今からでも間に合う(かもしれない)司法試験サプリ(9)~試験全般について2

※逃げるな

 妥当な解決を目指す箇所で触れたことにも関連するが、解答しているときに、通説・判例の理屈で突き詰めていけば、結果的に、あまりに当事者の衡平を害する等、不都合が生じてくるような場面に出くわすことがある。

 また、ある論点だけ少数説をとれば、面倒くさい論点をすっ飛ばせるような場面も生じることがある。

 あくまで私の経験からすればということになるが、結論的には、このような場合には、「逃げてはならない」。

 正々堂々と通説・判例でおしていき、生じてしまう不都合には、別途知恵を絞ってなんとか手当を考えるほうが評価が高いはずだ。不都合を無視したり、少数説に日和って面倒くさい論点を飛ばしたりする行動は、はっきり言ってしまえば、「逃げ」だ。

 前も述べたが、採点者は当代一流の学者であり実務家である。困ったときに、踏ん張って何とか妥当な結論を導こうと努力した形跡のある受験生と、その不都合から逃げてしまった受験生とを比較すれば、間違いなく前者が評価されるだろう。

 実務家は、場合によっては法廷においてたった一人で、相手の弁護士と論争しなければならない場合もある。そのような場合に、ちょっとした不都合にびびって、すぐに逃げたり日和ったりするような受験生を、同じ法曹の卵として法曹界に迎えたいと、採点者が思うはずがないだろう。

 とはいえ、論文試験を受験している際には、どうしても弱気になりそうな時が来る。その時は、自分がどういう法曹になりたいのかをもう一度思い出し、勇気を奮って逃げずに戦ってもらいたい。

※最後まであきらめるな

 試験である以上、完璧な解答を書ける受験生などいないと考えるべきだ。隣の受験生が試験開始後、すぐに答案を書き始めてもあせらないことだ。どうせきちんと答案構成できずに泡食って書いているだけだろうから、ろくな答案になりはしない、と考えておくほうが楽だ。

 今の司法試験は、短答に合格してさえいれば殆ど50%近くは合格できる試験になっているので、とにかく最後まであきらめないことである。

 あきらめるのは試験終了後だって、合格発表の後だって、できる。

 たとえあなたの出来が悪くても、みんなの出来も悪ければ、その中で少しでもあがいて法的思考力を示していた方が勝つ。

 でかいミス一つやらかせば、その年の受験が終わってしまった旧司法試験の時代と違って、今はでかいミスの一つや二つあったところで合格できてしまう時代なのだから、勝負は、なおさら下駄をはくまでわからないのだ。

 最後の科目で筆記用具を置くまで、絶対にあきらめてはならない。

 試験中のミス程度で、あきらめの気持ちを抱くような実務家に、だれが、自分の人生の重大事を任せてくれるというのだ。

 実務家を目指す以上、絶対にあきらめてはならない。

(続く)

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