韓国の弁護士増対策

 先だっての大阪弁護士会常議員会で、中本会長から、韓国の弁護士会との情報交換についてお話があった。

 韓国では、弁護士激増をさせる司法改革が日本と同じく進行中だが、弁護士会としても手を拱いて(こまねいて)いるわけではないそうだ。

 まずロビー活動を活発に行い、経済界の反対を押し切って、商法を改正し、コンプライアンスオフィサー制度を一定以上の規模の会社に義務づけし、弁護士を会社の内部に組み込むよう強制した。

 次に、既に実現している法曹一元制度を下敷きに、ロークラーク制度として、裁判所・検察庁・国会などに配置する制度を創設しているそうだ。

 さらに、地方自治体や大きな警察署などに、護民館を設置して、弁護士を常駐させる制度も構想中だとのこと。それでも、激増する弁護士を、今後も吸収し続けることができるものではないようだ。

 確かに韓国のような制度を作れば、大きな司法は機能するかもしれない。しかしそのコストは企業や国民が負担することになる。

 このように、法化社会は公正かも知れないが高コストの社会なのだ。

 司法改革を行う前に、まずそのコストを負担する国民の合意があったのか、どうやって合意があると判断したのか、司法制度改革を実行した人達は説明する義務があるはずだ。 そして今後、その高コストを負担する合意が国民の中にあるのか、明確に説明する必要がある。

 大きな司法のコスト負担を全く無視し、弁護士だけを増やし続けている日本の司法改革は、極めて歪んだものとなっていることを認識すべきだろう。

※なお当ブログの記載は、当職の個人的意見であり、当事務所の他のいかなる弁護士にも関係はございません。

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