近所の喫茶店に設置されている雨よけテントの裏側に、毎年ツバメが巣を作る。
喫茶店の方も心得たもので、巣を撤去したりはしないし、ヒナが孵って巣から糞などが落ちる場合は、客にかからないように段ボールでカバーしたり、注意書きを出したりするなど、ツバメを大事にしている。
昨年までは、春から夏にかけて、子育て上手のつがいが、何羽もの雛を孵し、雛がエサを求めて大騒ぎするにぎやかな光景が見られていた。私は、小さい頃にチャボを実家で飼っていたこともあり、鳥の雛をみると、ついほほが緩んでしまうところがある。有り体にいえば、ツバメを含め、鳥の雛を見ることが好きなのだ。
ただし、今年は、豪雨で巣が一度落ちたこともあってか、近所の商店街では次々とヒナが元気な姿を見せる中、このつがいの巣では、雛が孵った様子が見られなかった。あれだけ子育て上手のつがいだったのだから、おかしい。今年は代替わりして、経験の浅いつがいが巣をかけたのかもしれない等とあれこれ想像したりもしていた。
ここしばらくは、つがいが、巣から少し離れたテントの骨組みに2羽で寄り添って止まり、寝ている姿が続いていた。
何となく気になって、喫茶店の前を通る度に下から覗いていたのだが、いつの間にか、寝ている姿を見せるツバメも1羽だけになり、パートナーに事故でもあったのかと少し心配になっていた。
先週、夜の10時半頃、ジョギングを終えて自宅に戻る際に下から覗いてみると、やはり一羽だけがテントに止まり寝ていた。
可哀相に、渡りの季節が来るまで、お前はひとりなのかい・・・・と同情していたわたしに、微かな鳴き声が聞こえた。
微かではあるが、間違いなく、巣の中から聞こえる。
ヒナの鳴き声だ。
おそらく、つがいのうち一羽が卵を温めていたのだろう。そして、他のツバメたちにだいぶ遅れたものの、やっとヒナを孵すことに成功したのだろう。
ツバメからすれば、あんたなんか関係ないよ、ということかもしれないが、勝手に心配していたこちらからすれば、やはり、嬉しい気持ちになった。
これからは、相当暑いから、かなり大変だろうけど、父ちゃんツバメ・母ちゃんツバメとも頑張って!