3月11日の日弁連臨時総会に向けて、総会招集者と執行部との委任状獲得合戦が激化しつつある。
双方の陣営からFAXが届いて困惑している方々も多いのではないだろうか。
しかも、かなりぶつかり合っているけれど、なんだかよく分からないなぁという印象をお持ちの方も多いと思う。
そんな今こそ、私は小林正啓先生の「こんな日弁連に誰がした?」(平凡社新書:821円~略称こん日)を読むべきではないかと私は思う。
著者の小林先生(弁護士)は、日弁連会長選挙で主流派の陣営に入られたことなどから誤解をされている面もあるが、実に健全な視点をお持ちの方だと私は個人的に尊敬している。
「こん日」のあとがきには、次のようなことが書かれている。
(以下部分的に引用)
・・・弁護士が全然足りないというなら、寝ていても仕事が来るはずなのに、弁護士会は地方公共団体や企業に、弁護士を使って欲しいと頭を下げてまわっていて、しかも成果を上げられずにいた。
事件数は増えるといいながら、やっていることは少額事件を司法書士や行政書士と奪い合うことだった。多額の国費をかけて弁護士を増やして、司法書士や行政書士との仕事の奪い合いをさせるなら、はじめから司法書士や行政書士を増やせばよいのだ。しかも弁護士会は、ボランティアでしかできない赤字事件の範囲をどんどん増やし、若手にしわよせが及んでいた。そんなことが続くはずがないのに。全てがちぐはぐだった。・・・
・・・主流派の中核となる弁護士たちは、司法改革を連呼するばかりで、それがなぜ現在のちぐはぐな状況を生んでいるのか、全く説明してくれなかった。疑問を差し挟むとお前は司法改革を否定するのかといわれた。全部否定するのでなければ全部肯定せよとは、まるで宗教だ。
他方、反主流派の弁護士たちは、政府は弁護士達を大増員して困窮させ、戦争を始める準備をしているのだと大まじめに主張していて、とてもついて行けなかった。
両派にはさまれた若手弁護士たちは、歴史を知らないまま10年前に終わった議論を蒸し返していた。・・・・・
・・・・この歴史的事実は、先輩弁護士の恥部でもある・・・・・
(引用ここまで)
3月11日の臨時総会の意味を考えるためにも、態度を決定するためにもとても参考になる本である。是非、意思決定される前に一読されることをお勧めする。
なお、ちょっとした自慢だが、こん日のサイン入り献呈1号本は、私が小林先生から頂いている。有り難うございました。