そして僕は天使になった  池谷剛一 文・絵

 ある日僕はあたりまえのように死んでしまった

 この絵本は、いきなり衝撃的な文章で始まります。
 表紙の挿絵と題名からは、想像もつかない始まりです。
 主人公は、飼い主より先に死んでしまった犬ですが、犬本来の姿で描かれるのは、最初の2ページ目までと、飼い主との日々を回想するページだけです。

 静かで、でも何故かほっとする絵が、次第に読み手の心を温めてくれるような気がします。
 この絵本の犬のように、真っ白い月の光の中、親しい人との素晴らしい想い出だけを抱いて、天に帰れるのなら、天使になるのも悪くない・・・・・と素直に思えます。
 

 大事な人を失った人、何らかの別れにより傷ついた大人の方向けの絵本ではないかと思います。
 「素晴らしい想い出だけを静かに、大事に抱いて、待っていて下さい。」そんな気にさせてもらえる絵本かもしれません。

光琳社出版1800円
(現在ではパロル舎より1500円(税別)で出されているようです。)

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