先日、日弁連の会議で、法曹養成フォーラムに関する報告があった。
私の記憶なので、確実な情報ではないかもしれないが、現在の法曹養成フォーラムは、8月31日にとりまとめをした後、次回開催期日がまだ決まっていないようだ(10/11時点)。
法曹養成フォーラムの8月31日の第1次とりまとめは、
①司法修習は、法曹養成に必須の過程であり、司法修習生が修習に専念できるよう、修習生活中の生活の基盤を確保する必要があり、経済的支援を行う必要がある。
②貸与制を基本として、十分な資力を持たない者に対する負担軽減措置を講ずる。
③奨学金制度を参考に猶予期間を設ける。
等を報告し、今後は、司法制度改革当時の想定ほど法曹の社会進出が進んでいない点や養成制度のあり方についての様々な問題点が指摘されているので、法曹の活動領域のあり方、法曹養成制度のあり方、法曹人口のあり方について意見交換をする予定とのことだ。
しかし、8月31日にとりまとめをした後、まだ日程が決まっていないとはどういうことだ。
そもそも、司法修習生への給費制の問題は、法曹養成制度のあり方に大きく関係する。例えば、司法修習期間に必要とされる費用と、法科大学院に必要な費用とでは明らかに、後者の額が大きいだろう。
そして法科大学院制度の下で、きちんと教育を受けたはずの新司法試験受験生が、どうして基礎的知識不足、日本語文章作成能力の不足を痛いほど指摘されているのだ。いっちゃ悪いが、無駄な教育機関に多額の税金を投入するくらいなら、その教育機関の廃止を検討し、そこに投じられている税金を、フォーラムも必須と認めている司法修習生の給費に充てた方がよほど有効な税金の使い方ではないのだろうか。
このように、司法修習生の給費制問題は、法曹養成制度の問題と密接に関わっている。
ところが、フォーラムでは、その問題を切り離し、給費制問題だけのとりまとめを行ったのだ。しかも、次回期日も決まっていないと聞く。
そもそも以前にもブログに書いたが、有識者委員の人選にしても、司法修習生の給費制より法科大学院の予算の方が遥かに大事な、法科大学院関係者が多く選出されている。この顛末を見る限り、法曹養成フォーラムは、給費制問題にケリをつけるだけの目的で、開催された出来レースと評価されても仕方がないように思う。
今後の議論においても、法曹養成フォーラムにおいては、法科大学院制度維持を最大の目的とした議論が展開される危険が多分にある。私にいわせりゃ、制度が大事なのではない。国民の皆様にとって必要な優秀な法曹が生み出されることの方が大事なのだ。
法科大学院関係者の自己満足的な、現状肯定的なフォーラムになっていないか、今後の議論をよく見ていく必要があるように思う。
※なお当ブログの記載は、当職の個人的意見であり、当事務所の他のいかなる弁護士にも関係はございません。