弁護士業務実態報告書2020から~5

(各事務所の経営者弁護士の数は?)

☆全体の傾向

・1名          45.4%
・2名           15.4%
・3~5名         18.5%
・6~9名          6.9%
・10~19名        5.9%
・20名以上         5.8%
・無回答          2.1%

※2010年調査では経営者弁護士1名の事務所割合は59.1%であったことから、複数人による経営が進んでいる。

☆地域による傾向

※東京の経営者弁護士1名事務所の割合は39.8%で、東京地域の中では最も多い割合だが、他の地域と比較すれば低い。東京での複数人による経営の傾向は進んでいる。また、2010年調査では、東京の経営者弁護士1名の事務所割合は48.8%であったが、さらに複数人での経営傾向が進んでいる。なお、東京では経営者弁護士数6名以上の事務所割合が他の地域よりも高くなっている。
※大阪・愛知においても、経営者弁護士が1名の事務所は41.2%で同地域内ではもっとも比率が高い。2010年調査では60.2%であったことと比較すれば、急速に複数人経営の事務所が増加していることになる。
※高裁所在地、高裁不所在地でも経営者弁護士数が1名の事務所はそれぞれ50%強と最も多い割合であるが、2010年調査ではそれぞれ69.8%、72.4%だったので、やはり急速に複数人経営の事務所が増加していることになる。

いずれの地域でも経営者弁護士の複数化が急速に進行中である。その原因は分析されていないが、私見では、経営環境の悪化から固定費のリスクを分散する必要性が高くなってきたこと、広告等により大規模に集客する弁護士法人の全国展開などが理由ではないかと考えられる。

☆期別による傾向

※70期以降の弁護士が所属している事務所のうち、17.7%が経営者弁護士数20名以上、9.2%が経営者弁護士数10~19名以上であり、70期以降の弁護士のうち1/4以上が経営者弁護士が多い大規模事務所に所属していることが分かる。

→経営者弁護士が多い事務所は一般的に大規模事務所であり、70期以降の弁護士は大規模事務所に所属する傾向が強いということである。おそらく大規模に広告を行って集客する全国展開中の弁護士法人等が、集めた事件を処理するために多くの若手弁護士を吸収しているのではないかと考えられる(私見)。

☆性別による傾向

※経営者弁護士数の観点から、男女の比較を行うと、経営者1名の事務所に所属する男性弁護士は46.7%、女性弁護士39.7%、経営者2名の事務所に所属する男性弁護士は14.5%、女性弁護士20.0%、であり、女性弁護士の方が経営者2名の事務所に所属している傾向が強い。その他の形態の事務所では、男女比率に大差がない。

→私見であるが、男性比率が高い職業であることから、男性経営者弁護士1人の事務所が多いと考えられることから、経営者側としても参加者側としても、異性弁護士と1対1になる状況を避ける傾向があるのではなかろうか。

(続く)

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