少年事件と接見(面会)

 少年が身柄を拘束されている少年事件において、意外にも相当数の親御さんから聞かれるのは、「面会のときに、うちの子と、どんな話をしたらいいのでしょうか」 という質問です。

 基本的には、「どのような話をしても結構ですよ、思うとおりにお話し下さい。」とはお伝えするのですが、どうもその答えでは、安心されない親御さんもおられるようです。

 身柄拘束されている少年は確かに非常に不安であることがほとんどです。鑑別所などでは時間の制限もありますし、少しでも実のある面会をしたいというお気持ちは、親御さんとして当然でしょう。

 しかし、私の経験からいえば、面会に行ってあげるだけで、少年には、親の愛情が十分に伝わっていることが多いものです。そして、少年の側としても、「あんなひどいことをして親に見捨てられるかもしれない」と考えているところに、親御さんが面会に来てくれれば、実はとても自分に愛情をかけてくれていたことに気付くことも多いのです。その面会で少年の不始末に対して一方的に非難する内容の話しかできなかったとしても、忙しい中、時間を割いて面会に来てくれる親の顔を見るだけでも安心する子は多いですし、悪いことをやったという自覚もありますから、非難だけに終わってしまっても、その面会だけで大きな問題が生じることは、あまりないように思います。

 何らかの問題があるので、少年事件になっているはずです。その問題は少年自身にあることも多いですが、場合によれば周囲にも問題点が隠れていることもあります。問題点を一緒に探す方向での話ができればベストでしょうが、そこまで行かなくても、少年は親の愛情を感じるだけでも立ち直りのエネルギーを生み出せることがずいぶん多いようなのです。

 あまり、欲張らずに、一緒に歩こうという気持ちで面会されれば、結果的にうまくいくことが多いのかもしれませんね。

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