今朝、5時半頃だったと思うが、隣からハトの鳴き声と羽ばたきがひどく聞こえてきて目が覚めてしまった。
何事かと思って、外を見ると、おぼつかない足取りと羽ばたきで塀にすがっている2羽のハトと、近くで鳴き声を上げている1羽のハトが原因だった。
キジバトなどではなく、普通の土鳩である。羽ばたきはするものの、なかなか飛び立てず、うろうろしているところから見て、巣立ちをしようとしているのだろうとわかった。
こちらが、窓から見つめていると、若鳥が慌てて塀の上で方向転換しようとして、危なく落ちそうになったので、巣立ちを見守ることはやめて、そっとカーテンを閉めた。
数分のち、大きな羽ばたきと鳴き声が少し聞こえたのち、静かになった。
カーテンの隙間から覗いてみると、もうどこにもハトはいない。
周りを見ても、地面に降りているわけでもなさそうなので、どうやら無事に巣立ったようだ。
ノアの箱舟の大洪水の際にも、確かハトがオリーブの枝を咥えて戻ってきたという話があったように記憶しているが、現実には繁殖しすぎてフン公害の原因となっていたりする。
私が事務所から昼食を食べに外に出る際にも、ハトフンがたくさん落ちている近くに、土鳩が十数羽も寝そべっている(実際に、足で立たずに地べたに寝そべっているのである!)場所があるのをみると、環境的にはプラスじゃない生き物かもしれないなと、つい思ってしまう。また、人を怖がるどころか、人がよけて当然でしょと言わんばかりの態度が見えて、普段ならあまり好きな連中ではなかった。
マンションのベランダで野生のハトを餌付けした住民がいたため、大量のハトが押し寄せるようになり、部屋の使用差し止めなどの訴訟に発展した事例もあったはずだ。
おそらく、今日巣立ったハトも野生の環境の中では、生き延びるのは、そう簡単ではないだろう。残念だが土鳩は、あまり好きな種類の鳥ではないし、鳥類全てを博愛主義的に大事にできるほど、私はできた大人ではない。
だが、恐怖に打ち勝ち、思い切って飛び立った今日の巣立ちを、なぜだか祝ってやりたくなったのは、私が歳を取ったからなのかもしれない。
巣立ちのハトに早朝に起こされ、ひどく寝不足を感じながらも、私はそう思っていた。