※気合いだってバカにはできない
試験が近づくと誰だって、焦るものだ。
しかし、焦る必要はない。短答式試験に満点を取る人間が、まずいないことからも明らかなように、完璧に準備ができている受験生などいないのだ。
焦って浮足立ち、空回りした挙句に、本番で実力を発揮できないほうが、実は問題が大きい。
試験前に気合いの入る音楽を聴くこともよく使われる手だ。それだけでなく私は、試験前日には、夕食はまんが定食屋(漫画がたくさん置いてある定食屋さん)に出かけ、気合いの入るスポコン漫画等の一番クライマックスのところを読み、気合いを入れたこともある。一歩ずつ「合格、合格・・・」と念じながらジョギングしていたこともある。
気持ちの面で言うなら、気合いだってバカにはできない。気合いが入っていれば集中力が増すこともあるし、なにより途中でくじけそうになった時に、支えてくれることもあるのだ。その支えによって、あきらめずに1点、2点を拾うことができれば、それが積もれば大きな差になりうる。
もちろん勉強不足を補うことはできないが、気合いが入っているほうが何かと前向きになれることは事実だ。だとすれば、びくびくして試験に臨むよりも最初っから気合いを入れて臨んだほうがいいに決まっているではないか。
特に複数回受験をしている方は、経験からくる慣れから、気合いが入っているようでも入りきれていない場合があるので、要注意だ。
※睡眠不足でも大して影響しないこともある
どうしても緊張して眠れない人もいるだろう。しかし、意外にも睡眠不足は極度の緊張を強いられる司法試験において、あまり影響しないことが多いように思われる。その証拠に、試験中に睡眠不足で寝てしまった人の話を、私は伝聞でも聞いたことがない。逆に、私の受験時代でも試験前日の夜から、試験終了まで全く眠れずに合格した人の話はいくつも聞いたことがある。
だから、睡眠不足を試験失敗の言い訳にしないことだ。特に試験期間中は、絶対に、「自分は睡眠不足で頭が冴えていないから駄目だ・・・」などとマイナスの自己暗示をかけてはならない。
とはいえ、体も頭脳も疲弊する試験なので、試験期間中に休ませることは必要だ。
私の経験から言えば、眠れなくとも、ベッド(布団)に入って、目を閉じているだけで随分と回復できるものなのである。自分が好きな、落ち着く音楽を聴くことも効果的だろう。
もちろん眠れるに越したことはないが、たとえ眠れなくても、十分戦えることが多いものなのだ。
※試験期間中は一人のほうがいい
試験会場などで、友人などに会うこともあるだろうが、私の経験から言えば、あいさつ程度にとどめ、話はしないほうがいい。話をすれば、どうしても試験内容の話になってしまうが、試験の結果も出ていないのに、終わってしまった試験科目の話をすることほど意味のない行動はない。仮に話してみて、書いた論点が一致していても書き方によって評価はまるで変わるし、もし書いた論点が違っていたならその後の試験に大きく影響しかねない。
百害あって一利なしと思ったほうが良いくらいだ。
また、昼食の待ち合わせなどもしないほうが良い。もし相手が遅れたら自分の予定が狂うし、自分が遅れたら相手に迷惑をかけるのではないかといらぬ心配をしなくてはならなくなる。
受験の友達であれば、お互いにとってとても大事な試験であることはわかっているはずだから、試験期間中に話をしなくても、試験が終わってから嫌になるほど話しせばよいし、それくらいは理解してもらえるはずだ。
※おわりに
私は、かつて何度も総合A判定(1000番以内)で、さらには前述したように0.03点差で論文試験を落とされるなど、旧司法試験には相当苦労させられました。円形脱毛症にも3~4回なったり、健康を害したことさえありました。
長かった受験生時代に、気づいた点のうち、ひょっとしたら試験直前に気づいていれば、ずいぶん答案が変えられたかもしれないと思ういくつかの点について、雑駁ながら書かせていただきました。
もちろん勉強不足をカバーするような特効薬ではありません。しかし、勉強しているはずなのに成績に反映されず行き詰っている人へのヒント、飲まないよりましのサプリメント程度の効果はあるかもしれません。
読んでくださった方の、司法試験での健闘をお祈りしております。
(この項終わり)