ストーリーは下記の写真をご参照ください。
小さい頃にはパイロットにあこがれ、京都大学在学中に体育会グライダー部に所属して、グライダーという空を飛ぶスポーツにはまっていた私にとって、いわゆる「空飛びもの」の映画は、はずせない。
超絶な飛行技術を持ちながら身分の低いパイロットが、次期皇妃をお乗せして、敵中突破の単独飛行となれば、だいたいのストーリーは想像がつくし、その想像に従って物語は進む。
断言することはできないが、敵中突破の長距離飛行については、佐々木譲氏の開戦直前時期に零戦を空輸する「ベルリン飛行指令」が相当おもしろい小説であり、本作品の原作者である犬村小六氏は、そこから着想を得ているのかもしれない。
最高レベルの機密扱いの任務なのに、酒場で成功を祈って仲間と乾杯するなど言語道断の情報管理、敵中突破の長距離飛行で最も苦労するはずの燃料と飛行場の確保については、設定上不要となっている。最後の敵戦闘機との一騎打ちなど、およそ戦争中の作戦遂行とは思えない。
おそらく、全ては飛空士の活躍と次期皇妃とのストーリーを中心に据えるためだろう。そのためには、些細な設定のおかしさなどは放置して、描きたい対象に集中した、ある意味潔い割り切りとも考えられる。
そういう意味では、この作品は、完全に現実離れした世界でのおとぎ話である。
しかし、このおとぎ話の世界に入り込めるのであれば、男性も女性も、自らを主人公に投影して心地よい夢物語に浸ることができるのではないだろうか。
空や飛行機の描写は美しい。大学時代にグライダーで100発以上飛行した経験から考えても、飛行機が太陽の光を翼ではじき返す際の光の美しさ、雲の美しさなど、現実の空で見るよりも、むしろ美しく描写されているように思う。空戦の迫力も相当ある。
アニメーションのキャラクターも特に嫌みはない。
私は、70%位しか入り込めなかったが、これは私自身が年とともに純粋な心を失いつつあるせいなのかもしれない。
まだまだ純粋な心を失っていないとお考えの方は、この現代のおとぎ話を一度ご覧になってみるのも良いだろう。この世界に入り込めれば、さわやかな感動を得られるはずだ。
ps キャラクター設定の人が同じせいか、後半、飛空士と次期皇妃とのやりとりは、エヴァンゲリオンの綾波レイと碇シンジとのやりとりのようにも見えなくもなかった。