火の鳥~鳳凰編  手塚治虫 著

 仏師茜丸は、当時盗賊であった我王による追いはぎに遭い、仏師としての命とも言える腕の筋まで切られてしまう。その後茜丸は努力の末に仏師として再起し、一流の仏師として大仏建立の中心として活躍していた。大仏殿の鬼瓦を作る段になり、鬼瓦作りの名人がいると聞き、鬼瓦作りで勝負することになる。その名人とは、盗賊をやめ、良弁上人に付き従って諸国を行脚し、師である良弁上人すら失った我王であった・・・・。

 昨日、自然の美について書きましたが、よくよく考えてみると、自然が滅び行くものであると、突然私一人の力で思いついたのではなく、おそらく、この火の鳥~鳳凰編を小さい頃に読んだことが影響しているのではないかと思うのです。 なぜなら、突然自然の美しさを分かったような気がしたときに、「ああ、火の鳥で我王が言っていたのはこのことだったのか」、と初めて納得できたからです。

 まだ読まれていない方のために、あまり内容には触れませんが、おそらく、小さい頃にこの漫画を読んだとき、分からないなりにも、自然について、生死について、輪廻について、考える種が、私の心に埋め込まれていたのではないかと思います。

 とにかくまだ読んでおられない方は必読の漫画ですし、一度読まれた方も、再読されれば何かを感じることが出来る、凄い漫画です。この火の鳥~鳳凰編は、数ある火の鳥の話しの中でも、間違いなくベスト3に入る傑作だと私は思っています。

 「今は誰の目にも触れなくても、理解されていなくても、少年の心の中には、いずれ芽を出してくれるような、正しい種がきっと眠っているはずだ」、と私自身に言い聞かせて少年事件にあたることが多いのは、無意識のうちに自分の体験をフィードバックしているからなのかもしれませんね。

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