10月28日のブログにも書いたが、来年の日弁連選挙に向けて、既に事実上の選挙活動は開始されている。
正式な立候補がまだなされてはいないが、現時点で考えられる候補者とその支持団体は次の通りだと思われる。
問題 以下の日弁連会長候補予定者と関係団体を組み合わせなさい。
候補予定者名(予想・50音順) 宇都宮健児弁護士 高山俊吉弁護士 山本剛嗣弁護士
団体名
a 憲法と人権の日弁連をめざす会
b 新時代の司法と日弁連を担う会
c 市民のための司法と日弁連をつくる会
答え
宇都宮弁護士→c
高山 弁護士→a
山本 弁護士→b
まあ、団体名だけでは、なんの会やらさっぱり分からないのだが、私は選挙用団体の色彩が極めて濃い団体ではないかと思っている。
そして今日、「新時代の司法と日弁連を担う会」から、豪華なパンフレットが送られてきた。中身は、インタビュー形式をとっているが、なんのことはない、山本弁護士のマニフェスト概要みたいなもんだ。誰がお金を出しているのか知らないが、パンフレット作成とメール便の費用で、1通あたり200円としても弁護士全員で27000人を超えているから、540万円以上かかりそうだ。
私としては、新人弁護士の就職難など、法曹人口問題にどのような態度を持っておられるのかが最大の注目点なので、そこを見てみると、「合格者増加ペースのスローダウン」を提唱しておられるようだ。
増員必要、しかし閣議決定よりスローダウンで、という今の日弁連執行部と同じお考えなのだろう。まあ、「担う会」の代表世話人のメンバーを見れば、元日弁連会長がごろごろいるので、その路線から外れることはできないんだろうけれど。
ということは、山本弁護士本質的には法曹人口増員論者の先生だろう。増員を推進される方であれば、当然弁護士需要に比較して弁護士数が少ないとお考えの先生だろうから、ご自身に大量にやってくる依頼を処理するために多くのイソ弁を採用されているのだろう。
そうでなくても、(増員論者である以上)弁護士急増の弊害である就職難についても自ら率先して、対処しておられるはずだろう。だから、おそらく、就職難に直面している新人弁護士を限界まで採用されているのだろう。まさか、多くの弁護士会の反対を押し切るかたちで増員論を主張し、それを日弁連で実現するおつもりの方が、弊害だけはみんなで我慢しようね、という無責任な方ではあるまい。
それに、弁護士人口増大を受け入れる際の日弁連執行部の最大の理由付けは、「法曹一元の実現のため」だったはずだ。法曹一元については、少なくともパンフレットには全く触れられていない。法曹一元をあきらめたのであれば、そもそも弁護士人口を増やす必要性もないはずだ。そのあたりをどうお考えなのだろう。
考えていると、だんだん熱くなってしまうので、これくらいにしておくが、パンフレットを読んでいて一番残念に思ったのは、若手への支援は述べておられるが、弁護士会で次第に増えていく若手の意見をどうやって吸い上げるか、どうやって若手の意見を反映した日弁連にしていくか、という視点が全く見えなかったことだ。
例えば大学病院に入院しており、「白い巨塔」のような教授の総回診があったとする。
教授 「うんうん、若手君の病状では胃が痛いはずだから、胃薬を出しておくよ」
患者 「いや、先生、今は、胃よりも下腹が痛いんですが」
教授 「そんなことはない。若手君の意見よりも、大所・高所からの私の判断が大事だ。ちゃんと薬を出す(支援する)といっているじゃぁないか」
若手の意見を聞く(吸い上げる努力をする)執行部でないと、いずれ多数派になる若手弁護士から、日弁連自体が見捨てられるような気がしてならないのだが。