少年法改正のポイント

 平成19年6月1日に、改正少年法が公布され、遅くとも平成19年11月中に施行されることになりました。

 法務省のホームページによりますと、今回の少年法改正のポイントは次の5つということです。

 ① いわゆる触法少年及び、ぐ犯少年に係る事件についての警察官の調査手続を整備すること。

 ② 警察官の調査に関し、付添人の選任権など、少年の権利保護のための規定をおくこと。

 ③ 少年院に送致可能な年齢の下限を設け、おおむね12歳とすること。

 ④ 保護観察中の者に対する措置につき、遵守事項違反が新たな審判事由であることを明らかにすること。

 ⑤ 一定の重大事件につき、国選付添人制度を新設すること。

 ここでは、③・④がマスコミで大きく報道されましたので、簡単に説明します。

③については、「小学生も少年院に送致できるようになる」と報道されたので、ご存じの方も多いと思います。法務省の説明では、14歳未満の子供でも凶悪・重大な事件を起こすなど、内面に大きな問題を抱えている少年の存在は否定できず、その子供たちの処遇のためにふさわしいのであれば、少年院で教育すべきではないかという趣旨だそうです。

 確かに年齢だけで、画一的に閉鎖された少年院か開放的な児童自立支援施設かとの分類をすべきではなく、少年の個性に応じて対処するという方針自体は正しいと考えられますが、少年の社会復帰はできるだけ、社会に近い状況の下で行われるのが望ましいことから考えれば、疑問がないわけではありません。ただし、14歳未満の少年による悪質な事件の存在も否定できないようなので、難しいところだと思います。

④についてですが、これまでは、少年審判で保護観察に付された場合には、保護観察処分が終局処分であったため、保護観察中に遵守事項の違反を少年が繰り返しても、それを理由に少年を少年院に入れることができない状態にありました。その結果、少年が保護観察を軽く見てしまい、保護観察が機能しない場合もあったようです。そこで、今回の法改正においては、「少年が遵守事項を守らず、保護観察を続けても本人の改善・更生が見込めない場合には、家庭裁判所が審判を行い、少年院等に送致することがある」ことを定めました。この点に関し、少年は事件を一度しか起こしていないのに、その事件で保護観察と少年院送致と2重に処罰するのではないかという指摘がありましたが、法務省は、「保護観察中の遵守事項を守らなかったという新たな事情を理由として、新たな保護処分を行うものであり、少年を2重に処罰するものではない」としています。保護観察が機能しない場合の問題は、かなり以前から指摘されていましたので、この制度の新設により、保護観察の実効性が高まることが期待されているようです。

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