最新の週刊ダイヤモンドが出てしまったようなので、続きを書くのもどうかと思うのだが、「続く」と書いてしまった以上、その責任を取って続きを書く必要があると思う。
弁護士の使い方入門に関しては、まあまあそんなものかなぁという感じである。分かりやすく法律用語や手続のメリット、デメリットを説明してくれる弁護士の方が良い、「裁判になれば必ず勝つ」「私にまかせなさい」と豪語する弁護士は危険な場合があるというのは全く同感である。
訴訟などの場合、弁護士一人では戦えない。依頼者と一緒に戦う必要がある。事件を実際に経験したのは依頼者なのだから、依頼者の協力がないと、そもそも事実の確認も出来ないし、主張・反論の組み立てが困難になることも多い。いわば、弁護士と依頼者は二人三脚でゴールを目指すことになる。したがって、この弁護士と二人三脚を組んで大丈夫かという観点で弁護士を捜された方が良いと思う。
この記事のインタビュー欄に、法律事務所ホームロイヤーズの西田弁護士のインタビュー記事が載っている。西田弁護士は弁護士法72条撤廃を叫んでいる。一読してなるほどと思われる方も多いだろうが、西田弁護士の主張は、私は危険だと思っている。弁護士法72条があるため、国民の権利義務に直結する法律業務から、いい加減な業者などが排除できているのだ。
極論すれば、弁護士法72条が撤廃されれば、いい加減な処理をして法外な値段をとる示談屋ですら合法ということになり、参入を考える不法勢力も出てくる可能性があるだろう。
それでは、なぜ西田弁護士が弁護士法72条の撤廃を叫ぶのか。これはあくまで推測であって、私の邪推であれば本当に申し訳のないことなのだが、現在の西田弁護士のビジネスモデルからすると、弁護士法72条が存在しない方が西田弁護士にとって安心だからということではないだろうか。
インタビュー記事にもあるが、西田弁護士のビジネスモデルは大量のパラリーガル(弁護士のアシスタント)を雇用して膨大な案件を処理していくというものと思われる。弁護士がアシスタントを十分監督できているうちは良いが、大量にパラリーガルを雇用すると弁護士の監督は行き届かなくなる危険が出てくる。その場合、弁護士業務をパラリーガルに丸投げして処理させていると認定されたとしたら、弁護士が弁護士以外の者に法律業務を行わせていることになりかねない。これでは、西田弁護士の懲戒事由にあたる危険がでてくる。もし懲戒で業務停止など受けたら大変だ。
しかし、72条を撤廃しておけば、どれだけ大量にパラリーガルを雇用して業務を丸投げに近い状況にしていても、西田弁護士のビジネスモデルには少なくとも弁護士法72条違反という法律上の問題は生じない。
弁護士法72条問題を考える際には、安易に活性化という言葉に踊らされずに、一般の国民にとって、示談屋など訳の分からない法律屋が暗躍する世の中が良いか、少なくともいい加減な処理をする可能性が極めて低い弁護士にまかせる方が良いか、十分に考える必要があると思う。
(続く・・・かも)