大阪弁護士会次期執行部の方の公約(3)

 ちょっと時期はずれになってしまいましたが、決して忘れていたわけではありません。

 続きを書きます。お待たせした次期副会長のお二方、申し訳ありませんでした。

崔  勝 次期副会長(法曹同志会)

 法曹人口の問題については、現在、その問題点が顕在化し、待ったなしの早急な対応が要求される段階に来ていると考えています。(中略)もはや、現在の司法試験合格者数を維持することが大きなひずみを生み続けることは明らかであり、早急に合格者数を減少する必要があると考えられます。そのためには法科大学院のあり方も見直す必要があるでしょう。(中略)これらの法曹人口の問題は、日弁連が主導的な役割を果たすべき問題ではありますが、大阪弁護士会においても積極的に取り組むべき課題であると考えております。

近藤行弘 次期副会長(法友倶楽部)

・・・司法制度改革は、一昨年の裁判員裁判の実施により一応の完成を見ました。(中略)しかしながら反面、法曹人口の増員が弁護士人口の大幅な増員につながり、特に若手弁護士の就職難を招くなど克服しなければならない諸課題に直面するに至りました。(中略)このような厳しい状況にある今だからこそ、弁護士・弁護士会が一丸となってこの苦境を打開し、司法制度改革の理念を十全化し、弁護士としての使命を全うするための堅固な基盤を築くことが強く求められています。

 詳しくは、選挙公報(1月24日発行)をご覧下さい。

 法律相談件数も伸び悩み、弁護士激増が一向に止まらず、しかも就職難すら顕在化している現状で、どうやれば弁護士が堅固な基盤を築くことが出来るのか、機会があれば、近藤次期副会長に是非ご教示願いたいと考えております。

※記載内容については、全て執筆者の個人的な見解に基づくものであって、当事務所の統一した見解・意見ではありません。

兵庫県弁護士会市民シンポジウム~ご報告

 先週土曜日、兵庫県弁護士会で開催された、法曹人口問題に関する市民シンポジウムに参加してきました。

 先だってのブログに書いたとおり、私は基調講演と、パネルディスカッションのパネラーを兼務させて頂きました。

 基調講演の方は、市民の皆様にお伝えしたいことが多すぎて、最後の方は相当「はしょった」形になり、ご迷惑をおかけしました。この場を借りてお詫び申しあげます。

 パネルディスカッションに参加された方々は、河下真也氏(読売新聞記者)、橋詰栄恵氏(阪神クレジット・サラ金被害者の会、通称「尼崎あすひらく会」副会長)、木挽司氏(前衆議院議員、伊丹商工会議所青年部相談役)、古坂良文氏(弁護士:五島列島公設事務所)、そして私でした。

 その合間に、国会議員として、井戸まさえ議員、赤松正雄議員、冬柴鐵三元議員が実際に来られて発言をされていました。

 質問用紙を配布して会場からの質問を受け付けるだけではなく、終了予定時間も延長して、実際に会場からのご発言も頂戴するなど、かなり熱のこもったシンポジウムになったように思われます。惜しむらくは、増員路線賛成派の弁護士の方の参加が見当たらなかったことです。これについては、実行本部の方で相当弁護士の方にお声をかけられ、武本先生ご自身も日弁連法曹人口政策会議でチラシを配るなどして、お呼びしようとしたのですが、なぜか皆様、この日のこの時間だけは都合が悪い方ばかりで、ご参加頂けなかったようです。

 兵庫県弁護士会の担当の方々、本当にお疲れ様でした。さらに詳しいシンポジウムの内容については、弁護士武本夕香子先生のブログをご参照下さい(下記URL参照)。

http://www.veritas-law.jp/newsdetail.cgi?code=20110227120622

 その後の懇親会にも出ましたが、司法修習生達の就職戦線についてお聞きし、問題はますます深刻化しつつあることを再認識致しました。

 やはり、多くの方の前でお話しするということで、緊張していたのでしょうね。自宅に帰ると、物凄い肩こりになっていました(笑)。

 開催された兵庫県弁護士会の皆様、非常に意義のあるシンポジウムの開催、大変お疲れ様でした。

兵庫県弁護士会シンポジウム

  ご通知するのが遅くなりましたが、兵庫県弁護士会主催の下記の市民シンポジウムが開催されます。

【題 名】

「弁護士大増員時代に見えてくる私たちの暮らしの未来を語り合おう~失われるのは「和」の心か?「やさしさ」か?」

【日時・場所】

平成23年2月26日(土)

13時~16時

兵庫県弁護士会館本館4階講堂

【後援】

日本弁護士連合会・近畿弁護士連合会

僭越ながら、ご依頼を頂戴致しましたので、私も第2部で講演させて頂く予定になっております。

 聞くところによると、主催の兵庫県弁護士会の方では、私と対立する御意見をお持ちの先生もお呼びすべく、様々な努力をされているそうです。

 どんなシンポジウムになるのか私も分からず、結構ドキドキもんです。

 お手すきの方がいらっしゃいましたら、是非参加して頂けると光栄です。

 ps、先だって京都で行われた日弁連シンポと異なり、会場発言の時間も取る予定だそうです。この際だから、弁護士にひとこと、言ってやりたいとお考えの方、皆様の貴重な意見はとても勉強になります。是非、ご参加頂けますようお願い申しあげます。 

大阪弁護士会次期執行部の方の公約(2)

 先日の続きになります。

木村圭二郎 次期副会長(会派:春秋会)

 弁護士を取り巻く急激な環境変化は、特に経済的側面において、若手弁護士を直撃し、弁護士の将来に強い危機感を生じさせることとなっています。弁護士が職業としての魅力を失うことは、弁護士の利害だけに関わるものではないことは明らかです。弁護士の職業としての魅力の喪失は、法曹界への有為な人材を集めることが出来ないことを意味し、それは、司法界を揺るがす大問題です。
 (中略)弁護士会は、急激な法曹人口の増加の負の影響を相殺すべく、当面の司法試験合格者の数を減少させ、同時に、司法改革の理念実現のための前提条件の整備に力を尽くすべきだと思います。

松本 岳 次期副会長(会派:一水会)

 大量増員に見合うだけの法的需要が開拓されていない現実があります。法律相談件数や訴訟事件数がここ数年の間に飛躍的に伸びたという報告はありませんし、裁判官や検察官の増員も実現していません。法律事務所への就職難は年々顕著ですし、企業、役所への修習生の就職も進んでいません。
 このような法曹実務家に対する需給ギャップの現実を踏まえると、司法制度改革審議会が目指した法曹人口の短期間での増員に無理が生じていることは明白ですし、弁護士の経済的基盤の劣化が各年代で進んでいる現状では、新規合格者の減員を求めるほかないと考えます。ただ、数字を示して具体的な減員要求を行うかどうかは質の維持を前提として日弁連が繰り返し行ってきた弁護士人口に関する決議の経緯を踏まえ、慎重に検討すべきものと思います。

増市 徹 次期副会長(友新会)

 (司法改革の)理念実現のためには法曹人口の増大も不可欠です。しかし他方、弁護士急増による就職問題、弁護士登録に至るまでの経済的負担の問題等が深刻化し、法科大学院の志願者は近時大幅に減少しています。このような司法改革に伴う「ひずみ」により万が一にも弁護士が疲弊し、その使命を担う力まで失うようなことがあってはなりません。司法改革の目指す制度基盤整備の拡充に力を注ぐことが必要です。(中略)他方その間、弁護士人口増加のペースを落とし、修習生の給費制の恒久化を目指すとともに(中略)様々な手段を講じる必要があります。

 各副会長の仰る詳しい内容については、大阪弁護士会選挙公報をご覧下さい。

 個人的に言えば、司法改革が言われて10年、どれだけ司法制度制度基盤の整備が出来たのか、今後迅速にその基盤整備が出来るのか、大いに疑問はあります。例えば基盤整備の一つとして民事法律扶助制度の抜本的拡充があげられることが多いのですが、この厳しい国家財政のもとで、どれだけ実現できるのでしょうか。

  以前私のブログに書いたとおり、平成21年度の日本司法支援センターの資料を見ると、民事法律扶助事業経費として支出予定の予算額は、わずか139億8400万円です。弁護士数2654名のローファームであるクリフォード・チャンスの売上約2000億円の約15.75分の1の予算しか、全国民の民事法律扶助のためには、つけられていないのです。この貧弱な司法基盤が、抜本的に拡充されるだけの余裕が国家にあるとはあまり思えません。

(続く)

※記載内容については、全て執筆者の個人的な見解に基づくものであって、当事務所の統一した見解・意見ではありません。

大阪弁護士会次期執行部の方の公約(1)

  先だって、予告しておきながらブログ化していなかった、大阪弁護士会次期執行部の方々のお考えを、法曹人口問題関連を中心に、ご紹介致します。

なお、以下の引用は、字数が限られた選挙公報からの引用ですし、部分的引用の場合もあります。正確な内容については、大阪弁護士会選挙公報をご覧下さい。また、次期副会長の方は、選挙公報掲載順に記載しております(敬称略)。

中本和洋 次期会長(会派:一水会)

 弁護士人口の急増に伴い、修習生の就職難問題や法曹の「質」の低下等が問題となっています。このような状況を総合的に判断すると、現状では合格者数2000人は多いと言わざるを得ません。まず法科大学院の適正配置を図り、定員についても減員を行うとともに、司法基盤整備を行い、弁護士業務の拡大を図りながら、修習生の就職を支援していかなければなりません。

(坂野:注)中本次期会長は、合格者数の減員を行うとともに、司法基盤整備と業務拡大で対処するお考えのようです。なお、これまで多くの執行部が実現出来なかった弁護士会の機構改革も公約とされており、この点も注目されます。

辻井一成 次期副会長(会派:法曹公正会)

特に、法曹人口の増加は、弁護士の供給過多とリーマンショック以降の経済不況を背景に、深刻な新人弁護士の就職難と弁護士の経済的不安を招いています。(中略)法律事務所に就職出来ない方々が年を追うごとに増えていくことを実感しています。

(坂野:注)法曹人口増加については、弁護士の多様化と職域拡大で対処されるお考えのようです。

林  功 次期副会長(会派:五月会)

 裁判官・検察官の目立った増加が見られず、弁護士、特に法廷弁護士のみが急激に増加しました。そしてこのような現象が深刻な就職難を発生させています。では、弁護士像は今後変化すべきなのか、それに伴い司法修習制度の目指すものが変化すべきなのか、このあたりが法曹養成の問題を解く重要な鍵になるように思います。

 (坂野:注)弁護士像としては修習の段階法廷活動について一応使えるレベルまでの教育が必要と述べられていますが、法曹人口激増のひずみに対して、直接の対応策については触れられておりません。

(続く)

※記載内容については、全て執筆者の個人的な見解に基づくものであって、当事務所の統一した見解・意見ではありません。

弁護士会の会長・副会長職

 (大阪弁護士会所属ではない)友人弁護士のツイッターに、

 「弁護士会会長がご挨拶に来られた。初めてお会いする先生だったが、爽やかな感じの方だった。いつのまにか決まってたんだ。。。」

 とのつぶやきが投稿されていた。

 弁護士会会長という自分たちのトップを選ぶはずの場面だから、普通なら全会員が関心を持って不思議ではない。

 しかし、一般の方には意外に思われるかもしれないが、無投票で会長が決まる場合、どの弁護士会に所属する弁護士会員の感想も、多くは、上記のようなものだろうと思う。

 平たく言えば、弁護士会内の会派や年功序列で事前に根回しが済んでいる場合がほとんどだし、事前調整がある以上、対抗馬が出る可能性はゼロに等しい。根回しが済んでいるから例え選挙になっても、会派の組織票でほぼ100%勝てない。だから、「出馬するだけ無駄」との判断をする人がほとんどだからだ。

 また、誰が会長なっても大して変わらないと考えている人も、実は、多い。そして、これまでの弁護士会や日弁連の上層部に失望している人も、おそらくそれ以上に多いのだ。

 ただ、事前調整がうまく行かずに選挙になった場合は大変だ。各会派が総力を結集して人海戦術でスーパーどぶ板選挙を繰り広げる。投票依頼の電話攻勢で業務を妨害される方も迷惑するし、もっと迷惑するのは、会派の上層部からの命令で電話かけをさせられる若手会員だ。投票所でも、誰が投票したかチェックしている人がいて、投票していなかったら投票するように会派上層部から指示が来たりする。

 私が、選挙管理委員なら、他の弁護士の業務や若手弁護士に迷惑をかける戸別訪問・電話依頼は全て禁止。完全な政策論争だけにしぼり、資金力で差がつかないように、インターネットで双方のマニフェストを公開して、主張反論を戦わせることによって、選挙させてやりたいと思う。

 もっと徹底するなら、極論になるが候補者をA・B・Cと表記するなどして、他の情報をシャットアウトして完全に政策論争で勝負させるのも面白い。大体、修習年度がいつなのか、会派がどこなのかなんて、会長としての実力とは関係がない面もあるはずだからだ。

 ちなみに、大阪でも昨日付で選挙公報が配布され、平成23年度会長・副会長等が決まったことが伝えられている。

 私の関心事であり、日弁連会長選挙でも争点となった、法曹人口問題について、次期の会長・副会長がどのような態度をおとりなのか、選挙公報から抜粋してみようと思う。

(続く)

※記載内容については、全て執筆者の個人的な見解に基づくものであって、当事務所の統一した見解・意見ではありません。

弁護士会の運営

 本日、大阪弁護士会の常議員会に出ていたのですが、討議事項として、弁護士会職員さんの機構改革を行う件について、議題が出されました。

 理由は、弁護士会職員さんの残業が相当時間になってきている方もいるそうなので、機構を見直して、効率よくするとのことでした。

 確かに、法曹人口問題PTを担当されていたN川さんのように、きわめて能力の高い職員さんもおられますし、機構見直しで効率よくなるならそれでいいのですが、それにかかる費用が問題です。ざっとみて1000万円です。

 若手弁護士の負担を考え会費の軽減をしている状況で、この負担を会員にお願いするのは、相当強固な理由がいるでしょうし、残業が多いのは委員会がたくさんありすぎることも理由の一つであるように思います。

 委員会についても、同じような業務をいくつかの委員会で行っているような例も散見されるのですから、一度事業仕分けでもして、本当に必要な委員会かどうか明確に判断する必要があるように思います。これはあくまで私の印象ですが、これまで、弁護士会は必要だからという理由さえあれば、費用対効果など全く考えずに、どんどん委員会などを設立してきてしまったのではないでしょうか。

 確かに弁護士が余裕ある生活が十二分にできていた時代であれば、弁護士会費を値上げすれば弁護士会の経費は捻出できました。しかし、弁護士数が3万人を超えた今の時点で一括登録時点において弁護士志望者の10%以上が職に就けていません。若手の苦境もよく報道されるようになっています。

 今すぐ、司法試験合格者を1000人にしても、約5万人にまで弁護士は増加します。そのとき、果たして、月額5~7万円という、べらぼうに高額な弁護士会費を十分支払うことのできる弁護士さんがどれだけいるのでしょうか。

 弁護士会職員の機構を改革することも必要ですが、その前に弁護士会の機構をシンプルにスリムに改革することの方が先のような気もします。どんな企業でも先を見据えて、今を変えていきます。

 どなたか強力なリーダーシップをとって、弁護士会の機構改革をしてくださらないでしょうか。このままでは、基本的人権を擁護するという理想のために、身銭を切って焼け太ってしまった弁護士会の機構を弁護士自身が支えきれなくなる日が早晩やってくるのではないでしょうか。

※記載内容については、全て執筆者の個人的な見解に基づくものであって、当事務所の統一した見解・意見ではありません。

金子大阪弁護士会会長の「混合法人について」レジュメ

 混合法人について連載してきましたが、金子会長のレジュメを見てみたいという声もあるようなので、連載途中ですが、金子会長のレジュメを公開させて頂きます。

 なお、このレジュメは、常議員会資料ですが、公開については、金子会長の許可を得ております。

 以下のリンクから、ダウンロードして下さい。

ファイルをダウンロード

進みつつある司法占領?金子大阪弁護士会会長の「混合法人」報告レジュメその7

3 国際化した弁護士会(フランスの状況)

 フランスには、コンセイユ・ジュリディック(事務弁護士)と、アボカ(法廷弁護士)の制度があり、かつては誰でもコンセイユ・ジュリディックを名乗って、訴訟代理以外の法律事務を行うことは可能だった。
 しかし、欧州市場統一後に、リーガル・サービスの分野にも国際化の波が押し寄せ、英米のローファーム、国際会計事務所を中心とする国際的な事務所がフランス国内の訴訟代理以外の法律事務の相当部分を取り扱うに至った。

 そして、1990年頃には、僅か数百人の外国弁護士等の収入が、数万人のフランス弁護士の収入合計を上回るといわれる状況にまでなっていた。
 

フランス人は、このような状況を嫌い、1990年に法律により、コンセイユ・ジュリディックとアボカを統合して新アボカとして法律事務を独占させると同時に、1992年からはEC加盟国以外の外国弁護士は、その国が相互主義の要件を満たし、かつフランス語でフランス方に関する試験に合格して、新アボカにならなければ、フランス国内で法律事務を行うことを不可能とした。

 したがって、フランスにはわが国の外国法事務弁護士のような制度は存在しない。
 しかし、さすがに既に参入していた外国弁護士・外国公認会計士を排除することはできず活動が認められたため、現在でのフランス国内の(人数で)トップ10の事務所のうち、8つは外国ローファーム又はビッグ・フォー(4大国際会計事務所)系列の法律事務所となっている。

 ここで、私(坂野)が思うのは、やはり英米系巨大ローファームは、儲けるために進出してくるのだということである。仕事内容によっても異なるため大雑把な単純計算になるが、外国弁護士数百人でフランス弁護士数万人と同じ売上だったということは、巨大ローファームは、弁護士一人あたり100倍のコストを要求していたということだ。

 確かに、英米系巨大ローファームは大企業などを中心に展開する可能性が高く、巨大ローファームがどれだけ稼ごうと一般の国民の方々には関係ない、と思われるかもしれない。
 

しかし、仮に巨大ローファームの売上が大企業中心であったとしても、大企業も営利企業である以上、そのリーガルコストに自腹を切ってくれるわけがない。結局製品やサービスに転嫁して、そのコストを上回る収益を上げざるを得ないのだ。つまり巨大ローファームが高額なリーガルコストを要求することは、巡り巡って国民の生活に影響してくるのである。

 フランスの方法は、国際化の流れに逆行しているとの批判もあるかもしれないが、それで特に不都合が生じているとの話は、少なくとも私は聞いたことはない。

 次に金子会長の分析は、わが国の外国法事務弁護士の現状、混合法人の制度設計、日弁連・各弁護士会のなすべきこと、についてなされるが、それについてのご紹介は少し時間を頂いてから行おうと考えている。
(続く)

進みつつある司法占領?金子大阪弁護士会会長の「混合法人」報告レジュメその6

2 国際化した弁護士会(ドイツの状況)

 ドイツは、かつては日本と同じような弁護士制度を有していたが、欧州域内の市場統合、東西ドイツいの併合、東欧の自由化等の環境激変により、英米のローファームに対抗してこれらの新しい市場に進出する必要から国際化するために、弁護士への規制を緩和した。

 その結果、ドイツ国内の法律事務所の国際化は大きく進展したものの、ドイツ国内の大事務所の殆どが英米系ローファームの傘下に組み込まれることになった。
 

 日弁連宮﨑前会長は、国際競争力を高めるために弁護士の急増も止むなしと受け取れる発言を、大阪弁護士会春秋会の会報でされていたようだが、私には、相当前からドイツでは、タクシードライバーをしなければ食っていけない弁護士も急増していると、報道されていた記憶がある。経済的に疲弊しきった弁護士達が溢れたドイツに、英米系ローファームが参入するのだから、英米系ローファームがドイツの法律事務所を傘下に組み入れることは極めて容易だったはずだ。

 英米系ローファームの参入により、ドイツの企業・一般国民のリーガルコストがどれほど上昇したか、どれだけ英米系ローファームがドイツ国民の人権に役立つ活動をしているか、聞いてみたいところだが、私の知る限りそのような資料・調査はないようだ。

 しかし、IP(インターナショナル・パートナーシップ)の下で、儲けるために進出してきた英米系ローファームに組み込まれたドイツ人弁護士が、ローファームの儲けを中心に措かないでどれだけ、ドイツ企業のため、ドイツ人の人権擁護のために働けるのか、また仮にドイツ人のための人権擁護活動が、現在可能であっても、将来的に英米系ローファームがその人権活動を容認してくれる保証はあるのか、私の疑問は尽きない。

(続く)

※この連載は、大阪弁護士会会長金子先生のレジュメをもとに、私個人の意見を含めて記載しております。金子先生のレジュメは、この連載終了後に掲載する予定です。