私の予想は外れましたが・・・・。

 今年度の新司法試験合格者は2043名だったそうです。

 閣議決定で念を押されているので、司法試験委員会は一度決めた合格者数の目安(2500~2900名)に反しないのではないかという私の予想は外れました。

 この合格者数にいかなる意味があるのか、本当のところは、司法試験委員会に聞いてみないと分かりません。

 しかし、合格者数の目安があるにもかかわらず、それに大幅に満たない合格者数にとどめたということですから、いかに合格者数の目安があろうとも、合格レベルを下げて数あわせするにも限界がある、これ以上の合格レベルの引き下げは極めて危険である、と司法試験委員会は考えたのかも知れません。

 もしそうだとしたら、司法試験委員会の判断を高く評価すべきであると同時に、これは法科大学院教育に強く反省を迫る、非常に大きな警鐘と捉えるべきでしょう。

 法科大学院はさんざん問題を指摘されながらも、法科大学院教育は優れた教育であり、厳格な卒業認定をしていると主張し続けてきました。その法科大学院が、優れた教育を施し、厳格な卒業認定をし、自信を持って卒業させたはずの卒業生が、今回の合格率を基にすれば、少なくとも27%しか新司法試験合格水準に到達できていないということになるからです。

 先日も、法科大学院で教鞭を執っておられる先生とお話しましたが、本音を言えば法科大学院側も、もう辞めたいところばかりではないか、だがどこの法科大学院も自分のところが先頭を切ってやめるわけにいかないと思っている状態ではないのか、と述べておられました。

 また、せっかく、(司法試験の科目ではない法律に関して)最先端の授業を法科大学院で行っても、学生が受験科目の内職ばかりしていて、ろくに授業を聞かず、幅広い法的知識を与える理念がもう失われている、なにより幅広い経験を持つ人材が法科大学院に来てくれない、とのことでした。

 面子を大事にして、現状をこのまま放置すれば、国民の司法への信頼が大きく揺らぐかも知れません。そうなってしまえば信頼を取り戻すことは非常に難しいはずです。

 (遅すぎるかも知れませんが)もう、過ちは過ちと認めていくべき時期に来ているのではないでしょうか。  

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