弁護士業務実態報告書2020から~4

(事務所に所属する弁護士数はどのくらいか?)

☆全体の傾向


・ 1名          21.7%
・ 2名           16.6%
・ 3~5名         24.5%
・ 6~9名         13.7%
・ 10~19名        8.4%
・ 20名以上        13.6%
・ 無回答           1.5%

※2010年調査では、弁護士1名事務所の割合が全体で34.1%であり、所属弁護士1名の事務所が激減(34.1%→21.7%)している。
※2010年調査では、弁護士数6~9名の事務所の割合が8.4%であり、所属弁護士6~9名の事務所の割合が大きく増加(8.4%→13.7%)している。

☆地域による傾向

※東京では、
 所属弁護士1名の事務所が2010年調査時には26.2%あったが、2019年調査では17.4%と大きく減少している。
 その反面、
 弁護士数6~9名の事務所は11.4%→15.3%、
 弁護士数20名以上の事務所は18.0%→21.8%に増加している。
※大阪・愛知でも
 所属弁護士1名の事務所は2010年と比較して34.1%→20.6%に大きく減少。
 弁護士数10~19名の事務所は4.7%→8.3%、
 弁護士数20名以上の事務所は5.1%→13.6%に大幅増加。
※高裁所在地では、
 所属弁護士1名の事務所が39.8%→25.7%と減少
 所属弁護士3~5名の事務所は28.1%→36.2%、
 所属弁護士数6~9名の事務所も6.3%→9.9%に増加
※高裁不所在地では、
 所属弁護士1名の事務所が45.7%→27.8%に減少
 所属弁護士6~9名の事務所が4.9%→11.9%
 所属弁護士数10~19名の事務所2.4%→6.0%
 所属弁護士数20名以上の事務所 0.5%→3.4%と増加

以上から、どの地域も、弁護士1人の事務所は減少し、複数の弁護士が所属する事務所、大規模事務所が増加する傾向にある。都会になるほどその傾向は強いと考えられる。

☆期別による傾向

・70期以降の弁護士では、所属弁護士数20名以上の事務所に所属する割合がもっとも高く28.4%、、10~19名の弁護士が所属する事務所に所属する弁護士も含めるとほぼ半数に及ぶ。
・66~69期の弁護士では、弁護士数3~5名の事務所に所属している割合が30.7%で最も高い。次いで、弁護士数20名以上の事務所に所属している割合が19.7%で高くなっている。
・50期以降の弁護士は、概ね66~69期の弁護士の傾向に近い。

※複数弁護士の所属する法律事務所の増加、法律事務所の大規模化傾向に加え、若手弁護士が大規模事務所に多く所属していることが分かる。


 背景には売上の伸び悩みから経費負担リスクの分散の必要性が生じてきたこと、広告等を行い大量に事件を集める全国型弁護士法人が、集めた事件を処理する為に多くの若手弁護士を採用している可能性があるのではないかと思われる(私見)。

☆性別による傾向

※男女別に見ると、所属弁護士数1名の事務所に所属している女性弁護士の割合は男性の約半分の割合(♂23.4%、♀12.8%)となっており、弁護士が1人で事務所を開設する際に女性の割合が少ない傾向が顕著といえそうである。
 一方、弁護士数10~19名、20名以上の事務所に所属する弁護士の男女別の割合はほとんど差がみられない。


 以上から、1人で事務所を開設する弁護士は男性が多い傾向にあると考えられる。

(続く)

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