そんなにアメリカが良いのか?

 私が子供の頃ですから、30年以上前になると思いますが、そのころでもテレビ番組で「衝撃映像特集!」等の題名で、世界の事件映像を流していたものがあったように思います。

 その番組の中では、犯人が逃走し、パトカーが追跡するカーチェイスをヘリコプターで撮影した映像がよく流れており、それは大抵アメリカでの事件だったと記憶しています。

 私は子供心に、「アメリカでは、罪を犯しても、なんとか逃げ延びればラッキーだという人が多いのかもしれない。そんなの良くないのに。」と思った記憶があります。その頃の私の感覚では、交通違反をして現場をパトカーに現認され、サイレンを鳴らされた場合、多くの人は確かに違反してしまったということで、素直に停車する人がほとんどで、逃げ切れればラッキーだと思って逃走するような人は、現在のように多くはなかったように感じていました。

 しかし、昨今、アメリカの個人主義・成果主義・競争至上主義などがどんどん導入され、国際社会での競争を旗印にどんどんアメリカをまねた制度を日本は取り入れてきたように思います。それと共に、儲かりさえすればいい、自分さえよければいい、という感覚を持つ人も、ずいぶん増えてきたように思えるのです。

 確か1980年前後に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という本が出て、日本は先進国のかかえる問題点をうまくクリアーしていると評価されていたのに、日本はその成功していた方程式をなぜか放棄して、アメリカをまねた政策へと転換していったように思います。

 果たして、その転換が良かったのか私には分かりません。しかし、アメリカの制度やアメリカでの考えを日本に持ち込むことによるメリットもあったのかもしれませんが、確実に日本人・日本の社会が持つ良さも失われていったように思えてなりません。

 法律家の養成制度として、アメリカをまねたロースクールが実施されてもう4年以上になりました。最近の司法試験合格者の傾向として、ビジネスロイヤー志向が非常に強まっていると司法研修所教官から指摘されています。

ビジネスロイヤー志向といえば聞こえは良いのですが、要は金儲け主義が強まっているということです。

 アメリカのように弁護士をロースクールで大量生産してしまって、法律を如何にビジネスとして最大限に利用するかを考える弁護士が激増した場合、本当に日本の社会は良くなるのでしょうか?

 そんなにアメリカ流が良いのでしょうか。

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