東京駅発九州方面行きの寝台特急(ブルートレイン)として最後まで残っていた、富士・はやぶさ(東京~門司間は連結)が、今月で廃止されるそうです。
陸の孤島と呼ばれた私の田舎から東京に出るために、かつて最も便利だったのが寝台特急「紀伊」でした(DF50~DD51が牽引)。東京の学校に通う姉が東京に戻る際、何時も見送りに行きましたし、初めて東京見物に行った小学生のときにも乗りました。特に初めて乗った日は興奮して眠れず、車内の光がボンヤリと写りこむ小さな窓から、ずっと外を眺めていた記憶があります。
その他にも、名古屋~天王寺間を紀伊半島を一周するルートで走る夜行快速列車も、極めて古い寝台客車を連結していました(DF50→電化後EF58が牽引)。私の自宅は駅のすぐ近くにあり、中学・高校の頃は、23時15分頃に毎日通過する夜行列車の音が時計代わりにもなっていました。FMラジオをBGMにしつつ、受験勉強をしていると、夜行列車の汽笛がフィーッと鳴って、ああ、もうこんな時間か、と思ったりしたものです。澄んだ音に聞こえたからでしょうか、足温器で霜焼けにかかった足先を暖めながら勉強をしていた(ラジオを聞いていた?)冬の時期の汽笛が、記憶に強く残っています。
今ではとても考えられないかもしれませんが、高校の頃は、腕試しに駿台模試などを受験するため、わざわざ夜行列車に乗って大阪まで往復したことも数回あります。出来が悪くて落ち込み、自分は一体どうなってしまうんだろう、と漠然とした未来への不安にかられつつ、長時間夜行列車に揺られたことも、今となっては懐かしい想い出です。
このように、私は、夜行列車、特に寝台特急が大好きなので、東京出張がある際には、出来れば寝台特急のB個室で帰れないかと日程を考えることも良くありました。運良く乗れたときは、誰にも邪魔されず、とてもゆったりとした時間を過ごすことが出来、なんだか得した気分になれたものです。
それが今回の廃止で出来なくなりそうです。
時代の流れとはいえ、私の想い出も少し遠のくような気持ちがして、どうしても寂しさを感じてしまいます。