少年事件においては、少年の処分に関する意見が各所から出される。
警察・検察・鑑別所技官・家庭裁判所調査官・そして付添人弁護士からだ。
大抵、警察・検察は重い処分を求める意見が多く、付添人弁護士の意見は軽めの処分を求める意見が普通である。
特に裁判官が重視するのは、家庭裁判所調査官の意見だ。
家庭裁判所調査官は少年の調査に関する専門家であり、その調査能力の高さと分析の鋭さには、私も社会記録を眺めながら何度も唸らされたことがある。正直言って、ほとんどの調査官の分析に私は尊敬の念すら抱いている。ある意味、少年審判の結果は、調査官の意見書を見ると予測がつく(というより、調査官意見の結論と異なる審判結果を得られることは、体験的には、そうそうあるものではない)。
某県の家庭裁判所における少年審判の際には、裁判官が付添人の意見すら読んでいない様子だった(審判2日前に提出しているのに、審判時に「付添人の意見書、出てましたっけ?」と言われた。)。しかし、裁判官は、お構いなしに調査官の意見に沿った審判結果を下していたこともある。この裁判官が、きちんと弁護士の意見を採り上げていなかったことにがっかりする反面、調査官の意見に絶対の信頼を置いているんだなと、感じた場面だった。
(続く)