先輩を優遇しろ!というと、どこの体育会系のクラブやねん!、場合によったらハラスメントちゃうか?、と思われるかもしれないが、実は、大阪弁護士会、日弁連においては現在、大先輩優遇措置がある。
大阪弁護士会には次のような規則が定められている。
(規則引用ここから)
大阪弁護士会顕彰規則(規則第十五号)
昭和三九・ 四・ 一 施行
改正 昭和五二・ 四 平成一〇・ 三
平成一三・一〇 平成一四・ 三
平成二一・ 二 令和 四・ 三
第一条 本会は、弁護士である会員(以下「会員」という。)であって、表彰する年度の十二月末日現在、弁護士、裁判官又は検察官にあった期間が通算して四十年に達し、かつ、二十年以上本会の会員である者を表彰する。
第二条 本会は、弁護士、裁判官又は検察官にあった期間が通算して五十年以上又は年齢満七十七歳以上であって、かつ、二十年以上本会の会員である者を優遇する。
第三条 表彰は記念品を贈呈し、優遇は大阪弁護士会各種会費規程(会規第二十号)に基づき一般会費及び特別会費を免除する方法によって行う。
(引用ここまで)
第1条は、法曹(裁判官・弁護士・検察官)経験40年以上かつ大阪弁護士会で20年以上会員であった方を表彰する。
第2条は、法曹であった期間が通算して50年以上または年齢77歳以上かつ大阪弁護士会で20年以上会員であった方を優遇する。
第3条は、表彰については記念品を出す。優遇については弁護士会費を免除する。
というものである。
要するに、大先輩を表彰する、大先輩を弁護士会費免除で優遇する、という定めなのだ。
昔は弁護士会費も馬鹿高かったから高齢では支払いが大変だろうという配慮や、弁護士であれば食っていけた牧歌的な時代だったので、まあいいか、とスルーされて約60年以上前から現在まで生き残ってきた規則なのだろう。(どうやら本規則制定前にも、似たような先輩優遇規定があったようである。)
しかし、真偽の程は確認していないが、この間、小耳にはさんだ話によると、大阪弁護士会も高齢化が進んでおり、この大先輩優遇規程により、年間約8000万円もの弁護士会費が徴収できなくなっているとのことだった。
もう仕事はできないが、弁護士として死にたいという方も多いし、私も司法試験合格には相当苦労したので、そのお気持ちは痛いほど分かるつもりである。
しかし、弁護士自治の下で弁護士として仕事をする以上は、弁護士会を維持しなくてはならないし、弁護士会の維持のためには何よりもお金が必要である。弁護士会費は、滞納が続くと退会命令でバッジが飛ばされる危険性も極めて高く、収益がなくとも死に物狂いで支払わねばならないという、弁護士に課された重いくびきである。
また、弁護士として弁護士会に登録している以上、弁護士会としても、会員である弁護士にサービスを提供しなくてはならず、当然費用はかかる。そのサービスを受けているのであれば、サービスの対価を支払うのは当然ではないかというのが私の考えである。(その意味で若手に対する会費免除も賛成ではないが、ここでは論じない。)
仮に、私の聞いた情報が事実ならば、本来弁護士会の維持発展に使えるべきお金が毎年約8000万円も、大先輩達を優遇するために、失われている(徴収できないでいる)ことになる。(もし正確な情報をお持ちの方がいらっしゃれば、ご教示下さい。)
今は、裁判件数の大幅減少、弁護士激増もあり、弁護士であればそれなりの生活ができたような時代ではない。弁護士の平均所得減少傾向も止まっていないようだ。
国政レベルでも現行世代の負担を将来世代に残すべきではないとの主張がなされている。それに加えて、弁護士界は前述のように受難の時代なのである。
大先輩達も、弁護士会維持・後輩達のために、現在享受されているサービスの対価を、そろそろ負担してくれても良いのではなかろうか。
なお、日弁連にも以下のように大先輩優遇規程は存在する。
日弁連会則95条の4
弁護士たる会員が次の各号に掲げるいずれかの事由に該当する場合は、所属弁護士会を通じて申請することにより、本会の会費及び特別会費(以下この条において「会費等」という )の全部を免除する。
一 弁護士登録の期間が通算して五十年以上であるとき。
二 七十七歳に達し、かつ、弁護士登録の期間が通算して二十年以上であるとき。
(以下略)
日弁連における、大先輩優遇会則に基づく、会費未徴収額もかなりの額に上るはずである。
これらの規程が、改訂できていないのは、執行部に年配者が多いこと、執行部(特に会長選挙等)に対して年輩の先生方が相当な影響力を保持されているであろうこと、執行部が弁護士会の現状の把握を怠り現状に応じた対応をしていないこと、等に起因する可能性は高そうである。
そろそろ、真剣に現役世代の状況に応じた施策をとらないと、日弁連や大阪弁護士会が会員から見放される危険性も、絵空事ではなくなってくるようにも感じている昨今である。

京都本満寺の枝垂れ桜(2018年3月)
