法科大学院を擁護する立場の方が良く強調したがるのが、「法科大学院がなければ弁護士になっていない」と主張される方の存在です。
果たして本当にそうなのでしょうか。
本当に法科大学院ができただけで、司法試験受験を決意されたのでしょうか。
法科大学院ができたから法曹を目指したという主張が文字通り正しいのであれば、法科大学院卒業+合格率が3%であっても法曹を目指す人が増えていなければおかしいように思います。
おそらく
①法科大学院の指導に沿って勉強すればいいという指針が見えた。
②合格率が跳ね上がると聞かされた。
③弁護士の就職難(弁護士が食えない)などあり得ない(ニーズは無限にある?)と、当時は考えられていた。
等の理由から、
法曹への道を決断された方が多いのであって、主な理由はおそらく②・③だと思います。(東洋経済等、マスコミがこぞって、合格率が上がることを指摘しながら「貴方も弁護士になれる」等の特集を組んでいましたので。)
理由が①だけの方は、旧試験制度でも自分が決断さえすれば、法曹を目指すことができた方だと思います。今は、法科大学院乱立とむちゃくちゃな弁護士増員のせいで②どころか、③まで危うくなってきており、現に志願者は物凄く減少しています。①の理由だけなら法曹志願者が減少する理由付けにならないようにも思われます。
つまり、法科大学院制度ができたから弁護士になれたというのは、かなりミスリーディングな言い方であるように思われます。
大阪の南和行弁護士(法科大学院卒)は、この点について、次のように指摘されています。
「法科大学院制度がなかったら弁護士になれなかった」
という言い方は本当に誤導です。
「法科大学院制度があったから,弁護士になる最後の決断ができた」
と言うべきなのです。
法科大学院制度がなくても,その人が「決断」さえすれば,
旧司法試験制度でも,弁護士にはなれたのです。
ただし,
「法科大学院があるから弁護士になれない」
というのは真実として存在します。
弁護士になる「決意」「決心」はいくらでもあっても,
地域の偏在や,経済事情や,
自分以外の要素のせいで法曹養成の道に,
乗っかることもできない人がいることが,
法曹の将来にとって深刻だと思うのです。
極めて明確な指摘であり、現状の法科大学院の問題点をずばり指摘しているように思えます。