小さいころ、「ふくろうのそめものや」という題名の絵本を読んだ記憶があります。
その昔カラスは、真っ白な色が自慢でしたが、フクロウがいろんな鳥にそれぞれ、様々な色を付けて美しくしてあげていたことから、自分も羽根を染めてもらおうとフクロウの店に出かけます。そして・・・・・。
詳しいお話は絵本を読んで頂くとして、かいつまんで言えば、どうしてカラスが全身真っ黒な色をしているのかが明らかになるというお話でした。確か日本民話がもとになっていたお話だと思います。
絵本の影響からか、何となく子供のころから、カラスの色は黒いんだと思っていたのですが、よくよく見ると違うのです。
私は通勤の際に京都の鴨川を渡るのですが、その橋の上によくカラスが留まっています。人間が怖くないのか図太いのか、私がよほど近くに寄らないと逃げないのですが、ある雨上がりの朝、陽の光に照らされた一羽のカラスの羽根が実に美しい色に見えたのです。
色の表現はとても難しいのですが、深い輝くような蒼色を内に秘めた限りなく黒に近い色としか表現のできないような美しい色でした。もちろん、陽の光の影にはいるとその輝きはほぼ見えません。陽が(ある角度で?)あたるときだけ、美しい色に見えるようなのです。
カラスといえば、勝手につや消し黒とつや有り黒の中間くらいの黒だと思いこんでいた私には、カラスの色がこのように複雑な美しさを秘めていたことは驚きでした。黒色一色とはいえ、自然は手抜きをしないんだなぁ・・と妙に納得した記憶があります。