法曹人口に関する提言について

 私の同期の吉田泰郎弁護士が、大阪弁護士会の年輩の弁護士から、「法曹人口減少の提言は、常議委員会、とおらないかもしれないなあ。そもそも、そんな提言しても、影響力ないんじゃないのかなあ。」というお話を聞かされたそうです。

 吉田弁護士は、毅然と「影響力があろうがなかろうが、法曹人口問題に、拱手傍観するのは最悪だと思
いますっ!」と言って下さったそうですが、私も全く同感です。

 更に言えば、法曹人口問題に関する大阪弁護士会のアンケート調査では、大阪弁護士会所属の全会員3256人中、1017名という前代未聞の高回答率でした。そのうち、司法試験合格者年間3000人を直ちに見直すことに賛成する方は約87%です。

 常議員会で、この問題に関して、総会議案として上程することを握りつぶした場合、大阪弁護士会の大多数と思われる意見をごく少数の常議員会が否定することになります。少なくとも常議員会に常識があれば、このアンケート結果を無視して、決議請求案を握りつぶすようなことはできないと思うのですが。

 しかし考えてみると、年間3000人の司法試験合格者が出るということになれば、現在の大阪弁護士会所属の弁護士数程度の法曹が毎年、毎年、増加するということになります。この日本で、東京を除けば最大の単位会であり、現在の弁護士人口の約1割が所属すると言われる大阪弁護士会が、毎年1個ずつできていくようなものですから、あっという間に弁護士があふれかえるでしょう。

 (食うに困り、食うために仕事を探してうろついている状態の)弁護士が、身近にたくさんいて欲しいと願う方々が本当にいるのでしょうか。そしてそれが、本当に市民の方にとって幸せな状態なのでしょうか。

 弁護士に自由競争原理を導入しようとする方は、このような状態を望ましいと考えているのでしょう。しかしその見解は、訴訟社会を望まない日本の国民性を、あまりにも無視した議論をされているような気がしてなりません。

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