通ってどんどん1階に下りて来ました。ぱちぱちと火が燃える音も聞こえるし、煙もどんどん増えてきて、どうも、2階に火事が起きていることは100%間違いないと思われる状況です。

 しかも、2階には最近生意気になってきた高校生の息子たち(若手弁護士)がいたとしましょう。

 そこで、「直ちに消防署に連絡して火を消してもらうべきだ。少なくとも火事であることを伝えなければ、2階にいる高校生の息子たちがどうなってしまうか分からない。急がなければ。」と考えているのが、大阪弁護士会のアンケートで示された圧倒的多数の意見であり、法曹人口問題PTで提案した議案です。

 これに対し、「お父さんがみんなに、『平山さん(仮名)からもらったうちの家は耐火住宅だ』と大見得切って自慢していたものですから、もし間違っていたらお父さんの恥になる。しかも、うちのお父さんは市会議員(日弁連会長)だから、なおさら体裁が悪い。消防署に連絡するとしても、2階のどの部屋が燃えているのかきちんと確認してからにしよう。息子たちの部屋でなければ大事ではないかもしれないし、他の家族(経営基盤を既に築いている弁護士)はすぐにでも逃げられるから大丈夫だろう。でも、(お父さんは勿論行かないし、他の家族も行かないつもりだけど)誰がどうやって火元を確認するかは、これから考えればいいじゃないか。」と悠長なことを言っているのが、現状での日弁連執行部案と、それを支持する大阪弁護士会の一部の方のご意見と思われます(あくまでたとえ話ですけどね。)

 ところが、未確認の情報ですが、アンケートにより明確に示された大阪弁護士会会員の圧倒的多数意見を無視して、本件に関する総会決議案を、常議員会レベルで葬り去ろうとする動きがあるようです。

 これも未確認の情報ではありますが、既に、何人かの常議員に対して圧力がかけられ始めている、という情報も届いています。

 彼らの理由は次の通りだということです。
 「このような決議を大阪弁護士会が行うことは、現在の日弁連会長の宮崎氏の足を引っ張ることになる。大阪弁護士会から選出された日弁連会長をサポートすべき大阪弁護士会が、このような決議をするべきではない。」

 あれ、2階に取り残された息子達は結局どうなるの・・・・・・?

法曹人口に関する提言について

 私の同期の吉田泰郎弁護士が、大阪弁護士会の年輩の弁護士から、「法曹人口減少の提言は、常議委員会、とおらないかもしれないなあ。そもそも、そんな提言しても、影響力ないんじゃないのかなあ。」というお話を聞かされたそうです。

 吉田弁護士は、毅然と「影響力があろうがなかろうが、法曹人口問題に、拱手傍観するのは最悪だと思
いますっ!」と言って下さったそうですが、私も全く同感です。

 更に言えば、法曹人口問題に関する大阪弁護士会のアンケート調査では、大阪弁護士会所属の全会員3256人中、1017名という前代未聞の高回答率でした。そのうち、司法試験合格者年間3000人を直ちに見直すことに賛成する方は約87%です。

 常議員会で、この問題に関して、総会議案として上程することを握りつぶした場合、大阪弁護士会の大多数と思われる意見をごく少数の常議員会が否定することになります。少なくとも常議員会に常識があれば、このアンケート結果を無視して、決議請求案を握りつぶすようなことはできないと思うのですが。

 しかし考えてみると、年間3000人の司法試験合格者が出るということになれば、現在の大阪弁護士会所属の弁護士数程度の法曹が毎年、毎年、増加するということになります。この日本で、東京を除けば最大の単位会であり、現在の弁護士人口の約1割が所属すると言われる大阪弁護士会が、毎年1個ずつできていくようなものですから、あっという間に弁護士があふれかえるでしょう。

 (食うに困り、食うために仕事を探してうろついている状態の)弁護士が、身近にたくさんいて欲しいと願う方々が本当にいるのでしょうか。そしてそれが、本当に市民の方にとって幸せな状態なのでしょうか。

 弁護士に自由競争原理を導入しようとする方は、このような状態を望ましいと考えているのでしょう。しかしその見解は、訴訟社会を望まない日本の国民性を、あまりにも無視した議論をされているような気がしてなりません。