大浴場で・・・

 以前、あるリゾート地の宿で、大浴場に入っていたときのことです。たまたま、他にお客さんがいなくて、私が一人で鼻歌交じりでお湯につかっていると、浴場の扉が開く音がしました。

 小さな子供と、私と同年代くらいの父親が 一緒に入ってきたようです。湯煙もあるし、何より私はド近眼なので、二人のはっきりした年齢は分かりません。

 子供は、はしゃいでなにやらわめいていましたが、まあ、せっかくのリゾート地だし、仕方がないかと思っていました。すると、その二人は、入り口からまっすぐ浴槽に向かってやって来て、そのまま浴槽につかるではありませんか。

 ちょっと、待った!浴槽に入る前には身体を洗うか、せめて掛かり湯をしてからにしろ!

 と心の中で思ったのですが、二人はあっという間に浴槽につかってしまいました。これが大人だけであれば、「おっちゃん、掛かり湯してから入ってーな」と言えるのですが、子供の前で親に注意するのもなんだと思ったので、つい言いそびれてしまいました。 一度注意し損ねると、もう言いにくいもので、その親子が身体を洗ったタオルを浴槽に平然とつけていることや、子供が浴槽で泳ぎだしたことまで注意できなくなってしまいました。

 おそらく、家庭のお風呂しか入ったことがない方で、共同の浴槽の使い方(マナー)を知らない方だったのでしょう。私は、大学浪人時代に銭湯で、「銭湯のヌシ」のようなじいさん達に叱られて、教わったのですが、そのような経験のない方には分からなかったかもしれません。

 ただ、身体についたホコリや汗も落とさずに、みんながつかる浴槽に入って良いかどうかくらいは、社会人としての経験があれば、分かっても良いのではないか、とも思います。

 ほんの少しの手間で、お互いが気持ちよく過ごせるのに、その少しの手間すら嫌がる人、その手間をかければみんなが気持ちよく過ごせることにすら気づけない人、が増えてきているような気がします。

 私自身も十分気をつけなければ、と思いました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です