韓国法曹人口増大事情

 お隣の韓国では、司法改革の名の下、弁護士人口を急増させています。

 法曹人口問題PTで配布された、第1東京弁護士会の韓国調査の資料によると、いろいろな問題点が既に明らかになってきています。

 まず、韓国の人口は日本の約3分の1である4612万人強です。 そして、韓国の司法試験は現在ほぼ1000人の合格者を出していますから、日本でいうと司法試験合格者3000人を先取りして実現したとして考えることも出来ます。2008年現在の韓国の弁護士数は8142人であり、2008年の日本の弁護士数は25026人、弁護士法人295ですから、ほぼ、全人口に対する弁護士数の比率は同じと考えても良いでしょう。

 調査団は様々な質問を韓国の弁護士会などに行っているのですが、その回答のうち、印象に残ったものをあげてみます。

 ・社内弁護士や、公共機関への(弁護士の)進出が確立しているとはいえない。(中略)公共機関について、弁護士の進出を定着させるには認識の変化に時間がかかると考えられる。

 ・生活に見合った収入が得られない弁護士は、韓国でも増加している。

 ・ 韓国では新規弁護士がプロボノ活動(公共の利益のための無償・極めて低廉な報酬での奉仕など)をすることが難しい状況にある。

 ・新しい現象として、弁護士が弁護士の仕事以外に事業(不動産コンサルティングなど)を立ち上げて、問題が生じている。

 ・先輩弁護士から適切な指導を受けられなくなっている。

 ・弁護士の業務をせずに、(詐欺に近い)ブローカー(あっせん業)のような商売をするものも現れている。またブローカーから仕事をもらっていることもある。

 ・過去にこのような現象はなかったが、「チップサ」と呼ばれる受刑者の執事のような仕事をしている者もいる。

 ・弁護士の質の低下は法曹界の懸念するところである。

 ・司法改革のスタートは、数の少ない法曹に司法独占をさせないとのものであった。(中略)質の高くて安いサービスの提供を志向しているが、難しいと考えている。

 ・(司法改革は)国民の当初の期待には応えられないと考えている。

 以上のことから考えると、弁護士人口を激増させる韓国の司法改革は国民の期待に応えられない失敗策であったということになると思います。

 更に怖いことに、韓国の弁護士会は、「弁護士の質の低下は法曹界の懸念するところである。」と述べた後、次のように付け加えています。

 韓国でも、弁護士数は急増しているが、日本の方が増加のスピードが速い。そこで韓国において、日本での検証結果を採用できればと考えている。

 この調査結果を、マスコミの方はご存じないのでしょうが、何の根拠もなくフランス並みの法曹人口と叫び続けるくらいなら、少しはお勉強して下さいね。本当にフランス並の法曹人口にしてしまって、弁護士による被害が国民の間に続出した際に、マスコミの方が全て責任を取って下さるのであれば別ですが。

大荒れ!~法曹人口問題に関する決議案~その2

 (昨日の続きになります)

 臨時の法曹人口問題会議の議題は、執行部が一度提出した決議案の維持をあきらめ、急遽決議案を修正・差し替えするということでした。

 まだ、執行部が決議案の修正・差し替えを常議員会に提出した段階に過ぎず、傍聴可能な常議員会の審査にもかかっていない状態なので、新しい執行部の決議案は、公表できませんが、相当程度後退した決議案になる模様です。

 執行部の説明によると、常議員会には、この問題に関し既に多くの質問が事前に書面で寄せられていることや、諸般の事情(?)を考慮して変更したと説明されていました。私は、担当副会長のお一人に、具体的に、どこからどのような圧力がかけられたのか教えて下さいと申し入れましたが、結局、抵抗勢力の具体的なお話しは頂けませんでした。

 ただ、常議員会に寄せられた事前質問に関して、資料を頂き拝見したところ、やはり、日弁連との連携をどう考えるのか、決議案は日弁連を擁護するものか、日弁連と対決するものかといった、日弁連との関係を危惧する質問が多くありました。

 私個人としては、大阪弁護士会の意見表明に関する決議なのに、どうして日弁連の顔色をうかがわなければならないのか不思議でしょうがありません。日弁連と大阪弁護士会は制度的には独立しているはずではないのでしょうか。いつから大阪弁護士会は日弁連の下部組織になりさがったのでしょうか?日弁連として全単位会が一致して事に当たるべきだとお考えなのであれば、他の単位会の反対決議の動きに対して、「大阪弁護士会もそうするから、日弁連として一致して行動しよう。」という説得を、なぜ行おうとしなかったのでしょうか。

 個人的な意見ですが、大阪弁護士会執行部におられる先生方、常議員会に出ておられるベテランの先生方に関していえば、弁護士としては極めて優秀な方々ばかりであり、私は同業の弁護士として、そのような方々を弁護士としては非常に尊敬しております。

 しかし、こと弁護士会の政治的局面に関していわせて頂ければ、経済的基盤を確立されているベテランの先生方は、結局、苦しい若手の現状・司法全体の危機よりも日弁連執行部と大阪弁護士会執行部との関係を大事にしようとしているように思えてなりません。

 現在大阪から日弁連会長を出している関係上、大阪弁護士会の決議が日弁連決議と異なる場合、現在の日弁連会長の足を引っ張るのではないか、そうなると日弁連に対する大阪弁護士会の影響力がなくなるのではないか、との声もあるようです。しかし、現在でも、全弁護士の1割以上が所属する大阪弁護士会の影響力がなくなることは考えられません。また、日弁連と大阪弁護士会との連携が残っても、次代を担う若手が死屍累々、司法自体が信頼を失ってしまう、といった状況では、弁護士会全体の危機となるはずです。それなのに、日弁連執行部との関係を大事に、大事に、大阪弁護士会会員の意見よりも大事にしている、としか考えられないお偉方がいるのは何故なのでしょうか。

 これは私の邪推ですが、大阪弁護士会のお偉方のうち幾人かの方は、いつか自分が日弁連会長になりたい、日弁連執行部に入りたい、という野望をもっており、そのために「日弁連執行部にヘイコラごまをすっておこう。」とお考えなのではないでしょうか。もし万一そうであれば、順序が逆です。日弁連会長になりたいから立候補する、日弁連執行部に入りたいから入る、というのではなく、弁護士みんなのために働きたいと心の底からお考えの方が、その手段として就任されるべきはずの地位だと思います。

 かつて、出世を気にして、思い切った判決をかけない裁判官を、(上のことばかり気にしているので)ヒラメ判事と揶揄したことがあったそうです。

 私の邪推が邪推に終わり、大阪弁護士会にヒラメがいないことを祈るばかりです・・・・・。

大荒れ!~法曹人口に関する決議案~その1

 以前のブログで、法曹人口問題PTから常議員会に対して、「司法試験合格者数の適正化を求める」総会決議案が提出されたことは述べました。その具体的案文は次の通りです。

① 我々は、司法試験合格者数を2010(平成22)年頃に、3000人程度とする数値目標を直ちに見直し、法曹の質を確保し、社会の現実の需要に見合った数に減少するよう求める。

② 当面の司法試験合格者数については、上記数値目標やこれに基づく概数決定などにこだわらず、法曹の質に十分配慮し、前年度より大幅に減少させるべきである。

 これに対し、日弁連を過度に意識している司法改革推進本部の意見書は、要約すると、「2010年頃に合格者3000人程度にするとの目標のペースダウンを内容とする提言にすべきであり、今、ただちに3000名の目標自体の見直しを表明すべきではない」というもので、あくまで3000人の目標は維持するというものです。

 この双方の案に対して、常議員会で審議されていますが、様々な情報が飛び交っており、大荒れになっている状況と言えると思います。

 本日午前の段階での、同期の方からの情報ですが、「7月14日の常議員会で執行部案に賛成するのが確実なのは、上野会長の所属している法曹公正会所属の議員だけのようです。友新会は当初から反対、一水会、春秋会は、先日会派内で幹部の集会を開催して、会派として反対することに決めて、党議拘束をかけたようです。他の会派も似たり寄ったりの状況のようです。」というものでした。この情報が正しいと仮定して、以下の文章を書きます(万一誤っていた場合は申し訳ありません)。

 さて、今年の大阪弁護士会会長選挙では、候補者の方は次のように主張されました。

☆友新会の阪井候補

 3000人への増員は過剰だと考えます。閣議決定されている3000人の合格者を前提とした考え方を見直し、具体的な検証を行って、国民の権利保護のため、適正な水準の法曹人口及び司法試験の合格者を見出し、年間合格者を適正数に止めるための施策に取り組みます。(阪井候補選挙特集3、大苦戦!最後のお願い~)

☆五月会の岩城候補

 今回敢えて立候補の道を選択したのは、一昨年来五月会の諸先生方と鋭意取り組んできた弁護士人口問題について「2010年3000人」の見直しはもとより、当面は今の合格者数程度とした上で質と量の検証をし、出来れば減員への道筋を模索したいと強く考えたからです。(岩城候補選挙特集3、今踏み出そう~)

☆法曹公正会の上野候補

 会員の総意をとりまとめ、総会において、2010年3000人という計画の見直しを求める決議を行い、これを日弁連へ、全国単位会へ、さらには対外的に、大阪弁護士会の意見として発信したいと考えています。(上野候補選挙特集3、大苦戦~)

 少なくとも、「年間3000人の合格者という目標」を見直すべきだという、点においては、全ての候補は一致しています。問題は、その上でどうするかということです。阪井・岩城候補は、検証をして合格者を減員ないし適正数に抑えるべきと主張されます。

 そこで現状を見てみますと、①司法統計による明らかな訴訟数の減少、②日弁連アンケートにより弁護士需要がないことが明確化されたこと、③司法試験委員会のヒアリングや、新司法試験考査委員へのヒアリングから分かる全体的な質の低下、④新人弁護士の就職が極めて困難となっており、合格者数を当面現状に押さえたとしても更に就職難が悪化することは明白である、という現状等からすれば、具体的検証を改めて行う必要がないほど、弁護士の爆発的な増員の弊害は明確です。

 従って、いずれの候補者の立場であっても、現状を冷静に分析・検証すれば、適正水準の法曹人口を提言するということになると、司法試験合格者を減員しなければならない結論になるはずです。

 会長候補はその会派の推薦で立候補されたはずですから、常議員会で、上記の3つの会派の常議員が、執行部案に反対したとすれば、会長選挙の公約において当該会派と候補者が人気取りのために嘘をついていたか、(既に弊害が深刻化している)現状を全く把握できないお馬鹿さんであったか、選挙で負けた腹いせか、のいずれかとしか考えられません。

 さらに、法曹人口問題PTが行った、大阪弁護士会におけるアンケート結果でも、合格者3000人即時見直しに賛成する方、ただちに大阪弁護士会として意見表明をすべきであるという方はほぼ90%近くに昇ります。また、適正な司法試験合格者数に関してのアンケートでは現状の2000人程度よりも少ない、年間1500名以下とすべきと考える方(つまり減員が必要と考える方)が約88%です。

 会員の多数の意見は明白です。

 それなのに、なぜ、会派上層部は会員の多数意見を説得力のある理由も示さず、葬り去ろうとしているのでしょうか?

 あんたら何様?

・・・・・そう思っていたら、突然、法曹人口問題PTから臨時会議を行うとの連絡が入りました。今日の午後4時前の連絡で、明日のお昼に会議を行うということです。

・・・・・実はこれが大問題に発展する可能性があるようなのです。

(続く)

法曹人口問題おとぎ話?

 法曹人口問題に関する提言について、誤解を恐れずに簡単なたとえ話にしてみれば、次のようになるかと思われます。

 ある日、1階の台所で宮崎さん一家(仮名)が、のんびり夕食をしていました。すると、家の2階から、火が出たらしく、煙が階段を通ってどんどん1階に下りて来ました。ぱちぱちと火が燃える音も聞こえるし、煙もどんどん増えてきて、どうも、2階に火事が起きていることは100%間違いないと思われる状況です。

 しかも、2階には最近生意気になってきた高校生の息子たち(若手弁護士)がいたとしましょう。

 そこで、「直ちに消防署に連絡して火を消してもらうべきだ。少なくとも火事であることを伝えなければ、2階にいる高校生の息子たちがどうなってしまうか分からない。急がなければ。」と考えているのが、大阪弁護士会のアンケートで示された圧倒的多数の意見であり、法曹人口問題PTで提案した議案です。

 これに対し、「お父さんがみんなに、『平山さん(仮名)からもらったうちの家は耐火住宅だ』と大見得切って自慢していたものですから、もし間違っていたらお父さんの恥になる。しかも、うちのお父さんは市会議員(日弁連会長)だから、なおさら体裁が悪い。消防署に連絡するとしても、2階のどの部屋が燃えているのかきちんと確認してからにしよう。息子たちの部屋でなければ大事ではないかもしれないし、他の家族(経営基盤を既に築いている弁護士)はすぐにでも逃げられるから大丈夫だろう。でも、(お父さんは勿論行かないし、他の家族も行かないつもりだけど)誰がどうやって火元を確認するかは、これから考えればいいじゃないか。」と悠長なことを言っているのが、現状での日弁連執行部案と、それを支持する大阪弁護士会の一部の方のご意見と思われます(あくまでたとえ話ですけどね。)

 ところが、未確認の情報ですが、アンケートにより明確に示された大阪弁護士会会員の圧倒的多数意見を無視して、本件に関する総会決議案を、常議員会レベルで葬り去ろうとする動きがあるようです。

 これも未確認の情報ではありますが、既に、何人かの常議員に対して圧力がかけられ始めている、という情報も届いています。

 彼らの理由は次の通りだということです。
 「このような決議を大阪弁護士会が行うことは、現在の日弁連会長の宮崎氏の足を引っ張ることになる。大阪弁護士会から選出された日弁連会長をサポートすべき大阪弁護士会が、このような決議をするべきではない。」

 あれ、2階に取り残された息子達は結局どうなるの・・・・・・?

法曹人口に関する提言について

 私の同期の吉田泰郎弁護士が、大阪弁護士会の年輩の弁護士から、「法曹人口減少の提言は、常議委員会、とおらないかもしれないなあ。そもそも、そんな提言しても、影響力ないんじゃないのかなあ。」というお話を聞かされたそうです。

 吉田弁護士は、毅然と「影響力があろうがなかろうが、法曹人口問題に、拱手傍観するのは最悪だと思
いますっ!」と言って下さったそうですが、私も全く同感です。

 更に言えば、法曹人口問題に関する大阪弁護士会のアンケート調査では、大阪弁護士会所属の全会員3256人中、1017名という前代未聞の高回答率でした。そのうち、司法試験合格者年間3000人を直ちに見直すことに賛成する方は約87%です。

 常議員会で、この問題に関して、総会議案として上程することを握りつぶした場合、大阪弁護士会の大多数と思われる意見をごく少数の常議員会が否定することになります。少なくとも常議員会に常識があれば、このアンケート結果を無視して、決議請求案を握りつぶすようなことはできないと思うのですが。

 しかし考えてみると、年間3000人の司法試験合格者が出るということになれば、現在の大阪弁護士会所属の弁護士数程度の法曹が毎年、毎年、増加するということになります。この日本で、東京を除けば最大の単位会であり、現在の弁護士人口の約1割が所属すると言われる大阪弁護士会が、毎年1個ずつできていくようなものですから、あっという間に弁護士があふれかえるでしょう。

 (食うに困り、食うために仕事を探してうろついている状態の)弁護士が、身近にたくさんいて欲しいと願う方々が本当にいるのでしょうか。そしてそれが、本当に市民の方にとって幸せな状態なのでしょうか。

 弁護士に自由競争原理を導入しようとする方は、このような状態を望ましいと考えているのでしょう。しかしその見解は、訴訟社会を望まない日本の国民性を、あまりにも無視した議論をされているような気がしてなりません。

法曹人口問題PTその7

 本日の法曹人口問題PT(プロジェクトチーム)の会議で、予定されていたPTの会議は、一応終了ということになりました。

 この後、PTの報告書を大阪弁護士会の常議員会に提出し、何をどうするかを常議員会に委ねることになるようです。前代未聞の高回答率であった、法曹人口問題に関するアンケート結果をどう反映していくのか、常議員会の判断が注目されます。

 ただ、司法制度改革推進本部の方からも、意見書が常議員会に提出されるようで、その内容はおそらく司法試験合格者3000人推進の内容ではないかと思われます。

 真っ向から対立すると思われる、法曹人口問題PTの報告書と司法制度改革推進本部の意見書が、どのように常議員会で扱われることになるのか、目が離せません。

 私としても皆さんにご報告できるよう、常議員会を傍聴してみようと思っています。

法曹人口問題会内集会

 昨日、法曹人口に関する大阪弁護士会の会内集会がありました。私は、アンケート結果の発表係にされていましたから、会員の方が座られる席ではなく、前方の発表者側の席になりました。つまり弁護士会の会長・副会長、PT座長のいらっしゃる席の末席に連なる形になってしまったので、そんな場所に座り慣れていない私は、結構緊張してしまいました。

 会内集会は150名以上の方が参加してくださり、常議委員会に対するPTからの中間報告書案に対して、非常に活発な意見が交換されました。ただ、意見をおっしゃる方は40期以前の方が多く、法曹人口問題で一番つらい立場に置かれていると(少なくとも私には)思われる、50期代以降の方の発言が少なかったのが残念です。
 いまだ、大阪弁護士会においては、上の期の先輩方に向かって率直に意見を申し上げる土壌はまだまだできていないような気がしました。まあ、上の期の先輩方もしゃべりたがる方が多いので、なかなか割って入って発言するのも大変だったとは思いますが。

 PTの委員の先生方の発言も多く、私も発言したいと思っていたのですが、司会者側の席から手を挙げて発言するのもなんだか変でしたので、やむなく、黙っていました。それがおかしかったのか、私のPTでの態度や発言をご存じの川下・森、両副会長からは、終了後に「坂野君の言論を封じることになっちゃったね。ストレス、溜まったでしょう?」と冗談を言われてしまいました。

 ひとつ、気になったのが「この問題で大阪弁護士会の会員が一致する契機ができた」という趣旨のご発言があったように思うことです。その当時のいきさつは、私にはわかりませんが、弁護士会の会員が分裂してしまっており、話し合いもろくにできない状況にあったということなのでしょうか。

 子供の喧嘩でも、しばらくすれば仲直りします。もしこれまで仲直りができずに、お互い喧嘩を続け、結局、どんどん悪くなっていく事態を放置していたのであれば、大坂弁護士会の対応は、この点に関する限り、子供の喧嘩以下のレベルだったのではないかと思ってしまいます。

 素直に状況を分析し、理念だけにとらわれるのではなく、弊害があるのであれば直すべきは直す、間違いがあったのであれば謝るべきは謝る、で良いのではないでしょうか。もう、ええカッコしている時間はないところまで追い込まれているような気がします。

 メンツよりも大事なことがあるはずです。

法曹人口問題PTその6

 本日の、法曹人口問題PT会議は、予定より大幅に延長されて議論が続きました。

 もちろん、増員反対でない立場の先生もおられるので、全会一致というわけにはいかないのは当然です。

 様々なご意見があって、確かに参考になったのですが、本当に若手が現実に抱いている危機感についてご理解して頂いているのかよくわからない先生のご発言もありました。確かに従来の弁護士会執行部の態度との継続性なども必要なのかもしれませんが、実際に弊害が出ているのであれば素直に過ちを認めて、是正すべきではないかと思います。

 その是正する力こそが、弁護士会執行部に必要とされる力なのではないでしょうか。従来の態度との継続性と現実の弊害と比較すれば、いずれが大事かは、一目瞭然ではないかと思うのです。

 ただ、そういっても私も若手の一人に過ぎず、私の言う「若手の意見」が、本当に若手の意見をきちんと代弁できているとも限らず、私なりの観点で発言しているに過ぎません。

 6月9日の会内集会では意見交換の時間もあります。是非参加して、様々な方のご意見を聞いてみて下さい。

日経新聞 法務インサイド

 本日の日本経済新聞朝刊「法務インサイド」のコーナーで、鳩山法相と第2東京弁護士会の久保利弁護士が法曹人口問題などについて対談を行っています。

 詳しくは日経新聞をお読み頂くとして、私個人の感想を言わせて頂くと、「久保利弁護士の御主張の根拠はいったい何なのか教えて頂きたい」というものです。

 久保利弁護士は、鳩山法相が「基礎、基本を全く知らない人がいると司法研修所の人が驚いています。基本がなくては活躍もできないと思いますよ。」と質の低下について危惧した発言をされたのに対し、「一定のレベルは必要ですが(中略)法律学の知識だけでは良い法曹にはなれません。研修所を出てからのトレーニングで伸びていくわけです。」と若干かみ合わない反論をされています。

 鳩山法相は、法律学の知識だけが必要だとは述べていません。いま、現に基礎・基本が解っていない修習生が出現するほど質が落ち始めていると主張しているのです。

 また、久保利弁護士の言われるとおり研修所を出てからのトレーニングで伸びるとしても、現在司法修習生の弁護士事務所への就職難は、非常に深刻です。先輩弁護士に付いて、トレーニングを受ける機会すら保証されない新人弁護士が多数出現する可能性が高いのが現状でしょう。この危険を久保利弁護士はどうお考えなのでしょうか。久保利弁護士がきちんと教育をされるおつもりなのでしょうか。

 更に言えば、久保利弁護士はこれまで、ご自身で採用されてきた弁護士を教育されてきたのでしょうが、それは今までの司法試験を突破した弁護士であり、基礎・基本にあまり問題が出ていない弁護士であったと思われます。もしその次に久保利弁護士が採用した弁護士が基礎・基本がきちんとできていなかった場合、久保利弁護士といえども、きちんと教育できるかどうかは未知数でしょう。

 久保利弁護士の御主張どおり今後も弁護士の数を増やしていけば、、基礎・基本が解っていない弁護士が先輩弁護士からトレーニングを受けることなく(久保利弁護士の御主張によれば「一人前の法曹として伸びる機会もなく」、ということになるのでしょうね)、依頼者の事件を実際に処理しなければならなくなる場合が明らかに生じます。そのような危険な行為を放置しようと言うのでしょうか。

 また久保利弁護士は、弁護士の数について、「完全に不足。弁護士は2万5千人しかいません。足りているというのは全く目が曇っています。」とまで御主張されます。

 それでは、なぜ、新人弁護士の就職難がここまで深刻なのでしょうか。弁護士が不足なのであればどこの事務所でも新人弁護士が欲しくてたまらないはずです。それに、あれほど過払バブルといわれ、過払い金返還訴訟が激増しているといわれていながら、司法統計によれば、訴訟の数が減少傾向にあることは何故なのでしょうか。 司法統計が誤っているのでしょうか。

 私には久保利弁護士の御主張の根拠がどうしても理解できません。

 さらに、久保利弁護士は「戦前、陪審裁判をやっていました。今の日本人にできないのなら、劣化しているということです。」とも述べておられます。

 確かに戦前である1923年に陪審法が制定され、陪審制度が導入されたた事実はありますが、辞退者が相次ぎ、第二次大戦中に停止されています。

 久保利弁護士の御主張は、誤りではないでしょうが、陪審裁判が刑事事件一般にあまねく行われていたかのような印象を与える点でミスリーディングな発言だと思います。

 大きな影響を与えるマスコミでの発言ですから、紙面の都合もあるのでしょうが、もう少し根拠をわかりやすく、また誤解を招きにくい表現で説明して頂きたかったと思います。

法務省も認める質の低下

 法曹人口問題PTで配付された資料ですが、次のようなものがありました。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/minutes/wg/2007/0508_02/summary050802.pdf

 長文になりますが、是非一度お読み下さい。法務省の佐々木宗啓参事官(司法研修所の民裁教官も務められた方です)が、法曹人口を増加させるとしても質を落としてはいけない。一般の国民の方に害を与える危険が高まってしまう。現に相当質が落ちつつある。と警告されています。

 ところが、これに対して規制改革会議の大学教授達は、学者とも思えない揚げ足取り、非論理的な反論を浴びせています。ついには、「否認と抗弁の違いがわからなくても良い」「弁護士の資格なんてなくても良い」など、信じられない主張までしています。増員問題においては、弁護士を社会生活上の医師と位置づけているのですから、極論すれば、「医者は風邪と癌の違いがわからなくても良い」、「(競争させれば能力のある人が残るから)医師の資格なんてなくても良い」と言っているのと同じです。

 これではたくさんの弁護士を調査するお金と能力のある大企業や富裕層は被害を被ることはないでしょうが、一般の方々は被害を被ります。

 つまり、再びわかりやすくするために、お医者さんに例えて話しますが、どんどん資格を与えて自由競争させればいいという考えは、藪医者でも何でも良いからたくさん医師の資格を与えて競争させればいい。駄目な医者はつぶれるから問題ないじゃないか。という考えです。

 最低限のレベルが保証されていないのですから、ある人が病気になって病院を探し、そこの医者が医師免許を持っていても、その病院で診察を受けて大丈夫かどうか解らないということです。何人かの方が、その病院で不適切医療で被害を被り、その事実が次第に知れ渡った後で、初めてその病院が駄目だということが、みんなにだんだん解ってくるはずです。

 確かにそのような藪医者は、つぶれることになると思われますが、その医者がつぶれるまでに被害に遭ってしまったひとは救われるのでしょうか。またそのような被害を受けてまで自由競争させて欲しいと、本当に一般の方は考えているのでしょうか。

 私は疑問だと思います。

 彼ら(規制改革会議の大学教授連中)の言い分からすれば、とにかく市場原理が消費者のためになるという主張ですから、大学の教員だって、教授・准教授・助手・講師・非常勤講師、あらゆる教員に全て大学教授の肩書きを与えて自由競争させればいいことになります。

 後は学生の批判や研究業績の評価という市場原理で淘汰してもらえばいいのですから。市場原理を振り回す彼らの言い分からすれば、その方が学生・世の中のためになるはずです。

 彼らが、それでは大学教員全体のレベルが下がる、学生受けの良い教員だけが生き残る、教員のレベルを判断することが困難な学生が迷惑する、大学の自治が危惧される、というのであれば、弁護士の増員問題には、その趣旨の反論はもっと適合するはずです。

 大学教授と異なり、我々弁護士には、今現実に問題を抱え、解決を望む方が実際に来られているのですから。

Posted by sakano at 20:02  | パーマリンク |
2008年05月30日
日弁連総会

 本日、大阪弁護士会で日弁連総会がありました。

 これまで一度も出たことがないので、出てみたいと思っていたのですが、その日に法律相談と、当番弁護が当たっていたので、駄目でした。しかもこの日は総会に出るため出動可能な弁護士の方が少ないらしく、法律相談から帰ってみると、当番弁護を2件当てられてしまいました。

 1件は先ほどすませましたが、もう1件は、勾留質問の行われる裁判所から警察の留置場まで、まだ帰ってきていないようです。 裁判所も大変ですが、こっちも時間が取られます。

 結局、総会に出るために東京から来られた、同期の野村弁護士とお会いする予定だったのですが、それも駄目になってしまいました。野村弁護士とは大阪での刑事裁判修習中に同じ部に配属され、私は彼のことを「ノムさん」と呼びながら、もう一人同じ部に配属されていた藤澤さんと一緒に、とても楽しく修習させて頂いた記憶があります。

 ノムさんもブログをやっています。

http://nomura.asablo.jp/blog/

 結構いろんなことを考えている人です。会ってみるととても面白い方なので、今回お会いできなかったことがとても残念です。