「さようなら」の意味

 「さようなら」の語源については、平安時代の「左様ならず」が語源ではないかとの説が有力らしいのですが、別の説として「そうならねばならぬなら」という説もあるようです。

 前者の説だと、「さようなら」は、「(あなたの)思ったようにはなりませんよ。」という強い意志を感じる言葉に思われます。そして、後者の説だと「さようなら」は、「(本当は)そうなりたくはないが、そうならねばならない運命なら、運命にそって時の流れを下っていくしかない」 というある種の諦観を含んだ言葉と考えることができます。

 いずれの説をとるかで、まるで違う意味の言葉になるようにも思われますが、私はどちらの説も同じことを別の表現で表したものではないかと思います。

 別れを告げたい人からの「さようなら」は、前者の説の意味でしょうし、別れたくはないけれど別れを受け入れざるを得ないと思う人にとって「さようなら」と告げられる場合の意味は、間違いなく後者の説の意味でしょう。

 ただ、「さようなら」という言葉が、後に思い返してみたときに、(ある種の心の痛みと一緒であれ)美しい言葉に感じられるのは、おそらく、後者の説の意味で用いられた場合であることは、間違いないように私には思われます。

 そうだとすれば、「さようなら」という言葉が美しく感じられる説で良いのではないかと思うのです。

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