OJTの必要性

私が顧問をしている会社に対して、訴状が届いた。

既に支払い済みである、残業代に付加金と別途慰謝料を若手で早期に独立したと思われる弁護士先生が代理人に就かれて請求してきた案件だったのだが、その訴状に目を通して驚いた。

その訴状には、2度にわたる訴状訂正申立書が添付されていた。
特に当事者関係で問題があるわけでもなく、計算が困難であるとか、法律的に大きな問題がある事件でもないので、この事件で2度の訴状訂正も凄いなぁ~、とあきれるほどなのだが、それでも訂正し切れていない部分がある。

いきなり請求の趣旨1で、当方会社を提訴しているのに「被告○○○○は、」と書かれていて、株式会社が抜けている。会社であれば当然法人であるし、前株(株式会社○○○○)か後株(○○○○株式会社)かによって、別法人であることもあり得るのだから、請求の趣旨の冒頭から記載に間違いがある。万一、こんな請求の趣旨で判決をもらうことができても執行できないぞ。請求の趣旨2~3においてもその記載は変わらない。いくら忙しくてもこれはダメだろう。
さすがにこの記載に関しては、1度目の訴状訂正申立書で訂正の申立がなされている。

次に請求の理由を見ていくと、第1、1で「当事者」との項目がある。当事者の項目は、最初に本件訴訟の登場人物を示して、裁判所に理解をし易くする狙いもあるのだが、この記載も変だ。そのまま抜き出してみるとこうなっている。
「原告は平成年19月6日より平成24年8月まで被告会社の会社に勤務をしていた者である。」
まず、平成年19月6日と謎の記載がある。善解すれば平成19年6月ということだろうが、訴状の記載に善解を求める時点で問題ありだ。
次に、「被告会社」という記載がいきなり出てくるのも違和感がある。被告となっているのは会社とその当時の代表者であるから、被告会社との表記で分からないでもない。しかし、請求の趣旨で○○○○株式会社と正確に記載する必要があり、その後、請求の理由という違う項目での記載が始まっているのだから、再度正確に○○○○株式会社と記載して、略したければ(以下「被告会社」という。)くらいの説明を付しておくことは当然必要だと私は考える。
被告会社の会社に勤務、という記載も日本語として違和感がある。単に被告会社に勤務、といえば足りるんじゃないだろうか。この記載は、2度にわたる訴状訂正申立書でも訂正されていない。

さらに、労務の終了に関する記載もないうえ、未払残業代に関する部分は、こう締めくくられている。再度原文を引用すると、
「原告は被告会社に対し、残業手当の支払いを内容証明郵便で請求したところこの支払いを行わなかった。」
主語は、原告なのだろうが、内容証明郵便で請求したのも、支払いを行わなかったのも原告と読めてしまう可能性がある。それに内容証明郵便で請求したとしても到達していなければ請求したことにならないのだから、いつ到達したのかも明示する必要があるし、その事実を示すために、当然証拠として内容証明郵便と配達証明が引用・提出されて然るべきだが、それもない。
さらにいえば、この案件は、代理人が証拠保全手続まで行っておきながら、原告のタイムカードのみが証拠として提出されているに過ぎないのだ。未払賃金の算定・請求に当然必要であるはずの就業規則、賃金規定も証拠として出されていない。
追って提出する予定なのかもしれないが、それでは、民訴法規則53条に違反するようにも思えるぞ。それでいいのか?
もちろんこの部分も2度にわたる訴状訂正申立書でも訂正されていない。

さらに意味不明な用語の使用法や、付加金請求の法的根拠(せめて根拠条文くらい書くべきじゃないの?)も明示せず附加金を請求し、さらに、何の証拠も根拠条文も示すことなく慰謝料請求も記載した後で、最後の「よって書き」にはこう書いてある。

4 結語
「よって、原告は請求の趣旨記載の通りの残業手当及び附加金の支払いを求める。」

一体誰に求めるの?
それから、付加金については、労基法114条では「付加金」と記載されているのでそちらの方がポピュラーかと。
それに、慰謝料は求めないんでしょうか?

当然のことながらこの部分についても訴状の訂正申立書での訂正はない。

たぶん、司法研修所の後期修習中に、こんな訴状起案して提出したら、怒られるに決まっているだろう。私もイソ弁時代にこんな訴状を書いたら、ボスに大目玉を食らったはずだ。

やっぱりOJTは必要でしょ!

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